楚の国の
子良(しりょう)に子どもが生まれました。
越椒(えつしょう)と名づけて大切に育てていました。
ある日、
子良の兄の
子文(しぶん)が忠告してきました。「残念だが、この子を殺してしまいなさい。この子の姿は、まるで熊や虎のようで、声は山犬や狼のようだ。この子を殺さなければ、きっと我が一族は滅ぼされてしまうだろう。『狼の子は、いくら飼いならしても野生の心を失うことなくその飼い主に害を与えてしまうものだ』という教えがあるが、この子はまさにその狼の子だ。」
子良は父親として、そんな忠告を聞き入れるはずがありませんでした。
しかし、成長した
越椒は、
子文が予言したとおり、親族を皆殺しにして、楚国の王に謀叛を企てて世の中を乱すことになってしまったのです。
■ 人に悪いことをしようとする心。ひそかに抱いている無理のある望み。野望。
<例> 野心(狼子野心)に満ちた戦略をたてている。