故事成語

歳月は人を待たず
 人生にはみんなが納得する理想的な生き方などないし、みんなが望む素晴らしい人生の終え方というものもない。

 人が生きるということは、迷いの日々を送ることです。まるで、風にあおられ、道でさまよっている塵(ちり)や埃(ほこり)のようなものなのです。時の流れに身をまかすしかありません。自分のからだは目に見えていても、実は定まった形のないものなのです。

 同じこの世に生まれたなら、みな兄弟姉妹のはずです。本当の親よりもずっと関係は深くなる友もいるじゃないですか。楽しいときはどんどん友だちを集めて、お酒を飲んで騒ごうじゃないですか。元気で勢いが盛んな年齢は、過ぎ去ってしまえば再び訪れることはありませんし、1日に2度も朝が来ることなどありません。

 生きているうちが花なのです。何事をするにも時期(タイミング)を逃さずに努力すべきです。歳月は人を待たずにあっという間に流れ去ってしまうものなのですから。
■ わずかの時間も惜しんで努力しないと、あとで悔やんでも間に合わない。

<例> 歳月は人を待たずと言いますから、今すぐ、それをしておくべきでしょう。
●陶潜詩『雑詩』の訳です。原典では、元気で酒が飲めるときにたくさん飲んで楽しむべきだ、と語っているシーンです。