いろんな言葉、筆記の方法(横書き?、縦書き?)
                    2002.4.20 東山裕一


文明は文字によって発展しました。 時間、距離を離れて人に情報を伝えることができるからです。 世界にはいろんな種類の文字があり、起源がどこかで数種類に大別されています。 文字だけでなく、文章を書く方向も言語によって違うというのもおもしろいです。

英語はご存知のとおり右から左に、そして改行は上から下。 アラビア語(あのミミズが這ったような文字です)は左から右に、改行はやはり上から下です。 中国語や日本語は上から下、改行は右から左です。 そうした方法が定着したのには合理的な理由があります。 英語圏の筆記は紙にインクで書きますが、まだ乾いていない字を自分の手で汚してしまわないためです。 もちろん大多数の右利きの人にとってですが...。 中国語、日本語の場合は、白紙の巻物を左手に持って、巻物の芯を下敷き代わりに右手の筆で書くのでそうなったのでしょう。 話はそれますが、インクは時間とともに鉄分が酸化されて消えていくのに対し、和紙に墨(炭素)を染み込ましたものは半永久的に消えないという素晴らしい特長があります。 中国、日本の古文書が残っているのはこのためです。

ところで下から上に書く言語は見たことがありません。 物は上から下に落ちるという自然現象を、人が自然なこととして受け入れているためでしょうか。 あえて言えば電子メールなどで、古いものは下にして新しいものを上に付け足せば見やすいという理由で、横書きタイトルを上に積み重ねることがあるくらいでしょうか。

最近、英語的な書き方が世界に広まっています(この文章もそうなっています)。 日本では、文学書やおじさん雑誌は縦書きですが、若者向けの雑誌など横書きの書物がどんどん増えています。 本屋で背表紙だけ見てもわからないので、抜き出して表紙がどっちかを確かめるというややこしいことになります。 困ったものです。 これからも西洋文化に侵されていくのでしょうか。
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