回文"竹やぶ焼けた"
2004.9.12 東山裕一
相当以前、「上から読んでも山本山(やまもとやま)、下から読んでも山本山」という味付け海苔のテレビコマーシャルがありました。 これは漢字での話ですが、かな文字で上から読んでも下から読んでも同じになる文章を回文(かいぶん)といいます。 今は横書き日本語も一般的なので「前から読んでも後ろから読んでも」というべきかもしれません。
「トマト」、「しんぶんし」から「竹やぶ焼けた」、「私負けましたわ」などが、子供の頃に遊んだ単純な回文です。
平安時代の書に回文でつくった和歌がすでにあり、ひらがなが発明されてすぐこんな知的遊びが始まったということは興味深いです。 あの有名な回文和歌、「長き夜のとおの眠り(ねふり)の皆目覚め波乗り船の音のよきかな」は、日本風土記(桃山時代)に載っています。
回文は日本独特の言葉遊びかと思っていたら、英語にも「Madam, I'm Adam」みたいなのがいろいろあることを知りました。 人間の知的遊びは世界共通なんですね。
日本語の言葉の最高傑作は、かな文字を1文字ずつ使った”伊呂波(いろは)歌”(これも平安時代)です。
「色は匂(にほ)えど散りぬるを わが世誰ぞ常ならむ 有為(うゐ)の奥山今日(けふ)越えて 浅き夢見し 酔(ゑ)ひもせず」
言わずと知れた「いろはにほへと…」の原文です。 アルファベット26文字を1回ずつ使った文章など、他の言語では聞いたことがありません。
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