簡単語からわかる文化
2003.3.29 東山裕一
赤ん坊に「じゅげむじゅげむ、ごこうのすりけれ...」という長い名前をつけて、後で困ってしまうという落語がありますが、普通はよく使う言葉ほど短くするものです。 でなければ不便で仕方がないから。 参考までですが、データ圧縮技術(たとえばハフマン符号というのが有名ですが)にも、この常識が使われています。
いろんな言語の短い単語を調べると、その文化ではどんな言葉を使うのに便利にできているかがわかってきます。
漢字は中国からやってきたものですが、旧来から使われてきた日本語、すなわち"やまと言葉"(訓読み)の場合、「毛,目,歯,身,背,手,血」のような体に関するもの、「根,芽,葉,枝,穂,実,木,菜,藻」のような植物系、また「田,野,日,火,湯」など生活に密着したものが1発音です。 一方、英語の一音節では「I, you, he, she, who, me, her, your」のような人を指すものと、「do, go, are, say, see, know, lay, sew, sue, owe, woo, mar, bow」のような動作に関するものが圧倒的に多いんです。
また、英語の「no」、「law」、日本語の「蚊」、「鵜」みたいなものに1文字を使っているのが、文化の差を感じて興味深いですね。 他の言語も調べたら面白いことがわかると思います。
余談になりますが、人の顔には草木があるという話を聞いたこともあります。 芽(目)が出て、葉(歯)がはえ、やがて花(鼻)が咲き、実(耳)を結ぶ。 どちらも短い単語のための偶然かもしれません。
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