ゼロの発見
                    2022.10.10 東山裕一


昔、年齢の数え方が今とは違って「数え年」を使っていました。生まれた瞬間が1歳で、お正月が来るごとに1歳ずつ年齢が増えます。極端な例では、12月31日に生まれた子は翌日に2歳ということになります。現在の満年齢方式に切り替わったのが明治6年らしいのですが、明治後半生まれの私の祖父は、私の記憶の中(終戦後)でも数え年を使ってました。

さてここでは歳の増え方は横に置いておいて、"数はいくつから始まるか"を考えます。
世界のどの国でも長い間、数字は1から始まると考えられていました。その名残が今でもたくさん残っていて、元年(紀元)は1年、元日は1日だし、西暦1世紀は西暦1年〜100年です。したがって20世紀は1901年〜2000年となってしまいます。そして紀元前1世紀が紀元前100年〜紀元前1年となります。紀元前1年の翌年は元年(1年)となって、0年は存在しません。今の私たちにとってはかえって混乱しますネ。
0(ゼロ、無)がインドの数学者によって発見されたのは、意外に最近で7世紀のことです。仏教でいう空(くう)の概念が影響していると言われています。ちなみに真空状態があることが発見されたのは17世紀のことです。

"在る"ものは容易に認識できますが、"無"という状態があることにはなかなか気づかないものです。。
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