Angel Sugar

「初めてのお泊まり」 (50万ヒット)

タイトル
 こんな事が現実になるとは思わなかった。
 幾浦家に飼われているアフガンハウンドのアルはリビングの机の下に情けなく潜り込みそう心の中で呟いた。
 アルは犬種の中でも自分自身は高貴な部類にはいると自負しているプライドの高い犬だった。だが現在、自慢している筈の頭の毛が薄かった。いや……違う。薄いのでない。
 幾浦の無謀なチャレンジの果て、カットが失敗し、アルは外出するのも拒否しているような状態だった。もちろん、はげではなく、うっすら生えてきた毛がようやくアルの気持をほぐして来たのだが、やはりまだまだ薄かった。
 今、アルは毎日外すことなくトシが買った犬用の帽子を被っていた。しかし、アルは、この姿を身内であっても見せたくなかったのだ。
 だが……。
「アル、事情があって、今晩はこの二匹も一緒だから……」
 幾浦はそう言って、猫とウサギの入った入れ物を玄関に置いた。
 その猫はアルがいつも気にしているユウマだった。
 ……
 嘘だ……
 こ……
 こんな私を一番見られたくない相手がどうしてここに来るんだ?
 アルは驚き、透明になっている籠の向こうからこちらをじっと見つめているユウマと目があった瞬間、あまりの羞恥にその場を逃げ出した。
「おい、アルっ!」
 後ろから幾浦の声が聞こえたが、アルは振り返ることもせず、リビングにある机の下に潜り込み、大きな体を隠した。
 そして現在に至っている。
 一体何がどうなって、うちにユウマが来るのか全くアルには分からないのだ。その上、一緒に入っていたウサギの存在も気になる。だが、今はとにかくこの情けない姿を隠すことでアルは精一杯だったのだ。
「アル……何をぶすくれてるんだ……」
 アルの悩みなどこれっぽっちも気が付かない幾浦はそう言ってソファーに籠を置くと、中にいるユウマとウサギを出した。
 そんなところで出すなっ!
 アルは幾浦を恨んだ。本気で恨んだ。
「やあ……可愛いじゃないか……猫もいいもんだ。ウサギも可愛いぞ。ああ、アル、ウサギは獲物じゃないからな。噛みつくんじゃないぞ」
 幾浦は何故か嬉しそうにそう言った。意外に動物好きなのだ。アルはそんなことを考えながらもやはり机の下から出ることが出来なかった。
 何もここに連れてこなくても……
 そう思っていると、ユウマが床に下り、机の下を覗き込んできた。
「アル、何やってるんだよ……あっ……」
 気付かれたっ!
 アルはそれが分かり、前足で自分の頭を隠した。
「なんだよそれ~あははははは。変なの~」
 ……
 変なんだよ……
 ほっといてくれ……
「……別に……何でもないよ……」
 アルは更に手で押さえつけた。
「あ、はげだはげ~」
 むっ……
 誰だこの声は……
 小さな子供の声が聞こえたアルは手の間からそろそろと目だけを出して前を見ると、ニヤニヤ笑うユウマとその横に先程見た白黒のウサギがいた。
 がるるるるるるる……
 アルはあまりにもむかつき、唸り声を上げた。すると、幾浦が驚いたように言った。
「おい、アル。駄目だぞ。人様から預かってきたんだから……怪我をさせたら、殴るだけでは済まさないからな」
 幾浦も机の下を覗き込み、こちらを睨み付けている。
 三つの視線がアルには痛かった。
 うう……
 私の立場が……
 ご主人様が悪いんじゃないか……
 そんなことを思っていると、ユウマとウサギが幾浦によって抱き上げられて、視界から消えた。
 どうなってるんだ……
 一体……
 どうしてユウマとウサギがこのうちにいるのか想像も出来ない。
 すると珍しくトシがやって来た。だがもちろんアルは出迎えが出来なかった。
「うわ~恭眞……猫ちゃんとウサギだ~可愛い!」
 わざわざリビングに来なくても良いのに……
 ご主人様の陰謀だ……
 ぶつくさいいながら机の下から出ることも出来ず、アルは相変わらず床にへばりついている。
「理由を話すと長くなるんだが……、このウサギはウサ吉というそうだ。で、この飼い主が旅行か何かでお兄さんに預けているそうなんだが、そのお兄さんと私は動物病院で知り合いなんだよ。といってもお兄さんの方じゃなくて、相手役の三崎さんと私は顔見知りなんだ。その三崎さんともう一人の……多分彼氏だろうな。お前も会ったことがあるだろう?その二人が同時に出張が入ったらしくて、ペットホテルに預けようとはしたらしいんだが、猫の方が全くペットホテルと合わないらしくてね。それで困っているようだったから、引き受けて連れて帰ってきたんだ。まあ……うちのアルともまあまあ仲が良いようだし、明日は私が休みだから一日面倒見てやれると思ってね……」
 嬉しそうな様子で幾浦は言った。幾浦が動物好きなのはアルも良く知っているが、何もこんな時にとアルが思っていることなど分からないだろう。
「恭眞って動物嫌いに見えるけど、実はすごく好きなんだろ」 
「ま……まあな……」
 何となく照れくさい声がアルに聞こえた。
「僕も動物大好きだよ……名前はなんて言ったっけ?」
「猫の方がユウマ、ウサギの方がウサ吉というそうだ」
 二人ともアルのことを暫く忘れ、ユウマとウサ吉と遊んでいるようであった。それが非常にアルには気に入らなかった。
「ねえ、アル。そろそろ出ておいでよ。黒猫ってアル好きだろ?」
 トシは勘違いしたままそう言った。正確には黒猫ではなくて、ユウマが好きなのだ。
「おい、アル。いい加減に機嫌を直して出てこい」
 幾浦の口調はやや怒っている。
 だがアルは自分の姿を見せるのがとにかく嫌だったのだ。
「あ~このウサ吉ってアルと一緒だ。鼻の頭の毛が薄いよ~。ひげもないや……。でもすっごく可愛いんだなあ~」
 トシはこちらに聞こえるような声でそう言った。多分それは、アルが出てこない理由を知っていてあのような事を言ったのだろう。
 だがウサ吉と言ったウサギは鼻の頭だけが薄いのだ。こちらはそんな可愛らしいものではない。よく言えば薄い。はっきり言うとはげだった。
 くんくんくん……
 悲しくなったアルは鼻を鳴らした。
「アル……ほら……出ておいでって……」
 尻尾を捕まえてトシはアルを引っぱり出した。それに逆らおうと前足に力を込めたが無駄だった。アルはずるずると引きずり出された。
 うう~……
 だがアルはトシにではなく、幾浦に向かって唸った。
「どうして私を睨むんだ……」
 両手にユウマとウサ吉をだっこしている幾浦の姿はアルにはむかつくものでしかない。何よりユウマはウサ吉と仲良くだっこされているのだ。
 アルは本当にむかついていた。
 う~わんわんわんっ!
 ぼこっ!
「駄目だろ。そんな風に怒ったら……。あのユウマ君とウサ吉君はお客様なんだよ。どうしてそんな風に怒るんだよ。それに、アルの方が大人なんだから小さい二匹にはお兄ちゃんとして振る舞ってあげないと、夕御飯減らすからね」
 が~ん……
 トシが私にそんなことをいうのか……
 アルは呆然としながらトシを眺めた。すると、トシは急にアルの身体を抱きしめてきた。
「御免……そんなに怒ってないよ……。アルが一番可愛いんだよ。分かる?きっと嫉妬しちゃったんだよね。でもね、僕も恭眞もアルが一番だけど、お客様には優しくしないと駄目だろう?嫉妬したら駄目だ。いい?分かった?」
 帽子の上からトシはアルの頭を撫でた。その仕草が心地よく、アルは次第に気分を戻した。
 そうだ……
 私は大人なんだ……
 私がしっかりしないと……
 例えこんな姿になっても私はアフガンハウンドだ……
 高貴な犬なんだ……
 ようやくプライドを少し戻したアルはトシの腕から離れると、幾浦の膝に乗っているユウマとウサ吉の元に歩き出した。
「トシ……アルは噛みついたりしないかな?」
 手の中に包むようにして幾浦はアルの後ろにいるトシに言った。
「大丈夫だと思うよ。アルは賢いからちゃんと僕の言ったこと分かってくれたって」
「そうか……」
 幾浦がこちらをじっと見つめているのを無視し、アルはまずユウマに言った。
「今晩はユウマ……」
 にっこり笑いながらアルは言った。
「あ、ああ……今晩は……悪いな……世話になるけど……」
 ユウマは視線を外しながらそう言った。その横からウサ吉が言った。
「ね、ねユウマ……このおっきいはげ誰?知り合い?」
 鼻をフンフンと動かしながらウサ吉は言った。
 ……
 おっきいはげ……
 そんな日本語はないっ!!
 ムカムカしながらもアルはなんとか平静を保った。
「ウサ吉。違うよ。毛を刈りすぎたんだろう。だよな……アル」
 ユウマはそう言いながらこちらを見た。綺麗に手入れされた光沢のある毛に、黄金の瞳が輝いている。近くで見るとそれが更に際だつ。
 やはりユウマは綺麗だ……
「そうだ。ご主人様がチャレンジャーな事をするからこんな目に合ったんだ。まあ……許してやるしかないと思ってる。ご主人様も悪気があってこんな事をしたわけじゃないしね……」
 逆に胸をはり、アルは言った。するとウサ吉は小さく丸まった。
「いいな……ぼ、僕は……あいつに……変な生き物を押しつけられて、ひげ切られちゃうし……その上こんな鼻にされちゃって……すっごいむかついてるもん」
 ウサ吉は泣きそうな顔でそう言った。何か事情があるのがアルに分かった。
「あいつって誰だい?」
 ユウマを見ると、小さく溜息をついた。
「ウサ吉の飼い主は二人いて、片方がどうもウサ吉と遊ぶのが好きみたいなんだけどな、それがどっか変わってるんだよ……」
「そうか……ウサ吉君。そんなに落ち込むことはないよ。毛なんてものはすぐに生えてくるから大丈夫だよ」
 アルがそう言うと、ウサ吉は最初見せた憎たらしい言葉など忘れるような顔で言った。
「ほんと……?ぼ、僕の鼻も元に戻るかな?ほっといたら、そんな大きなはげになったりしない?」
 子供なんだ……
 だからこんな言い方しかできない……
 アルはそう思うことにして、にっこりと笑った。
「ならないよ……」
「ね、ユウマ……僕生えて来るって。えへへへへ。生えて来るんだ……!」
 ウサ吉は急に身体をもぞもぞさせて喜びを現した。こんな姿を見ると可愛く見えるのがアルには不思議だった。
「恭眞……なんだか仲良くしてるよ」
「みたいだな……。じゃあ少しここに置いて置いても大丈夫だな。聞いてきたようにトイレの用意をしてやらないと……色々預かってきたものをトランクから下ろさないと……」
 ユウマとウサ吉をソファーに乗せ、幾浦が立ち上がった。
「あ、僕も一緒に行くよ……。じゃあアル、ちゃんと面倒見てね。お兄ちゃんだって事忘れたら駄目だよ」
 トシは嬉しそうにそう言って、幾浦の後を追いかけていった。
 まあ……
 恋人同士だから仕方ないか……
 去っていく二人を見送り、視線をソファーに移すと、ウサ吉が床に転がっていた。
「うわ……大丈夫かい?」
 転がったウサ吉はすぐに身体を起こし、何が嬉しいのか、ニコニコとした顔で言った。
「うん。大丈夫。アルって優しいんだ……」
 ウサ吉はスリスリとこちらの身体にすり寄ってくる。
 あれれ……とウサ吉を見ていると、ユウマの溜息が聞こえた。そのユウマはソファーの上で身体を伸ばし、興味なさそうな顔をしていた。
「ウサ吉君……落ちたんだよ?」
「あ、そいつね、いっつもそうなの。落ち着きがないし、がさがさして、俺面倒見るの大変なんだよね。頼むなアル」
 頼むなって……
 それは構わないが……
 と、考えている間も、ウサ吉はこちらの尻尾にからみついて遊んでいる。その尻尾を動かしてやると、益々嬉しそうに飛びついたり、跳ねたりを繰り返した。
「……楽しいかい?」
 アルが聞くと、ウサ吉は満面の笑みで「楽しい」と言った。
 こういう相手をするのは嫌ではなかった。だからアルは何度の尻尾を振って、ウサ吉を楽しませた。だが暫くすると視線を感じ、その方向を見ると、ユウマがじっとこちらを見ていたようであった。
「なんだい?」
「別に……ガキくせえと思っただけ」
 こちらを見ていたくせに、ユウマは不機嫌な顔をしてぷいと向こうを向いた。
 ……
 なんだか機嫌が悪いかもしれないな……。
 きっと人様のうちに預けられて、落ち着かないのだ。
 アルはそう思うことにした。自分も初めて、管理人に預けられたときは不安で仕方が無かったものだ。今ユウマはその気分を味わっているのだろう。
 ウサ吉は多分まだ小さいために、そんな気分にならないのかもしれない。
「アル~アルアル~ねえねえ~もっと遊んで~」
 ウサ吉は嬉しそうにそう言って尻尾にしがみついてきた。
「あ、みてみて恭眞。アルとウサ吉が遊んでるよ」
 帰ってきたトシがそう言って近寄ってきた。そうしてアルの額を撫でる。
「アルは賢いね。ちゃんとお兄ちゃんだってこと分かってるんだ……。やっぱり僕の見込んだアルだ」
 トシ……
 トシにそう言って貰えたら私は至福だよ……
 にやけた顔でトシに撫でて貰っていると、ユウマが小さく「けっ」と言った。
「……どうしたんだい?さっきから機嫌が悪そうだけど……。うちのご主人様もその恋人のトシもいい人だから安心して良いんだよ」
 アルがそう言うと、ユウマはやはり身体を伸ばしたままこちらをジロリと睨んだ。
「別に……にやけた顔してるなあと思っただけさ……」
 カチンとくるような事を言われ、アルは大人げなく言った。
「ほんとウサ吉君は可愛いなあ……」
 尻尾に捕まるウサ吉に向かってアルは言う。
「……それ嫌みか?」
 身体を起こし、ユウマは更にこちらを睨んできた。
「……どうしたんだい?何を怒ってるのか私には分からないんだが……」
 さっきからどうも突っかかってきているようにアルには思えるのだ。
「じゃあアル。ご飯の準備をするから、ちょっとまっていてね。恭眞はお客さんのトイレの準備をしに玄関に行くから……」
 トシと幾浦は何も気付かず、仲良くしていると思ったのか、そう言って自分達の用事に出かけていった。
「……べっつに~」
 欠伸をしながらユウマはまた身体を伸ばしてしまった。
 ……
 何を怒っているんだろう……
 後ろ足で鼻の頭を掻きながらアルは考えたが、分からなかった。
「アル~アルアル~お腹空いた~」
 ウサ吉はそう言ってアルの背中に登ってきた。
「今トシが用意してくれるからね。お腹が空いたと思うけど、少しだけまとうね」
 アルが言うとするすると背からウサ吉は落ち、床に下りた。
「トシ?」
 鼻と尻尾をぷるぷると振りながらウサ吉は聞いてきた。
「そう。とても優しい人だから、ウサ吉君はここで羽を伸ばして良いからね。ちっともここは恐い所じゃないから……」
「うん。トシは優しい人なんだね!」
「なあにが……トシだっ!」
 また間に入ってユウマは憎々しげに言った。
「……ねえ、ほんと……何を怒ってるんだ?」
 いくらユウマでもトシの事を悪く言う権利はないのだ。アルにとってトシはとても特別な人だからだ。
「……」
「いくら君でもトシの悪口を言うのは筋違いだろう。何より君は今日ここに世話になるんだぞ。その相手をしてくれる優しい人に、一体どういう文句があるんだ」
 やや口調がきつくなるのは仕方ない。それだけアルはトシが大事なのだ。
「……何だよ……俺……別に悪口なんか言ってないだろっ!」
 ユウマは再度身体を起こしてそう言った。
「言ったっ!」
 ずいっと、ユウマの座るソファーにアルは近寄った。
「言ってないっ!」
「言ったっ!」
「ねえねえ……止めてよ……」
 二人を交互に見ながらウサ吉は言った。
「何だよっ!」
 爪を立てた手でユウマはアルの長い鼻を叩いた。
「……」
 これほど怒っているユウマはアルも見たことがなかった。
「……あ……アルが悪いんだからなっ……」
 言ってユウマはリビングから駆け出していった。それを呆然とアルは眺めていた。
 私が……
 何をしたんだ??
「アル……」
 ウサ吉は心配そうな顔で見上げてきた。
「うん……なんだか機嫌が悪そうだよ……」
 苦笑しながらアルは言った。
「みんなで仲良くしようよ……」
 泣きそうな顔でウサ吉は言う。
「ちょっと、ユウマを見てくるね。やはり気になるし……ここで大人しく待っていてくれるかな?」
 アルが言うとウサ吉は頷いて、大人しく床に丸くなった。それを確認してからアルは廊下に出るとキョロキョロとしながらユウマが行きそうな場所を探した。
 すると玄関で幾浦がユウマとウサ吉のトイレの場所を作っていた。
「アル……どうした?」
 顔を上げた幾浦にアルはすり寄って挨拶をすると、そこからまた歩き出し、あちこちの部屋を覗いて廻った。すると寝室のベッドの下にユウマは隠れていた。
「ユウマ……どうしたんだい?君らしくないよ……」
 身体をふせの形にして、アルは下を覗き込んだ。するとユウマは黄金色の瞳を輝かせてこちらを見ていた。だが毛を逆立てている。
 何を怒ってるんだろう……
「何を怒ってるんだ?」
「何でもないって言ってるだろっ!放って置いてくれよ!どうせ俺はかわいげなんかないよっ!どうせアルもあのウサ吉の方が可愛いんだろっ!そうかトシって言う人間の方がいいんだっ!」
 ……
 それってもしかして……
 ちょっと期待しても良いような意味なのだろうか?
 アルは何となく嬉しくなり、ユウマに言った。
「私が好きなのはユウマなんだけど……出てきてくれないか?折角一緒にいられる機会が出来たんだし……」
 そう言うとチラリとユウマは逆立てていた毛を納めた。
「嘘付くな……みんな可愛い方が良いんだ」
 視線を逸らせてユウマは言った。
「嘘なんかつかないよ……」
「俺が来て……嫌がっていたじゃないか……」
 あ……
 そういば……
「それは……君にこの情けない姿を見られたくなかったんだよ。ほら、好きな相手には格好いい自分を何時だって見せたいだろう?」
 言ってアルはニコリと笑った。
「……そうだけど……」 
 ようやくユウマはこちらを見た。
「そうなんだよ……」
「そうなのか?」
 窺うようにユウマはこちらを見て顔をやや斜めに倒す。
「そう。君にはいつも立派な私を見て貰いたい……」
 アルが言うとユウマの顔が赤くなったような気がした。
「……アルは……俺が好きなんだよな?」
 そろそろとベッド下から身体を出しながらユウマは言った。
「何度も言ってるよ」
「ふうん……」
 何となくいい雰囲気になってきた……
 なあんて思っていると、幾浦が寝室に入ってきた。
「トシっ!こっちにいるぞ。おい~ここは駄目だ。かくれんぼは良いが、ここ以外でしてくれ」
 ユウマを抱き上げ、アルの頭をポンポンと叩き、寝室の外に二匹は連れ出された。
 チラリと幾浦に抱かれているユウマを見ると、機嫌が直った表情でこちらを見ていた。アルはそれに満足げな笑みを返した。

―完―
タイトル

珍しく一人称じゃないアニマルズです。うふふふ。何だかこれも続編ができそうな雰囲気……いえ、作りたいなあと思っている作品ですね。なんとなくほのぼのしていていいかなあと思うんですけど、いかがでしょうか~。まあ次はトシ達のエッチを見ながらこの二人はどういう態度に出るか……お楽しみに~というところ??
なお、こちらの感想を掲示板やメールでいただけるととてもありがたいです。これからもどうぞ当サイトを可愛がってやってくださいね!

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