Angel Sugar

「隣の事情1(隣の情事?)温泉編(名執視点)」 (3万ヒットキリ番リクエスト)

タイトル次頁
「本当に素敵なところですね……」
 宿屋に着いた名執は、車の後ろで荷物を下ろしているリーチに言った。
「だろ~幾浦に頼んでいておいて良かったよ」
 荷物を全部下ろしたリーチはそう言って笑った。 
 だが、幾浦がリーチのためにそんなことをするなど少々信じがたい。だが、幾浦がこの宿屋を予約してくれたのだから、名執が思うほど二人の相性は悪くないのかもしれない。
 名執は裏で幾浦とリーチが取り引きしていたことなどこれっぽっちも知らなかったのだ。
「自分の分は持ちますよ……」
 そう言うとリーチは、チラと何処かを見ると、小さな荷物を一つ名執に渡した。
「全部俺が持つと、なんか、あれみたいに格好悪いからその小さいの持ってくれる?本当は全部持ってやりたいんだけどな……」
 言ってリーチは他の荷物を持った。
 あれとは何だろうと思い、リーチが見た方を名執が伺うと、奇麗な男性に付いて歩く男性が視界に入った。その後から付いて歩いた男性は、荷物を抱えて居るのだが、前を歩く男性は手伝おうと言う気が無いのか、後ろの男性を気遣う様子もなくさっさと歩いている。
「……格好悪いですね……」
 クスと笑いながら、名執は渡された小さな荷物を持つと、リーチより一歩下がって歩き出した。
「ここな、料理も美味いんだ。一杯食おうぜ……」
 ってどうして知っているのだろう?
「リーチ……以前に来た事あるのですか?」
 不思議そうに名執が言うとリーチが慌てて言った。
「イヤ、トシが美味いって言ってたからな。それでだよ……」
「……そうなんですか。楽しみですね」
 別に気にするほどの事でも無いのだと名執は思った。
 フロントに付くと、先程見た男性二人が、宿帳を書いていた。
「あいつらも……俺達と同じみたいだな……」
「え?」
「男同士のカップル」
 小さな声でリーチはそう言ってニヤと笑った。
「そ、そうなのですか?」
 友人同士でも旅行に来てもおかしくない。だから名執はそう思っていたのだが、リーチはその第六感でピンと来たようだった。
「でもあの奇麗な男はきつそうなタイプだな……。俺ああいう気位の高いタイプは駄目だわ」
 何が駄目なのか良く分からないが、名執はとりあえず笑うだけに留まった。
 視線を戻すと、奇麗な男性はいきなり怒鳴ると、隣の男の頭を殴っていた。
 こわ……
「リーチ……」
「ほっとけよ。相手の男は喜んでるじゃんか。ああいう関係なんだろ。ほら、俺らの番だ」
 先程の二人が手続きを終えると、仲居に案内されるまま行ってしまったので、次はこちらの番だった。
 リーチはさっさとフロントの机に向かうと、すぐに手続きを終わらせた。
「こちらのお部屋でございます……」
 案内されるまま二人は自分達の部屋に入ろうとすると、隣の部屋のほうから声が聞こえてきた。
「いい加減にしろっ!」
 あーんど、ボカッ
 また殴られてる……
 その声と、殴られた音で、先程フロントで会ったカップルと部屋が隣同士であるのが分かった。
「おやおや……お友達同士、仲良くすればいいのにねえ……」
 気が付いた仲居がそう言って笑った。
 部屋に入ると、仲居は「ごゆっくり」と言って出ていった。
「奇麗な所ですね……」
 窓に近づき、外の日本庭園を眺めながら名執は言った。
「外にも出られるみたいだな……」
 名執に近づき、その肩に手を廻してリーチは言った。
「出てみます?ほら、池にも鯉が居ますよ……」
 上から下まである窓をカラリと開けると心地良い風が部屋へと入ってくる。その風は頬を撫で、その感触に思わず目が細くなった。
 部屋から外へ出られるようにスリッパらしきサンダルが二組置かれていた。名執は腰を屈めてそのサンダルを引き寄せた。だがそんな名執にリーチは「鯉なんか興味ないな……」と、言ってリーチはシャツの上からこちらの胸元をまさぐりだした。
「……リーチ……まだ……」
 こんな真っ昼間から何を考えてるんですか~
「何が……?」
 ニヤと口元を歪めて、リーチは、名執のそんな言葉など無視するように首筋に歯を立てた。
「やっ……」
 ガクッと膝を落として名執はリーチの頭を引き剥がそうとしたが、あれよと言う間に床に押し倒された。
「あのっ……リーチっ……」
 頭の半分を部屋からはみ出させた名執は、こんな所を誰かに見られたらどうしようという気持ちで一杯だった。のし掛かっているリーチはともかく、名執は思わずキョロキョロと庭側に誰もいないかを目線で確認しようとしたのだが……
「あ……」
 隣の部屋からやはり庭を眺めていたであろう二人が、庭の景色ではなくこちらをじーっと見ていた。先程会ったカップルだ。
 綺麗な方の男は目を見開いて、軽蔑するような視線を向け、もう一人は何故だか羨ましそうな目をしている。
 その二人と目が合い、思わず顔が一気に赤らんだ。
「り、りりりりり、リーチっ!」
「何だ?」
「み、見られてますっ……だから……」
 そう名執がようやく言うと、リーチは身体を持ち上げて自分も顔だけを庭側に出した。名執の方はもう恥ずかしくて、先程見た方向など見ることが出来なかった。
 クックックック……
 リーチはいきなり笑い出した。
「笑い事じゃないんですよっ」
 名執の首元に顔を埋めたリーチはまだ笑っていた。
「おもしれえ~」
 ようやく顔を上げたリーチは目の端に涙をうっすらと溜め、そう言った。
「おもしろくなんかありませんっ!」
 名執が腹立ち紛れにそう言うと、リーチはニヤニヤとした目をこちらに向けた。
「だってなあ~えへへへへへ」
 あ、なんか意地の悪いことを企んでる……。
「決めた……」
 リーチはいきなり身体を起こして言った。
「な、何をですか?」
 はだけられた胸元を整えながら名執は聞いた。
「あいつら煽ってやる~」
 あいつらって……隣のカップル?
「あなたは一体何を考えてるんですか?」
「え、面白いこと……」
 キョトとした顔でリーチは言った。こうなるともうリーチを誰も止められないのだ。トシや幾浦はリーチを止められるのは名執だけだと思っているようだが、それは違う。
 何かに夢中になったこの男を止められる人間はこの世には居ないのだ。
「……リーチ……私たちは旅行に来ているんです。それを一体何だと思ってるんですか?」
「楽しみは……いくつあっても俺はいいと思うぞ……」
 せっかっく整えたシャツをリーチは裾から脱がし始めた。
「リーチ……何でもいいですが……ここではいやです……」
 ムッとした顔で名執は言った。こういうことを誰かに見られるなどもってのほかであったのだ。
「でもさあ、ユキ……まだ布団しいてくれてないぞ……」
 もうこれでもかという位嬉しそうな顔でリーチは言った。
 な、何が楽しいのだろう……。
「じゃ、じゃあ……夜にしましょう……ね」
 と名執が言うと、身体を抱き上げられた。
「どうしてユキちゃんは昼とか夜とか布団とかどうでも良いことを気にするんだろうなあ~」
 座布団を器用にリーチは足で引き寄せ、名執をその上に降ろした。
「気にしないのはリーチだけですよ……」
「あー言ったなあ~苛めてやる」
 ぎく……
「り、リーチ……」
 あわあわとそう言うと、にやーと言う笑いを向け、身体を重ねてきた。
「……ん……」
 こちらの口内を味わうようにリーチの舌は名執の舌を翻弄した。その間もリーチの手は股の間に差し入れられ、大腿部を強めに撫でさする。
「……んっ……あっ……」
 ズボンのベルトを緩めただけでリーチは手をその中に突っ込み、いきなりこちらのモノをきつく握りしめた。
「ひっ……あっ……いやっ……っ!」
 こんな風にいきなり捕まれることは無い。
「もっと声を上げろよ……」
 は?
 一体何を言ってるのだろう?
「リーチ……?」
「聞かせてやれよ……お前のイイ声をさ……」
 言ってリーチはまたも力を入れてきた。
 聞かせてやれって……
 まさか……隣に?
 何を考えてるんですかーーー!
 と、言いたいのだが、そんなことより、捕まれた部分から痛みと快感が走る身体は、既にリーチの行為を受け入れていた。
「やっ……あっ……リーチっ……緩めてっ……」
 力が入っていたリーチの手が緩み、今度は揉むように手のひらでこちらのモノを弄びだした。その動きで、ぞくぞくとした感覚が下半身から這い上ってくる。
 あ、もう……駄目……
 すごくイイ……
「素直にもっとって言えよ……言わなきゃしてやんないからな……」
 意地悪くそう言いリーチが手を離そうとするので、名執は自分の手でリーチの手を掴み、嫌という風に首を左右に振った。
「お願いしろよ……俺に……ねえユキ……どうして欲しい?」
 ああもう、思いっきり苛めモードに突入している……
 名執は涙目になりながら、温度の上がった息を吐いた。
「触って……お願い……」
「声ちいせえぞ……」
 クスクスと笑いながら、剥き出しになった胸元にリーチは舌を這わせている。
「やっ……やあっ……そこ……駄目っ……」
 ぷっつり反り上がった胸元に歯を立てられ、名執は声を上げた。
「なんだ、こっちは良いのか?」
 手の中に握り込んでいたモノの先端に爪を立てられ、名執は身体を反らせた。
「あっ……ああっ……いやあっ……あ……」
 息が断続的にしか吸い込めないほどの愉悦が身体を支配した。このままどうなってしまうのか自分でも分からないほどだ。
 だが、もっと触れて欲しい部分がまだ残されている。
「魚じゃないんだから、そう、ばたばたするなよ……」
 余裕充分のリーチはそう言って一気にこちらの下着とズボンを剥ぐと、含み笑いをした。
「リーチ……あ……」
「ここも……だろう?」
 言って握っていたモノから手を離すと、リーチは手をその後ろ側に廻し、既にひくついている部分に指先を立てた。
「……んっ……あ……そこ……触って……」
「ここ?」
 リーチはそう言うと指先で敏感な部分を摘まむ。
「やっ……ちが……」
「ここだろ?イイところ……」
 言いながら指先を捻り込んできた。まだ慣らされていない部分は名執に痛みを伝えてくる。それでももっと深い分部を触って欲しいと、疼く脳は訴えてくる。
「……あっ……ああっ……リーチ……もっと……」
 喘ぎながら名執が言うとリーチは指先を奥へと挿入し、まだ狭い内壁を指先でひっかくように蠢かせた。
「ひっ……あ……」
 刺激を受けた部分がギュッと収縮するのが名執にも分かった。もちろんリーチにもそれが分かったのか、クスクスと笑いながら相変わらず指を動かしていた。
「すげえなあ……お前って……指も取り込んだらはなさねえつもりみたい……」
 その言葉に名執は身体中が赤くなりそうな程恥ずかしかった。だが無意識の身体の反応に名執はどうしようもないのだ。
「そ、そんな風に言わないで……」
 まだ残る羞恥心で名執はようやくそう言った。
「食いついたら……離さないってさ……ここ……」
 耳元で囁くようにそう言われ、名執はギュッと目を閉じた。
「リーチの……意地悪……」
「あ、言ったな……喜んでるのお前じゃないか……」
 と、言うのと同時に指先が増やされ、いきなり激しく動かされた。内部は突然激しくなった動きに悦び、収縮を繰り返した。
「あっ……あっ……やっ……り、リーチっ……ああっ……」
 奥まで抉られる様にかき混ぜられ、名執は声を上げた。
 ああ、絶対聞かれてる……
 と、がっくりと気の滅入る部分と、そんなこと構ってる場合じゃ無いという気持がせめぎ合っていた。
「いたいの嫌だろうから……こういうの使おうなあ~」
 なあんていつの間にか用意したのか、リーチはゼリーを取り出して指を入れている部分に塗り込め、動きを止めずに益々執拗に指を奥まで差し込んでくる。
 最初冷たかったゼリーは内部で温められ、いつの間にかトロトロと入り口からも太股に伝って落ちていた。
「はっ……やく……入れて……っ……」
 ヒクヒクと別の刺激を欲しがっている部分は、覚え込まされている違うものを欲しているのが名執にも分かった。
「もっとでかい声で欲しがれよ……」
「リーチ……」
 身体を小刻みに振るわせながら名執はリーチの首に腕を廻し、熱くなった息を吐き出した。
「頂戴って言わなきゃやらねえよ……」
 フフンと鼻を鳴らしてリーチは言った。
「頂戴……っ……早くっ……入れてっ!」
 羞恥心などどこえやら、名執は叫ぶようにそう言っていた。
「ユキって可愛いなあ……」
 満足そうな顔で、リーチはそう言うと、ズボンのファスナーを下ろして、そそり立つモノをこちらに見せた。
「……ああ……」
 リーチも興奮していることが分かると益々身体が期待で一杯になる。そんなリーチの姿を見ても恥ずかしいとは思わない。逆に求められていることを再確認できるのが嬉しい。
「欲しい?」
「欲しい……焦らさないで……っ……」
 期待に目を凝らしながら名執がそう言うと、リーチは待った無しで一気に奥へと鉄を打ち込んできた。その瞬間息が止まるかと思うくらいの鈍い重みが身体にかかり、次に快感がさざ波のように身体を走った。
「あーーーーっ……あっ……」
「欲しかったんだろ~」
 やっぱり余裕のリーチはそう言った。
「あっ……欲しい……欲しかった……リーチ……っ……!」
 リーチに廻す手に力を込めて名執は必死にそう言った。激しく揺らされる身体がその力で後ろに下がらないように、名執は必死にリーチに捕まり、その快感を深く身体に取り込む。
「何時入れてもお前って処女みたいに狭いよな……」
 嬉しそうにリーチは言って、更に奥を刺激した。
「死にそうっ!」
 思わず口をついて出た言葉に、自分で顔を赤らめながらも、名執は与えられるものを深く味わった。
「まだこれ、序盤だから……」
 ふとそう言ったリーチの言葉に名執は、狼狽えながらも心の奥では期待している自分がいるのが分かった。
「リーチ……」
 ああもう……
 どうにでもして下さい……
 だがリーチの言葉はとんでもないところでまた発揮されることとなったのだ。

―完―
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こちらはユキ視点です。このカップルの隣の部屋に入った戸浪達がどんな災難にあったかを戸浪視点でご確認ください。可哀想に……という結末ですね……はは。

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