チューニングの手順
 

 
それでは、ギターや機材の各部の名称を覚えたところで、次はチューニングの手順を見てみましょう。

チューナーを使ったチューニング
 
 □ギター専用チューナーを使う
 
では、まずは予備知識なしで行える、「ギター専用チューナー」を使ってチューニングをしてみることにします。
この方法は、実は個人的にはあまりオススメしたくないんですが、「とにかくギターを弾く」ということだけが目的ならば、最も手軽な方法なので、まずはここから書いていきます。
 
それでは、チューナーを用意しましょう。「ギター専用チューナー」は、基本的に非常に安価で売っています。
いくつか紹介します。
KORG GA-30

KORGから出ている、ギター/ベース用チューナーです。
左上に、「1E」「2B」などのように、「弦の名前」と「音程」が表示されるため、知識がなくともチューニングを行えます。
音程は、液晶に表示される擬似的な「針」で行います。
 
Ibanez GU30

上記KORGと同様の機能をもった、Ibanezのギター/ベース用チューナーです。
これも左下に「1E」「4A」などの表示がなされ、擬似的な「針」でチューニングをするタイプですね。
 
KORG GT-3

おそらく「専用チューナー」としては最も使われているモデルではないでしょうか。
右下に設けられた6つのLEDで弦を現し、上部にある7つのLEDで調整をします。
単純で暗いところでも見やすいため、もっと高機能なチューナーと併用してステージでこれを使う方もいます。
 □クロマチックチューナーを使う
 
ギターの弦表示のない代わりに、もっと広い音域で、さまざまな音程を表示することができるのが、クロマチックチューナーです。
専用チューナーの中には、「変則チューニング」に対応しないものがあったり、また、細かい機能が省かれているものも多いです。
それは、やはり価格が安いことを重視した結果なのですが、やはり本気でギターを弾くというつもりなら、一つはそういった多機能なチューナーを持っていても損はないと思います。
主にギター/ベース向けの、アマチュアの方からプロの方まで使える、そういったチューナーをいくつか紹介してみます。
ちなみにギターの弦の通常のチューニングは、6弦側から「EADGBE」となります。これは必ず覚えておいてください。
BOSS TU-12
 
最も一般的で、最も広く使われているチューナーです。チューナーの大定番ともいえるものですね。
右上に並んだLEDで音程を判断するクロマチックチューナーとして使いますが、この部分をギターの弦に対応させる「ギター用チューナー」としても使うことができる優れものです。半音下げチューニングや基準音の違いなどにも対応しています。

KORG GT-12
 

BOSS同様、広く使われている一般的なチューナーです。
通常のクロマチックチューナーとしてはもちろん、半音下げやオープンD、E、G、Aといったチューニングや基準音の違いにも対応しています。
また、基準音をスピーカーから出すことができるという点も優れており、私としてはTU-12よりもこちらをオススメします。
これを使ったチューニングをこの後で書きます。
 □ステージでのチューニング
 
暗い上にスポットライトがあたるステージでは、ここまで挙げたような画面の小さなチューナーだと非常に見えにくくなってしまいます。
もちろんステージに上がる前に一度チューニングするのは当然なのですが、ステージ中では、楽屋とは違う温度や湿気によって、また、曲をプレイすることによってチューニングは狂います。ですので、曲の間などで活躍するステージチューナーを5つほど挙げていきます。
ARION UM-90S
 

最近流行りの、ギターのヘッドに取り付け、ヘッドを伝わる振動を拾うタイプのチューナーです。
特にこれは価格も安く、画面も大型で見やすいためオススメです。
ただ、ヘッドに取り付けるので「見た目」に影響が出てしまうのが難点ですが・・・
 
Ibanez LU20
 

この記事を書いている段階では最新の、Ibanezから登場したフロアチューナーです。フロアチューナーとは、ステージなどの床において、エフェクターのように繋げて使うチューナーのことですね。
ここでは、価格が安いという点でオススメしておきます。本当は「トゥルー・バイパス」という点があるんですが、これについての説明は長くなるので今はしません。とにかくオススメです!
 
KORG DT-10
 

この見た目と、明るく見やすいLEDで、Ibanezが出るまで、もう一つのBOSSとならんで「二大定番」と呼ばれていたモデルです。
今後はさらにIbanezを加えて「三大定番」となるんでしょうか。これは私も使っています。反応が早くて見やすいです。
 
BOSS TU-2

こちらが、KORGと並んで二大定番とよばれたもう一つのステージチューナーです。
98年に登場したということもあって、Ibanezはもちろん、KORGのものと比べても少し設計が古い点は否めません。
しかし、他のエフェクターに電源供給をしたりでき、またこのコンパクトな大きさというのもあって、いまだに人気の高いモデルです。

KORG DTR-2000BL
 
KORG DTR-2000BL
 
これは、「ラック型チューナー」と呼ばれるチューナーです。
アンプの上や、他のエフェクターをまとめたラックケースにマウントします。大きいため、視認性は抜群で、反応も当然いいです。
トッププロの方はどちらかというとこれを使っていることが最も多いかもしれません。
ギター用チューナーとしてはこんなところでしょうか。それでは実際にチューニングをしてみましょう。写真を使って説明していきます。
ここでは、針式のKORG GT-12を使うことにします。
 
まず、ギターとチューナーを接続しましょう。
 
1.ギターについているジャックに、シールドを挿し込みます
 
  
 
2.チューナーの「INPUT」に、ギターに接続したシールドを挿し込み、チューナーのスイッチを入れます。
 
 
 
3.ギターの弦を、どこも押さえずに弾きます。
 
 
 
 音が少し低くずれているのが分かると思います。
 
4.それでは、ペグを回してチューニングをしましょう。
  
 このように、針が中央にくればOKです。
 

ちなみに、これは「ギター用チューナー」のモードに設定してあるため、右上に「5A」という文字が出ていますね。これは5弦を弾いています。これで3弦を弾くと・・・

このように「3G」と表示されます。
 
さて、このようにチューニングをしていると、以下のようになることがあります。
 

 
どういうことかお分かりですか?
これは2弦を弾いた状態ですが、音程が上方向にずれています。 
こういうときには、必ず一旦音程を下げて、ペグを締める方向でチューニングするようにしましょう。
 
 
このように、一旦音程を下げてから合わせるようにします。そうしないと、弦の摩擦の問題で、音程が狂いやすくなってしまいます。
 
 
基準音を使ったチューニング
 
それでは、チューナーを使わず、音叉やピアノなどで出せる「基準音」を使ってチューニングをしてみましょう。
ギターの基準音は、「ラ」の音です。ピアノやキーボードで鳴らす場合は、下記の音程です。
 

 
この音ですね。これがギターの基準音です。5弦の開放となります。
ちなみに、この音は、時報で聴ける「ピッピッピッ、ピー」というときの、「ピッピッピッ」の部分の音程です。
覚えておけば、音叉もチューナーもなくとも、電話があれば音を合わせることができますねw
正確には、キャリブレーションというのがあって、通常ギターや時報の場合は440Hz、ピアノやキーボードなどは441Hzになっていたりしますが、そのあたりは最初は特に考えなくても大丈夫です。
 
 □5フレットチューニング
 
最も単純で、簡単なチューニング法です。下の図を見てください。
 

 
このつながっている部分が同じ音程となります。言葉で書くと・・・
6弦5フレットと5弦開放、5弦5フレットと4弦開放、4弦5フレットと3弦開放、3弦4フレットと2弦開放、2弦5フレットと1弦開放
が同じ音程となります。なぜそうなるのかは、少し考えれば単純です。
先ほど、ギターのチューニングは「EADGBE」と言ったことを踏まえて、下の表を見てください。
 
E F F# G G# A A# B C C# D D# E F F# G G# A A# B C C# D D# E
1 0
2 0 1 2 3 4 5
3 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9
4 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14
5 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19
6 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24
 
これは、各弦のフレットと音を表したものです。
このように、「EADGBE」の音程差がを使ったチューニング法が、この「5フレットチューニング」です。
 
 
 □ハーモニクスチューニング
 
ハーモニクスとは、「倍音」のことです。
ギターの音は、全て原音と倍音の混合で構成されていますが、(原音のみだとまさに時報のような音になります)ここでいう「倍音」とは、そういう「音色」に含まれる倍音のことではなく、単純に「各弦のX倍音」のことです。
これは主に、5.7.12フレットの真上の部分の弦に指先で軽く触れ、ピッキングと同時に指先を離すことで鳴らすことができます。
 
では、下の図を見てください
 
 
 これは、弦の振動を表したものです。
 左側が原音、中央が2倍音、右側が3倍音です。
 ギターの場合、12Fが弦の中央に来るようになっていますので、
 12フレットでのハーモニクスがちょうど開放弦(原音)の1オクターブ上となります。
 
 さて、音程は単位時間での振動数が倍になると、1オクターブ上がります。
 図のように12Fのハーモニクスで2倍、7Fで3倍、そして5Fで4倍になることを利用したのが、
 「ハーモニクスチューニング」です。
 
 では、さきほどのように、各弦の音程が同じになる場所を見てみましょう。

 
 

 
これが、ハーモニクスで同じ音程になる部分です。基本的には、5Fのハーモニクス(4倍音)と、一つ上の弦の7Fのハーモニクス(3倍音)が同じになるようにします。
しかし、ここで問題になるのが、「2弦と3弦の音程差」です。
先ほどの表を見ていただければわかりますが、他は「2音半」の音程差があるのにたいし、ここだけは2音の差しかありません。
ですので、単純に5Fと7Fのハーモニクスだけで考えていては、ずれが生じてしまいます。
そこで、1弦開放を利用します。1弦の開放は、6弦の開放の2オクターブ上ですので、これは6弦の開放弦からみると4倍音です。
つまり、6弦5F(または5弦7F)のハーモニクスと、1弦開放が同じ。同様に、6弦7Fのハーモニクスと、2弦開放が同じ。
そして、1弦7Fと2弦5Fのハーモニクスが同じであることを利用して、「まったくフレットを押さえずに」チューニングができます。
 
私がハーモニクスチューニングをするときの方法を書いておきます。
  1. 5弦開放を基準音に合わせる。
  2. 4弦7Fと5弦5Fのハーモニクスを合わせる。
  3. 3弦7Fと4弦5Fのハーモニクスを合わせる。
  4. 5弦7Fと6弦5Fのハーモニクスを合わせる。
  5. 5弦7Fのハーモニクスと1弦開放を合わせる。
  6. 1弦7Fと2弦5Fのハーモニクスを合わせる。
これで、ハーモニクスチューニング完了です。
ストラトなどのように、アームのついたギターはこれを何度か繰り返して、最終的に音程が合うようにします。
 
以上で、チューニングについては終了です。次は、音を出してみましょう