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Architecture ≫
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東京国立博物館法隆寺宝物館 | |
Architect ≫
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谷口吉生 谷口建築設計研究所 | ||
Year ≫
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1999 | ||
Place ≫
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東京都台東区 | ||
History ≫
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永久保存と公開展示という機能を兼ね備えた閉鎖性と開放性のある建築。2001年度日本建築学会賞受賞 | ||
Estimation
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★★★★★ | ||
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@東京国立博物館には、本館・東洋館・表慶館があり、そこに新たにこの法隆寺宝物館が設けられた。美術・博物館の巨匠となった谷口吉生ならではのファサードが、その上野の森に過去の巨匠と肩を並べて聳え立つ。写真@はそのファサード。ちなみに、東洋館は谷口の父親である谷口吉郎作。他の3館と比べると、かなり軽い・シャープな印象があるが、その「なさそうである」存在感がたまらなくこの上野と呼応している。
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A大きな開口にガラスのマス、格子状の極細柱、前池と、谷口氏の得意技(!?)がミックスされた作品に思われる。ただ、大きな開口だと香川の猪熊、前池だと豊田市美術館といった具合に、やはりそれらの手法を全面に出した作品の方が勝っているように感じる。 |
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B谷口作品には決まってエントランスに特徴がある。実際に入場する自動ドアや開き戸を隠している。つまり、進行方向に対して正対する面のみで構成する傾向がある。そして極端に天井が低い。これらは一枚の屋根と河辺で構成されている、極めて単純な手法であるが、その効果は絶大である。美術館ではよくエントランスに段差を設る、連続アーチを設けるなど、来館者に「入り口」を強く認識させると伴に美術鑑賞のための心の準備期間とすることが多い。この一枚の屋根と壁にはそれらの効果が十分に期待される。
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Cエントランスを横から覗いた写真。スロープでの入場だとこの動線になる。Aで説明したエントランス庇屋根の低さが、巨大なフレームと比較すると良く分かる。
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Dガラスマスと柱の微妙な間隔。実際に構造体としての役割もあるのだろうが、それ以上にこれらの柱はガラスマスの存在を強調し、さらに巨大フレームのスケールを知覚させる効果があるのだろう。
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Eエントランスホール。この天井は1/3のどトップライトになっている。そのため、日中は白壁が輝いてファサードに奥行きが現れるように考慮されているのだろう。また、2階から少しだけ顔覗かせる踊り場(本当にただの踊り場)が上部への開放感を感じさせ、さらにシンメトリーを崩すことによる「遊び」を十分に十分に感じることができる。これは才能だな。
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r |
F手すりや階段のディティールにもこだわっているところが谷口氏らしい。階段の蹴上げ部分はsusFバーでルーバーを作り、奥の風景を見せる演出をしている。段板にはアニグレを使っているが、段鼻にはルーバーと同等のsusを使い、垂直方向、水平方向の見えがかりを十分すぎる程に考えられている。もう、星五つしかないですよ、こりゃ。
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【コラム】全体のボリューム、動線計画、細部までのディティールなど、これほどに見ごたえのある建築も少ないと思う。今回見学に訪れたとき(02.12)は残念ながら前池の水が引いていた。残念に思い、表でうろうろしていると偶然、本当に偶然に谷口吉生氏に会うことができた。少しばかり話をすることができ、どうやらこの前池は汚れがひどく、それのクリーニングを兼ねて池の石を黒くするとのこと。Architectureをみて大いに感動したが、そのArchitectureを生み出したArchitectと会うことができ、Architect&Architectu | |||
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