CD/DVD等

∀(ターンA)ガンダム・劇場版 T・地球光/U・月光蝶
 1999年春から一年かけてフジテレビ系列で放映された「ターンAガンダム」の劇場版。公開からあっという間の6月に発売になりましたが、私は予算の都合で7月終わりに購入。
 TVシリーズは全50話、計1000分を越える話を260分弱に収めたわけですから、その全てを語ることはさすがに無理。その無理は特にTが顕著です。TVシリーズは非常にのんびりしたペースで話が進みましたが内容の濃いエピソードが多かったので、こうもあちこち省略されていていると正直初めて見る人に内容が伝わるのか、かなり疑問です(ビデオで見ろってことですかね)。また29話から36話は何と丸ごとカット!TとUが話として繋がっていないのにもびっくり。だが、Uは非常にうまくまとめてあると思います。終盤は逆に大幅に補足されており、TVシリーズより分かりやすいくらいです。
 評価は迷いますね。私はTVシリーズを全話見た人間なんで、よくこんな形にまとめたなあと感心しましたが、この劇場版で初めて見る人は全く違った感想を持つ気がします。たぶん、TVシリーズを見ただけの人とは同じ作品ながら違った感想を持つと思います。
 この「ターンA」というシリーズはオリジナルである「機動戦士ガンダム(いわゆるファースト・ガンダム)」と同じ、富野由悠季(ファースト当時は喜幸)監督の作品です。が、ガンダムの中では極めて異色の作品といえます。戦闘シーンが少なく、主役でもあるガンダムはブサイク(シド・ミードのデザインだけどお世辞にもカッコいいとはいえない。劇中でつけられたあだ名でさえ「ヒゲ(笑)」。ただ、もともとシド・ミードが描いたターンAはカッコいいMSスモーだったらしいのですが)。のどかな日常シーンが多く、非日常が中心だった今までの「ガンダム」とは方向が全く違っている。テーマも富野作品らしく複雑なんですが、今回は特に抽象的で難解。簡単には分かりません。私も最初は面喰ったのですが、人物描写は極めて緻密で作品としての質は非常に高いものになっており、だんだんハマっていって、最後は凄く感動しました。
 その難解さ故に他人に勧めていいものか考えさせられますが、すばらしいアニメ作品であることは間違いありません。こんな上質の長編はここ数年、アニメでは他にないと思いますね。
 これから「ターンA」を見てみようという人には、これ単体で見るのではなく、とりあえずTVシリーズを見ることをオススメします。その上でこの劇場版を見ると、「なるほど、こういうことだったのか!」という発見ができると思います。その点で、TVシリーズを見た人にはかなりオススメです。また、このDVDの特典として記録されている「富野道」は必見です。富野監督へのインタビュー記事なんですけど、「ターンA」のテーマが語られています。内容はこれまた難しいのですが、ぜひ読んでみて下さい。





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