「建築の儀式」の概説

儀式は着工に先だって地の神を鎮め祭って、建築敷地の永遠の加護と工事の無事成就を願い、
さらに立柱、上棟、定礎等工事の一段落となる重要なときにも、各々の神々に着工以来の神助を
感謝するとともに永遠に災禍のないよう祈願するために行われるものである。また工事期間中
執り行われる折々の儀式は、建築関係者にとって、その工事の折り目、切り目を正しくする上に
おいて極めて重要な意義を持つものであり、さらに勤労感謝を表す意味も含まれている。

    儀式用語の読み方とその解説

用語  読み方 解説
幄舎 あくしゃ 神事その他儀式のとき臨時に設ける仮舎
神離案 ひもろぎあん 祭神を迎える神聖な木(通常は榊)をたてる台
神饌案 しんせんあん 神前に供える、水、酒、塩、洗米その他山海の珍味をのせる台
副神饌案 ふくしんせんあん 奉献酒及び奉献菓子等を供える台
玉串案 たまぐしあん 榊の小枝に紙垂(しで)をつけた玉串を捧げる台
玉串仮案 たまぐしかりあん 玉串奉奠の前に玉串を仮にのせておく台
用具案 ようぐあん 立柱式又は定礎式等の場合行事用々具をのせておく台
斎竹 いみだけ 「忌竹」(いみたけ)とも書く。式場の四隅に立てる笹のついた青竹
注連縄 しめなわ 東北の角に立てた斎竹から右へ四隅の斎竹に張り廻らす縄で
聖域を示す
紙垂 しで 玉串又は注連縄等につける奉書又は白半紙で作った紙片
真榊 まさかき 榊の枝を棒杭に纒い付け祭壇の左右相対に立て、向かって右に
玉鏡、左に劔をつけ五色の絹を取り付けたもの
几帳 きちょう 白絹又は白布を縦に縫い合わせ野筋を垂れたもので祭壇の
正面奥に垂れる
瓶子 へいし 神前に供える新酒を入れる土器
こも 真薦(まこも)を白糸で編んだもので祭壇の下に敷く
五色御幣 ごしきごへい 串に黄、青、白、赤、黒色の幣に苧麻をつけたもので、五行幣
ともいう。敷地中央、東西南北の守護神をいう
斎主 いわいぬし 儀式を奉仕する主神職をいう
祭員 さいいん 儀式を奉仕する斎主以外の神職をいう
鎮物 しずめもの 鎮物の儀で行われる大地へのお供え物で内容は秘伝とされる
しゃく 神官が束帯の時、帯にはさみ又は手に持って威儀を正し且つ
敬意を表す具

 

修祓 しゅうばつ 祭員が神籬、神饌、玉串、斎主、斎員及び参列者を祓う儀式
降神 こうしん 祭神を神籬にお招きする、いわゆる招霊の儀式
献饌 けんせん 神前にお供え物を供える儀式
祝詞 のりと 斎主が神に奏上する式文をいう
清祓 きはらい 切麻散米の儀ともいう。大麻、塩湯、切麻で四方を清め祓いを行う行事
水器 すいき 水玉ともいう。神前にお供えする水を入れる器
撤饌 てっせん 神前に供えたお供え物を撤下する儀式
昇神 しょうしん 祭神が神籬から昇霊される儀式
清砂 きよめすな 地鎮行事を行う盛砂をいう(川砂を半円錐形に盛って中央に鎮物を埋納
する穴をほる
馨折 けいせつ 両手は上腿の前面に接しながら垂れ、指端を腿の中程まで下しながら
腰を折る(45度)
平伏 へいふく 四指を揃え、栂指は少し内につけたまま、両手を腿上中程より両膝頭の
両側面より床にすり下しながら、両手を膝頭の前面に寄せ腰を折る
大麻 おおぬさ 榊の枝に麻苧と紙垂をつけた修祓の儀式に用いる式具
手水桶 てみずおけ 参列者及び神官が式場に入る前、手を清める水を入れた桶。
(ちょうずおけ)ともいう
手水受 てみずうけ 手水の際その水を受ける容器
警蹕 けいひつ 昇降神の儀で祭員が「オー、オー、オー」と一声又は三声を出して
奉仕すること
正中 せいちゅう 神座正面にあたる線をいう。すなわち式場中央の通路
直会 なおらい 撤下の神饌を参列者が拝戴すること
浅黄幕 あさぎまく 白と青色の布を交互に縫い合わせた幕で几帳の奥に張る
柄杓 ひしゃく 手水の時水を汲む桧の素木製の杓
拭紙 ぬぐいかみ 手水のあと手を拭う白半紙

地鎮祭式場

地鎮祭式場