ツーリングレポート

 

 

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              2002年4月14日

              題名:Inoさん下呂温泉ツーリングレポート

 

 

 

1.  マイクロロン処理

が彼女・ZX-9Rと付き合って早や2年。走行距離こそそんなに伸びていないが、お約束の車検を受けさせなければならない。
彼女には800
kmの慣らし終了時に、オイル交換と共に【スーパーゾイル】をプレゼントし、内部摺動部分の金属表面をスベスベにしてあげていた。
2周年目の今回は何をプレゼントしようかな?せっかくスベスベお肌を手に入れたのだから、それを維持させてあげたいなぁ。ってんで、車検のついでに精密検査を受けさせた彼女に、【マイクロロン】をプレゼントした。
これからも末永く健康でいて欲しいもんね。ところがこの【マイクロロン】、処理が完了するのに約1
,600kmもかかると言う。
こりゃちょいとロング走らんといかんねぇ。ちょうど良いや、竜治
BMW F650GSの慣らしを終えて長距離走りたくてうずうずしてた所、よっしゃ、何処か行くべぇ!

 

2.  名古屋のビーマー

つう事で岡山、和歌山、日本海、あそこも良いな、こっちはどうだと、竜治と相談した結果、 今まで行った事がないので下呂温泉に決定。

4月14日()、朝7時。快晴。ホント、石田がおらん時の晴天率は極めて高い。とりあえず名神で中津川まで。
一宮
ICを抜けた辺り、名古屋界隈は少し混んでいた。するといつの間にか、BMWが1台、2台、あららっ、サイドカーまで!ってな感じで、続々との後ろに集結してきた。何か早く行きたそう…。
ケツをつっつかれるような、嫌〜な感じのドライビング。前を走る竜治がそれに気付き、道を譲ると
BMW軍団は俺達を一気に抜き去り、そのまた前を走る車をつっつくように威圧して、同じように退かせてとっとと行ってしまわれました。何だかねぇ。
はっきり言って名古屋の
BMW軍団(このグループだけやと思うけど)、躾が良く出来てませんでしたな。
世間知らずのボンボンが、親に買うてもろた高級車乗リ廻す、みたいな違和感。
BMWと言うブランドを前面に押し出した“虎の威を借る狐”軍団。良い歳してやる事じゃないわな。何か同じバイク乗りとして非常に腹が立ちました。
おろろっ、そう言やぁ竜治も今回からビーマー、だけど竜治にはそんな事を鼻にかけて周りを見下すような気配は微塵もない。ついでに言えば、我等が師匠もビーマーだけど、あんな失礼な奴等とは比べようもないね。まっ、
BMWにはそれぐらいの神通力があるってのが判っただけでも収穫かな。

中津川ICまであと僅かの屏風山PAで休憩してると、やっぱり来ました、“キロナンボ親父”のバイクをしげしげと見つめ、『兄ちゃん、これ何km出んの? へぇ、何ぼ(いくら)すんの?』と、問い掛けてこられる方がPAには必ずいらっしゃるのよ。あはは、笑えるよねぇ。

 

3.噴泉地

中津川ICを下りて、60kmほど一般道を駆け抜けると、ほいほい、着きましたよ、下呂温泉。平安時代から湯治場として栄え、江戸時代の儒学者・林羅山により、有馬、草津と並ぶ、『日本三名泉』と称され、その名を全国に知られる名湯。飛騨川をはさんで一大温泉街が形成され、60軒以上もの旅館が林立している。旅館と旅館の合間には、“ヌードショウ” なる、古びた看板が挙がってたりして、いやホント時代を感じるよ。切符切りのおばちゃんが、そのまんまステージに上がってたりして…。オエッ、想像しちゃったよ。見たくないって。

で俺達が目指すのは、脱衣所も囲いもない、飛騨川の河原に湧き出す噴泉地。すぐ横の下呂大橋から丸見え。
ゲロゲロ…
。(すいません、お約束のオヤジギャグで。)行って見ると、ご年配の方が3名ほどご入浴。
真横を観光客のアベックやらが、じろじろと見ながら河原を歩く。ちょいと嫌な感じ。
まぁ、この手の丸見え温泉は湯原(岡山県湯原町)、新穂高(岐阜県上宝村)で経験済み。そんなに見たけりゃ、好きなだけ見やがれってな感じで、さあ入浴。泉質はアルカリ性単純温泉。効能はリウマチ、運動器障害、神経痛、美肌効果など。入ってみると、アルカリ性特有のニュルニュル感。こりゃあ、お肌もスベスベになりそうだわ。じっくりと温泉の効能を身体に染み込ませ、十二分に堪能したところで、さぁ、次行きましょか。

 

4.講釈オヤジ

ここから郡上八幡に向かうのだが、その途中にある全長約30kmの峡谷が中山七里。透きとおるようなグリーンの清流と奇岩・巨岩が織り成すコントラストは中々の絶景。が指差してるのが、釜ヶ淵の牙岩なんだけど、よく判んないね、これじゃ。でも、ホント気持ち良い道でしたよ、ここは。

さてさて、心和ませる道を駆け抜けると、そこはまた美しい自然と町並みが広がる郡上八幡。ちょいと遅めの昼食と致しましょうか。
俺達がセレクトしたのは、【そばの平甚】。名水百選のひとつに数えられる宗祇水の隣にある老舗の蕎麦屋。
現在の主人で9代目と言う。信州から取り寄せたそば粉と、郡上八幡の清水を使ったコシのある太めの麺を目当てに遠方から訪れる客も多いらしい。
俺達がこの店を見つけ出した時も既に2時近かったのだが、玄関先で2グループほどお待ちでした。
ほんで玄関通路には著名人の写真や、あちこちのテレビ局からの取材の跡が額縁に納められておりました。
ようやく座敷の1テーブルに着かせてもらうのだが、周りのテーブルほとんどに目当ての蕎麦が載ってない。
聞くと、ここん家は蕎麦の作り置きはせず、注文を受けてから麺を打つので、出来上がるまで20分ほどかかるらしい。
竜治
大もりざるを注文し、ツーリングマップルを覗きながら蕎麦の到着を待っていると、突然店の主人(85歳ぐらいか?)が何も持たずに座敷の中央までスタスタと歩をすすめ、

『初めての方もいらっしゃると思いますんで、少しお話させていただきます。』

と、口火を切った。

『当店ではお茶、お水はお出ししておりません。昔から“薬は茶で飲むな”と申しますが、まさにその通りで、蕎麦とお茶は具合が悪いんです。』

へぇ、初耳だよ。って事は、蕎麦は “薬” って事かい?じゃ水は別に良いんじゃないの?

『それと、つゆにいきなり薬味のネギやワサビを入れないで下さい。せっかくの蕎麦の味わいが台無しになってしまいます。
まずはそのまま、蕎麦につゆを絡ませてお召し上がり下さい。よく
“通” ぶった人が、 “つゆはほんのちょっと” とか申しますが、人それぞれに好みってもんがあります。ご自分で気に入るだけつけりゃあ良いんです。
あ、そうそう、
“通” だなんて勘違いされてる人がよく “蕎麦は喉越しで味わうものだから、噛まずに飲む” なぁんて言ったりしてますが、ありゃあ嘘ですな、よく噛んで下さい。よく噛まなきゃ蕎麦の香りが広がりません。喉越しで味わうのはビールだけですな。』

『…いつもInoさんが言ってるのは、 “通” ぶった人の嘘ですって! ぷふふ…。』

『うっ、うるさい! はははっ(冷や汗)、しかしなかなか面白いオヤジだよ、うん。』

『蕎麦自体の味と香りをお楽しみ頂けたら、次に蕎麦の上に散らしてある海苔と一緒に召し上がってみて下さい。また違った味が楽しめますな。
その次に薬味のネギをつゆに入れて、またまた違う味わいを楽しむ、といった食べ方をして頂くと、1枚のざるそばで何通りもの味が楽しめるんですな。』

なるほどねぇ、言ってる事はまぁ判るわな。でも、もう薬味全部ぶち込んで食っちゃってるお客さんが憮然とした表情でオヤジさんを睨んでるよ、良いんかいな? ほよよ、全く意に介さずって感じでまだ話を続けるかい。

『一応薬味にワサビを添えてありますが、本来の蕎麦の食べ方から言うと、ワサビってのは邪道ですな。ワサビをつゆに溶かしたりしたら、蕎麦の香りなんぞいっぺんに吹っ飛んでしまいます。
じゃ何で添えてるかって申しますと、これは昔、刺し身にワサビをつけるのを真似たんでございますな。昨今ではよく耳にする蕎麦アレルギーの方ってのは昔っから稀にいらっしゃいましたようで、その対策に刺し身の食べ方を真似てワサビを添えたのが始まりなんですな。』

へぇ〜、そうだったんだ。勉強になるわ。でも、ほいたらそれってあんま意味ないじゃん? オヤジの講釈を聞く事20分、やっと竜治大もりざるが出てきた。 “もり” “ざる” の違いって言うのは、海苔が散らしてあるかないか、ってのが一般常識だよな。ところが竜治の頼んだ大もりは、海苔はおろか、ワサビもついてなかった。

『…なんでワサビもついてないの!?』

すかさず講釈オヤジが再登場だぁ!

“もり” と言うのは昔、余計なものは何も要らんからせめて腹一杯にさせてくれ、と言うお客様のご要望にお応えしたもので、その意味は “大盛り” と言う事だったんですな。ですから当店の “もり” は本来のスタイルで、ワサビもお付け致しておりません。』

『………。』

オヤジの力一杯の講釈に、竜治KO負けですわ。いやホント参りました。竜治があんまり可哀相なんで、のワサビをちょびっとだけ、くれてやりましたよ。 っておいおいオヤジ、ま〜だ話す事あんのかい?

『最後に、そば湯をたっぷりとお飲み下さい。そば湯と言うのは、蕎麦の栄養分が沁み出たものなんですな。これを飲まなきゃ蕎麦屋に来た意味がない。
まぁ、言うなればこれが蕎麦屋のお茶代わりですな。』

はいはい、判りましたよ。お説、ごもっともでございます。まぁ、それなりに美味い蕎麦を食わせてもらったが、ここん家の印象は “舌” よりも、 “耳” に強く残りましたな。

 

さて、今回のツーリング、 “ビーマーのフーテン親父” 達から始まって、 “キロナンボ親父” の出現、はたまた下呂ゲロゲロ “オヤジギャグ” 、トドメの一撃に強烈な “講釈オヤジ” と言う事で、サブタイトルは “オヤジ巡りの旅” に決定。

しかし、日帰りで総走行距離600kmはやっぱ辛いねぇ…。

ん、誰だよ、 “オヤジ” って言った奴は!

お終い

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