★2000年6月8日 SUBARU Legacy B4試乗レポート

 

K(DS11)氏がレガシーランカスタを所有。修理個所があって販売店に修理を依頼したら、その代車にB4が入ってきた。ここぞとばかり試乗してみましたゾ!

 

◎レポート

SUBARU Legacy B4

 

http://202.217.201.209/B4/index.htm

ボディタイプ セダン
駆動方式 4WD
エンジン形式 2.0 BOXER DOHC 16valve 2Stage Twin TURBO
変速機形式 5速MT/4速EAT
総排気量 1994CC
最高出力/回転数 280(260ps)/6500(6000)rpm  ( )内は4EAT車
最大トルク/回転数 35.0(32.5)kg-m/5000rpm    ( )内は4EAT車
乾燥重量 1,460kg(1,480kg)                  ( )内は4EAT車
燃費 11.4km/L(11.2km/L)                ( )内は4EAT車
前後タイヤサイズ 215/45ZR17ポテンザRE010
価格 2,643千円(2,738千円)          ( )内は4EAT車

 

LEGACY B4 RSK

SUBARUが誇る水平対向エンジン「BOXER」を搭載するスポーツセダン。その運動性能の高さは3LCARを凌ぐ。

 

試乗車はスポーティパック(リヤスポイラー・UVカット濃色ガラス)を装備。

外見はこじんまりした5ナンバーサイズではあるが、試乗してみると想像以上に広い。

 

トランクルーム&アームレストスルー

サスペンションの張り出しが小さい広くてフラットなトランクルーム。また、リアシートにアームレストスルーを採用しており、長い荷物はそこに突っ込めば良い。

 

低回転ではプライマリーターボにより、アクセルワークに対するレスポンスを重視。更に中回転域から加給を始めるセカンダリーターボのTWIN TURBO。俊敏な出足とスムーズに立ち上がる圧倒的なパワーは官能的。

 

ブラックフェイスメーター。

全てを表現できないのが残念!イグニッションをONにすると、メーターリング→指針→文字盤の順に点灯し、走りへの期待感を高める。また、燃料の残量が一定以下になるとメーターリングの点滅によって警告する。

 

マイナーチェンジ後、RSKにはMDプレーヤー搭載のLEGACY K'sマスターサウンドシステムを標準装備。オプションでマッキントッシュサウンドシステムにもグレードアップが可能。

 

試乗私見

レガシィといえば国産ワゴンの立役者だけに、ワゴンの方が圧倒的な販売台数を誇っている。そこでスバルは従来までのフツーの4ドアセダンというキャラクターを捨てて、「4WDロードスポーツ」のコンセプトを全面に打ち出す。そしてスバル伝統の水平対向4気筒+フルタイム4WDを誇示する「B4」の ネーミングが加えられている。
セダンの次にワゴンを出すというではなく、ワゴンを出した後にセダンの登場となったわけで、今回のレガシィB4の剛性や走りの方はも う保証済みといって良い。
ライバルは、ターボモデルだと、マークIIツアラーV、スカイライン25ター ボ、ギャランVR-4あたりの280馬力セダンといったところ。ただ、これらが3ナンバーボディとしているのに対し、レガシィは先代同様、5ナンバーボディであえて攻勢している。このあたりは生真面目なスバルらしさが伺える。

前述のように、レガシィのセダンに付く「B4」の由来は、ボクサーエンジ ンの「B」と4WDの「4」。つまり全車4WDモデルであり、先代まであったFFモデル は姿を消している。グレードも整理され「RS」と「RSK」の2つのスポーツグレードのみ。排気量は同じ2リッターで、RSがNAモデル、RSKがターボモデル。 いうまでもなく走りをより重視しているのはRSKである。

全長4605mm×全幅1695mm×全高1410mmと、ボディサイズは先代から全高が5mm高くなった。ホイールベースはベースとなったワゴンと同じ2650mm。バンパー、フェンダーパネル、フードパネル、フロントドアなど、フロントセクションにおける外装もワゴンと共通。セダンのグリルには「B4」のエンブレムが付いているので、正面から見てワゴンかセダンかの区別は結構容易だ。

内装もワゴンと”基本的”には同じ。とはいえども半年遅れの分だけ、セダン専用のパーツが施されている。特にRSKのスポーツシフトAT車に採用されたスバ ル初のブラックフェイスメーターは、キーをひねると暗闇から文字が浮かび上がってくるという他社ではお馴染みの演出だが、スバルでは初。1・ 橙色のメーターリング→2・赤い指針→3・白い文字盤の順で浮かび上がってくると いう、スバルらしからぬお遊び的な演出が面白い。それがどうした、といってしまえばそれまでだが、走る気分を盛り上げてくれるのに一役買っているのは確かだ。この他、セダン専用としては、黒い色調の木目(マーブル?)調パネル、両脇にレザーを使用したバケットタイプシートなどを採用。全体の雰囲気は 暗めの落ち着いたもの。
内装でもうひとつ忘れてならないのが、RSK専用に設定されるスペシャルレザーパッケージ(10.0万円)。シート表皮やドアトリム、ステアリングに鮮やかなブルーとオフブラックの本革を組み合わせ、さらにメタリック調センターパネルを装備したものもオプション(受注生産)で用意されている。

シートは張りのあるもの。座面両脇が大きく張り出しているが窮屈な感じはな く、ほどよくサポートしてくれる。しかし乗り降りの際は必要以上にひざ を持ち上げなければならない。このあたりは一考の余地 がある。後席はリアウインドウがわずかに頭にかかるものの、広さは全く問題ない。トランク容量は464リッターとなかなか広いが、剛性確保のためかトランクスルーはアームレスト部のみ。欲張ったユーティリティーは望めない。

今回試乗したRSKに搭載されるエンジンは、最高出力&最大トルクもワゴンと同じ、5MTが280PS/35.0kgm、4ATが 260PS/32.5kgm。RSKの4ATには、待望のスポーツシフトが採用される。Dレンジの横の+/−ゲートの他に、ステアリングの+/−スイッチでもシフトが可能だ。ステアリングから手を離さずにシフトチェンジができるシフトスイッチは、ステアリングを8時20分の角度で持つことを強いられ、やはりやや違和感がある。4WDシステムは、AT車が前/後35対65か ら50対50の間でトルク配分を行うというものに対し、MT車は50対50の固定式が採用されている。足回りのチューニングはポルシェが担当したいわれている。

今回試乗した4EATは260馬力(MTは280馬力)。前後のトル ク配分を走行状況に応じて35:65〜50:50に可変するフルタイム4WDが採用されており、パワーを余すところなく路面へ伝えるため、体感的な加速そのものは、ツインターボというパワフルな印象からすると少し物足りない感じがした。ステアリングは、拍子抜けするするほど軽い。それでいてフルロックは3 回転とクイック。4WDの「重い」イメージはなく、2駆に近い軽快な走りを再現している。また17インチタイヤを履いている割には、路面からの突き上げは小さく、しなやかな乗り味となっている。直列系とは異なるかすかに聞こえる独特のサウンド、黒系統の内装からくる落ち着いた印象からすると、全体的にはスポーツというよりも4ドアセダンらしさを表現した仕上がりとなっている。高速巡航時では極めて疲労が少ない。

スーパースポーツでありながら日常ユースの快適性が高く、その気になって走れば、文句なく速い。安定性も2WDの比ではなく、高出力を高剛性ボディと4WDでがっちりうけとめ無理がない。走りは2WDのように軽快で、内装もしっとり大人のムード。ランエボやインプレッサが欲しくてもガキっぽくて買えなかったお父さんのクルマ。乗り心地とリアの居住性がいいから、家族のウケは悪くないはず。強いていえば華やかさがないことか・・・。また安定感が高く、どんな状況でもすばらしい性能を発揮するという4WDの完璧さに、やや退屈な感じを持ってしまうのは贅沢だろうか。

スバルのクルマはスバリストが支えているというのがかつての常識だったが、レガシィのヒットで普通の人々が乗るクルマになった。しかし、このセダンはまたスバリスト好みのマニアックな魅力にあふれている。アルテッツァのようなわかりやすさはないが、スポーツセダンとしての実力は明らかに上。現在考えられる最高の「四駆」セダンである。