---------- 車両解説 ----------

80000系(ひのとり)

 近鉄では「くつろぎのアップグレード」をコンセプトとした新型名阪特急を新造し、2020年(令和2年)3月より80000系を名阪甲特急の運用開始することとなった。愛称名は「ひのとり」とし、日本では初のバックシェルを全座席に配備し広々とした空間と快適性の確保で、居住性を大幅に向上させた。

 系式は50000系「しまかぜ」から更に30000番を足した80000系とし、編成は21000系アーバンライナーと同じく6両編成と8両編成を構成する。大阪側からク80100形(Tc)+モ80200形(M)+サ80300形(T)+モ80400形(M)+モ80500形(M)+ク80600形(Tc)とし、8両編成はサ80300形とモ80400形の間にモ80700形(M)+サ80800形(T)を連結する。また21000系アーバンライナーのモ21700形+モ21800形を任意の編成に組み込む形とせず、8両専用編成として末番は50番台と区分された。更には主制御器の製造所によって末番が区分され、三菱製を01F〜04F・51F〜53F、日立製が11F〜14Fとなる。尚、モ80700形+モ80800形には簡易運転台が設置されている。

 前面は正面屋根部分に掛けて上下に曲面ガラスを配し、左右にも三角の曲面ガラスが設置され眺望を確保された。また正面窓下にはLEDの前照灯が並び、標識灯は正面ガラスの左右に配置された。車体はメタリックレッドを基本とし、側窓周りをブラックとして座席位置単独窓を連続性にイメージしたものとなっている。
 先頭車のク80100形・ク80600形のTc車はハイデッカー構造の展望車で乗務員室仕切りは50000系同様ガラス張りにし前面の展望性を高めた。シートはバックシェルの「プレミアムシート」を2+1列に配置、シートピッチは1300mmを確保した。これは50000系プレミアムシートから更に50mm拡大されている。電動リクライニング角度は最大45度で、高さと角度調整機能付きのヘッドレスト、伸縮式電動レッグレスト、肘掛けには大型の収納式テーブルとコンセントが設置されている。連結面側デッキにはカフェスポットが設けられ、挽きたてコーヒーや菓子類が販売される。

 中間車両は「レギュラーシート」とし、平屋構造となりシート配置は2+2列、シートピッチは1160mmでプレミアムシートと同じくバックシェルが採用されている。モ80200形・モ80700形・モ80500形には名古屋寄りにベンチスペースが設けられ、ロッカーはモ80200形・モ80500形と先頭車に設置されている。

 基本的に主要制御機器はPWM電圧形VVVFインバータで1C2M方式で、主電動機は01F〜04F・51F〜53Fが三菱製240kW/台、11F〜14Fが日立製230kW/台のかご形三相誘導電動機が搭載された。制動装置は電気指令式ある。パンタはシングルアーム式をモ80200形・モ80700形・モ80400形・モ80500形にPT7126−A型を各1台設置した。

 2020年(令和2年)3月14日より大阪難波〜名古屋で運用を開始し、2020年度中には6両編成8本、8両編成3本の合計11編成72両が配備され名阪甲特急運用は全て80000系に置き換わる。2021年、ブルーリボン賞受賞。
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先頭車はプレミアムシートでハイデッカーとなる 8両編成の51F〜53F
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中間M車のモ80200形 中間T車のサ80300形
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←大阪難波/名古屋→
 ク80100形(Tc) + モ80200形(M) + サ80300形(T) + モ80400形(M) + モ80500形(M) + ク80600形(Tc) 
80101 + 80201 + 80301 + 80401 + 80501 + 80601
80102 + 80202 + 80302 + 80402 + 80502 + 80602
80103 + 80203 + 80303 + 80403 + 80503 + 80603
80104 + 80204 + 80304 + 80404 + 80504 + 80604
80111 + 80211 + 80311 + 80411 + 80511 + 80611
80112 + 80212 + 80312 + 80412 + 80512 + 80612
80113 + 80213 + 80313 + 80413 + 80513 + 80613
80114 + 80214 + 80314 + 80414 + 80514 + 80614
 ク80100形(Tc) + モ80200形(M) + サ80300形(T) + モ80700形(M) + サ80800形(T) + モ80400形(M) + モ80500形(M) + ク80600形(Tc) 
80151 + 80251 + 80351 + 80751 + 80851 + 80451 + 80551 + 80651
80152 + 80252 + 80352 + 80752 + 80852 + 80452 + 80552 + 80652
80153 + 80253 + 80353 + 80753 + 80853 + 80453 + 80553 + 80653
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形式 車種 番号 両数 定員 全長
(mm)
全幅
(mm)
全高
(mm)
出力
(kW×個)
製造初年 製造所 備考
ク80100 Tc 01〜04・11〜14・51〜53 11 21 21600 2800 4135 - 2019 近車  
モ80200 M 01〜04・51〜53 11 52 20500 240×4(三菱)  
11〜14 230×4(日立)
サ80300 T 01〜04・11〜14・51〜53 11 41 -  
モ80700 M 51〜53 3 48 240×4(三菱) 2020
サ80300 T 51〜53 3 40 240×4(三菱)
モ80400 M 01〜04・51〜53 11 52 240×4(三菱) 2019  
11〜14 230×4(日立)
モ80500 M 01〜04・51〜53 11 52 240×4(三菱)  
11〜14 230×4(日立)
ク80600 Tc 01〜04・11〜14・51〜53 11 21 21600 -  

2021年 5月29日 更新

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