次へ 目次へ

PTAまとめ(1)



 PTAについてネットでいろいろ検索してみると、いわゆる単P(学校ごとのPTAをこの様に呼ぶ習わしが有ります、“単位PTA”の略称)毎にその有りようは様々で、更にそこに参加する会員も一人一人みんな環境と考え方が違う。その点を考慮しないと、こういう話は一歩も進められない。私は自分の体験を元に考えをまとめてみることしかできないので、取敢えず幼・小・中の間にPTAで感じた違和感から書いてみようと思う。


幼・小PTAで専門委員、沢山の違和感

参加前は特に予断偏見は持たなかった

 私がPTA会員になったのは子供が私立幼稚園に入学した時で、加入届があったかどうかよく覚えて居ない。PTAに入る前、私がPTAに対してどんなイメージを持って居たかというと、極めてニュートラルな気持ちで居た。実際に参加しない状態で偏見を持ったりするのは、あまり好きではないので…。母が毎年4月の懇談会に出るたびに役員・委員を免れたことを喜んでいたのは覚えていたけれど。

とにかく仕切る人

 幼稚園での最初の懇談会、兄弟が既にその幼稚園に通っている、ちょっとだけ先輩の保護者がいきなり仕切り始めて、手際よく役員や係を割振って行くのを見てびっくりした記憶が有る。その決め方が、何だかちょっとナーナーな感じだったので。えー、みんなそれで良いのぉ?ふーーん??という感じだった。それが多分一番初めの違和感だった。

本来のボランティアサークルも併設

 幼稚園は私立であって、いわゆるPTA組織の外に保護者ボランティアサークルというのがいくつか存在し、それは参加・不参加は全く自由なものであった。どうせ子供を連れて往復通わなければならなかったし、週に一度、園児達の教材を作る手伝いをしていた。都合が悪ければいつ休んでも構わない、このボランティアサークルに関しては何の違和感もなかった。

他人を平気で使い走り扱いする人

 子供が卒園の年、いわゆるPTAには全然参加しないのも申し訳ないと思いPTAのバザー係をした。子供と簡単なゲームをしつつ景品を渡すような手作りの出店を計画。作業中足りないものが出ると買いに走らされて、何だかなぁ、と思った。着ぐるみを着るように言われたが「私はそういうキャラじゃないの。必要だと思うなら、あなたがやれば?」と言いたかったけれど、大人ぶってちょっと我慢。ただし、着ぐるみは黙って無視して着ないで済ませた(笑)。

専門委員会の部長選出の熾烈さ

 子供が小学校に入学と同時に小学校のPTAに自動加入。子供一人につき1回は何等かの委員・役員をせよとのこと。そのころは未だ病気ではなかったし、将来働きたいから今の内にと思って手を挙げた。デスクワークにのみ向いている体質なのでベルマークの係になりたかったのだが、他に仕事を持っている人が立候補していたので、クラス内の互選会で「専業主婦の人は成るべく大変な方の役をやって欲しい」と言われた。子供の頃からイベント事は余り好きではなかったが、やむを得ずバザーの委員になる。
 各クラスから一人ずつ選出されたバザー委員が集まると、今度は部長・副部長の選出。小学1年生の教室では役は簡単に決まったのに、ここではまるでお通夜のような静けさだった。部長になるのは避けたかったので、「副部長ならやってもいいですよ。」と言ったらすんなり通り、後は部長の選出だけになる。皆が暗い顔でうつむく中、時間ばかりが過ぎて行き、「それではくじ引きで決めさせて戴きます」となった瞬間、「私がやります」と手が上がる。

委員会の決議<役員一名の意見?

 実際の運営は昨年度の委員長から引き継いだノートを元に進めて行く。PTAが伝統芸能のようだと言われるのはこういう点だろう。各学年で出店を2つずつ出す事になっているという伝統にしたがって、さっさと予定を決めて行く。その他、各家庭で余っている物を無料提供してもらい安い値段をつけて売るという作業もあった。小さな事件がいくつか有った。特に印象に残っているのは、役員による委員会への干渉が気になった事件だ。毎年、当日はバザー委員・クラス委員・役員会の三者が一日時間と労働力を提供する訳だが、伝統的に当日は“弁当”が出る。ところが役員の人から、「収益金を少しでも増やすためにお弁当は止めにしておにぎりなど簡単なものにしては?」という案が出る。委員会に諮るとほぼ全員がモチベーション下がるからと「否決」。しかし、採決後に決議を引っ繰り返そうと役員が乗り込んで来て、一騒動起きる。ささいな事なのかもしれないが、大勢で時間をかけて決めたことを、外部の人間一人で引っ繰り返そうとする、その気持ちが全く理解できない。弁当かおにぎりかということでは無く、委員会の自主的な意思決定が一人の役員によって否定されかけたということが問題だと感じる。『バザーの収益金がそんなに気になるなら役員にならずに最初からバザー委員になれば良いのに?』と思った。

委員の2巡問題

 子供が4年生になるころ、“魔の4月懇談会”がまた巡って来た。委員・役員をできる環境に居る人はだいたいノルマを終えて、後は子供が小さいうちから継続してできる環境に無かった人が残って来てしまった。候補者が不足すれば2巡目の人が何人か出てくる。2巡目の人は優先的にやりたい役を選んで良いし、委員会の部長・副部長はやらなくても良いという不文律があったので、私はこの時既に病気になっていたが、専門委員を一つ引き受けた。バザー委員をした時に感じた高学年の人々のなんとも暗いムードの原因がなんとなく理解できた。仕事を持っていたり、他に何か事情が有ったりした人達が高学年になって、更に参加困難な委員・役員に追いやられるのだ。だからと言って、1度やった人も同じ条件で部長・副部長になるリスクを持てと言われても困る。委員・役員をできる環境にある人より委員・役員の数が絶対的に多過ぎるのだ。

 解決方法はそんなに難しいことでは無いのではないか。今年、その学年の保護者に何ができるかアンケートを取り、人が集まりすぎるところは人員を削り、足りない所はその人員に合わせて仕事を縮小すればよいのだ。ボランティアはもともと集まった人数によってやれることを企画するべき団体なのではないだろうか?“PTAを改造しよう”、という意見が出ると、“委員の数を2倍にして負担を減らす”とか、“無くしてもいい委員会を整理する”とか、器の方から考えることが多いのが不思議でならない。実際に「年間5回、曜日未指定で学校に行かれる環境に有る人が何人居るのか?」「どんなことならそれ程の負担に思わず協力できるのか?」保護者本人に訊いてみた方が早いと思うのだが。例えば、私に関しては『デスクワーク関係に限り月1.5回くらいまでならOK』と書くことができたはずなのだが。

形式だけの専門委員会?

 PTAの専門委員会の中に法令で決められた委員会が組み込まれていた。“保健・安全委員会”というのがその一つだ。最初の委員会の席で一枚一枚氏名が差し込み印刷されたおおげさな任命書を渡された。地域の各学校や自治会の保健・安全委員会名簿というのが配布され、驚いたことに私の(委員全員の)氏名・住所・電話番号が無断で掲載されていた。学内だけならまだしも、そんな広域に個人情報をさらす必要が何処に有るのか?早速苦情を申し入れ、次の年から氏名のみの記載にするという検討結果を聞いたと記憶する。

 この委員会の仕事は、
1.会議に出ること、校医の講演を聞くこと
2.校区内の池・川などの水辺に「危険・立ち入り禁止」の旗を立てること
3.夏休みに数日間21:30に集合して巡回する

の3つだ。2.の旗立ては、地元に長く住む人が率先してやってくれたのでスムーズに進んだ。3.の21:30に集合というのは、小・中学校合同の行事だったらしいのだが、小学生の親を21:30に集めるというのはいかがなものだろうか?いわゆる「良い子はおねむの時間」を軽く回ってしまっている時刻だ。就寝後の子供を家に残してそんな時刻に外出する事に抵抗が有った。「都合の良い方だけ」、と言われたので遠慮なく不参加とさせていただいた。

で、メインは会議と講演を聞くだけの委員って…本当に必要なのだろうか?
この委員会が無くなれば、“魔の4月懇談会”が少し緩和されるのではないか?

違和感を覚えつつ何の行動も起こさなかった

 幼・小の9年間のPTAはこうして過ぎて行ったのだが、違和感を覚えつつも何かの行動を起こすには至らなかった。子供が小学校2年生の頃から私自身が体調を崩してしまったということもある。“PTAを相当な負担と感じている人も多く居る”ことはぼんやりと感じていながら、私は…PTA会員で有りながら、傍観者だった。そして、この私の態度は、いじめを知っていながら傍観しているのを非難されがちな子供達と余り大きな違いは無いのかもしれないのだ。

2007.6.6 byとまて

次へ 目次へ [メールフォーム]