山辺の道(北側)〜2003.06.07 晴れのち曇り・にわか雨
今回の旅、本当は東海自然歩道とは全く関係ない所、ひょんなきっかけでこの旅の行程が決定しました。
そのきっかけとは、このHPにもよく来てくれている、会社の先輩satoさんのご懐妊です。
奈良には帯解寺という、日本最古の安産・子宝祈願のお寺があります。皇室の方がご懐妊された時もほぼ必ずこのお寺から腹帯が献上されるという話。美智子様しかり、紀子様、雅子様しかり。
そんな話を知ってたので、安産のお守りを買いに行こうと思い地図を見てみると、結構山辺の道に近いじゃないですか。
山辺の道、白川ダムと円照寺の途中で西に1kmほど歩くと帯解寺。
と言うわけで、今回の旅は天理から奈良までの山辺の道&帯解寺へ行こう!の旅でした。
この日、予報では最高気温25℃くらいという話だったのに、天理に着いた10時時点でかなり晴天、暑い。絶対に25℃以上ある暑さ。
前回、山辺の道南側(桜井〜天理間)を歩いたのは2001年(旅日記参照)。約2年ぶりに降り立った天理駅前はえらく様変わりしてました。
だだっぴろい駅前広場には駐輪場が広がってて無数の自転車が止められてたんですが、これがきれいさっぱりなくなってました。
これは地下に駐輪場が新しくできたためらしく、本当に一台も違法駐輪なし。これがすごい。やはり宗教都市だからか?
駅前から石上神宮目指して東に向けて歩き始める。
駅前は雰囲気変わっていたものの、商店街は変わらず。10年前くらいの商店街の雰囲気を持ち続けている感じ。
天理教関連の品物が多いのもこの商店街の特徴で、祭礼服(て言うのかな?知らないけど)とか、教祖様の本とかが売られている。
商店街を抜けると左手に巨大な神殿がある。もちろん天理教のもの。
ここまで歩いて驚くべきは、遊んでそうな若者がうにとみりん以外いないって所。
10時過ぎという時間ながら、ふらふらしゃべりながら歩いてたりする子がいない。茶パツの青年や金髪に赤ジャージのヤンキーが、黒はっぴ着て歩いてたり、
Yシャツにネクタイの20代青年が神殿前の道路掃き掃除してたり、麦わら帽に青い作業服の女子高生が歩道の花壇の手入れをしてたりする。
・・・・・・うにとみりん、ちょっと申し訳ない気分。でもちょっとだけ。
本当にねえ、前も書いたけども宗教の力て本当にすごいですよ。
天理駅から15分程度で石上神宮に到着。ここもいぜんとはほぼ変わらず。鶏が歩いたり寝てたりする。
今回の旅の無事を祈願した後、正面の入り口からまっすぐ進んだ所にある、山辺の道、奈良方面への道しるべに従って進む。
山と天理教関連の建物の間の舗装されていない田舎道を歩いていく。両脇には雑木林。
しばらく行くと「東海自然歩道うかい路」の大きな道しるべ。でもぱっとみそのまま進んでも大丈夫そうなので、気にせず進む。
しばらくは大丈夫だったけども、途中から雑草が結構はびこってきて、道がほとんど見えなくなる。うかい路はこのせい?
でも要所要所に自然歩道の道しるべが設置されていて迷うほどではないので、なんとか。畑の横を抜けて農道みたいな舗装された道に脱出。
天理東インターチェンジにつながる道路を少し歩き、少し逸れてまた田舎道。
そこを歩いていくと、きれいなしょうぶがたくさん咲いているのを発見。
看板があるので見てみると「しょうぶ園・天理高校農事部」とある。結構広く、6割方咲いていてちょうど見頃。
テーブルセットがあったので休憩がてら鑑賞してると、横を天理高校生らしい長靴姿の少年たちが自転車で通り過ぎていく。
そこから竹林の中の急な坂を上って、また降りて、少しすると名阪国道が見えてくる。
その付近は完全に舗装された道を歩く。結構広い道だけど車道・歩道の区別はない。
名阪国道の下をくぐってそのまま北上すると、すぐに白川ダムが見えてくる。
ちょうど12時くらいだったので、そこの屋根付き休憩所でお昼ご飯。
日差しはきついけど風があったので、日陰にいるとかなり快適。
おなかもいっぱいになって、元気いっぱい。さらに先へ進む。
ダムからまた歩道のない道を行く。
T字路に出るが、右側は広い車道にしっかり歩道が付いているのに車は進入禁止らしい。ガードレールが立っていて進めないようになっている。
気にせず右を進んだけど、さっき調べてみるとこの辺りは公園整備中で暫定ルートになってるらしい。左側を迂回路として指定してました。
右は車は通らないは道は広いはでちょっといい気分。
でもふと見てみると、先の方でかげろうがゆらゆら揺れている・・・。暑い。本当に暑い。
午後からは雨との予報だったので持ってきていた折りたたみ傘、ここでは日傘代わりに差していました。
この大きな車道の行き止まりには天理教のフェンスがいっぱい並んでいて、うち一つだけはずされて人が通れるようになってました。
本当は天理教の私道で、通っちゃダメだったんですかね・・・。
そこからまた細い田舎道を進み、ため池の横にちょうど弘仁寺への参道入り口がある。
こちらからだとちょうど裏参道に当たって、別に山門とかはない。でも石段が続いている。
あがりきると驚く事にいっぱい人がいた。2・30人くらい。皆座ってお昼ご飯中。
格好からしてハイカーなんだろうけど。中年の方ばかりでした。
そこに賽銭箱みたいなのがあって、入山料200円とある。払おうとしたけど細かいのが150円しかない。たぶん許してくれるだろうと、150円だけ払って中へ。
弘仁寺は本尊が虚空蔵菩薩で、男の子が十三歳になると虚空蔵さんや文殊さんにお参りする、「十三参り」で有名。
でも規模的にはそれほど大きくないので、それ以外の時は結構閑散としているんじゃないかと思われる。
弘仁寺を後にして、先に進む。
途中柳茶屋というバス停のあるT字路がある。でも果物屋さんがあっただけで茶屋はない。だまされた気分・・・。
ちなみにこのT字路を右に進むと、正暦3年(992年)に開かれた正暦寺がある。
でも今回は「お昼までにこのT字路に着いてたら寄る」と決めていて、この時点で1時過ぎだったので寄らず。
山の中の車道を3kmくらい歩かなければならないらしい。ガイドなどによると、弘仁寺から徒歩50分。時間があれば寄りたかったんですけどね。
T字路を左に、住宅地の中を歩く。と言っても、やや古い家が多い。
実はこの道はうにが前に勤めていた会社で、抜け道としてよく通っていたのでとても懐かしい感じ。
抜け道だけあって車1台半分くらいの幅しかないのに結構車が通る。要注意。
溜め池がいくつか点在してる所を過ぎると、異様なくらい敷地の広い邸宅(としか言いようがないでかい家)が密集した地区を抜けて出るのが県道188号線。
東海自然歩道はここを県道沿いに北上するんだけど、これを西に進むとあるのが帯解寺。
普通の住宅地の中に地味に建ってるんだけど、中に入ってみると結構奥行きが広いのがわかる。
しかも参拝客がいっぱい・・・と言うわけではないんだけど、次から次に来る。
中ではご祈祷の順番待ちの人が何組か座ってたり。やっぱり有名という事なんだろう。
satoさんへお守りを購入し、せっかくだしと絵馬を奉納しようと思って書いていると、突如雨が降り出した。
かなり大粒で、だんだん激しくなり、しかも雷が鳴り響く(左画像参照)。
お寺の横の、縁側にみりんと二人身を寄せ合って避難してると、お寺の女性の方が見つけてびっくりして、中で雨宿りしたら?とあげて下さった。本当、感謝です。
お寺の人の家の部分を通らせてもらって、ご祈祷待ちの人用の座敷で雨宿り。少し肩身が狭い・・・。
そこで待つ事10分か20分。3時前までの足止め。
雨もやっと小降りになってきたので、お礼を言って、絵馬を奉納してからお寺を後にしました。
再び山辺の道まで戻って、すこし進むと円照寺がある。
ここは大和三門跡の一つに数えられた尼寺らしいが、非公開寺院のため通過。
狭いのに交通量の多い県道から脇に逸れて、崇道天皇八嶋稜の前を通る。
ここは暗殺事件で無罪の罪を着せられた早良親王のお墓。近くには取り除くと祟りがあるという巨石があるらしい。でもどれがそうかわかりませんでした。真ん前のお花添えられてたのがそうだったのかな?
ちなみにこの辺りから一人の同行者ができる。
と言っても一緒に進んだわけじゃないんだけど。
中年の男性が一人、同じ道をずっと進んで行く。
どう見ても地元の人という格好ではないし、観光客が迷い込むような道ではないのでその人も山辺の道を歩いてるらしい事が想像できる。
結構後の方まで見かけました。でも会話はまったくなし。一人で歩いてて寂しくないのかな?
しばらく田植え終了したばかりのたんぼの横を歩いた後、仔鹿園という保育園手前の道を雑木林の方に入っていく。
ここで今回最大の難関が。
先を歩いていた前述の男の人が立ち止まって地図を見てるので何かと思うと「笹で道がなくなってる」との事。
ちなみにこれがその人と話した唯一の会話(笑)。まぁ、それはいいとしても、ぱっと見本当に道がない。
道の横の笹が伸びて、道に覆い被さってしまってる様子。
笹くらい刈っててよ!!東海自然歩道って指定されてる道なのに、道がないなんて!!!!!
でもそんな事でへこたれないのがうに&みりん。
被さってる笹を傘でちょっとよけると足下が見えるので、笹をかき分けてわさわさ進む。先ほどの雨で足が冷たい。
わっさわっさと10mほど進むと笹ポイントは脱出。でもその先も雑草が結構伸びた道を上らされたりで、靴はぐじゅぐじゅ、ジーンズも重たいくらい濡れてしまった。
一応笹ポイントを抜けた所で男性に「抜けれましたよー!」と大声で知らせる。
でも別に助けたりはせず(笑)。いやいや、いい年したおじさんだったからね。大丈夫でしょ。
しばらくは何事もなく、歩くたびに「ぐじゅっ、ぐじゅっ」と言わせながら進んでいく。
奈良春日病院をすぎ、高円山ドライブウェイへの道を横断すると、道は山の中へ。
ここもね、全然整備してなくて最初道わかりませんでした。
落ち葉が降り積もってどれが道かわからない。ぱっと見道しるべもない。
「こっちぃ?あってるのかな??」と言いつつ上ってちょっと進んでみるといつもの道しるべがあったので、やっとそっちだとわかりました。
詳しく言うと、ドライブウェイへの道沿いにちょっとした工場というか、個人の修理屋さんみたいなのがあって、そこからほぼ北西にあたる斜面を登ると道しるべが見えるはずです。
そういえばここでさっきのおじさん、追いついてきてました。笹ポイントを何とか抜けたんでしょう。
山の中をちょっと歩いて行くと、白毫寺の裏に出るので、このお寺の横を抜けて、正面に出ます。
白毫寺、奈良では萩で有名な花の寺。
山門までの石段の両脇もずっと萩が植わっていて、見頃の秋になると観光客でいっぱいだそう。
境内は小さい石仏が何体もある。本堂に入るのに靴を脱いであがったら、靴下が濡れていて足跡がぺったり・・・。すいません・・・(汗)。
本堂の裏手にある宝蔵では珍しい閻魔(えんま)像やその眷属の木像がある。
閻魔像は見てると迫力があって、本当になんでも見抜かれてるような「すいません!!」て思わず謝ってしまうような(何か後ろ暗い事があるのか?)そんな雰囲気を持っています。
宝蔵の横辺りからは奈良市内が一望でき、眺望はなかなか。県庁や興福寺五重塔も見えました。
白毫寺を出てしばらく歩くと新薬師寺に到着!する予定だったんだけど、いつの間にか通り過ぎてたらしい。
気付いたら道しるべの矢印が後ろ向きになっててびっくり。
住宅地の中を歩いていくと、柳生への道しるべ。その反対方向は・・・春日大社!
ここは!2002年に滝坂の道を歩く時に通った道!!(旅日記参照)
つながった!つながりました!!
北の、木津川から柳生を抜けて滝坂の道、今回の山辺の道北と山辺の道南側。
直線距離約60km。寄り道、高低差考えるとたぶんもっとですが、この長さを踏破ってめっちゃ嬉しい!やったぞーーー!!!
以前曽爾高原は歩いたので、桜井から曽爾まで歩けばもっとつながるんですが、この間って見所が少なく山の中なのでちょっと尻込みしてるんですよね。
でもせっかくだしつなげたい。予定組もうかな。
東海自然歩道からはずれて奈良中心部へ。
途中志賀直哉旧邸前を通る。前に来た時は高校時代の遠足でしたが、その時はなんと定休日で入れませんでした。
今回はもう5時過ぎて諦めてたら、5時半まで開いてて5時15分まで入れるらしい!時計を見たら5時18分。遅かった・・・。
ちょうどこの旧邸の小道挟んだお隣さんでやってるカフェテリア、たかばたけ茶論を発見。
趣のある土壁の中に入ると、温室みたいなガラス張りの喫茶室と庭内に広がるオープンテラスがある。
雨上がりで外の椅子が濡れていたので、中で紅茶とケーキをいただく。
おいしかった。雰囲気もかなりいい。おすすめです。
それから奈良駅まで歩いて、近鉄で帰るみりんと別れてJRへ向かう。
今回は道が非常に悪く、にわか雨に足止めをくらい、大変でした。
でも長い距離をつなげて踏破できたのがやっぱり嬉しかった。
もっと歩いてもっとつなげたいなという気持ちが強くなりましたね。
本格的に暑くなる前にまたどこかに出かけたいです。
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