ママが かいだんを あがってきて、
ふたりいっしょに おりていった。
 もう あさが きていた。
クマさん、ヒツジさん、
デカウサギちゃんの3にんは、
もとの ヌイグルミに もどっている。
 しばらくして、パジャマから、
赤(あか)い トレーナーと
黒(くろ)の スパッツに きがえた
ふうちゃんが 2かいに あがってきた。
「クマさんと ひつじさん、したへ いこうよぉ」
そういって ふたつの ヌイグルミを
りょう手(て)に かかえて、
エッチラオッチラと かいだんを おりていった。

 ママが リビングルームの ドアを
うちがわから あけてくれた。
 リビングに はいると、
そこは もう あさの ひかりで みちていた。
そして その おへやには、
クリスマスの かざりつけが してあった。
ゆうべは まだ なかったのに。

 クリスマス・ツリーが かざってあり、
チカッチカッと ひかっている。
赤(あか)い フェルトの くつが かけてあり、
きれいな おはなも かざってあった。
「きょうは、クリスマスやねんでぇ。
 よるに なったら、サンタさんが くんねん。
 ふうちゃん、うれしいー。
 クマさん、だいすきー。
 ヒツジさん、だいすきー。
 みんなで いっしょに、
 クリスマス しようねぇ」
ふうちゃんは とても うれしそうに、
りょう手(て)に かかえた
クマさんと ヒツジさんに、
じゅんばんに ほおずりを
なんかいも なんかいも くりかえした。

 つぎに ふたつの ヌイグルミを、
へやの まんなかに すわらせた。
それから ちいさな ピカピカの
さんかくぼうしを、
ふたりの あたまに かぶせた。
「クマさんも、ヒツジさんも、かっわいー!」
ふうちゃんは そういって、
キラキラする 目(め)で ふたりを みつめた。

「ママ、パーンしてもいい?」
「いいよ」
そんな はなしを して、
ふうちゃんは となりの へやへ
なにかを とりに いった。
そして すぐに、
となりの へやから かけだしてきた。
じぶんも ピカピカの
さんかくぼうしを かぶっている。
「メリー クリスマース!」
おおごえで そういいながら、
ドタドタっと
こっちに むかって はしってくる。
そして ふたりの ヌイグルミに むけて、
クラッカーを ぶっぱなした。
ママも おなじように
クラッカーを ならした。
「パン、パーン!」
こまかい テープだらけに なった クマさんは、
「こんなに しあわせな きもち、はじめてや」
そう思(おも)って、
むねの おくが ジワッと
あつくなるのを 感(かん)じた。
よこ目(め)で そっと うかがって みると、
となりに いる ヒツジさんの 目(め)が、
いっしゅんだけ キラッと ひかった。

 ふたりの ヌイグルミには、
ちょっと はずかしいくらいの
こんな はれやかな きもちは、
うまれて はじめての ものだった。
家族(かぞく)の
あったかい きもちを 感(かん)じて、
むねの おくが ジーンと あつくなるのも、
はじめての ことだった。

 でも、つぎの しゅんかんには、
クマさんは、つぎの 役(やく)について
しんけんに かんがえはじめていた。
どんな しゃべりかたを しようか、
年(とし)は いくつくらいで、
どういう クセの ある ヤツに しようか。

 そう、つぎの 役(やく)は、
年(とし)を とった トナカイだ。
サンタクロースの 役(やく)は、
ヒツジさんが とるに きまってるから。




    −−− おしまい −−−


クリスマスのおへや
トナカイ

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