古墳を造る







土を掘り、運ぶ

土を掘るためにスキとクワの2種類が基本の道具になります。
採土場である濠からモッコに土を入れオウコ(天秤棒)でかついで運びます。
足りない場合は外部から土を運びます。
また自然の小山を利用して、とりこみ墳丘をつくる場合もあります。



墳丘を築く

墳丘に土が運ばれてくると平グワやえぶり形の道具(長方形の板に柄をつけた水田用の道具)をもった人が土を平らにならし、余分に積もったところの土は木箱やムシロにのせて、ひっぱるなどして少し移動させます。
したがって墳丘の土は、ほぼ水平ではあるものの短い範囲で切れては、その上につぎの層がかさなっています。
一方斜面の部分には特に良質の土を用い踏み固めたり、つき固めたりして傾斜をそろえていきます。
そして要所に打ってある基準になる杭で高さや距離を確認し、長方形の木槽に水をはってその面で水平であるかを確認します。
後円部の頂上には水平で平坦な面が築かれ、くびれ部から南端の最高所に向かってゆるやかな傾斜のある平な面が築かれます。
土を積んでいくとき、ちがった種類の土を交互に敷いてつき固めていく「版築」(ばんちく)といわれる方法が用いられることもあります。




葺石をはる

それぞれの段の平面な部分は土がむきだしのままであるが、斜面に猫や犬の頭ぐらいのおおきな礫を用い、すきまなく石をはりつけていきます。
このように、斜面を石でおおい墳丘全体を保護するための斜面工法を「葺石」(ふきいし)とよんでいます。
水面が墳丘に接するあたりには、風波に絶えられるように大きめの葺石をほどこしています。



埴輪を用意する

埴輪というと人物、動物、鳥、家、船など実在するものを模倣した形象埴輪があり
古墳時代のほぼ最初から円筒埴輪と朝顔形埴輪が大量に墳丘にめぐらされてきました。
中期古墳で大量に使われたのは、円筒埴輪と朝顔形埴輪とキヌガサ埴輪(貴人にさしかえて
太陽をさえぎる傘を模倣したとおもわれる埴輪)です。
いろいろな巨大古墳の例から判断すると円筒埴輪と朝顔形埴輪9本に1本の割合でキヌガサ埴輪
を列の外に配置します。円筒埴輪と朝顔形埴輪の割合は古墳によって決まっていません。
また埴輪づくりはたいてい、古墳群内の近くに窯を築いておこないます。



石棺を運び、石室(竪穴式)にすえる

石棺の加工を輸送の途中で傷がつくこともあるので8分どおりの仕上げにとどめて
粗削りのままで送ります。
水路がある場合は、イカダにのせ船でひっぱりながら海岸沿に目的地に運びます。
陸上で運ぶときは、道すじの足場を固めてから木製の大きな修羅にのせて運びます。
後円部では、石室をつくるために石棺の大きさにあわせて墓穴を掘ります。
石室の準備が出来るとふたたび修羅に石棺をのせ、後円部の頂上に引き上げていきます。
この搬入路は、段の端を完成させずに切り通しにしてあり葺石もはりつけていません。
そして墓穴の底の土を固め、その上に石棺を組み立ててすえつけます。
そして石で壁をつくり、板石を上に数枚重ねて天井をかけると完成します。
ただし天井の上には、まだ粘土や土をかぶせずに埋葬の日にそなえます。
(1978年に三ッ塚古墳から出土した修羅)



前方後円墳の完成

石棺に遺体を埋葬し蓋をすると遺物を置き石室に天井石をかぶせ粘土や土をかぶせます。
そして通路の部分をとり埴輪や葺石で整え土橋を取り除くと完成です。


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