強大国である秦の昭王は、
趙の国の恵文王(けいぶんおう)が持っていた「和氏の璧(かしのへき)」
というすばらしい宝の玉が、欲しくて欲しくて仕方ありません。                
とうとう昭王は、趙の国に使者を送り、
「璧」と「15の都市」との交換を申し出ました。
恵文王は、

  (秦の国は、いずれ我が国を滅ぼそうとしているはずだ・・)

と、わかっているので、昭王の申し出を信用することができません。
素直に「璧」を差し出せば、都市との交換の件をうやむやにされるかもしれないし、
かといって、断れば、それを口実にして一気に攻めてくるかもしれません。

恵文王が困っていると、相如(しょうじょ)という人物が申し出てきました。

  「私を使者にしてください。
   交換条件がうまく成立すれば、「璧」をおいてきましょう。
   交渉がうまくいかないときは、無傷のまま「璧」を持ち帰りましょう。」と。

そして、相如は秦の都へ向かいました。
早速、「璧」を手渡すと昭王は大喜びしましたが
案の定、交換条件は知らん顔です。
そこで相如

  「実は、その玉には小さなキズがありまして・・」

と申し出て、説明するふりをして
その「璧」をさっと手にするやいなや、後ろの柱まで一気に下がりました。

  「あなたは、都市との交換のつもりがないようなので、
   この「璧」は私が持ち帰ります!
   それをお許しなさらないのなら、
   私の頭もろとも柱に打ちつけて砕いてしまいますよ!」

と叫びました。
昭王は、相如の気迫に押されて、「璧」とともにそのまま帰国させました。
そうして、
璧は完全なまま恵文王の手元に戻った、ということです。

   ■参考 和氏の璧


完璧
<かんぺき>

完全で欠けたところがないこと。

●原義は、借りたものを無事に返すという意味だった。
●「これで完壁だ。」と安心しているあなた!
 完璧の「璧」の字が「壁(かべ)」という誤字になっています。
 それでは、完璧とはいえません(笑)。


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