楚の国の和氏(かし)という人が、楚山で玉の原石を見つけました。 さっそく、脂、(れいおう)に献上しました。 ところが、「どこにでもある石だ」と鑑定されて、 だました罰として左足を斬られてしまいました。 脂、亡きあと、次の武王に献上することにしました。 ところが、同じように鑑定されてしまい、 今度は、右足を切断されてしまったのです。 その次の文王の天下になっても、和氏はその玉を大切に抱えていました。 血の涙を流し、泣き続けていたある日、 和氏の噂を聞きつけた文王はその泣いているわけを尋ねました。 「私は足を斬られたことを悲しんでいるのではありません。 これほどの宝玉をありふれた石だと決めつけられ うそつきにされてしまったことが泣き続ける理由なのです」 と答えました。 そこで文王が、玉造という職人にその原石を磨かせてみると、 なんともすばらしい宝玉が誕生したのです。 この玉は、秦の昭王が15の都市と交換しようと申し出たこともあったので 「連城の璧」とも呼ばれています。 ■参考 完璧 |
「和氏の璧」<かしのへき> 天下の宝玉(ほうぎょく)。 |