Angel Sugar

「チェンジプレイ」 (140万ヒットキリ番リクエスト)

タイトル
 名執のマンション前で、リーチは自分の姿を磨かれたガラスに映して、満足げに笑みを浮かべた。ジャックに無理矢理着るように言われた時はかなり困ったのだが、よくよく考えると滅多に着られない儀礼用の制服だ。
 時折刑事ドラマで出てくる、この儀礼用の制服は首元から肩にかけて組みひもが斜に流れ、肩のところで纏まっている。金ボタンの細工は見事としか言いようがない。かっちりとした形はどこかストイックだ。
 自分でもなかなか男前だと思ってしまうほど、この制服は身体にフィットしていた。
「よし。行くぞ」
 ガラスをのぞき込んいた身体を起こし、リーチは早速入り口の自動ドアを開けて入り、吹き抜けのエントランスホールを、うきうきしながら歩いてエレベーターに乗る。
 エレベーターの中にはマンションの扉を開けるキーカードを差し込む口があり、リーチが持っていたキーを突っ込むと、エレベーターの扉が閉じて動き出した。



「リーチ……格好いいです」
 リーチの姿を見た名執は開口一番そういって、こちらの袖を掴んで嬉しそうに微笑む。
「だろ?お前に見せてやりたかったんだ。こいつを着る機会はまあねえし……」
「たとえば、どういうときに着るんですか?」
 相変わらず名執はにこにこした顔でリーチの姿を見つめている。
「そうだなあ……警備で外交関係でお偉いさんの近くで、テレビに映りそうな場所にいる場合とか、警視庁の行事や、結婚式とかかな……でも俺は警備に関係ない課だから、大抵結婚式だな」
「……そうですか。なら、本当にこんな機会でなければ着ることが出来ない服装だったのですね……」
 どこか寂しそうに名執は言った。男同士で結婚式など出来ないことを良く分かっているのだろう。
「……ウエディングドレス着たいか?」
「……嫌です。それは気持ち悪いです」
 本当に嫌そうに名執は言う。いくら見た目が女性っぽく見られがちの名執とは言え、やはり男性で、ウエディングドレスが似合うとはリーチも思わなかった。
「俺も思う。そりゃやりすぎだよな」
「そんな話より、写真取りませんか?私はいまのリーチの姿を撮っておきたい」
 こちらの返事を待たずに名執は戸棚からデジカメを取り出した。そうしてリーチの方にカメラを向けるので、一応にこりと笑って見せた。
「リーチ……敬礼ってポーズ取ってください。私、すごく好きなんです。こう、格好いいでしょう?」
 レンズをのぞき込むのをやめて、名執は顔を上げる。
「え、あ……あれなあ。俺、敬礼は恥ずかしくてあんまりやりたくねえよ。警官の頃はそう思わなかったけど、私服になってから一度もやってねえし……」
 鼻を擦りながらリーチは言って、ソファーに今まで以上にだらしなく座った。リーチはかしこまったポーズが元々嫌いだったのだ。  
「……お願いします。ね、リーチ……」
 すり寄る名執に気分を良くしたリーチは、いそいそと立ち上がると警官の時によく取った敬礼のポーズを名執に見せた。
「かっこいいです……」
 ほおっというため息に似た感嘆の声をあげ、名執はじっとこちらを見たまま頬を染める。デジカメで何をしようとしていたのか忘れているようだ。
「写真取るんだろう?早く撮ってくれ。照れくさいんだよ……」
 カメラを意識した表情のままリーチが言うと、名執は慌ててシャッターを切った。
「本当に、本当にかっこいいです」
 パシパシと何度もシャッターを下ろして名執は言う。だが、リーチは名執がシャッターを下ろしている最中に、またソファーに座り込んだ。
「あ、駄目です。もっと撮らせてください」
「もういいよ……」
 苦笑してリーチは身体を伸ばした。そろそろこの制服を着ているのが嫌になっているのだ。かっちりとした制服はそれだけで窮屈だ。
「あの……最後に一緒に撮りませんか?」
 窺うような名執の言葉にリーチは頷いた。
「敬礼は無しな?」
 テレビの上にデジカメを置いて自動でシャッターを下ろすように設定している名執にリーチは言った。
「構いませんよ。私はかっこいいリーチと一緒に映ることが出来るだけで嬉しいんですから……」
 かっこいいか……
 自分がかっこいいと思ったことはないが、連呼されるとなにやら気分が良い。
「じゃあ、一緒に撮りましょう」
 ぱたぱたとリーチの所まで名執は戻ってくると、笑顔のままリーチの隣に座る。暫くするとシャッターが下りる小さな音が響いた。
「もう一枚撮りますから座っていて下さいね」
 名執は嬉々として、初めて玩具を買ってもらった子供のようにはしゃいでいる。こんな名執を見ているのはリーチは好きだった。
「どうせならぴったりくっついたのも撮ろうか?」
 カメラの設定を終えて戻ってきた名執を引き寄せて、リーチは言った。
「ええ。もちろん」
 満面の笑みで名執は答える。
 そうして何枚もデジカメに二人の姿を納めてから、中身を確認するためにパソコンを立ち上げた。
「素敵なリーチが撮れたと思います」
 わくわくしながら名執はパソコンのキーを叩いて、今撮った写真をデジカメからパソコンに取り込む。
「そうかなあ……でもまあ、滅多にないことだしなあ……」
 とはいえ、リーチも心の何処かで格好良く映っている自分を想像して、気分が良かった。
「あ、出てきました」
 画面にリーチが敬礼をしている画像が現れると、名執はまた頬を赤らめた。だが、リーチが見る限りそれほどかっこいいとは思わなかった。
 なんというか、お子さまが制服に着られている……そんな写真だったのだ。
「……うーん……なんか……どうでも良いってかんじ……」
 言葉には出さなかったが、リーチはやや落胆していたのだ。自分が想像していたかっこよさとはほど遠かったから。
「そうですか?私は……これを見るたびにリーチに惚れ直します」
 リーチの気持ちなど分からない名執は一人で興奮している。
「……ふうん。あっ……こいつは……捨てろよ」
 二人で映っている写真を見て、リーチは思わず言った。
「え?何が問題なんですか?」
「……俺……七五三の写真はいらないよ……」
 そう、二人で映った写真はどう見ても七五三だったのだ。母親が息子の成長を喜んでいるような名執の表情に、制服に着られたリーチがかしこまって映っている。これでは恋人同士には見えない。
「ええっ!かっこいいじゃないですか」
 名執は相変わらず、目にフィルターでもかかっているような言葉を言う。
「……かっこいいか?……俺はそう思わないけどな……」
 プイとパソコンの画面から視線を逸らせてリーチはまた、ソファーの所に戻って腰を下ろした。
「……気に入らないんですか?済みません。私の腕が悪いんですね……」
 シュンと肩を落とした名執に慌ててリーチは言った。
「違うよユキ。ほら、俺って童顔だろう?だから誰が撮ってもそんな風になるんだぜ、きっとさ。お前の所為じゃないって……。ていうか、俺の顔って本当はこんなんじゃないんだけどなあ……」
 数度見た、本当の自分の顔はもっと大人びていて、男前だったと思うのだ。だから利一の顔がリーチは嫌いだ。
「ほら、きっと、その制服が悪いのかもしれませんよ。もちろん、制服もかっこいいですけど、それが悪いんですよ」
 あれほどかっこいいと褒めていた制服を、そんな風に言う名執は、リーチに気を使っているのだろう。
「……そか……うん。あ、お前も一度着てみるか?お前もお子さまに見えるかもしれないぜ」
「え?私がですか?いいですよ……きっと似合いませんし……」
 驚いた表情の次に、困惑した顔で名執は答えた。だが既に制服を脱ぎにかかっているリーチは、名執に着せてみようと決めていた。
「ほら、お前も着てみろよ。こんな機会ねえぞ」
 脱いだ上着を名執に渡し、今度はズボンを脱ぐ。
「……はあ……そうですね……」
 どうしようかと迷っているようだったが、リーチが言い出したことで名執は仕方なしに上着を脱ぐと、シャツの上から制服の上着を羽織った。
「……お前の場合……なんていうか……本当に似合わないな」
 名執の優しげな顔には制服はどうも似合わない。とはいえ、折角だからズボンも履いてみるように言った。
「リーチ……なんだか……その……大きいです」
 リーチより細身の名執には制服は大きすぎて、あちこち布が余っている。しかし、手足だけは衣服よりも長く、妙な具合になってしまった。
「……なんか……俺の手足が短いみたいで腹立ってきた……なんでお前が着ると袖が短いんだ?俺には……一応ぴったりだったのによ……」
 ブチブチと文句を言うリーチに名執は言った。
「……きちんと着られていないからだと思うんですが……。そんなに気になるのでしたら、私の服を一度着てみてください。ちょっと窮屈だと思いますが、手足が余ること無いと思いますよ」
 ユキ……
 それはフォローか?
 なってねえと俺は思うんだけど……
 とはいえ、ここでそれを言うと名執は落ち込むに違いないのだ。だが、名執の服は横幅が合わない。というより、小さい。合わせるにしてもシャツなどでは無理だろう。
「あ、お前の白衣を着てみるか。あれがお前の制服みたいなものだし……」
 それだと名執を傷つけないだろう。
 リーチはベランダに走り、干してある白衣を掴むとまた名執の元に戻った。
「……な?これだとよく分かるよ」
 パンツ一枚の姿でリーチは白衣に袖を通す。すると上手い具合に袖が短かった。
「ほらな?」
 白衣を着て名執に見せると、何故か顔を赤らめた。
「ん?なんだ?」
「……あの……もう、変態おじさんは無しですよ……」
 視線を逸らせて名執は首まで赤くしている。そういえば、以前、名執をからかうのに、リーチは素っ裸の上に白衣を着て名執の前に立ち、前を開けて見せるという行為をしたのだ。それを名執は今思い出しているようだ。
 あ~
 そんなこともやったか……
「はは……そういや、やったなあ……」
「……じゃあ、汚したらいけませんので、私、これ脱ぎますね」
「写真は撮らないのか?」
「いえ……私はご遠慮します……」
 言いながら名執は前を止めていたボタンを外していく。その下に見えるのはシャツをきっちり着込んだ名執の胸元だ。
 シャツに隠されて見えない部分がリーチは見たくて仕方がない。
「お巡りさん。何処か悪いところは無いですか~」
 がばっと名執の上にのしかかり、床に押し倒すとリーチは言った。
「……駄目ですリーチ。私の白衣は汚しても構いませんが、この制服は駄目でしょう?」
 ジロリと睨みながら名執は言う。
「あ、どうしたんですか?ここ……腫れてますねえ。何か病気かもしれませんよ」
 リーチは名執が制する言葉を無視し、シャツの上から胸の尖りを揉み上げた。すると組み敷いている身体が一度だけ震える。
「リーチっ!」
 名執は怒っているのだが、全く迫力など無い。
「お巡りさん……腫れているところにはどういうクスリを塗って差し上げたら宜しいですかねえ……」
 ニヤニヤと笑いながらリーチが更に言うと、名執は目を見開いてこちらを見ると、次に顔を背けて、更に顔を赤くした。
「どうなんですか?」
「……せ……制服を脱いでからにして下さい……」
「そうでした。診察をするのはきちんと前を裸にしないとね」
 言ってリーチがシャツのボタンを外し、名執の胸元をはだけると、ぷっくりと二つの尖りが立っていた。
「ああ……腫れてますよ。何か悪い病気かもしれません」
「……リーチ……その……妙に丁寧に話すの……止めてください……」
「どうしてですか?私、医者ですよ」
 笑いを堪えながらリーチが言うと、名執はチラリとまたこちらを見て、何か言いたげな表情をむけてきた。
「汚しますよ?」
「クリーニング出せばいいんだって」
「……そういう、問題ですか?」
「そういう問題だよ。俺は今医者なんだ」
「……変態……」
 小さな声で名執が言ったが、もちろん、リーチがその言葉を聞き逃すことはなかった。
「ここ……腫れて痛そうですね」
 意地悪な手つきでリーチは名執の尖りを指先で弄んだ。すると名執はキュッと目を閉じる。
「……や……です」
 そう言いながら、名執の顔は紅潮しているのだから、説得力などないだろう。
「どういったクスリをお望みですか?」
 グリグリと指先で押しつぶしながらリーチは更に聞いた。
「……あっ……あ……や……」
「腫れて痛いんですね。何を塗ってあげたら楽になるのかちょっと考えてみないと……」
 ギュウッと先を引っ張っる。
「あっ……リーチ……っ……!」
「おら、どうして欲しいんだよ。言え」
 身体を屈めて名執の耳元でリーチは言う。
「……貴方の……」
「私は医者です~」
「……せ……先生の……」
「なんでしょう?」
「舌で舐めてください……クスリは……だ……唾液が良いです……」
 消え入りそうな声で名執が言った。
「分かりました。クスリですね」
 くすくす笑いながらリーチは言い、名執の胸元を舌で舐め上げた。すると膨らんだ突起に唾液が絡まり、左右に揺れ、リーチを誘った。
「……あ……あっ……リーチ……」
 胸元を舐めるリーチの頭を抱えるように抱きしめて、名執はよがった。快感に素直な名執は、とても愛らしい。
「お巡りさん。ここも腫れてきましたねえ……どうしました?」
 次にリーチは名執の腰元に手を置いて、その下にあるモノをさすり上げた。
「……っ……や……」
「痛いんですか?」
 分かっていながらリーチが言うと、名執は顔を左右に振った。
「じゃあ、ここはどうしましょう?」
 グイッと掴んでいる場所に力を込めてリーチが言うと、名執は己の手を伸ばしてチャックを下ろし、自ら膨らんでいるモノを外にさらけだす。
「……な……舐めて……」
 名執の声が震えている。
「……何をでしょう?」
 分かっていながらも、リーチはそう聞く。
「……それ……」
「それって?」
「……私の……」
 じわりと瞳を覆う涙が、羞恥を耐えた末のものであることをリーチは理解していたが、こんな美味しい遊びを止めるつもりはない。
「私の?何ですか?」
 にっこりと笑みを向けてリーチは言った。
「……ぺ……ペニス……」
 羞恥心で身体まで赤くした名執は、ようやくそう言った。
「ペニスをどうするんですか?」
「……貴方の……」
「私は先生です」
「……先生の……口で……私の……ぺ……ペニスに……く……クスリを塗ってください」
 目に一杯涙をためて名執は必死に言う。その姿はこちらの腰元までもどうしようもなくさせる。
「お巡りさんはあちこち腫れているんですね。分かりました。私の口で薬を塗ってあげましょう。ちゃんと立てていて下さいよ」
 リーチが言うと、名執は自分の手で己の欲望を支えて息を吐く。そこにリーチは口元を近づけて舌でペロリと先を舐めた。
「……っ……あ……」
 名執の声に、リーチはもう一度、先端を舌で舐める。
「……リーチ……っ!」
「先生です」
「……せ……先生……口に……入れて下さい……」
 絞り出すような声で名執は言う。
「口に入れるんですか?入れてどうして欲しいんです?」
「……や……」
「や、じゃねえよ。ちゃんと言え」
 名執のモノを指先で弾きながらリーチは言った。
「……す……吸って」
 言われたとおり、リーチは名執のモノを口に含むと、口元で吸い上げる。
「……舐めて……」
 吸い上げた後は、舐め上げる。
 繰り返し、刺激を与えていると、名執が喘ぎながら声を上げた。
「……あ……あっ……いい……やめ……止めないで……」
「止めませんが、他にどうして欲しいです?」
「……もっと……きつく吸って……」
「こうですか?」
 口一杯に含み、口内で吸い上げると、名執の身体はがくがくと震え始めた。ここまでくるともう名執も理性を飛ばしているはずだ。
「……んっ……あ……あっ……もっと……吸って……もっと舐めてっ!」
 瞳から快感の涙を落としながら、名執は叫ぶように言った。応えるようにリーチは何度も名執のモノを口を使って擦りあげるが、途中で止める。
「あ……はあ……は……や……止めないでっ……リーチ……」
「先生です」
 笑いながらリーチはそう言って、名執のズボンを引っ張って脱がせた。別に汚してもいいのだが、ズボンを履かせたままだと、一番のポイントが突けない。
「……せ……先生……」
 妖しい瞳をこちらに向けて名執は薄く開いた口元でそう言う。妖艶とはこういうものも指すのかもしれない。
 こんな瞳で見つめられた日には、一日励んで満足させてやるしかないだろう。
「なんでしょう?」
「……後ろも……触って……」
「前も後ろも同時に治療できません。ご自分で治して下さい。ああ、こっちは私が支えてあげますから……」
 名執の両足を抱えてリーチが言うと、名執は泣きそうな顔をする。しかし、自分のモノを掴んでいた手を離すと、言われたとおりに後ろに回した。
「……あ……でも……私……」
「忙しいんですよ私も。お巡りさんもご自分で努力して下さい。後でちゃんと見てあげますからね……」
 チュッと名執のモノの先端に口づけてリーチが言うと、名執はそろそろと己の窄まった箇所に指を入れ始めた。
 こういう素直な名執がリーチは好きだ。羞恥に身を焦がしながら、それを耐えて自分で弄る姿は、押さえている己の欲望が更に掻き立てられる。
「……あ……あ……っ……や……あ……っ……」
 まだ残る羞恥心が名執の声だけに現れている。それでも己の後腔を弄る手を止めることはない。
「……ユキ……」
 名執の嬌態に思わずリーチは名前を口にしていた。
「入れて……先生の……ペニス……」
 はあっと大きく息を吐き出して名執は潤んだ瞳でそう言い、誘うように腰を揺らしている。こうなると、リーチも余裕をなくすのだ。
「……ああ……ユキ……」
「……早く……来て……柔らかくしたから……」
 ごく……
 口元で名執のモノをからかうのをやめ、リーチは更に名執の足を抱え上げると、己のモノを窄まっている部分に押しつけた。まだそれほど弛んでいない箇所ではあったが、腰に力を入れて押しつけると、ずるりと奥に入る。
 だが、かなり狭いのは仕方がないことだろう。それでも普段とは違う締め付けがリーチの欲望に火を付けた。
「……すげえよ……ユキ……」
 グイグイと締め付けてくる名執の内部は、リーチのモノをがんじがらめにする。だがそれも快感を煽るものでしかない。
「……ああっ……動いて……早く……」
 言われるままに腰を突き動かし、リーチは名執から伝わる締め付けを味わった。名執が己の下で悶えるのと同じように、リーチ自身も快感で我を無くす。その快感には底が無く、いつまでも味わっていたい心地よさは、この中でしか感じることが出来ない。
「……あっ……ああっ……ああっ……」
 二人は満足するまで、互いを貪り合った。

 事が終わると、名執は余韻を味わうのもそこそこに、身体を起こしてリーチに怒り出した。
「……んだよ……」
 気怠い身体を柔らかい絨毯の上に転がして、リーチは名執を見る。
「もう二度と私の白衣は着ないで下さいっ!」
 先程までリーチが着ていた白衣をしっかり手に握って怒っている。
「……あ?んだよ……お前も愉しんだんだろ。怒るなよ……」
「……り……リーチは良いかもしれませんが……わ……私は、この白衣を着るたびに……お……思い出すじゃないですかっ!」
 涙目で名執は言った。
「は?」
「……リーチの制服は借り物で滅多に着られないものでしょう?私は……白衣を毎日着るんですっ!そのたびに……思い出してしまうじゃないですか……」
 そういう弊害もあったか……
 名執が仕事中、今日の出来事を思い出して羞恥で顔を赤らめる姿を想像したリーチはまた股間が熱くなった。
「どうして勃つんですかっ!わ……私は……は……恥ずかしいです……」
「いいじゃん。お前が白衣を着るといっつも医者の顔になるの俺、気に入らなかったから、たまには仕事中でも俺のユキちゃん顔になるってのも、いいんじゃねえの?俺はその方がいいなあ~」
 リーチがへらへら笑いながら言うと、名執は肩を竦ませた。
 当分、名執が職場でリーチのことを頻繁に思い出すのだと想像すると、何故か嬉しい気持ちで一杯になった。
「……これ……もう……病院には持っていきません……」
 ぽつりといった名執の言葉にリーチは抗議の声を上げた。しかし、名執の意志は強くどうにもリーチの言葉に頷かない。
 まあいいか……
 一枚残らず、こういう思い出を作ってやればいいんだから……
 怒っている名執を後目にリーチはほくそ笑んだ。

―完―
タイトル

大槻様さまリクエストのちょっと特殊なエッチのリーチと名執です。本来のご依頼はたぶんもっと過激なものをされていたのだろうと思うのですが、いかんせん、技量がありませんでした。このあたりでお許しくださいね~(汗)。でも二人があまあまなのはご依頼通りかも(笑)。ユキは怒っていますがその理由にほほえましいものを感じてもらえたらいいなあ~なんて考えています。うふふ。
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