Angel Sugar

「恭夜、嫉妬する」 (300万ヒットキリ番リクエスト)

タイトル
 まるで天変地異でも起こったような事態がここしばらく恭夜を悩ませていた。珍しいと言ってしまえばそれまでかもしれない。いや、普通のカップルなら別段おかしくないことなのだろう。
 だが、相手はジャックだった。仕事で出張しているときなら分かるが、今は自宅にいる。しかも、仕事は恭夜よりも朝遅く出勤し、先に帰ってくる男だ。だからかどうか理由は定かではないが、体力が有り余っているのか、毎晩、精力を根こそぎ奪われるようなセックスをしていたのだが、ここしばらく触れても来ない。
 珍しいを通り越して不気味だ。
 ほんの僅かでも拒否をすれば余計に張り切るようなジャックが、おとなしいのだ。これでは恭夜ですら、気になって仕方ない。そのお陰で毎日爽快な目覚めを満喫しているが、二日も三日も続けば、何か企んでいるのではないかと考えてしまうのは当然のことだ。
 異常事態が五日続いたところで恭夜は口を開いた。
「なあ……あんた、どっか悪いのか?」
 清々しい朝を迎え、朝食のパンを頬ばりながら恭夜は目の前にいるジャックに声をかけた。
「いや。どうしてそんなことを聞くんだ?」
 読んでいた英字新聞を机に置き、ジャックは怪訝な表情を向けてくる。
「別に……なんでもないけど。あんた、どっか悪いのかな~なんて、ほんの少しばかり思っただけなんだけどさ」
 意味もなく照れくさくなって、恭夜は手に持っていたパンの欠片を口に放り込む。
「変な奴だな……」
 眉間に皺を寄せ、まるで不気味なものでも見るような表情でジャックは言う。
 違う……
 変なのはあんただろ?
 もごもごと口を動かしてパンを食べながら、恭夜は言葉も一緒に呑み込んだ。どうせ何か企んでいるに違いない。恭夜には想像もつかないことをジャックは心の中で密かに考えていて、恭夜が引っかかるのを待っているのだ。そんなものに易々と引っかかる恭夜ではなかった。
「ごちそうさま。じゃ、俺、先に出るから」
 恭夜が空になった自分の皿を持って立ち上がると、ジャックは指先を唇に向ける。キスをしてから行けと言う意味なのだろうが、恭夜は無視を決め込むとシンクに皿を置いて玄関にそそくさと向かった。
 追いかけてくるかと思ったが、ジャックは結局見送りに来なかった。



 不気味なジャックに頭を悩ませつつも、仕事をしていた恭夜だったが、同僚の三上から恐ろしいことを聞かされた。
「ねえ恭夜さん。心理に新しい先生が来たの知ってます?」
「え、そうなんだ。知らないな。どんな先生?」
 顕微鏡から顔を上げて、恭夜は三上の方を見るとニヤニヤした表情をしていた。
「先週、イギリスから来た先生らしいですけど、すっごく可愛いんですよ。こう、ちっちゃくって緑色の目が大きくて、25歳らしいんですけど、童顔なんです。僕、あんまり可愛い顔をしているから、女性だと思っていたら男性だったんです。実物を見て、びっくりしました」
 興奮気味に三上は言葉をまくし立てるように言う。
「心理って……それってジャックがいるところだよな……」
 ふと、恭夜が思い出したように言うと、三上は更に興奮した口調で言った。
「あ、そうそう。その人、ジャック先生といつも一緒だそうですよ。聞かれました?なんか怪しいんじゃないかって噂もありますし……」
「なんだよそれ……」
 はあ?と、呆れたふうに恭夜は返したが、意外に三上は真剣な表情をしていた。
「ジャック先生もしかすると無茶苦茶気に入ってるかも知れませんよ~。いつ見ても一緒だって二人を見た人が言ってましたし。恭夜さん、立場危うい~」
 グリグリと恭夜の肩を指先で押され、やんわりと払う。
「別に危ういとかそういうのねえよ……」
「わあ、自信満々ですね。でも、マジでやばいですって。本当に可愛い人だったし、恭夜さんみたいに……あ……なんでもないです」
 不味いことを言ったと、三上は言葉を濁す。
「なんだよ。みたいにって……」
 ムッとしながら腕組みすると、三上はへらへらと笑って自分の席に戻っていった。
 うぜえ、噂だな……。
 腹立ちを抑えつつ、顕微鏡を覗き込んだ恭夜だったが、どうにも気になって仕方ない。先週来たと言うことはジャックが挙動不審になった頃と重なる。もしかすると原因はその可愛いイギリス人なのだろうか。
 一体どんな男だよ……。
 可愛いが気になった恭夜は、そろりと立ち上がって心理のある課へ向かおうとした。
「恭夜さん。何処に行くんです?」
「煙草吸いに」
 ポケットから出した煙草を見せつつ、恭夜は廊下に出て振り返る。三上がついてくると困るからだ。だが、心配することもなく、三上の姿はなかった。
 ホッと安堵しながら恭夜はジャックがいるであろう心理の課へ向かうためにエレベーターに乗った。別にドキドキする理由もないのに、心臓の鼓動が早まり、顔が赤くなる。落ち着けと自分に言い聞かせつつ、恭夜はエレベーターから降りて、通路に出た。
 人通りが全くない通路は、天井の蛍光灯を床に反射させていて、ぼんやりとした影を落としている。恭夜は深呼吸しつつ通路を歩き心理の扉の前に立った。
 理由もなくこの課の扉を開けることに躊躇いを覚えつつ、恭夜は暫く行ったり来たりを繰り返した。一体、どういった理由をつけてこの扉を開けていいのか思いつかないのだ。新しい外国人が気になると言ったところで理由にはならないだろう。もっとも、ジャックがいたら、何を言われるか分からない。
 どうしようかなあ……
 どうするよ。
 うーんと小さく唸り、チラリと扉に視線を向ける。するとうまいぐあいに少しだけ扉が開いていた。恭夜はそろそろと近づき、中の様子を窺おうと隙間に顔を寄せた。すると見慣れた金髪がチラリと視界に入り、それがジャックのものであることに気がつく。
 ……ジャックいるよ~。
 当然なのだろうが、ジャックはそこにいた。ジャックは腕組みをして立っていて、その前には三上が言っていたイギリス人らしき男が白衣を着て椅子に座っていた。
 身長は恭夜より低いようで、確かに大きな瞳をしていた。柔らかくウエーブした髪はややくすんだ金髪で、顔の彫りが深い。25歳だと言っていたが、とてもそんな年齢には見えない童顔が、人目を引く。
 か……可愛いじゃないか。
 思わず漏らしそうになった言葉を喉元でとめ、恭夜は更に様子を窺ったが、なんだか二人の間には妙な雰囲気が漂っていた。ジャックはなにも言わずに佇んでいるのだが、イギリス人の男は目元を潤ませて時折手で拭っている。
 な……泣かせてるのか?
 いや……そんな様子でもないな……。
「僕は……ジャック先生のことが……」
 イギリス人が口を開いたが、ジャックによって止められた。
「待ちなさい。人の気配がする」
 扉の方を向いてジャックが睨みを利かせているのが見え、恭夜は思わず靴を手に持ち、廊下を駆けた。扉を開けられると困るからだ。それとも誰が覗いていたのか分かったのだろうか?
 とはいえ、振り返って確かめることも恐ろしく思えた恭夜は、そのまま非常階段に駆け込んで、息つく間もなく駆け下りた。自分の課まで靴下だけの足で全力疾走して、飛び込むと扉を閉める。
 はあ……はあ……
 こ……こえええええ……
 靴を床に転がして、恭夜は息を整えた。走り去る恭夜の姿をジャックは見ただろうか?それこそ確かめる気にもならない。
 ばくばくとまだ収まらない心臓を抱えつつ、恭夜は自分の席に着くと同時に内線が鳴った。まだ平常心を取り戻していない恭夜ではあったが、条件反射的に受話器を上げていた。
「はい。法一ですが」
「ああ。キョウ。いたのか。ならいい」
 恭夜が返答する暇も与えず、ジャックからの内線は切れる。
 一体……
 なんだっていうんだ?
 あ。もしかして、俺が課にいるのを確かめたとか?
 てことは……
 俺が走って逃げた姿を見たんだよな?
 ……
 いや。
 俺だと分かっていたら、あんなふうに内線を切ったりしねえか……。
 ブツブツと一人で呟いている恭夜に三上は妙な視線を向けてきた。
「誰からなんです?」
「え、別に。間違い電話」
「最近多いですね。番号が一つ違うだけだから、間違えるんでしょう」
 三上は不信すら抱かずにそう言って笑う。だが、恭夜の方はまだ心臓がばくばくと音を立てていた。
「そうだな。最近多いよな~」
 乾いた笑いを顔に浮かべて恭夜は先程の光景をもう一度思いだしていた。
 あれって……告白してたのか?
 ジャックに?
 あんな奴がいいのか?
 変人だぞ。
 会話続かねえぞ~。
 やめとけって~。
 と、一人で笑いが漏れていた恭夜だったが、確かにジャックはもてるらしいのだ。よく分かっていないのは恭夜だけだという意見もある。日本人の女性が好む、綺麗な金髪に、薄水色の瞳。スレンダーながらも痩せているわけでもない、均整の取れた身体つきは、確かに人目を引く。しかも、モデルのような出で立ちをいつもしているのだ。
 ……。
 てことは。
 あのイギリス人はジャックが好きなんだ……。
 確かに可愛かった。
 うん。それは認める。
 ……。
 もしかしてジャックが俺に手を出さない理由はあのイギリス人か?
 ジャックもまんざらじゃないとか?
 ちょっと待て~!
 がばっと顔を上げて、恭夜は机に置かれたビーカーを眺めた。自分の顔が歪んで映っているその姿を見つつ、かわいげのない、その辺にゴロゴロある容姿を再確認する。大きな瞳もなければ童顔でもない。さらに、かわいげもない。考えると、あのイギリス人に容姿から負けているのだ。いや、性格も素直ではない恭夜だからどう考えても太刀打ちできそうにない。
 なに考えてるんだよ……俺……。
 ブルブルと顔を左右に振って自分の考えたことを振り払い、恭夜は一つ息を吐いた。もともとかわいげのないのはジャックもよく分かっているはずなのだ。今更この性格を変えられないことも知っているだろう。
 だけど……。
 あのイギリス人。
 やっぱジャックとなんかあるとか?
 二人の間に漂っていた妙な気配を恭夜は忘れることができなかった。しかも、イギリス人が来た頃からジャックは恭夜に手出ししなくなったような様子だ。あの絶倫を抑えられるとはどう考えても無理だろう。どこかに捌け口があるから、性欲が満たされて恭夜が相手をしなくてもよくなったのかも知れない。
 それって……
 あのイギリス人か?
 信じられないことだが、もしかするとそうなのかもしれない。ようやく行き着いた答えに恭夜はなぜか背筋が凍えた。



 要するに、ジャックが手を出してこないことが問題なのだ。もちろん絶倫の相手をするのは少々骨が折れるが、いや、少々どころか天国と地獄を味わう。とはいえ、これほど放置されていると、嫌なことばかり考えてしまう。
 仕事を終えて帰ってきた恭夜はマンションのエレベータを降り通路をフラフラと歩きながら、一人で考え込んでいた。何か自分が安心できるようなことがない限り、あのイギリス人が頭から離れてくれないのだ。ジャックが浮気などするような男には見えないが、見えないだけで本当はどうなのかなど恭夜には分からない。
 仮に、恭夜の相手をしつつ、他の男と寝ていたとしても、あの絶倫なのだから、できないこともないはずだ。だが、実際、ジャックは恭夜のことなど忘れたかのように、夜もおとなしい。こんな恐ろしい状況が未だかつてあっただろうか。
 はあ……
 もてる相手だから問題なんだな……。
 結局あいつが俺に手を出してこないことが問題なんだ。なあにが、童顔だ。おっきいばかりの目なんてどうでもいいだろ。身長が低いとあいつからつむじしか見えないじゃないか。俺は違うぞ。それなりに背も高いし、あいつと並ぶととりあえずは釣り合うと思う。
 思うけど……。
 かわいげねえしな。
 本日何回目か分からないため息をついて恭夜は自宅のマンションの扉を開けて中に入った。
「ただいま……」
 靴を脱ぎ、恭夜が廊下に足を乗せるとジャックがやってきた。
「ああ。お帰り。今晩は早かったな」
 ごく普通の様子に恭夜の方が毒気を抜かれてしまう。
「あ、うん。まあ、たまには早く帰れることもあるよ」
 じっとジャックの様子を窺うと、いつも綺麗に梳られている金髪が、なぜか乱れているのが分かった。
 なんだ……この違和感。
 じ~っと、ジャックを眺めていると、ジャックの方から視線を逸らせる。
「なんだよ……」
「なんのことだ?」
 ジャックは肩に掛かった髪を後ろに追いやると、不機嫌な表情でリビングに歩いていった。恭夜はそれを追いかけることもなく、真っ先に寝室に駆け込んだ。もちろん、寝室にはウオークインクローゼットがあり、帰るとまずここに入るのだが、今日の目的は違った。
 寝室にあるキングサイズのベッドは、いつもと変わりなく部屋の真ん中に鎮座しているもの、ベッドメーキングがなっていなかった。しわくちゃになったシーツに毛布がだらしなく乗っている。
 もしかして……
 俺がいない間にイギリス人となんかやったのか!
 これって、女の感とかいう奴か?
 そういう問題じゃなねえっ!
 一人でつっこみを入れながら、恭夜は寝室から駆けだしてリビングに飛び込んだ。ジャックはカバーのついた分厚い本を悠然とした様子で読んでいた。
「ジャックっ!」
「……なんだ、でかい声で叫ぶな。聞こえている」
 片眉を上げて、ムッとしたような表情を返してくる。
「……お……俺がいない間に……なにやってたんだ?」
 裏返ったような声が妙に耳に響き、恭夜は顔を赤らめた。だが、確認しなければならないことは世の中にはある。どうあっても事実をジャックの口から聞かないと恭夜も収まりがつかないのだ。
「なんのことだ?」
 不思議そうな表情になったジャックは、恭夜がいわんとしていることが理解できないようだ。
「分かった。あのイギリス人だな。あいつをここに連れ込んだんだろっ!あいつはあんたのことを好きみたいだからな」
「……やはり昼間覗いていたのは、キョウだったんだな。のぞき見などするな。いいたいことがあれば入ってくるといい。まるで万引きが見つかったような逃げ方をしていたようだが、あのような姿など見ていて馬鹿馬鹿しいだけだ」
 冷えた声でジャックはそう言い、閉じたはずの本を開いてまた読もうとした。そんな態度に腹が立った恭夜は、ジャックの本を取り上げて床に叩き付けた。
「だからなんだっていうんだよっ!都合の悪いところを見られたからそんなふうに言うんだな」
「……確かに都合が良いわけではないな。それより、さっきから何を怒っているんだ」
 恭夜が床に転がした本を手にとってジャックはまたソファーに腰をかける。その態度が恭夜のカンに障った。
「なに、なにって……あんた、ここまで言って分からないのかよっ!ああ、そうだな。あのイギリス人はすっげえ、可愛いし、目も大きくて、可愛いよな。しかもあんたに好意を持っていて、俺とは違ってかわいげもあるんだろ。そいつに乗り換えるのはあんたの勝手だし、すきにすりゃいいさ。だけど、それならそうとはっきり言って俺を切ってしまえばいいだろっ!なにも態度で表さなくても、あんたがそうしろって言ったら俺は捨てぜりふと共にここからさっさと喜んで出ていってやるさっ!」
 恭夜が吐き捨てるように叫ぶと、ジャックはなぜか満面の笑みを向けてきた。この言葉を待っていたのだと思うと、恭夜の胸は痛みが支配する。
「図星だったんだ……。ああ、いいとも。出ていってやるよ」
 歯を噛みしめながらきびすを返そうとする恭夜の身体をジャックによって拘束され、恭夜は目を見開いた。
「なんだ。ハニーは嫉妬しているのかい?なんて可愛いんだろう……」
 ぎゅうぎゅう締め付けるように抱きしめられた恭夜は、痛みでうめき声を上げた。
「いでええええ……離せ~違うだろう!」
「ああ。最近ご無沙汰だったから、不安にさせてしまったのかい?ならそう言えばいいものを……」
「ふ……不安なんて……別に……ぐは~ぐるじいいい……」
 目が回りそうなほどきつく抱きしめられて恭夜は視界に星が散っているような錯覚に囚われた。
「あのイギリス人は明日にでも日本を離れるだろう」
 ようやく拘束を緩められ、恭夜は息を吐き出すことができた。
「離れるって……なんだ?」
「……まだ分からないのか。ああいう可愛い男がタイプなのは誰だ?」
 は?
 こいつ、何言ってんの?
 目が丸くなるようなことをいきなりジャックに言われて恭夜は驚いた。
「タイプって……?あんただろ?」
「馬鹿め。目が大きくて、童顔。背の低い男はお前のタイプだろう。ああいう男が科警研でうろつくこと自体、私には不愉快で仕方ない。今までも数名国外退去を命令した。あの男は頑固でなかなか動こうとしなかったが、ようやく納得したようだ。鬱陶しい」
 腹立たしそうにジャックは言う。
「お前……なにやってんだよっ!」
 あまりのことに恭夜は何を言って良いのか分からない。確かに目が大きくて背の低い童顔は恭夜の好みに入る。だが、ジャックとこうやって付き合うようになってからは全く目に入らなくなっていた。
「少しでも邪魔者になりそうな男は排除してしかるべきだ。これが私のやり方だ。文句があるか?」
 ジロリと睨み付けられて、恭夜は肩を竦めた。この男に意見したところで所詮通じないし、意志の疎通などできるわけがないのだ。自分が一番。自分のやり方が最善と、心底信じている男がジャックなのだから。
「……もうイギリス人はいいけどさあ。じゃあ、あのベッドの乱れはなんだよ……」
 ジャックの様子を窺いながら恭夜は小さな声で言った。
「ああ。セックスはマンネリが一番問題だからな。この一週間私は研究に研究を重ねて、更にハニーを満足させるような技を編み出した」
 持っていた本のカバーを取ると、怪しげなタイトルが恭夜の目に飛び込んできた。

『セックス。これ、日々研究~マンネリに悩むカップルに捧ぐ~』

 一体どういうタイトルなんだよ~!
 ていうか、誰が書いたんだ!!
 ちーがーうー!
 技……
 編み出すって……
 何だよ~!
 あまりの衝撃に口元をパクパクさせて言葉を失っている恭夜にジャックは畳みかけるようにいった。
「まずはお預けから入る。この一週間、我慢させた分、ハニーの身体も疼いているはずだね。私も毎日疼いていたぞ。我慢するのにも忍耐が必要だな。だがまあ、これから素敵な夜を過ごすことを考えると心が躍る。見ていなさい。私の技にも磨きがかかっているから、ハニーを一瞬にして天国に連れて行ってやれる。さあ、行こうか……」
 ズルズルと床を引きずられながら、恭夜はまだ現実を把握できないでいた。とはいえ、明日は足腰が立たないほどの状態になっていることだけは、混乱した頭の隅で理解していた。

―完―
タイトル

朱里様からのリクエストです。なんだか上手い具合にジャックにはめられたような気がするんですが……。恭夜はいつだってこの調子なのかもしれません。これが嫉妬にはいるか謎ですが(汗)無茶苦茶本当に嫉妬していたのは、ジャックの方だったという感じですね。この後きっと天国と地獄を味わったのでしょう。ちーん。というところで、久しぶりのリクですが楽しんでいただけましたか?
なお、こちらの感想も掲示板やメールで頂けるととてもありがたいです。これからもどうぞ当サイトを可愛がってやってくださいね!

↑ PAGE TOP