Angel Sugar

第1夜 「ユキちゃん観察エロ報告」 (殿堂入り記念)

タイトル
 セックスというのはマンネリにならないように、色々と考えることも必要だとリーチはふと思いついた。
 まあ……
 マンネリなんて俺には無いけどな……
 名執と抱き合うとその度に新鮮な気持ちになるのだから仕方ない。はっきり言うと名執は本当に感度が良かったのだ。
 うん……
 良いんだよなあ……あいつ……
 俺との身体の相性もいい。
 なあんてニヤニヤと一人妄想に耽っていたが、当の名執はまだ帰ってこない。
 おっせーの……
 チラリと時計を見て今十一時を過ぎることを確認した。こちらは珍しく八時にリーチは名執のうちを訪ねたのだ。その時、名執はいたが、救急の連絡が入って出ていってしまった。
 帰ってこないのかなあ……
 ん~
 文句言えないけどさあ……
 ゴロゴロとリーチはクッションを抱えたまま転がった。
 テレビでも見るか……
 する事がないリーチはテレビのスイッチを入れ、とりあえず今映った画面をぼんやりと見ていた。
 
 貴方のセックスライフは大丈夫?

 なんだこりゃ?
 奇妙なタイトルの番組にリーチは思わず身体を起こし、何故かビデオを無意識に入れると画面に見入った。

 長年同じ相手とセックスをするとやはり飽きが来ます。そこで貴方に耳寄りな情報をお届けします。

 ……
 耳よりって……
 なんだか胡散くせえ……

 とはいえ、何となく興味を抱いたリーチは番組を変えることなく、暫く怪しげな番組を見ることにした。面白くなかったら変えたら良いのだ。
 
 まず、貴方は相手の性感帯をきちんと把握していますか?

 ぶふっ!
 そんなこといきなり言われてもなあ……
 ユキって身体中性感帯みたいなもんだから……
 おいおい……
 自分で考え、一人でつっこみを入れながらリーチは誰も居ない部屋で一人にやけていた。

 これはとても重要なことです。きちんと把握し、相手を充分に悦ばせてやることが長く続けられる秘訣といえるでしょう。

 秘訣なのか?
 ……う~ん……
 あいつだって全身性感帯っていうわけでもないだろうしなあ……
 バリバリと頭を掻きながら更に画面を見ていると、怪しげな人体の模型が出てきた。
 その模型には赤い斑点がいくつも印され、場所によると、オレンジ色に塗られていた。他に青い線が引かれている。
 うわ……
 理科の実験に出てきた模型みたいだ……
 で、ツボの講座でもはじめるのか?
 机に置いていた御茶を一口のみ、相変わらず画面を見ていると、解説者の女性が言った。

 この赤い印は特に感じる部分を指しています。そしてこのオレンジ色に塗られた部分が敏感な部分。それに重なるように青い線で示されているのは性感帯の並ぶ場所です。これをしっかりと覚えておきましょう。

 ……
 なんだそら~
 そんなもんがあるのか?
 リーチは驚きながらも、その模型の姿を目に焼き付けていた。

 赤いのが特に感じる……
 オレンジ色に塗ってあるのが敏感な部分……
 青のラインが……
 
 そうして必死に目を凝らしていると、いきなり画面の下にフリーダイヤルの番号が表示された。
 もしかして……
 これって……

 こちらの商品をお買いあげのみなさま全員に、このヤン医学博士専修の「セックスとは日々努力」の冊子と、実践ビデオをお付けして、ご奉仕価格49,800円でご提供させていただきます。

 ……
 テレビショッピング?
 つうか、そのヤン医学博士って誰だ?
 俺は聞いたことも無いぞ。
 それに……
 実践ビデオってなんだ?
 何となく脱力しながらソファーに身体を伸ばし、溜息をついていると、番組はまた最初から怪しげな人体模型の説明をしていた。
 ……うう……
 洗脳される。
 そう思ったリーチはテレビの電源を切った。もちろん同時にビデオの録画も切る。
 性感帯ねえ……
 じっくり考えたことは無かったのだが、人間にそういうポイントがあるのをリーチはもちろん知っていた。名執のイイ所も当たり前だが知っている。
 だがあの模型に書かれていた場所と、名執のポイントがどれだけ重なっているのか急に興味が沸いた。
 較べてみるのも楽しそうだよなあ……
 リーチはリビングのチェストから紙とボールペンを出し、人体模型を思い出しながら、人間の形を書き、次に赤い点と、オレンジに塗られた箇所、そして青のラインを書いてみた。
 ……
 何となくこんな感じだったかな?
 テレビをもう一度つけると、まだ人体模型の説明をしていた。多分一晩中同じものが繰り返され、それを見た人間が思わず買ってしまうのを期待しているのだろう。
 こうやって洗脳されるんだろうなあ……
 と、思いながらも、自分が書いた紙と模型に書かれたポイントを較べ、新たに新しいポイントを書き入れた。
 こんなものか……
 出来上がった紙をリーチは満足げに眺めていると名執が帰ってきた。それを知ったリーチはテレビのスイッチを切り、名執を迎えに玄関に走った。もちろん脇には先程書いた紙を挟んでいる。
「済みません、遅くなって……」
 申し訳なさそうな表情の名執にリーチは満面の笑みを向けた。
「……リーチ?」
「なあ……ちょっと」
 ニヤニヤしながらリーチは名執の手首を掴み、グイグイと寝室まで引っ張った。
「……どうしたんですか?」
 寝室に入りベッドに名執を座らせリーチは言った。
「服を全部脱いで」
「はあ?」
 名執は驚いた顔で、薄茶の瞳でリーチを見つめてきた。
「だからさあ……素っ裸になってくれって」
「……ど、どうしたんですか?いきなり……」
 相変わらず名執はリーチにそう言うだけで、服を脱ごうとはしなかった。
「だからさあ……」
 仕方無しにリーチは名執のシャツに手を掛け、ボタンを外そうとしたが、当然の如く名執に阻止された。
「……その脇に挟んでいる紙はなんです?」
 あ……
 バレバレ……
「え~別に~。それより脱げよっ!」
 グイッと名執をベッドに倒し、リーチは無理矢理衣服を剥ごうとしたが、頬を両手で引っ張られた。
「ちゃんと事情を話してください。何を企んでるんですかっ!」
 ジロッと睨んでくる名執は少し怒っている事が分かる。
「にゃんでほにゃいほ~」
 リーチは頬を掴まれている所為で上手く言葉が出ないのだ。
「……ぷっ……」
 変な顔で言葉を発した所為で、名執は急に笑い出した。余程面白い顔をしていたのだろうが、リーチには分からない。
「……笑うなよ」
 逆にムッとした顔を返すと、名執は目の端に涙を溜めながら口元を抑えていた。
「だから……どうしたんです?」
 身体を起こし、名執がまた聞いてくるので、リーチは仕方無しに脇に挟んでいた紙を渡した。すると名執はその紙に書かれた絵をじっと見つめ、暫くすると困惑した表情でこちらを向いた。
「……ナスカの宇宙人図?」
 しーーーん……
「それ人間。見えないか?」
 流石に名執に見立てて書いたとは言えなかった。
「だって……手とか足がグニャグニャしてますし……変な模様が描いてありますから……違うんですか?」
 クスクス笑いながら名執は言った。
「一応……人間を書いたつもりなんだけどなあ……」
 あははと笑いながらリーチは言った。
「それで……私が裸になるのと、その絵がどう関係があるんです?」
 す……
 鋭いぞユキ!
 関係があるんだ!
「この絵はな、偉い医学博士が何十年も研究してようやく見つけた……」
 リーチは勝手に何十年もという台詞を付け加えた。
「見つけた?」
「性感帯ポインツっ!」
 言ってリーチはニッコリと笑みを浮かべた。すると見つめている名執の顔が見る見る赤くなった。
「なっ……何がポインツですかっ!それを言うならポイントでしょう。あ、そうではなくて……全くもう貴方は一体何を考えているんです……」
 名執は首まで赤く染めた顔で怒り出したが、迫力は無かった。この場合、名執は怒っているポーズを取っているだけで、本気ではないことをリーチは知っていた。
 ユキって分かりやすいよなあ~
「だからさあ~研究結果の検証を俺はしたいんだよ~」
 言いながらまたリーチは名執の上に乗り上がったが、今度は逆らうことは無かった。
「……あの……」
 上目遣いで見つめてくる名執は本当に可愛い。
「脱がして良い?」
 リーチがもう一度言うと、名執は小さく頷いた。それを合図にリーチはイソイソと名執の衣服を全部脱がし、素っ裸でベッドに横たえさせた。
「……なんだか……は……恥ずかしいですっ!」
 シャツの端を掴み、腰元を隠すと名執は更に赤い顔でそう言った。
「俺、お前の裸で知らないところ無いだろ。別に恥ずかしい事なんてないって。それより、俺が知らない性感帯がまだあるなら、嫌だからさあ~」
 意味不明の言い訳をしたリーチは早速絵と名執を較べていた。
「……リーチって……」
「ん?なに?」
「いえ……別に……」
「まずは脇の下~」
 名執を組み敷き、例の紙を頭の横に置いてそれを見ながらリーチは脇の下に手を伸ばしたが、その瞬間、名執は笑い出した。
「りっ……リーチっ!くすぐったいですっ!」
 ……
 ん~脇の下駄目……
 リーチはポケットに入れていたペンを取り、紙に書いた脇の所のチェックに×をつけた。
「首筋は分かってるけど……一応調べておくか~」
 指先で名執の首のラインをなぞると、身体がぴくりと反応した。
 首筋、クリアー
「リーチ……」
 口元に手を当てて名執は恥ずかしげに言った。
「まだまだこれからだからな。ちゃんとチェックしてこれからのセックスライフに役立てるんだから……」
 えへへと笑うリーチとは逆に、名執は酷く恥ずかしそうだった。
 それでも逆わないのが名執だ。
「ん~次は鎖骨ポイント、1.2.3だ」
 リーチは三ポイントに舌を這わせ、キスを繰り返すと、その度に名執は小さな声を上げた。
 鎖骨ポイント、クリアー。 
「腕のラインはどうかなあ~」
 名執の手首を掴み、指を一本ずつ舐め上げ、次ぎに肘まで舌を滑らせ肩まで愛撫する。
「……や……リーチ……」
 プルプルと手を震わせながら名執は涙目になっている。
 俺のユキはほんっと感度良いよなあ~
 嬉しさに思わずリーチは目が細くなった。
「これからだろ?」
 舐めていた手を下ろし、問題の胸元に目線を向けると、名執は何故か両手で胸元を隠した。
「おいおい、ここからが肝心なんだろ?」
 やんわりと名執の腕を解き、リーチはまず脇から少し内側に入った部分を手で揉み上げた。すると名執は何度も身体を震わせた。
「も……やっ……!」
「やじゃないっての。こういうのをちゃんと知っていて初めて俺はユキを気持ちよくしてやれるんだからな……」
 真面目な顔でリーチは言った。至ってリーチは真剣だったのだ。
「……だって……」
「良いからまかせとけって。俺がちゃんと調べてやるから……次はっと、俺の大好きな乳首ちゃんだ~」
 名執はそれを聞いて身体を後ろに下がらせようとしたが、リーチは名執の腰元に座り込んでそれを阻止した。
「……嫌です……」
 名執は上気した顔で言ったが、それでは全く真実味など無い。
「ユキ……ここは好きだろう?」
 親指でギュッと突起を潰し、次ぎに回りをぐるりと指先でこねると名執は喘ぎ声を上げる。その結果にリーチは満足だ。
「……や……いやっ……」
「嘘ばっか……イイって言えよ……」
 名執の半開きの口に舌を滑り込ませ、口内を味わいながらも、指で突起を弄ると名執の両足がこちらの身体に絡みついてきた。
「まだだって……ちゃんと調べるんだから……」
 グイと絡んだ足を離し、リーチは言った。だが口元を離された名執は、睫毛に涙を浮かべていた。
「リーチ……や……」
「……ユキ……ほら……これからが本番だろ?」
 困ったような顔でそう言うと、キュッと名執は目を閉じた。
「え……次は腹のこの辺り……幾つかポイントがあるんだよなあ……」
 指先で肋骨の部分をサワサワと触れながら、そこを通り過ぎ、柔らかい腹の部分に指がたどり着いた。その辺りのポイントはへその回りや、意外に身体の側面であるライン状にある。
 あちこち触ってリーチは名執の反応を見たが、何処に触っても名執は声を上げるためにどれが良いのか分からない。
「……も……駄目……あ……」
 目線が虚ろになっている名執は、余程快感を味わっているのだろう。それに満足しながらリーチは舌をへそにつっこみ、内側から舐め上げた。
「あっ……やっ……やあっ……」
 う~ん……
 やっぱこいつって
 どこもかしこも性感帯じゃないか……
 チラリと名執を見つめ、リーチは思った。
「ユキってさあ……」
「リーチ……そこじゃない……っ……もっと下……」
 こちらの下半身を直接疼かせるような表情で名執はリーチに言った。
「下?」
 チラリと視線を下に向けると、名執のモノはやや勃ち上がっていた。余程身体中に触れられて感じたのだろう。
「……お願いだから……苛めないで……」
 苛めてるわけじゃないんだけどなあ……
「もうちょっと我慢しろよ……」
 あと、腰骨の辺りと、付け根があるんだよなあ……
「……リーチ……」
 既に名執は涙を頬に伝わせていた。 
「ま……もうちょっとな……」
 言ってリーチは腰骨の辺りを愛撫し、太股の付け根に軽く歯を立てると、また舌で舐め上げることを繰り返した。
「あっ……あ……ああっ……やっ……やあっ……」
 名執は嬌声を漏らしながら、股の間に顔を埋めているリーチの顔を太股で挟んできた。
「あいたっ……いたたたたたっ……おいおい」
 挟み込んできた両足をぐっと開かせて、リーチは頭を撫でた。
「だって……だってリーチ……」
 涙をポロポロと落としながら名執は言った。
「分かったよ……ごめんって……」
 リーチは苦笑しながら、震えている名執のモノを口に含み、ちゃぷちゃぷと音をたてつつ、擦り上げた。すると口の中で名執のモノが一気に膨らみを持ち、リーチの愛撫を悦んでいることを伝えてくる。
「……あっ……あっ……あ……リーチっ……」
 口を休まず動かせ、自由になっている両手で回りを揉みながら、更に煽ると名執は両足を更に開いた。
 素直なんだよなあ……
 ユキって……
「もっ……あっ……ああっ……」
 一気に吸い上げると白濁した液を口内で零れさせ、リーチはそれらを丁寧に舐め取った。
「……ん~スッキリした?」
 まだ探求心に燃えているリーチはそう言ってチラチラと紙を眺めて次の手を考えていたが、それに敏感に気が付いた名執が言った。
「……リーチ……まだ……何かしたいんですか?」
 整わない息を口元から吐き出しながら名執は驚いた顔を向けてきた。
「え、だって、まだ背中もあるし、太股から足先までまだだろう。それに中もね」
 一番楽しみな部分はまだ触れもしていないのだ。
「……中って……」
「俺の入るとこ。この内側も結構色々あるんだよ~ポイント!」
 リーチが楽しげにそう言うと、名執は身体を起こして涙ながらに言った。
「も……も……止めてください……」
「……なんで?」
「そんな風に身体に触れられていると弄ばれているみたいに感じて……嫌なんです」
 起こしたこちらの身体に、名執は擦り寄り訴えてきた。
「……そんなつもりねえよ」
 リーチが困ったように言うと名執はこちらの胸に擦り寄せていた顔を左右に振った。
「や……もう……やです。ちゃんと抱いてください。調べて貰わなくても……私は貴方に触れられるだけで何処もかしこも感じるんです。だから……もうちゃんと愛して……」
 言って顔を上げた名執の訴える表情と、涙で濡れ光る瞳がリーチを諦めさせた。
「……うん……分かった。ごめん……」
 まあいいか……
 ユキは全身性感帯っていうことで……
「……リーチ……」
 ギュッとまた名執に抱きつかれ、何となくリーチは気分が良かった。
 この悦びをトシにも分けてやらないと……
 先程取ったビデオのことを思い出しながら、リーチは名執をベッドに押し倒した。

―完―
タイトル

なんだかなあ……これ、人体模型図がことのほか気に入っちゃって~うふふふ。この400の記念は全部これに統一させてもらおうかと(ニヤリ)。一番面白そうなのはトシのところかな? トシじゃなくて幾浦の性感帯ポインツを調べるトシだから……うはははははは。どういう話だ……。購入していそうなのはジャックのところだけど……う~ん……お楽しみに~!! このたびは本当にたくさんの票をいただきましてありがとうございます。これからもがんばりますね!!

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