Angel Sugar

第2夜 「未来ちゃん観察エロ報告」 (殿堂入り記念)

タイトル
 宇都木はその日、一人で夕食を食べ終わると、洗濯物をタンスに片づけようやく一息をついた。時間は十一時を過ぎることを室内時計で確認すると、先程まで家の用事で動かしていた体をようやくソファーに落ち着けた。
 先日から如月は出張中で今晩遅くに戻ってくる予定になっている。戻ってくるまで待っているつもりで宇都木は起きていたのだ。
 いつだって如月の側にいて力になりたいと宇都木は思っているが、秘書とはいえずっと側にいるわけではない。時には如月の留守を守るのも宇都木の仕事だった。
 テレビでも見て時間をつぶしましょうか……
 することが無くなった宇都木はテレビのスイッチを入れた。
 
 貴方のセックスライフは大丈夫?

 え……?
 いきなりの言葉に宇都木は誰もいない部屋をきょろきょろと見回し、再度テレビ画面に目を移した。

 長年同じ相手とセックスをするとやはり飽きが来ます。そこで貴方に耳寄りな情報をお届けします。

 な……
 なんでしょうこれは……
 宇都木は深夜の番組など滅多に見ないのだ。だから余計にいまテレビに映っている光景が理解できなかった。思わず本日の新聞を手に取り、問題のチャンネルを確認するとテレビショッピングの番組だった。
 テレビショッピング……
 こんな時間にもやってるんですね……
 新聞の番組欄から目をそらせ、宇都木はテレビ画面にまた目を向けた。すると今度は赤面ものの言葉が聞こえてきた。
 
 まず、貴方は相手の性感帯をきちんと把握していますか?

 ……は……
 恥ずかしい……
 こういうことをどうしてテレビで放映しているのだろうかという疑問をもちつつ、宇都木は番組を変えようかどうしようか悩んだ。するとまた商品を説明している女性の声が耳に入ってきた。

 これはとても重要なことです。きちんと把握し、相手を充分に悦ばせてやることが長く続けられる秘訣といえるでしょう。

 重要。
 長く続けられる秘訣。

 宇都木にはこの二つの言葉が宇都木の気持ちを揺さぶった。今如月とつきあっている。それを少しでも長く続けていきたいのだ。もしこの先、終わりという結末で未来が決定しているのなら、最悪の時が来ることを少しでも引き延ばしたい。
 そのための知識ならどんなことでも宇都木は知りたいと本気で考えた。
 邦彦さん……
 私……
 がんばります。
 なにかひたすら誤解していることに気がついていない宇都木は、気持ちを新たにして、テレビに集中した。すると怪しげな人体の模型が出てきた。その模型には赤い斑点がいくつも印され、場所によると、オレンジ色に塗られていた。他に青い線が引かれている。
 ……
 何でしょうこれは……
 サイケなダッチワイフ?
 小学校であったような気もしますけど……
 宇都木が目をまん丸くしながら画面に視線を張り付かせていると解説者の女性が言った。

 この赤い印は特に感じる部分を指しています。そしてこのオレンジ色に塗られた部分が敏感な部分。それに重なるように青い線で示されているのは性感帯の並ぶ場所です。これをしっかりと覚えておきましょう。

 せ……
 性感帯……
 かあああと、顔を一人赤らめ、宇都木は誰もいない部屋でもじもじと居心地悪く身体を動かした。その言葉の意味を知らないわけではないが、やはり大きな声で言われると恥ずかしくて仕方ないのだ。
 だがこうやって世間で性感帯の地図の書かれた模型が売られていると言うことはたくさんの人がこれを購入し、日々愛されるように努力しているのだ。ものには需要と供給がある。買う人間がいるから売られているのだろう。だから恥ずかしがってはならないのだと宇都木は考えた。

 赤いのが特に感じるんですか……
 宇都木は半信半疑でその問題の部分を自分で触れてみた。
「……あっ……」
 思わず出た声に宇都木はまた恥ずかしくなり周囲を見回し、俯いた。
 ……
 ほ……
 本当に感じますね……
 自分のどこが感じるかなど、今まで探したことなど宇都木はなかったのだ。なによりそれが重要なことだというのも知らなかった。
 こういうのはやはりきちんと押さえておかないとだめなのかも……
 俯けていた顔を上げ、宇都木は必死に画面を眺め、重要だと思われる場所を記憶することに専念した。

 こちらの商品をお買いあげのみなさま全員に、このヤン医学博士専修の「セックスとは日々努力」の冊子と、実践ビデオをお付けして、ご奉仕価格49,800円でご提供させていただきます。

 欲しいけど……
 買っても置く場所がありませんし……
 邦彦さんに説明するのも恥ずかしいです……
 買うという行為に後ろ髪を引かれながらも宇都木はテレビのスイッチを落とした。



 如月が帰宅すると出迎えに出てきた宇都木の様子がなんだかおかしかった。
「お帰りなさい……」
「……ただいま。未来……どうした?」
 言って如月は宇都木の頬に触れた。
「……え?」
「いや……なんだか顔が妙に赤いからな……風邪でも引いたか?」
「違います……あの……いえ……その……」
 更に顔を赤らめた宇都木は如月からすると妙な色気を漂わせているとしか思えなかった。こんな宇都木を見て平静でいろと言う方が無理な話であった。
 如月は思わず宇都木を抱きしめ、その額に唇を這わせた。
「未来……愛しているよ……」
 囁くように言うと、宇都木からも手を伸ばしてきた。それは如月の背に回される。
「邦彦さん……私も……」
 胸元にすり寄る宇都木の頬が如月には心地よかった。
「なんだ……寂しかったのか?」
 くすくす笑いながら如月は宇都木の髪をかき上げた。するとまっすぐ見つめる宇都木の瞳が向く。自分だけを見つめるその瞳には如月の姿しか映っていない。いつも宇都木は自分だけを見つめているのだ。どんなときもその信頼は揺るがない。そんな宇都木が如月は好きだった。同じようにこちらも絶対的な信頼を持っている。
 どんなことがあっても未来は私だけを見ている……
 私だけに向ける信頼がそこにある……
 時に悲壮なほどの健気さを見せる宇都木が如月には愛おしい。
「寂しかったです……。どんな仕事でも貴方についていきたい……」
 宇都木は瞳を閉じてそう言った。
 なんて可愛いんだ……
 ため息に似た感動の息を吐き、如月は何度か宇都木にキスを求めるとようやく身体を離した。
「留守中特に問題はなかったか?」
 靴を脱ぎ如月は宇都木に問いかけた。
「ええ。何もありませんでした。そちらのお仕事はどうでした?」
 ゆるやかに微笑みながら宇都木は言った。この微笑みを見ると如月はホッとするのだ。
「色々難しい問題が出てきているが、まあ……何とかなるだろう……」
 スリッパを履き、如月はスーツを脱ぐために寝室に向かった。そちらにクローゼットがあるからだ。もちろん宇都木も後ろからついてくる。
「シャワーでも浴びるかな……浴槽につかるのもちょっと煩わしいしなあ……」
 ローブを軽く羽織り、如月が言うと、宇都木がおずおずと言った。
「あのう……邦彦さん……」
 振り返ると宇都木はまだ赤らんだ顔をしていた。
「……どうしたんだ?」
「その……今晩は……ちょっと」
 ……
 未来からの誘いか?
 如月は急に上機嫌になった。滅多に宇都木から平日誘ってくることが無いからだ。宇都木は真面目で決めた約束事は絶対に守ろうとする。そうであるから、平日はしないという約束は余程でない限り破られることがないのだ。
 もちろん、如月自身がどうにもがまんがならないときは半分無理矢理に雪崩れ込むことはあるが、その後酷く心配する宇都木のことが気になり、最近はそんなことも無くなっていた。
 だがハッキリ言って、休日だけというのは如月自身の欲望と満たすにはあまりにも少なすぎると不満を持っていたのだ。いつでもきちんと休日をうちで過ごすことが出来るならまだしも、そうはいかない仕事が入る。
「……珍しいな……今晩はオッケーなのか?」
 言いながらも如月は宇都木を既にベッドに押し倒していた。
「私……知りたいことがあるんです」
 真剣な面もちで宇都木は言った。
「知りたいこと?」
「邦彦さんは、私の……その……感じるところを知ってますか?」
 ……
 今……
 何を言った?
「は?」
「いえ……その……それはとても大切なことなんだそうです」
 未来は今度、どういう怪しげな知識を仕入れてきたんだ?
 時に真面目すぎる性格は、あらゆる場所に発揮されるのが宇都木という男だった。本人は真剣であるから、笑うことが出来ない。
「ま……まあ……大切なのだろうが……」
 ごほごほとせき払いをして如月は言った。
「邦彦さん……知ってます?」
 やや首を傾げ問いかけてくる宇都木が可愛い。如月は思わずそんな宇都木の唇を掬い取った。
「……ん……」
 自然に廻される宇都木の腕が如月の背を何度も撫で回す。そんな仕草に酔いながら、如月は宇都木の舌を口内で何度も吸い上げた。
「……あ……」
 口元を離すと、組み敷いた宇都木の表情が上気していることに気が付いた。
「未来……」
 如月が今度首筋に舌を這わせようとするとそこで宇都木のストップがかかった。
「ちょっと待って下さい」
「なんだ?ここで止めようなんて言わないでくれよ……」
 中途半端に煽られ、止められるほど如月は人間が出来ているつもりはない。
「違うんです。あの……」
 言って宇都木は自分のパジャマを脱ぎだした。恐ろしく本日は積極的だ。そんな宇都木に如月はぼーっとした視線を向けるしかなかった。
 すると宇都木は下着だけの姿になってこちらを向いた。
「ここです」
 宇都木は指先で自分の胸元より少し上の部分を指さした。それも両手で片方ずつだ。
「え?」
「普通、ここが感じるそうです」
 って……
 未来……
 一体何を読んだんだ?
「……あ……ああ……そ……そうか……ははははは」
 もう笑うしかないと思った如月はとりあえず笑った。
「可笑しいですか?」
 急に泣きそうな表情で宇都木は言う。
「あ、違う……て……照れくさいんだよ……」
 実は心配していたのだが、誤魔化すように如月は言った。
「……私も……恥ずかしいです」 
 恥ずかしいなら止めてくれ……
 とは言えない。
「そ……そうか……ははははは」
「笑わないでください……」
 更に泣きそうだ。
「す……すまん。あ~っと、だな……で、そこが感じるのか?」
 とりあえず如月はそう言った。
「分からないんですけど……ここだそうです……」
 嬉しそうにそう言って宇都木はまた指を自分に向ける。
 だから未来……
 何を読んだんだ……
「ま……まあ……色々個人差があるからなあ……」
「確かめてください」
 相変わらず宇都木は真剣だ。
 ……
 おい……
 誰だ未来にこんな知識を与えたのは……
 恨むぞ……
 こっちが泣きそうだ……
 だが、宇都木が真剣なだけに誤魔化しが出来そうにない。仕方無しに如月は宇都木が指を向けている部分に唇を這わせると怪訝な顔になった。
「……個人差ですね……」
 ……
 それは感じないと言いたいんだな……
 だがなあ……
 お前のここは結構ポイントだぞ。
 多分、真剣になっている分、気持ちがそがれているのだろう。だが宇都木の方は全くそんな自分に気が付いていないのだ。
「じゃあ……ここは?」
 言って宇都木は今度腰のラインを指さした。
 ま……
 まだ続くのか?
 半ば自棄気味で如月は宇都木の腰元に手を伸ばし、やんわりと揉みほぐした。
「……う~ん……」
 眉間に皺を寄せ、宇都木は何やら考え込んでいた。
「なあ……未来……」
「邦彦さん……」
「なんだ?」
「私って不感症になったんでしょうか?」
 ……
 ま……
 真顔で言うな……
「未来、良く聞け。いいな?」
「はい……」
 何やらシュンとした顔で宇都木は言う。
「お前が何を見てそんなことを言いだしたのかはしらんが、いちいち考えながらセックスしたって気持ちが入るわけ無いだろう?不感症じゃなくて、考えすぎるからちっとも良くないんだと思うが……どうだ?」
 如月が諭すように言うと、宇都木の顔が俯いた。
 不味い……
「いや……だからな。私は別に責めているわけじゃないんだ……」
「大切なことだって聞いたんです」
 一体誰に聞いたんだ……
「未来……例えば、なんだって個人差があるんだ。だろう?それに別にお前がそんなことを把握しなくても、私だけが知っていたら良い事だと思わないか?」
 ……
 これもなんだか変な言い方だな……
 如月はそう考えつつも、他に言いようが無かった。
「そうなんですか?」
「ああ……。私が見つける楽しみを奪わないで欲しいね……」
 宇都木の唇の先を軽く噛んで如月は笑った。
「見つける楽しみ?……ですか……」
「そうだよ……未来の何処が感じるかそれを探す楽しみがあるんだ……」
 言いながら宇都木の股下に手を伸ばし、薄い布の間に滑らせた。
「……っ……あ……」
「ほら……感じるだろう?」
 手の平で宇都木のモノを撫で、そのまま更に手を滑らせ二つあるモノを握った。すると宇都木の身体がビクンと跳ねた。
「あっ……」
「不感症はこんな風に感じたりしないよ……」
 ニギニギと手の平のモノを互いに擦り合わせてやると、益々宇都木身体を捩らせた。その動きも如月の性欲を煽る。
「邦彦さん……っ……」
 半開きの口元から宇都木は早くなった息と共に言った。既に快感に酔いだしている表情が浮かんでいる。
 快感に素直な未来……
 普段仕事中は驚くほどストイックなのだが、ベッドに横たわる宇都木は普段では考えられない大胆さがあるのだ。そんな宇都木に如月は満足していた。
「……っ……あ……あ……や……」
 言いながらも宇都木は己の身体をこちらに擦り寄せてくる。そんな宇都木が堪らなく可愛い。
「……ここを触っているのに、上が濡れてきたぞ……」
 クスクスと笑いながら如月が言うと、宇都木は顔を真っ赤にしていた。
「……そ……それは……やっ……あ……」
 二つのモノを離し、その上にあるモノを手の中に今度は握りしめると、宇都木は声を上げた。だがいつの間にか両足はこちらの足に絡みつき、腕は背に廻されている。
「ここは特に未来のイイ所だからな……」
 グリグリと先端を親指で弄ると益々宇都木の嬌声が大きくなる。触れている肌がうっすらと汗で湿っていくのも密着している部分から感じられた。
「……イイ……すごく……感じる……」
 感嘆の声を発し、宇都木は満足げに微笑んだ。それは扇情的でこちらの腰に直に響くものがあった。
 如月は邪魔になっている布を剥ぐと、宇都木を素っ裸にし、あちこち舌で舐め回した。湿った肌はピッタリとこちらの肌にフィットし、頬を擦りつけたくなるような気持ちよさを感じる。
 宇都木がどんな風に感じているか如月には分からないが、如月はその肌の吸い付きに自分が溺れていることを自覚していた。
 喘ぐような口元を塞ぎ、口内を愛撫しながら、如月は手の平で揉み上げるように胸の突起を潰し、そのまま円をかくように動かした。やや力を込め痛みを感じる手前で下から上へと揉むのだ。
 すると宇都木の廻している手が如月の頭に移動し、髪をかき乱してきた。
「……ん……ん……」
 ちゅくちゅくと口元をならしながらお互いが舌を絡め合っていると、如月自身も気分が良い。
「はあっ……」
 口元を離すと、如月は宇都木の鎖骨辺りに吸い付いた。宇都木の身体は小さく震えながら目を細めた。
「ここも好きだろう?」
 鎖骨から胸元に唇を滑らせると、宇都木は頷いてうっとりとした瞳を向けてきた。
「でも宇都木が好きなのはここだろう?」
 ズルズルと身体を移動させ、如月は宇都木の太股を掴み付け根に吸い付いた。
「やあっ……っ……」
「嫌か?」
 笑いが漏れるのを必死に堪え、如月が言うと宇都木は潤んだ瞳で顔を左右に振った。
「だけど……一番はここだろうな……」
 人差し指で宇都木の窄んだ部分を撫でると、宇都木は身体を起こして如月から後ずさった。
「嫌です……恥ずかしい……っ!」
 もう少しで泣きだしてしまいそうな表情は、快感でほんのりと色づかせている。
「なんだ?未来が知りたがっていたんだろう?」
 こちらも身体を起こし、逃げた身体を引き寄せると如月は廻した手を宇都木の後ろに回した。
「……そ……そうですけど……でも……は……恥ずかしいです……っ!」
 視線を逸らせ、宇都木は真っ赤な顔で言った。だがその間も如月の指は宇都木の蕾に伸ばされている。
「ここだな?」
 くいっと指先を曲げまだ固い部分に無理矢理押し込むと、腕の中の宇都木は小さな悲鳴を上げた。
「ここだろ?」
「やっ……まだっ……」
「まだ……なんだ?」
 唇の表面を軽く舐めながら如月が問いかけると、宇都木は何故か途方に暮れた表情を返してきた。
「可愛いな……未来……。もっと足を開かないと辛いぞ……」
 二本の指を器用に動かし、窄まっている部分を解しながら如月は言った。
「足……あ……」
 如月の肩に顎を乗せた宇都木はこちらの言うとおりにそろそろと膝頭を開き、如月の指を受け止めやすいような格好になった。
「未来……私も気持ちよくしてくれないのか?」
 言うと宇都木は肩に乗せていた顎を外し、こちらをじっと見つめると次ぎにニッコリと笑う。肩に廻していた手を外し如月のローブを解くと、手をそのまま下に向かわせ如月の既に勃ちあがっているモノを外に誘った。
「邦彦さんの……大きくなってる……」
「未来の姿にそそられてるんだ……」
「本当に?」
「ああ……」
 嬉しそうに言い、宇都木は身体を折り曲げ四つん這いになると、如月のモノを口に含んだ。その宇都木の格好は益々蕾を弄りやすくなり、更に奥まで指を突き入れた。すると宇都木は体をしならせながらも口元を離さず、如月の快感をも己のものとして感じているようにひたすら口を動かしていた。
「未来……」
 絡まる舌はねっとりとした感触を伝えてくる。決して歯を立てることはせず、宇都木は大切なモノを口の中に入れているような舌の動きを見せた。
「っ……あ……」
 グリッと指先で宇都木の中を擦ると、思わずという風に口元を離した。
「この辺が特に良さそうだな」
 側面を内側から引っ掻くと宇都木は如月にしがみついて身体を震わせた。
「や……あ……っ……も……ひっ……」
 ガクガクと顎を上下させ、宇都木は瞳から涙を落とした。だが嫌がっていないことはもちろん如月は分かっている。
「どうして欲しい?」
「入れて……っ……下さいっ……お願い……ッ……」
 濡れそぼった瞳でこちらに懇願する宇都木は、妖しい程の色気をその身から立ち上らせている。今までどうして宇都木無しの生活をしていたのか不思議なほど、その身体は如月に馴染んでいた。
「そうだな……未来が大きくしてくれたことだし……」
 言いながら如月は宇都木の腰をこちらに引き寄せて膝に乗るように促した。もちろん宇都木は如月が何をしようとしているかをきちんと理解しており、何も言わずとも自分の下で勃ち上がっているモノを掴むと、自分の中に引き入れ腰を落とす。
「はっ……あ……」
 開いた口は既に塞ぐことができないようで、宇都木は必死に呼吸を繰り返している。
「ほら……まだ入るだろう?」
 グイッと無理矢理腰を引くと、かなり奥まで入った感触が如月にも感じられた。そこは狭く、周囲の襞が如月のそれに巻き付いてくる。
「あ……」
「お前の中は……熱いな……それにすごい締め付けだ……」
 頬に軽くキスを落とし、如月は微笑みを浮かべた。額から滲んだ汗が宇都木の頬を伝い、こちらの舌に触れる。
「邦彦さん……」
「愛しているよ……未来……」
 宇都木の小刻みに震える腰のラインをなぞり、如月は下から突き上げた。深く繋がった部分は更に奥まで入る。
「ああっ……」
 仰け反った宇都木の顎に愛撫しながら、如月は更に突き上げた。ベッドのスプリングがその運動に激しく波打つ。だがそれも深く突き進む助けになる。
「やっ……あっ……あっ……ああっ……」
 宇都木の表情を見ていると快感をしっかり感じていることが如月には分かった。夢心地の瞳がそれを物語っている。しかしその瞳はやはり如月の方をしっかり見つめているのが分かった。
 どんなときも逸らされない瞳が如月には心地良い。こんな風に繋がっていながらもひたむきに向けてくる視線が愛しくて仕方がない。
「未来……愛してる……愛してるんだ……」
 突き上げる動きと共にそう言うと、宇都木の口元に笑みが浮かんだ。

「邦彦さん……」
「ん?」
 結局数度繋がり、今は二人で抱き合ったまま余韻に浸っていた。
「それで……」
「それで?」
「私の性感帯って何処にあるんでしょう?」
 生真面目な顔で宇都木は言う。余程気になっているらしい。
「……未来が知る必要はない……」
「大事なことなんです……」
「……じゃあ……内緒だな……」
 笑いながら如月は言った。
「……意地悪……」
「私だけの地図が頭に入っているんだ……未来にも見せないよ」
 如月はそう言って笑った。
 そう、宇都木が知る必要はどこにもないのだ。
「……そうなんですか……」
 何となく残念そうに言う。
「ところで未来はどこから怪しげな知識を手に入れたんだ?」
 如月が聞くと宇都木は言った。
「テレビショッピングです」
「なんだそれは??」
 宇都木から話を聞いた如月は呆れたように言った。
「買うんじゃないぞ……」
 そんな人体模型にお出迎えされるのだけは想像したくなかったのだ。

―完―
タイトル

ただのエロで終わってしまった……なんだかなあ……久しぶりにエロ書いちゃったというか……書きたかっただけというか……すみません(汗)。まあ、未来もこうやって大人に(?)なっていくのか、ただ単にますます如月がおやじ化しているのかわからないけど……ううん。これがあの二人だと思うとなにやら涙が流れそうな感じが……あはははは。ごめんなさい……(脱兎)。

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