トルコ石の店 2000年11月14日(火)

店の外観。レストランみたい。
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観光は、ケルヴァンサライを最後にして、次に、トルコ石の工房に向かう。
とてもきれいな女の人が出てきて、ハヤットと抱き合って挨拶をした。
自分も自然にこういう挨拶ができればいいなーと思う。
それだけで、友人との距離感がもっと近くなるはずだからだ。
彼女に、工房を案内してもらって、さまざまな説明を受けた。
その女性も日本語をとても上手に話した。
しかし、ハヤットほど流暢ではない。
トルコ語を話す口の開け方で日本語を話すので、
どうしても何かを食べているような口の開け方になる。
彼女の話を真剣に聞けば聞くほど、
その大きな瞳と大きく開けた口に吸い込まれそうになる。
いかん、いかん、彼女はマジメに話しているのだ。
・・・・でも、口の開け方が気になる。
食われる。ぎえ〜。
「トルコ石」はトルコだけで取れる、という訳ではない。
中国、イランなどでも取れるが、最初に取れたのがトルコ、という
事からこの名前がついたのだ。
各国のトルコ石を並べてみても、「トルコのトルコ石」は黒い混ざり物が
少なく、とてもきれいなブルーをしている。
彼女が、しきりに宝石を勧めてくる。
<彼女>「お土産にいかがですか?一万円くらいのがお勧めです。」
<夫>「・・・・・オレ、ちょっと、タバコ吸いに行ってくるわ・・」
げっ!逃げられた!私1人でこの場を切り抜けろっってコト??
そ、そんなぁ〜。
<嫁>「あ〜、でも、私ね、金属アレルギーで、アクセサリー、ダメ
なんですよ。(←事実。)」
<彼女>「でも、シルバーは大丈夫でしょ?」
<嫁>「いえ、シルバーは全然ダメです。(よし、よし。この調子で。)
周りに無いのを確認しつつ、)・・・・・プラチナ以外ダメなんですよね〜
プラチナなんか無いですもんねぇ。ははは・・・・
(はよ、帰りたい〜、苦手やねん、こういうトコ。)」
<彼女>「いえ、ありますよ。ちょっとお高くなりますけど。」
<嫁>「(やっっっっってもうたー!)あわわわ・・・・○×■△◎」
そこに、夫、帰ってくる。
<嫁>「(ちょっとぉ〜交代してよ!)どうしよう・・・か???」
<夫>「(ニコニコ、ニコニコ)あ、欲しかったら買うてえいで。どうぞ、どうぞ。」
<嫁>「(違うやん!反対してくれないかんやん!)あ、でもホラ、
金属アレルギーやし、・・・・・・ねぇ??(何か言って!!)」
<夫>「あ、僕、チャイ下さい。」
<嫁>「(うーん、もぉぉぉぉぉぉぉー!おぬし、何物じゃー!)
はは、ははは、ははははは・・・・・」
【以心伝心】いしんでんしん
@ことばや文字によらず心から心へ内容を伝えること。
A黙っていて気持ちが相手に通じること。
・・・ダメや。うまくいかん。
この後、ヘラヘラ笑いながら、謝りながら、店を出る嫁。
いつもと変わらない夫。
変な日本人夫婦。
彼女の目にはそう、写っただろうか・・・・・・・
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カーペット工房 2000年11月14日(火)

交渉成立。(クリックで拡大可能)
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<嫁>「もう〜断るのがこんなに辛いなんて、もう絨毯見るの、やめようや〜。
どうせ買えんし〜・・・・」
<夫>「そうやなぁ・・・」
<アリ>「気にしなくていいですよ。買わなくてもいいですよ。工房は、
見といた方がいいですから、案内します。」
<嫁・夫>「はぁ・・・・・・・」
工房に着くと、そこの社長なのか偉い人が出てきた。
彼も日本語を上手に話す。
若い女性からおばあさんまでが働いている工房へ案内される。
<社長>「奥さん、ちょっと、やってみますか?」
<嫁>「いえ、いいです、いいです」
・・・・・気持ちも体も硬直状態やけど、財布の紐も硬いですわよ。
そうは簡単に、思うようにはなりませんわよ〜ふぉっふぉっふぉ。
ウール×シルク、綿×シルク、シルク×シルク、ウール×ウール、・・・・・
絨毯は、横糸・縦糸に何を使うによっていろいろな名前がついているようだ。
絨毯がたくさん置いてある広い部屋に通される。
<社長>「何か飲みますか?」
<夫・嫁>「いえ、いいです。さっき飲んだばかりなので。」
それもあるが、飲んだら断りきれなくなるかも知れない。
借りは作れない。
ウワサによると、トルコの絨毯は、100万円とか200万円とか言われるのだ。
買えるわけがない。
社長は、私達に、説明しながら、近くにいる従業員にトルコ語で指示を出し、
絨毯を次々と、床に広げさせていく。
おいおい〜、やめてくれよ〜、そんなに見せられても、無理なものは無理よ〜
<社長>「どういうものがいいですか?」
・・・・・どういうものって。
ハッキリ言います!すみません!私達は、冷やかしです!
とっとと、追い出してください!何も買いません!
もう帰ります!
・・・・絨毯を広げ終わった頃、値段の話になってきた。
<社長>「シルクのこれが36万、これが28万、これが14万・・・」
・・・・・・・あれぇ〜?そんなもん?もっとするんじゃないの??
<社長>「ウール×綿になりますと、これが8万、これが3万・・」
・・・・・・・ええー?買えるかも。買えるかもよ。
夫は、玄関マットサイズのシルクの絨毯に目を奪われている。
14万。でも、さすが、物は素晴らしくいい。
嫁は、カイセリ産のモノクロ調の玄関マットをじっと見つめる。
・・・・・・・・・今、建てている家の玄関に置きたいなぁ・・
・・・・・・・・・「玄関は、家の顔」って言うしなぁ・・・・・・・
・・・・・・・・・これならフローリングの床にも合いそう・・・・
・・・・・・・・・3万かぁ・・・・欲しいなぁ・・・どうしようかなぁ・・
熱い視線を感じて我に返る。
夫がアリと、ニヤニヤ笑って私を見ている。
<夫>「それ(私が見ていたのを指差し)、1万にしてくれたら買う!
でも、それ以上は出せん!どう?」
<社長>「・・・・・・・1万は無理ですね・・2万でどうですか?それ以上は無理です。」
<夫>「いや、1万しかこっちも無理ですね。」
<社長>「・・・・・・・・・・・・」
<夫>「・・・・・・・・・・・」
<社長>「・・・・やっぱり、無理ですねぇ。2万で精一杯です。」
<夫>「1万8千円!」
<社長>「・・・・・・・・・・・・・無理ですねぇ。」
<夫>「どうしても?」
<社長>「どうしても。」
嫁、目で訴える。(欲しいよぉ〜、これ、欲しいよぉ〜買うてぇ〜!)
<夫>「・・・・・分かりました。2万で、買いましょう!」
<嫁>「やったー!!!!」
<夫>「あんなに、じっと見つめて固まってたら、買わん訳にはいかんやろ。」
<嫁>「ありがとー。」
【目は口ほどに物を言う】めはくちほどにものをいう
口で話すと同じ程度に目つきがそれを表現する。
目つきは口で話すと同じほどの力を持つものだ。
・・・・今度はうまくいった。よし、よし。
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悲しいお別れ 2000年11月14日(火)

ダブダブのベストが何とも言えない。とてもいい人。ミカンばっかり食べてる。ハヤットが用意してくれたフルーツ、この人がほとんど食べた。ははは・・
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絨毯工房を出たら、もう、すっかり暗くなっていた。
今日は、別のホテルに泊まる事になっている。
そして、明日は、このホテルから、空港に行き、イスタンブールに向かう。
ホテルまで行く前に、ATMによってもらう事にする。
Atamanは現金払いのみだったので、私達は今、日本円しか
持ってない状態なのだ。
<ハヤット>「うちのホテルに今晩も泊まることは無理ですよね?」
<夫>「うん、もう予約してあるから・・・」
<ハヤット>「・・・・・・」
ホテルに着くと、
ハヤットは、明日の空港までのシャトルバスを手配してくれた。
私は、カバンの底の方に沈んである風邪薬をアリに渡した。
ごめんね、こんなものしか、お礼ができなくて。
<嫁>「早く良くなってね。」
<アリ>「ありがとう」
そして、ハヤットとアリともう一人、初登場の柳沢慎吾似の運転手と
握手を交わし、別れを惜しんだ。
こういう時にも、抱き合って、「元気でね」ってやるのだろうが、
やっぱりシャイな日本人、なのである。
車に乗り込んだハヤットが、車のガラスに顔を押し付けて
変な顔をしている。
おかしいけど、悲しい。そのおどけた顔が、悲しみを大きくする。
ありがとう、ハヤット!アリ!慎吾(名前は不明)!
ハヤット、メール送るねー
いつか日本にも遊びに来てねー
元気でねー、ばいばいー、またいつか、会えるといいね!
3人が乗った1BOXが、見えなくなった。
<夫>「チェックイン、するか。」
<嫁>「うん」
カッパドキアは、私達に、素晴らしい思い出と熱い友情をくれた。
もし、これを読んだ人が、トルコに行くことがあるなら、
是非、洞窟のホテル、AtamanHotelに泊まって欲しい、と思う。
そして、そこで働いているハヤットという元気な女の子と一緒に、
カッパドキアを楽しんで欲しいと思う。
さぁ、明日からは、この旅最後の街、イスタンブール。
ゆっくり休んで、明日からに備えよう!
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