前のページへ 次へ 第4幕 イスタンブール A

カバン事件。

2000年11月15日(水)

 


問題の鍵

 

 

 

 

 

 

 


ま、こんなもんよ。ふぅ〜・・・
鍵が空いた直後。

午後2時。
夜になると寒くなるので、着替えて街に出かけようとしていたところ、

<嫁>「・・・・・・・ど、どうしよう・・・。」
<夫>「どうした?」
<嫁>「カバンが空かんなってしもうた・・・・・・」
<夫>「えっ!?」
ダイヤル式のカバンの鍵の暗証番号がいつの間にか変わってしまっていて、
空かなくなった。

ここのところ、事件らしい事件は何も無かった。
久々の問題発生。

幸い、パスポートや航空券は別のカバンに入れてある。
財布も大丈夫。とりあえず、よかった。

被害状況は、
これから何日か今来ている服で過ごさないのといけないのと、
最終日まで素っぴんでいなければならない、この2点。

・・・・・・はーん、それだけか、別にいいや。
下着と靴下は毎日洗えばいいし、元々、洋服はほとんど持って来てない。
毎日同じ服着てるようなものだ。
化粧は、別にいいや。知っている人に会う訳じゃないし、世の中の人が
みんな私に注目している訳でもない。
腹が立つのは、使えない、ただの役立たずの塊を、背負って日本に
帰らなければならない、それだけだ。
うん!大した事ない!諦めた!よし!

<嫁>「もうえいわ。出かけよう。」
<夫>「ちょっと貸してみて。」
<嫁>「もうええよ。諦めよう。・・・・ごめん。」

夫は、ダイヤルに耳を近づけ開けようとしている。
0から9までの数字が、3段あるから、当たる確率は、1/1,000!
・・・・そりゃあ、無理ですよ。
絶対、無理。絶対なんてこの世の中にはない、と言いつづけたけど、
今回ばかりは、絶対無理です。
1,000通りの組み合わせがあるのですよ。
それを全部、やるってーの???
それは無謀でしょう。

・・・・・約15分経過。
<夫>「・・・・ほい!空いたで。」
<嫁>「へ???え゛〜〜!!!!うっそー!!!なんで?なんで?
どうやって?どうやって開けたん?うっそぉ。ホンマに??」
<夫>「こんなん、ちょいちょいちょいのちょい、よ。」
<嫁>「ホントのこと教えて〜〜〜どうやったん??」
<夫>「ぐーぜん。偶然、空いた。それだけ。
ふぅ〜・・・・・・・(一仕事を終えた後の一服)、ま、こんなもんよ。」

何はともあれ、ただの塊にならずに済みました。
ありがとう。本当にありがとう。
初めての街歩き

2000年11月15日(水)

アメリカ大使館が目印。
ホテル周辺の写真


2両編成の電車
タクシム広場の路面電車

 

洋服を着替えて、オルタキョイへ向かう。


ホテルを出てまず路面電車に乗って、タクシム広場まで行き、
そこから、どうやって行くかは、タクシム広場で決めよう、という事になった。

帰り道が分からなくならないように、ホテル周辺の写真を撮っておく。
デジカメならでは、だ。

路面電車に、乗りたいが、乗り方が分からない。
他の人の様子を見るため、1台やり過ごす。
何かチケットを持っている。
どこで買うのだろう・・・・・
チケット売り場らしき窓口で聞いてみる。
<売り場のオジサン>「Over there」
向かいの売り場を指差した。

なんとかチケットを買い、電車に乗る。
路面電車は、イスタンブールの緩やかな坂道をゆっくり進んで行く。
歩くより少し速いくらいの速度だが、町並みを見ながら行くには、ちょうどいい。

約10分ほどで、タクシム広場に到着した。
オルタキョイ

2000年11月15日(水)

雰囲気のいい街。
オルタキョイの街
『るるぶトルコ』より

美しい建物
オルタキョイ・ジャミィ

オルタキョイへは、タクシム広場から、タクシーで行くことにした。
車で走ること約10分。
るるぶで見た景色が見えてきた。

今回の目的は、『るるぶトルコ』に載っていた、
のび〜るアイス(ドンドルマ)を食べに行くのと、
かわいいお土産を探すことだ。

オルタキョイの位置関係を東京に置き換えて言うとすれば、
タクシム広場がアルタ前なら、オルタキョイは青山、
しかし、街の雰囲気を言うと横浜である。
近くに学校が多く、安くておしゃれな店が多い地区である。

少し硬いかなぁ〜・・  かわいいでしょ?
のびるアイス"ドンドルマ"    ここで買ったお土産の雑貨。
『るるぶトルコ』より

 

イスタンブールの夕食

2000年11月15日(水)

すっかり暗くなったが、お腹はあまりすいていない。
とりあえずタクシム広場に戻ることに。
タクシーを捕まえて、来た道を戻る。

タクシム広場に戻ると、これといって目的もなく、
電車道をブラブラ、ホテルに向かって歩き出した。
ここが一番の繁華街だ。

シシケバブのファーストフードや、洋服屋、CD屋、靴屋・・・・
平日の夜というのに、人でいっぱい。
ブラブラ歩くうちに、だんだん、お腹が空いてきた。

観光客が入るような店も、なんとなく避けたかったし、
かといって、怪しい店も困る。
通りに面した明るい雰囲気の「KONAK」という店に入ることにした。
メニューを見ると、セットメニューの値段が「4,000−」、スープ「700-」
と書いてある。

<嫁>「これ、いくらの事?下の桁が省略されてるから、全然分からん。」

え???と、とんでもない高い店に来てもうた!!
セットメニューが日本円で約6,400円、スープが約1,280円、
日本で言うと、まぁ、普通やけど、こっちで考えるととんでもない
高級店だったのだ。

観光客担当と思われる店員が来て、
<店員>「セットにしたら?その方が簡単だし、お得だよ!」
とジェスチャーで言っている。(英語はカタコト)

得なことなんてないっ!、こんな値段で。
他の人達は騙されても、うちらは騙されんで!
<夫>「No, too expensive」
<店員>「NO,NO,NO,NO,This is 1 US$」
スープを指差して言う。1US$???
<店員>「Yes、1 US$.」
いややわぁ〜。冗談ばっかり言うて。
今まで、うちら、あんたみたいなトルコ人、たくさん見て来てん。
自分らで決めます。
ほっといて〜

そして私達は、財布の中を気にしながら、スープとケバブを2人前、
サラダを一つ、飲み物は、水を注文した。
総額、18,000円は、もう覚悟の上だ。
腹をくくったところで、食事が来た。
・・・そう考えると、周りの人が、とんでもない金持ちのように思えてきた。
<嫁>「トルコの金持ちは、意外と質素なんやなぁ〜・・」

味は、文句なしだった。
だって、高いんやもん、当たり前やん。
でもま、そういう事も旅のアクシデントということで、よい思い出となって
いくことでしょう・・・・

<夫>「チェックして。」
さっきの観光客担当の店員が、請求書を持ってきた。
・・・・・恐る恐る見る。
「12,600,000TL」
<夫・嫁>「一、十、百、千、万、十万、百万、千万・・・・・。
・・・・・・安いやん!一桁間違ってた!」
「12,600,000TL」というと、日本円で、約1,800円!

その店員に、思いっきり、笑顔を見せて、お礼を言って店を出た。
疑ってごめんね。
だって、メニューの見方が分からんかってん。
ホンマにごめんね。

二人ともすごーく得した気分で、ホテルまでの道を、
笑いながら歩いて帰った。

帰国してから分かったことであるが、この「KONAK」という店、
格安ケバブの店で、な、なんとっ!大阪は四ツ橋に姉妹店があるらしいのだ。
つまり、日本人、御用達の店だったのだ。

トルコの料理が食べたくなったら食べに行こう。

 

パムッカレの悪夢
・再び

2000年11月15日(水)

ホテルへ帰ってから、ホテル内のバーへ行くことにした。
オリエント急行の乗客で賑わったバーで、ワインを頼む。

少し、ほろ酔い気分になってきたところで、
どちらから言い出したのか(たぶん嫁)、お互いの不満をぶつけ始めた。
夫が、
<夫>「その"ねぇ、どうするん?""ねぇ""ねぇ"っていうの、
やめてくれる?今、考えてんねん!」
と昼間、怒った事が引っかかっていたのだ。

今、考えると大したことではない。
きっと、男と女の脳の構造の違いなのだ。
嫁は、つま先の石ころを拾って行きつつ、先の事は考えてない。
夫は、先の事を考えるあまり、つま先の石に気づいていない。
本当は、この2人が協力して行けば、最強のコンビなのであるが、
そして、このコンビで、今まで、うまく行っていたはずなのだが、
夫婦も、長い時間2人きりで一緒にいると、おかしくなってくるのだろう。

嫁は、黙って考え込む夫に、腹が立ってくるのだった。
夫が悩み、考えている事に、自分も参加したいのに、
一緒に考えたいのに、1人の世界に入りがちな夫に、イライラし始め、
「どうするん?ねぇ、ねぇ。」・・・と、こうなるのである。

それだけなら良かった。
夫が、パムッカレに間に合わなかったこと(『パムッカレの悪夢』参照)が、
嫁の無謀な計画の立て方にあった、と言い出した。

もともと、夫はパムッカレをメインに考えていた。
嫁は、あくまでもエフェススがメインで、あの遺跡群を見たかった。
以前ギリシャに行って、遺跡に食傷気味になっている夫に、
「そんなんズルイ。私は、見たことにないし、どうしても見たい。」
と言い、話し合いの結果、お互い譲歩しつつ決めたスケジュールであった。
・・・・・・はずだった。

だから、これには、嫁も頭に来た。


部屋に帰ってからも、しばらく口を聞かない2人。
どちらからともなく、「明日、別行動にしよう。」という事になった。
「望むところよ。」
嫁は、日本に帰りたい、日本に帰りたい、そればかり思っていた。

最初は、怒りで興奮して眠れなかったが、次第に落ち着いてきて、
いろんな事を考え始めた。

そもそも、2人でここに来たかったから、この旅行を計画したのだ。
確かに、自分も悪かった・・と思う。
パムッカレの事も、悪いことをした・・と思う。
だけど、あれは不可抗力や。
努力は最大限したし、それを言われると辛い。
明日、どうしよう。
夫は、ああ言ってるけど、ここまで来て別行動というのもなぁ・・
でも、怒ってるやろうなぁ・・・・・・

<夫>「・・・・なぁ、明日、どうする?」
<嫁>「やっぱり、ここに来たくて来たんやから、明日、
付いて行くことにするわ・・・・・・パムッカレの事はもう許してや。
また見に来ようや。」
<夫>「おう。」

私達のいい所は、お互い、忘れっぽいところだ。
あんなにケンカをして、ひどい事を言っても、一晩ぐっすり眠ると
すっかり忘れてしまう。
2人とも、疲れが溜まっていただけだろう、と思う。

今も、あの時のケンカの原因はなぞなのである・・・・・・・