凡夫と時間
――法哲学の人間論――
◆凡夫と時間は、著者が最大の関心を抱き続けてきたテーマであり、それは先行する法哲学における基本的視座にもなっている。
◆第1章では行としての日常的行為が宗教だけでなく(法)哲学においても確保されるべき重要な意味をもつことを示した。〔…〕第2章では自己を現実化していく場であるがゆえに、過程が永遠性を含む常行の場の一つとして有力であることを論じている。第3章では、生命レヴェルと社会レヴェルの往還を考え、この働きの中に寄物の観点を加えた自己限定の構造を見出す。〔…〕第4章では、心性の影響や無意識が継続的創造を要する理念にとって大きな問題となることを説く。〔…〕第5章では時間の審級的意味について論じた。〔…〕第6章では、生命や祖先について注目し、「種」というものを抜きにしてわれわれの存在を理解することができないこと、それゆえ「類」の構想にもこの観点が深くかかわるという見方を示した。第7章では、法的理念としてのノモスに注目して、凡夫性が法や法学の根拠であることを論じている。〔本書「序」より〕
A5判・上製・192ページ
定価:2750円(本体2500円+税10%)
ISBN978-4-86065-178-7
2025年10月刊
