ノーマは家に来て3日目に下痢をしました。それもひどいものを。

ノーマがいたペットショップの人は「ワクチンが済むまでは病院の待合室は決して連れて行かないように、院内感染する恐れがあるから」と言われました。
そして「車の中で順番が来るまで待っているように」、と。

なるほどそんなこともあるかもしれない、だって病院は病気のコが来るところだもの、と思ったお世話係はワクチンが済んでいなかったので往診に来てもらおうと近所の動物病院にペットシーツにのったノーマのウンコちんを持って、これこれこういう理由で犬は連れてきてません。このウンコで何かわかりませんか、往診してほしいといったことを言ってみました。
するとその病院ではいちおうウンコで寄生虫の有無をみましょう、と検査をしてくれ、シロップをくれました。
これで様子をみるように、と言われたのです。
また、往診はしないとも。
家に帰ってシロップを与えても受け付けず、元気はあるものの何も食べようとしないノーマ。
子犬が何も食べないというのはどうなんだろう?「様子をみなさい」とだけ言われても、このまま何もしなくていいんだろうか?見るだけで?と近所に犬友達もなく、まさのすけは泊まりの仕事でお世話係は一人ぼっちだったので不安は最高潮に達していました。

このままにしていていいのかな?すごい下痢だし・・・。
様子を見るっていつまで?で、どうなったら病院に連れていくの?と考えても結果が出るはずもなく、他の病院の獣医さんの意見を聞きたいとタウンページを開いて往診をしてくれる病院を探しました。

すると、日曜祝日も開院していて(時間は短いが)往診もしてくれるという案内の動物病院の名前が目に入ったのです。
そこへすがるような思いで電話をするとまず女性が出てくださいました。
看護士さんか受付の人?と思いました。

これこれこういう症状です。こういう理由で連れて行きたくありません。往診してもらえないでしょうか?といったことを言うと、電話に出た女性は「少々お待ちください。先生にかわりますので。」と言われました。
そう。これもよくあること。先生に代わってからまた一から説明しなくちゃいけないんだと思いました。

だけど、電話に出た先生の第一声は「お話はよくわかりました。」でした。

おぉ、ここのスタッフはちゃんと伝言してくれるんだとびっくりしました。

そして先生は「確かに残念ながらあなたのおっしゃること(院内感染)はどんなに我々が気をつけても起こってしまうことがあります。否定はしません。でも、往診ではできることが限られてしまいます。お話を聞いてそのコはもしかしたらもう既に伝染病に感染しているかもしれないです。今日中に点滴をしないといけないと思います。子犬は一日でも食べないとそれはとてもダメージなんです。車の免許がないので行けないとおっしゃいましたが、タクシー代と往診代はさほど変わらないと思います。決断してください。」と言われました。
その先生の断固とした言い方と話の内容に納得したお世話係は「伺います」と答えてタクシーにノーマを乗せるべくキャリーケースを買いに行きました。
それは近所のペットショップにありました。
すぐに大きくなるから無駄になるな・・とは思いましたがそんなことも言ってられないし。

「いい病院があったら教えて下さい。これから○○動物病院に行くけれど、もう少し近いところでいいところがあったら・・」と言うとペットショップの人は「そこに行くんだったら、そうしたほうがいい。経過もきちんとみてくれるし、ちゃんとしてくれる」と言われました。

そうか。ヨシ。もうそこへ行こう。決めた。

夕方の診察時間に合わせてタクシーに乗って行きました。
初めての病院にノーマはニコニコ。
看護婦さんが何人かいて行き交う姿を見てなんだかうれしかったらしい。

だけど、その笑顔はつかの間のものでした。
まず、体温を測るべくおしりの穴に体温計を突っ込まれ、小さくギャンと鳴いてオドオドし始めました。
それが終わって、では点滴です。と背中に点滴の針を刺されたそのとき!ノーマは鋭い悲鳴をあげて先生を噛みそうになったのです。
ぐるっと振り返って牙をむいたのです。

先生はすばやくノーマのマズルをつかみ、「このコ噛みそうになりましたよ!」
と言ってお世話係に保定をきっちりさせて、今度は慎重に点滴の針を刺しました。

その点滴の間、先生はノーマの性格がどうやらとてもシャイなので育てるにあたっては注意深くしなければならないことを教えてくれました。
子犬でこんな子はめずらしい、しかもゴールデンなのに、と言われ、私はペットショップでのノーマを思い出していました。
サークルに出してもらったノーマは私やまさのすけにはすぐに寄って来ず、敷いてある新聞紙で遊び始めたのです。
・・・大丈夫かな?このコ。普通の子犬と違う反応だね。とそのとき思った、あの情景を思い出しました。

2度目のワクチンを待って他の犬や人に慣れさせていては本当は遅いのだといったことを先生は言われていました。
これからあなたはこの子の飼い主として10年、もしくはそれ以上がんばっていかなければなりません。
そして一番今がんばらないとこの子の一生がメチャクチャになりますよ。
なるだけ多くの人に触ってもらって、なるだけ多くのフレンドリーな犬に会わせて「人は大丈夫だ。犬は大丈夫だ」とこの子にしっかりと分からせてあげて下さい。
それが飼い主さんの仕事です。
たいへんですけどがんばってください、と言われました。

昔から犬や他の動物も大好きで、いろいろな本を読んで犬の飼い方について勉強中だったけれど、やはり獣医さんから教えていただくことは改めてなるほどと思わせることが多くてとても勉強になりました。

点滴液がたっぷりと背中に入ったノーマをキャリーケースに入れて、タクシーを呼ぶべく病院の受付で「タクシーの電話番号をご存知だったら教えてください。それか電話帳を貸してください。」と言うと「はい。」と受付の人は言って自ら電話をかけて、行き先(ノーマ家のある市)を言ってくれました。
なんてスバラシイ!!と思いました。
先生は頼れるお医者さんで、スタッフはテキパキとしてとても親切。
お世話係はノーマの病院はここ以外にない!と確信して帰ったのでした。


 そしてこの2日後、再びお世話係は病院に向けて半ベソかきながらタクシーを走らせることとなるのです。
下痢とは全く違う別の病気で。
病院との出会い

動物病院は大事な私たちのパートナーを治療してくれるところ。
でも先生と飼い主の相性などもあります。以下に書いてあることは
あくまでも私の感じたことですので、念のため申し添えます。

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