---------- 車両解説 ----------

20000系(楽)

 20100系あおぞら号の老朽化のなかで、団体旅行スタイルの個性化・多様化には、5200系急行車の兼用、18200系の改造等で対応してきた。しかし、より高品質のサービスに対応できる新型専用車を設計することになり、1990年(平成2年)10月に20000系1編成が製造された。
 編成は大阪側よりク20101(Tc)+モ20201(M)+モ20251(M)+ク20151で車体はほぼ同じ車体断面形状としながら、Tc車はダブルデッカー、Mはハイデッカー構造とし、前頭部は展望性を確保するためガラス面を大きくとる一方で他車との併結を考慮した貫通型となった。階上席は転換式のクロスシートを配し、先頭Tc車中央部にはらせん階段を設けて階下席への行き来を可能とした。また、階下M車寄りには半個室のグループ席も設けられている。
 前照灯は屋根上展望窓の両側に角形シールドビームを設ける一方、左右にリトラクタブル方式の補助前照灯を設け、標識灯は腰部に縦長のLED灯を配した。塗装は2階席部をレモンイエローに、階下部をシーガルホワイトに塗り分け境界部にアンバーグレーの帯を巻き、側面乗降扉部にジョイフルオレンジ、サロンと化粧室部はコンフォートグレーとした。さらに各車に「楽」のシンボルマークと先頭車にはVISTACARのロゴも入れられた。冷房装置は中間M車の床下に4基搭載されパンタを1基ずつ配置、コンプレッサーは先頭Tc車に設置された。
 1990年(平成2年)の運転開始から30年が経過した2020年(令和2年)にリニューアル工事が施工され、車体色は漆をイメージした「漆メタリック」とし、日本の伝統和柄5種類を車体内外に取り入れたデザインとなった。前面排障板上部に設置されていたリトラクタブル前照灯を撤去、従来の標識灯をLEDの前照灯に変更し(上部前照灯も同時にLED化)、標識灯は排障板と車体間にシリーズ21と同じものを新たに設置した。リニューアルにより「楽」及び「VISTA CAR」のロゴマークもリニューアルされた。
 先頭車ク20101とク20151の運転台後部は「楽VISTAスポット」として従来の座席を廃して眺望型が楽しめるスペースに、階下席も座席を撤去してクッションを廃したフリースペースとなった。車端部においては従来のソファを撤去してサロン室となり腰掛が設置されている。中間車モ20201とモ20251はシートピッチを300mm拡大して1210mmとし、木製大型テーブルが設けられた。また荷物置き場の新設、車椅子スペースも確保されてる。
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奈良、大阪、名古屋線などを縦横無尽に走るリニューアル前の”楽” 橿原線を走行するリニューアル前の20000系
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転換クロスシートが並ぶ階上席(リニューアル前) リニューアル工事が施工後の20000系”楽”
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←上本町/名古屋→
 ク20100形(Tc) + モ20200形(M) + モ20250形(M) + ク20150形(Tc) 
20101 + 20201 + 20251 + 20151

2020年10月 3日更新

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