---------- 車両解説 ----------

6800系(ラビットカー)

 1957年(昭和32年)に南大阪線用に製造された本格的高性能通勤車で、MMユニット・オールM方式により高加速・高減速を可能とした。また、両開き4扉・2個1組の大きなサッシュレス下降窓の車体はそれ以後の近鉄通勤車の基本となった。加速度4.0km/h/s・減速度4.5km/h/sという高性能から「ラビットカー」というニックネームが付けられ、ステンレス製のうさぎのマークが側面に取り付けられていた。当初はオレンジに白帯という軽快な塗色であったが、塗装工程簡略化のため一般車はマルーン一色となり、それと同時にラビットマークも取り外された。同時に製造されたモ6850形は増結用のため、1M方式が採用されており、6855以降はパンタが運転台寄りに取り付けられている。なお6852・6854は当初阿部野橋向きであったが6855〜6858が阿部野橋向きで登場したため方向転換され、6851〜6854は吉野向きとなった。
 1960年(昭和35年)には2次車6813F〜6821Fが製造され、前面の左右ヘッドライト間隔が1次車の980mmから1300mmに拡げられ、標識灯の形状も変更された。更に1961年(昭和36年)には3次車6823F〜6831Fが登場、運転台は全室式となり標識灯は2灯式となった。なお、前述の増結用6856〜6858は1963年(昭和38年)製造の4次車となり前面車掌側窓は開閉式となった。後年、2次車の6813〜6821奇数車は列車無線設置が省略され、1次車と偶数車は全室運転台に改造されたのに対して半室運転台で残り、以後営業では先頭に立つことは無くなった。

 廃車は1983年(昭和58年)の6803Fから始まり1993年(平成5年)6855〜6858が養老線に転出したのを最後に形式消滅した。尚、養老線に転出した6855・6856は610系増結用ク530形となったが、2001年(平成13年)に廃車、6857・6858は600系606Fとなり、養老鉄道事業移管後に登場時のオレンジに白帯、ラビットマークも側面に復元(ステッカー)されて現在も活躍している。
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初期車の6806+6805 2次車の奇数番車は入れ替え専用運転台となった
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3次車の6831+6832 養老線転属時のモ6850形
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←阿部野橋
 モ6800形(Mc偶) + モ6800形(Mc奇) 
6802 + 6801 1次車
6804 + 6803
6806 + 6805
6808 + 6807
6810 + 6809
6812 + 6811
6814 + 6813 2次車
6816 + 6815
6818 + 6817
6820 + 6819
6822 + 6821
6824 + 6823 3次車
6826 + 6825
6828 + 6827
6830 + 6829
6832 + 6831
モ6850形(Mc)
6855 4次車
6856
6857
6858
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吉野→
モ6850形(Mc)
6851 1次車
6852
6853
6854
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形式 車種 番号 両数 定員 全長
(mm)
全幅
(mm)
全高
(mm)
台車 電動機 出力
(kW×個)
製造初年 製造所 備考
モ6800 Mc1 01〜31(奇) 16 170 20720 2736 4146 近車KD-23* 三菱 90×4 1957 近車 *13〜31(奇)はKD-39
Mc2 02〜32(偶) 16 3990   〃 * *14〜32(偶)はKD-39
モ6850 Mc 51〜54 4 4146  
55〜58 4 近車KD-39 1963  

2014年 6月14日 更新

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