---------- 車両解説 ----------

800系

 1955年(昭和30年)奈良線用に製造された近鉄初の量産型高性能車である。1954年(昭和29年)に試作された1450系とは違い、MMユニット方式ではなく、WN駆動やシュリーレン台車などが採用されている。側面窓はサッシュレスの大形下降窓が採用され以後近鉄電車の標準的なものとなった。前面は湘南形スタイルで窓が一段くぼみ、窓下にはステンレスの飾り帯が付けられている。当初はMcTMcの3両編成であったが、1958年(昭和33年)からは乗客の増加に対応してク710形(簡易運転台付き)が製造され4両編成となった。通風装置は三菱製ファンデリアを採用、後に809Fの中間車ク715とサ705には試験的にラインデリアが設置された。1958年(昭和33年)増備の簡易運転台付きク710形は編成固定運用となりその機能が省略され、1980年(昭和55年)にサ710形に改められた。
 1975年(昭和50年)4月に新祝園〜山田川間で発生した踏切事故で807Fが大破、復旧不可能な808+704は1977年(昭和52年)に廃車となった。1986年(昭和61年)からは伊賀線に880系として807+714と805+713が転出、片割れとして残った703には平妻貫通扉付きの運転台を新設し同時に車体更新を行った。1989年(平成元年)809F・811Fから廃車が始まり、1992年(平成4年)の801Fを最後に系式消滅した。また伊賀線に移った880系も1993年(平成5年)に廃車され、特徴あるこのスタイルの車両は消滅した。
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マルーン一色時代 晩年の800系 (Photo:うえさん)
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 モ800形(Mc) + ク710形(T) + サ700形(T) + モ800形(Mc) 
802 + 711 + 701 + 801
804 + 712 + 702 + 803
806 + 713 + 703 + 805 1986年下記組成変更
808 + 714 + 704 + 807 808 704は1975年事故欠
812 + 715 + 705 + 809
810 + 716 + 706 + 811
 800形(Mc) + ク700形(Tc) 
806 + 703
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形式 車種 番号 両数 定員 全長
(mm)
全幅
(mm)
全高
(mm)
台車 電動機 出力
(kW×個)
製造初年 製造所 備考
モ800 Mc 01〜12 12 126 18500 2700 4009 近車KD-20 三菱 125×4 1955 近車 08は1975年事故廃車
ク710 Tc 11〜16 6 136 3670 近車KD-20A 1958  
サ700 T 01〜06 6 近車KD-12A 1955 04は1975年事故廃車

2020年10月17日 更新

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