---------- 車両解説 ----------

16000系

 観光シーズンに運用されていたモ5820形による「かもしか号」に代わって、1965年(昭和40年)に登場した南大阪線初の本格的特急車両である。車体スタイルは大阪線11400系エースカーに準じているが、車体寸法が異なり、前面貫通扉の窓が大きいため異なった印象を与える。

 主要機器は6000系と同一のものを使用し、性能も変わりはない。座席はエースカーと同じく転換クロスシートで車販準備室はMcに、WCはTcに設けられている。1974年(昭和49年)には中間車のMとTを挟んだ4両固定編成も登場し、前面にはスカートも取り付けられた。16001F〜16003Fの左右前面窓は大型1枚ガラスを使用したが、16004F以降は平面ガラスと曲面ガラスを組み合わせたものとなり桟が付いた。(後に更新工事により全車大型曲面ガラスに変更された)

 正面特急マークは当初大型のものを使用していたが1977年(昭和52年)より11400系同様、増解結時に支障を来さないホームベース型のものに取り替えられた。なお1977年(昭和52年)製の第9編成16009Fは当初よりこのホームベース型特急マークを装備して登場、16000系は第1・2編成が竣工してから12年間の長期に渡って製造された。1985年(昭和60年)から車体更新工事が始まったが、内装が中心で外観にあまり変化はなかった。さらに1995年からの更新ではMc車の連結面寄り側面扉と車販準備室を撤去、シートのリクライニング化や客室仕切の設置などが施行された。

 1996年(平成8年)に16400系が登場し、余剰となった1次車16001F・16002Fは1997年2月に廃車の上、大井川鉄道に譲渡されることとなり、ワンマン運転化に伴って運転室仕切が登場時の窓付きに戻された。また2002年(平成14年)には16003Fも同じく大井川鉄道に譲渡された。2005年(平成17年)1月には16004Fが廃車となり他社譲渡もなく16000系のなかでは初めて姿を消した。

 2013年(平成25年)4月には更新工事を受けていない16005Fと16006Fが運用を離脱し休車状態となったが、同年10月から11月にさよならイベントに使用された後、廃車となった。この際16005Fの乗降扉は大井川鉄道の16002Fに流用された。また大井川鉄道に譲渡された16001Fは2014年(平成26年)10月に同線での運用を離脱し2015年(平成27年)1月に解体、2021年(令和3年)11月には既に運用離脱し部品取り用に留置されていた16002Fも解体処分となった。

 2015年(平成27年)には全席禁煙座席化により、ク16100形運転席後部に喫煙室の設置工事が行われている。また2016年(平成28年)からは汎用特急車塗装変更に伴い順次施工されている。尚、2024年(令和6年)3月のダイヤ改正で4連の16008Fは定期運行が終了となった。
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更新工事前の16000系 ク16100形運転席後部には喫煙室が設けられた
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4両編成の16008F 塗装変更後の16000系
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←阿部野橋/吉野→
モ16000形(Mc) + ク16100形(Tc)
16001 + 16101  大井川鉄道譲渡 2015, 1 解体 
16002 + 16102  大井川鉄道譲渡 2021,11 解体 
16003 + 16103  大井川鉄道譲渡
16004 + 16104  廃車
16005 + 16105  廃車
16006 + 16106  廃車
16007 + 16107
16009 + 16109
 モ16000形(Mc) + サ16150形(T) + モ16050形(M) + ク16100形(Tc) 
  16008 + 16151 + 16051 + 16108  
 斜体字は現存しません
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形式 車種 番号 両数 定員 全長
(mm)
全幅
(mm)
全高
(mm)
台車 電動機 出力
(kW×個)
製造初年 製造所 備考
モ16000 Mc 01〜09 9 72 20500 2740 4150 近車KD-69* 三菱 135×4 1965 近車 *01〜03はKD-52,08・09はKD-69B
モ16050 M 51 1 76 近車KD-69B 1974  
ク16100 Tc 01〜09 9 72 3800 近車KD-69A* 1965 *01〜03はKD-52A,08・09はKD-69C
サ16150 T 51 1 3795 近車KD-69C 1974  

2024年 4月21日更新

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