---------- 車両解説 ----------

1010系

 1987年(昭和62年)〜1989年(平成元年)に京都線用920系を名古屋線に転属させる際、1010系に形式変更した車両である。920系は京都・橿原線で運用されていた旧形車600形の置き換え用として1972年(昭和47年)に5編成15両が製造された。車体は奈良線8400系に準じているが電気機器は旧600形のものが流用され、主電動機も吊り掛け式であった。空調はラインデリアを装備し、モ920形の台車は新製のKD−74が採用されたが、ク970形の台車は他線の廃車発生品を使用している。
 1982年(昭和57年)から冷房改造が行われ、その際同時に廃車となった10100系(ビスタカーU)の主電動機を132kWに出力増強して流用し、1C8M化のうえ界磁位相制御の改造も行った。改造後もしばらくは京都・橿原線で使用されていたが、同線の3両が余剰となり1010系に改番されて全車名古屋線に移り、ローカル運用を中心として使用されるようになった。1992年(平成4年)〜1993年(平成5年)には車体更新が行われ、側面行き先表示器設置などが行われた。その後Tc車の台車はKD−51Hへと交換された。

 その後、1012Fが2006年(平成18年)8月に、1015Fが2006年(平成18年)10月、1013Fが2007年(平成19年)8月にワンマン対応及び更新工事を受け、前面車掌側窓上部には電光式ワンマン表示器を設置、側面窓2枚分を固定窓化し座席モケットの貼り替えが行われ、Tc車の台車は空気バネのKD−64Aに交換された。
 ワンマン改造を受けた車両のうち、1012Fは鈴鹿線運用時に中間車のモ1062が2度の発煙事故を起こし、しばらく休車状態となったが根本修理には至らず2013年(平成25年)12月に非ワンマン対応車の1014F中間車モ1064を1012Fの中間車として組み込み、編成番号を新たに1016Fとした。尚、残った非ワンマン対応の1014F先頭車は廃車扱いとなり、1012Fと1014Fは欠番となった。また事故車のモ1062は2014年(平成26年)年9月に電装解除し、老朽化した奈良線8600系8617Fの中間車サ8167の代替えとしてサ8177に改番されて同編成に組み込まれた。
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名古屋線転属時の姿 非ワンマン対応車の1011F
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ワンマン対応改造を受けた1010系 1012F車両不具合から1014Fと組成変更して生まれた1016F
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←名古屋
 ク1110形(Tc) + モ1060形(M) + モ1010形(Mc) 
  1111 + 1061 + 1011  
  1112 + 1062 + 1012    2013,12 1112→1116、1012→1016 
2014, 9 1062→電装解除サ8177
  1113 + 1063 + 1013  
  1114 + 1064 + 1014    2013,12 1064→1066、1114・1014廃車 
  1115 + 1065 + 1015  
  1116 + 1066 + 1016   2013,12 組成
 斜体字は現存しません

1010系編成表(PDF)

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形式 車種 番号 両数 定員 全長
(mm)
全幅
(mm)
全高
(mm)
台車 電動機 出力
(kW×個)
製造初年 製造所 備考
モ1010 Mc 11〜15 5 170 20720 2800 4017 近車KD-74 三菱MB-3020E 132×4 1972 近車  
モ1060 M 61〜65 5 190 4150  
ク1110 Tc 11〜15 5 170 4017 近車KD-51H* *12・13・15は近車KD-64A
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2020年10月17日更新

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