---------- 車両解説 ----------

10100系(ビスタカーU)

 1959年(昭和34年)に10000系(ビスタカーT)をもとに製造された名阪直通運転用の特急車で「新ビスタカー」と呼ばれている。3車体で1編成をなす連接構造がとられ、中間車は2階式となっている。先頭車はビスタカーの顔ともいうべき非貫通流線形と、参宮急行電鉄2200形前面の片窓を彷彿させる左右非対称窓配置の貫通形2種があり、その組み合わせによりA・B・Cの3種類の編成がある。(上本町側流線形妻がA編成、その逆がB編成、両方とも貫通形がC編成) 登場時はABC編成が描く4編成の連番であったため、以降増備された際に末番を合わせるため、10105Fは10109Fへ、10109Fは10113Fへ、10110Fは10114Fへ改番された。

 全軸駆動・MMユニット方式をとり、制御関係機器とパンタグラフ(PT−42型2台)はモ10100形に、電動発電機・コンプレッサー等はモ10300形に付けられている。トイレ及び冷房装置は中間のサ10200形に設置され、冷気はダクトによりMcにも送られている。2階部分の客室は2人掛けシートが並び旧ビスタカーの展望室イメージに対し、一般客室に近いものになった。階下の客室は4人掛けの向い合わせ固定シートで大きなテーブルが付いている。当時の国鉄「こだま」に対向して名阪ノンストップ運転を行い、シートラジオ・列車公衆電話などを設置していた。
 1969年からは黄害対策による汚物タンク設置により、トイレが階下部分からかさ上げされたため、2階席に飛び出す形となり、その部分には荷物置き場のスペースとして利用されることとなった。

 その後、12000系の登場により10100系は、居住性が劣る等の理由で次第に支線特急に転身していくこととなり、1977年(昭和52年)12月から廃車が進められ、1979年(昭和54年)10月までに全車廃車となった。なお、台車や電動機は名古屋線2000系680系、京都線920系に、制御機器は30000系に、座席は16000系16010系に転用された。
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難波駅に停車中の10100系 ノンストップ特急の運用に就くB編成
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中間ダブルデッカー車のサ10200形
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←上本町/名古屋→
 モ10100形(Mc) + サ10200形(T) +モ10300形(Mc) 
10101 + 10201 + 10301 A
10102 + 10202 + 10302 A
10103 + 10203 + 10303 A
10104 + 10204 + 10304 A
10105 + 10205 + 10305 A
10106 + 10206 + 10306 B
10107 + 10207 + 10307 B
10108 + 10208 + 10308 B
10109 + 10209 + 10309 B
10110 + 10210 + 10310 B
10111 + 10211 + 10311 C
10112 + 10212 + 10312 C
10113 + 10213 + 10313 C
10114 + 10214 + 10314 C
10115 + 10215 + 10315 C
10116 + 10216 + 10316 C
10117 + 10217 + 10317 C
10118 + 10218 + 10318 C
A:A編成 B:B編成 C:C編成
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形式 車種 番号 両数 定員 全長
(mm)
全幅
(mm)
全高
(mm)
台車 電動機 出力
(kW×個)
製造初年 製造所 備考
モ10100 Mc1 01〜04 4 68 18030 2800 4150 近車KD-41D 三菱 125×4 1959 近車  
05 1 近車KD-41 1960  
06〜16 11 17300 近車KD-41D 1959  
17・18 2 近車KD-41 1963  
モ10300 Mc2 01〜04
11〜16
10 3900 近車KD-41D 1959  
05・17・18 3 近車KD-41 1960  
06〜10 5 18030   近車KD-41D 1959  
サ10200 T 01・02・04〜07
12〜14・17
10 48 14100 1959  
03・08〜11
15・16・18
8 1959  

2018年 2月10日 更新

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