---------- 車両解説 ----------

860系

 伊賀線では1977年(昭和52年)より元名古屋線6311・6331形改造の5000系が活躍していたが、同線体質改善により高性能車に置き換えることとなり、1984年(昭和59年)に生駒・田原本線で使用されていた820系を狭軌化のうえ伊賀線に転属させることとした。改造に際し、内外装材の交換や前面窓Hゴム支持の固定化、ステンレス化粧帯の撤去、ドアステップの拡張などが行われた。台車は当時廃車されていた南大阪線6800系のものを改造したKD−23A形・KD−23B形を使用、主電動機も6800系から流用した。
 転属は1984年(昭和59年)、867F(旧828F)のラスト番号から始まり、第1陣として1985年(昭和60年)までに864F〜867F(旧825F〜828F)の4編成が揃った。さらに翌年には、800系改造の880系2編成が同線の戦列に加わった。(880系にて別紹介)
 861F〜863Fの転属は伊賀線冷房化に伴って、1993年(平成5年)と第1陣転属より9年も後となった。それまで活躍していた880系は廃車となり、最後まで生駒・田原本線で使用されていた824F・823F・821F(822Fは廃車)をそれぞれ冷房化のうえ861F〜863Fとして伊賀線に転属。864F〜867Fも同様に冷房化工事が施工された。

 861F(第1期1997年〜/第2期2001年〜)・866F(1998年〜)は漫画家の松本零士氏デザインによる忍者(くノ一)列車としてペイントされ、また865Fはラッピング広告列車として活躍した。
 2007年(平成19年)10月に伊賀鉄道に事業移管されてからは前面貫通扉に掲示されていた大型表示板の表示を廃し、861F・866Fと同様の助手側窓への行き先表示となった。2009年(平成21年)2月には863Fが820系時代の塗装に復元され、ステンレス帯(ラベル貼りつけによる)も復元されている。また、同年8月には862Fが昭和30年代以前の一般車ダークグリーン色に塗装され、レトロ列車として運用されている。
 2004年(平成16年)5月に864Fが860系の先陣を切り廃車され、2010年(平成22年)8月には東急1000系からの改造車200系への置き換えにより、ラッピング広告の865Fと忍者列車866Fが廃車、2011年(平成23年)5月には861Fと867Fがそれぞれ廃車となった。残る862F・863Fも2012年(平成24年)3月には定期運用を離脱、同年7月に862Fのさよなら運転を最後に全車解体され系式消滅した。
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伊賀線(現伊賀鉄道)入線当時の860系 861Fと866Fは忍者列車として活躍した
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伊賀鉄道事業移管後の860系 820系時代の塗装が復元された863F
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 ク760形(Tc) + モ860形(Mc)  旧番
761 + 861 忍者列車 2011, 5廃車 724 + 824
762 + 862  ダークグリーン塗色 2012, 7廃車  723 + 823
763 + 863 登場時塗色 2012, 7廃車 721 + 821
764 + 864 2004, 5廃車 725 + 825
765 + 865 ラッピング広告 2010, 8廃車 726 + 826
766 + 866 忍者列車 2010, 8廃車 727 + 827
767 + 867 2010, 5廃車 728 + 828

2020年 7月 9日 更新

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