---------- 車両解説 ----------

30000系(ビスタカーV→ビスタEX→ビスタカー)

 従来の近鉄特急の”顔”であった新ビスタカー10100系も他車との接客面での見劣りが目立ちはじめ、それの代替として1978年(昭和53年)に3代目ビスタカーとして30000系が登場した。10100系は3連連接構造であったのに対し、30000系は2軸ボギー車となりモ30200(Mc)+サ30100(T)+サ30150(T)+モ30250(Mc)の4両固定編成で中間のT車2両がダブルデッカー構造となっている。性能面では12200系同様180kwの主電動機が採用され、中間T車に電動発電機(サ30150)とコンプレッサ(サ30100)が搭載されている。

 車体はMc車は前年に登場した12400系とほぼ同じであるが前面行先表示や尾灯・種別灯の形状は異なったものになった。またパンタグラフは下枠交差形(PT−48形)のものが採用されている。ダブルデッカーのT車は、2階席の居住性を重視し、10100系よりも居住空間が広く取られて窮屈な印象を与えないものになった。またT車側扉は車体の中央に1箇所設けられ扉付近はエントランスホールとなっている。 座席はMc車とT車2階席は回転式リクライニングシート、T車階下席は6人掛けのソファでコンパーメントスタイルとなった。
 1985年(昭和60年)に増備された第15編成はモ30215に当初から車販準備室と便所部には窓が取り付けられておらず、中間T車は天井の中央部に冷房ダクトを2本追加したので屋根に段が付き、見付けも他車とは異なった。

 登場より15年が既に経過し、21000系22000系23000系の登場によりこれらの車両との格差を生じ始めた1996年(平成8年)、客室設備などを一新したリニューアル工事が開始されサービスアップを図ることとなった。エレガンス・リゾートをキーワードとし「ビスタEX(エックス)」と命名された。まず外観は2階建て中間車の屋根部分を新製し、天井部分と床部分をかさ上げするという大改造を実施、側窓は天井部の明かり窓と一体化した曲面ガラスを採用、また縦さんを黒塗装し連続窓風に仕上げた。塗色は従来のオレンジベースにブルーを基調としているが、ブルーのラインはMc車側窓とし、アクセントにホワイトの帯を追加、車体裾部はグレーの帯を配した。 先頭車前面には「VISTA EX」のロゴマークが取り付けられた。

 車内も大幅に改造され、中間車出入り口付近のイメージを一新し、二階客席端部の固定式座席を撤去、シートピッチを980mmから1000mmに拡大した。 シートモケットはオレンジ系とグリーン系をランダムに配置している。なお、Mc車運転台側パンタグラフは撤去されて1基となった。2000年(平成12年)春までに全ての編成の工事が完了している。

 2010年(平成22年)からは更にリゾート列車としてのイメージを向上すべく階下席をグループ客向けに個室イメージ化し、一般席、階上席のシート更新や行き先表示装置のLED化が施工されている。

 2016年(平成28年)、汎用特急車塗装変更により側面はシルキーホワイトが基調となり、トレードマークであるVマークは再びダブルデッカーのT車に戻った。塗装変更の際に先頭に付けられていた「VISTA EX」のロゴマークは撤去されている。また同年8月からはモ30250形運転台後部に喫煙室設置が順次行われている。尚、塗装変更は2019年(令和元年)に30202Fを最後に全車完了している。
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登場時の30000系 登場時の中間ダブルデッカー車 
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リニューアル後の30000系ビスタEX ビスタEXの中間ダブルデッカー車
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塗装変更後の30000系 塗装変更後のダブルデッカー車
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←上本町/名古屋→
 モ30200形(Mc) + サ30100形(T) + サ30150形(T) + モ30250形(Mc) 
30201 + 30101 + 30151 + 30251
30202 + 30102 + 30152 + 30252
30203 + 30103 + 30153 + 30253
30204 + 30104 + 30154 + 30254
30205 + 30105 + 30155 + 30255
30206 + 30106 + 30156 + 30256
30207 + 30107 + 30157 + 30257
30208 + 30108 + 30158 + 30258
30209 + 30109 + 30159 + 30259
30210 + 30110 + 30160 + 30260
30211 + 30111 + 30161 + 30261
30212 + 30112 + 30162 + 30262
30213 + 30113 + 30163 + 30263
30214 + 30114 + 30164 + 30264
30215 + 30115 + 30165 + 30265
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形式 車種 番号 両数 定員 全長
(mm)
全幅
(mm)
全高
(mm)
台車 電動機 出力
(kW×個)
製造初年 製造所 備考
モ30200 Mc 01〜15 15 60 20800 2800 4150 近車KD-83 三菱MB-3127-A 180×4 1978 近車 ※データは登場時のもの
モ30250 51〜65 15
サ30100 T 01〜15 15 76 20500 4060 近車KD-83A
サ30150 51〜65 15

2019年 5月10日 更新

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