50万ヒット記念企画 テーマ「一人でできるもん」 第1夜
トシ&幾浦
■ 一人でつくれるもん
「本当に大丈夫か?」
幾浦は玄関で靴を履きながらトシにそう言った。
「大丈夫。大丈夫」
トシは笑顔で言う。
本日はトシが休みであり、ようやくリーチからその権利を奪ったのだが、こういう時に限って幾浦の方が仕事を休めなかったのだ。
「……ならいいんだが……心配だなあ……」
立ち上がって幾浦はトシの方を向くと心配そうな顔を見せた。
「何が心配なの?受け取るだけだろ?」
今日宅急便が届く予定になっていたのだ。それをトシが受け取ることにしていたのだが、幾浦が何故か心配そうにしていた。
子供じゃないんだから……
トシは何時もそう思うのだが、何かにつけて幾浦は心配するのだからどうしようもない。
「そうなんだが……自分で組み立てようと思うんじゃないぞ」
釘を刺すように幾浦はそう言った。
どき……
「そ、そんなことしないよ……」
ははっと笑ってトシは言った。
今日、組み立て式の本棚が届くのだ。結構大きいものだそうで、本来は幾浦が受け取るはずだったが、仕事が休めないためトシが受け取ることになった。
幾浦は元々、色んなものを自分で組み立てる趣味を持っている。パソコンはもちろんのこと、ベランダに置かれたベンチや丸い机も幾浦が組み立てたものだ。時には電気ノコギリを使ったりと、かなりこった趣味となっている。
「……トシ。無理なことはチャレンジするな。いいな?」
信用されていないな……
と、思いながらも、来たら組み立ててみたい……と思っていたトシだった。
「分かってるって。いってらっしゃい。ちゃんとアルと留守番してるね」
ニッコリと笑顔を見せてトシは言った。すると寡黙な幾浦の表情にやや照れが浮かんだ。
「あ……ああ……」
鞄を持ち、幾浦は玄関を出ようとしたが、くるりと向き直り、今度はもっと照れた顔で言った。
「行ってらっしゃいのキス」
「……え?」
キョトンとした顔を返すと、幾浦が小さくせき払いをした。
「……いや……良いんだ……」
言って玄関から出ようとするのをトシは止めた。
「ごめん……すぐに分からなかったんだ。キスだよね……うん」
トシは顔を真っ赤にさせ、おずおずと幾浦の頬に触れるようなキスをした。
「……」
照れて無言になってしまった幾浦に、トシは更に言った。
「じゃあ……行ってらっしゃい……」
手を振ってトシが言うと、ようやく幾浦は玄関から会社に向かって出ていった。
「さてと……」
何時も必ず見送るアルは今、ここにいない。アルはあることがあってから、ずっと拗ね、幾浦が帰ってきても迎えることをしないそうだ。
分かるけど……
そろそろ機嫌を直してくれないかなあ……
最近のアルは散歩に行くのを渋り、大抵机の下に隠れているのだ。それは以前、幾浦がアルの毛を切るのに失敗したからだった。
一応その後、動物専用の美容院に連れて行ったのだが、救いようがなく、とりあえず一番短い毛に合わせてカットして貰った。しかし、それがアルには気に入らないらしく、以来、ずっと拗ねている。
ただようやく少しだけ毛が生えてきた所為もあり、頭に帽子を被らせたり、スカーフで可愛く巻いてやると、散歩には出るようになった。
それでも公園には行きたがらなかった。
「アル~もう……いつまで恭眞の事、怒ってるんだよ……」
リビングの机の下にいるアルを覗き込んでトシはそう言った。だがアルはチラリと目だけをこちらに向けて、不服気な顔をしていた。
……
まあ……
いつ見ても笑いが漏れるけど……
笑うとまた拗ねちゃうし……
トシは内心では笑いながらも、表情には出さないように努めた。
アルが本当に傷ついているからだ。
「ねえ、可愛く頭をスカーフで巻いてあげるから……そろそろ出てきてよ」
お願いするように言うと、アルはごそごそと大きな体をテーブルの下から出した。そんなアルの頭にトシはブルーのスカーフを巻き、首元でリボン結びにしてやった。
それでもなんだか悲しげな顔をしているアルがとても可哀相にトシは見えて仕方がなかった。
「ほら……すぐに生えてくるって。恭眞も悪気は無かったんだから……」
頭をスカーフの上から撫でてやると、小さくクウンと鼻を鳴らした。
「掃除をするから、アルはベランダで遊んでいてね」
トシがそう言うとアルは分かったようにてくてくとベランダの方へ向かって歩き出した。とにかくベランダに出るのもスカーフか帽子を被せてようやく出てくれるようになったのだ。
余程ショックだったのだろう。
仕方ないよなあ……
すぐに生えてこないし……
そんなことを考えながら、トシは掃除機を取りだし電源を入れた。
掃除が後半になる頃、ベルが鳴らされた。
あ……
宅急便かもしれない。
トシは掃除機を止め、インターフォンを取るとやはり宅急便だった。
イソイソと玄関向かい、扉を開けると確かに大きな荷物が見えた。だが本棚ほどの大きさには見えなかった。
「サインでも良いですか?」
「どうぞ……」
トシは受取のサインをし、荷物を中に入れて貰った。
書斎の方に荷物を置いた宅急便員はさっさと帰っていったが、トシはそれを眺めながらやっぱり自分で組み立ててみたいという気持ちに駆られていた。
なんだか……
やってみたいよね……
じーっと眺めているとアルがいつの間にかトシの足下に座っていた。
クウン……
「アル……ほんと人前に出るの嫌なんだね……何時もだったら人が来たら玄関ですごく吠えるのに……」
頭をまた撫でながらトシはそう言った。
するとアルはするりとその手をすり抜け、今宅急便員が置いていった荷物をクンクンと臭っていた。
「本棚だよ……アル。木の匂いがするだろ」
トシも近づきそう言った。
やっぱり作ってみたいな……
ちょっとチャレンジしてみようかなあ……
駄目ならまた包んで元通りにすれば良いんだし……
結局トシは暇なのもあり、自分で組み立ててみることにした。幾浦が帰ってきたときに既に出来上がっていると、きっと喜ぶだろうと思ったのだ。
でもなんか……
小さいような気がする……
トシは包みを開けながら、そんなことを考えていた。かなり大きな本棚だと幾浦から聞いていたのだ。ならば、横幅がもっとあっても良いはずなのだが、それほど長くは無い。
途中で連結するタイプだろうと思いながらトシが包みを開けると、いきなり馬の顔が出てきた。
「な……なああああ?なにこれ」
アルも驚いたのか、馬の顔を見て、次ぎにトシの方を向く。
「ねえ、アル……本棚に馬の顔って必要だったかな??」
良く分からないのだが、トシは馬の顔を床に置き、更に包みを開けた。すると組み立て方の解説書が出てきた。
それをパラパラとめくり、トシはできあがり図をまず見ようと思った。本棚にどう馬の顔が必要なのか興味があったのだ。
だが……
「……?」
できあがりの図は、どう見ても小さな子供が乗って遊ぶような木馬だった。いや正確には木馬に似たものだ。
揺れるタイプではなく足がしっかり四本ついいているのだが、またぐ胴体が三角形の断面図になっていた。
「何……これ?」
トシは三角木馬を知らなかった。
クウン……
アルも知らないようだ。
「どうしようか……とりあえず作ろうか……」
どう考えても本棚に見えないものをトシはイソイソと組み立てはじめた。
仕方無しにトシはできあがり図を見ながら木馬を作った。驚いたのは尻尾もつけるところもあり、手綱も付いていた。
怪訝に思いながらもトシは必死に作ろうと努力したのだが、どうも上手くいかないのだ。
「……うーん……なんだか違うよね……」
一旦出来上がったものを見つめながらトシは言った。
一人で出来るだろうとおもったのだが、なかなか上手くいかないのだ。
まず足を上手く胴体に付けることが出来ない。これでは身体を支えることが出来ない。
ハッキリ言ってトシは不器用だった。リーチは意外にプラモデルなどを作るのが得意なのだが、トシはそういう細かいことが出来ない。
そんなトシが組み立てようとするのだからとんでもない所に足がつき、奇妙な部分に尻尾が付いている。
「あはははは。全然出来上がり図と違う~」
自分で組み立て、トシは一人で笑っていたのだが、だんだん情けなくなってきた。
この程度のものが作れないなんて……
いや……
頑張ったら何とかなるっ!
トシは一旦ばらすと、もう一度チャレンジし、一人で組み立ててみた。
……
アルが出来上がった木馬を見て、何故か笑っているような気がした。
「……やっぱりちょっと違う?」
チラリとアルを眺めてトシは言った。アルの方は頭を上下に振っている。やはり何処か違うのだろう。この程度の事がどうして一人で出来ないのかトシは落ち込んできた。
どうしようかなあ……
不格好な木馬を見つめながらトシは考えた。幾浦に喜んで貰おうと思っていたはずなのだが、上手くいかなのだ。
「もう一回ばらそうかな……」
独り言のようにそう言い、トシは木馬をばらした。何度も組み立てているせいか、足の付け根の部分がぐらぐらとしている。
取れちゃいそうだなあ……
焦りながらトシは説明書を良く読み、一から組み立て直した。
……
う~。どうして上手くいかないんだよっ!
半ば自棄気味でトシは無理矢理足を胴体につっこみくっつけた。
「……アル……これさあ……どう思う?」
どう考えても最初作った形の方がまだできあがり図に近かったような気がトシにはした。
クウン……
鼻を鳴らしアルはやはり分からないと言う態度を見せた。
……
どうしよう……
一度開けてしまったからには完成させたいのだ。だが幾らチャレンジしてもどうにもならないところまで来ているような気がトシにはした。
リーチ起こそうかな……
こういうの得意だし……
トシは決めた。
「リーチ……ウエイクして」
『ん……なんだよ……』
眠そうな声でリーチが起きてきた。
「悪いんだけど……ちょっと手伝って貰いたいんだ……」
『なに?』
リーチは欠伸をしながらそう言った。
「これ……作ってるんだけど、上手くいかないんだ……。部品も余ってるし……それをどう使って良いのか分からないんだよね……」
トシがそう言うとリーチは急に無言になった。
「どうしたの?」
『なあっ……トシ。これは誰が買ったんだ?』
声が何となく裏返ったような感じでリーチは言った。
「……え、恭眞だけど……。僕は本棚って聞いていたんだ。でも開けてみたらこんな馬が出てきたよ……。何か変だけど、恭眞が帰ってくるまでに僕が作って置いてあげようとおもってさ……」
えへへと笑ってトシは言った。
『つうか……お前、これは大人の玩具のうちにはいるぞ』
リーチは困惑したような声で言った。
「お……大人の玩具って……なんだよそれ……」
そんな言葉が飛び出すとは思わなかったトシは驚きながら言った。
『こいつは三角木馬じゃないか……。お前らって……そんな異常なプレイを楽しむようなカップルだったのか?』
呆れたような声でリーチは言った。
「い……異常って……。異常なプレイって何だよっ!」
顔を真っ赤にさせてトシは怒鳴った。
『いや、だから……こういうものを使うのが異常だって言ってるんだよ。俺……なんかお前らのこと誤解していたのかもしれない……』
やや退いたような声だ。
「……り……リーチ……これってどうやって使うの?」
恐る恐るトシはリーチに聞いた。
『三角の所に乗るんだろ。どっちかっていうとSM系じゃねえのか?お前らって……すげえな。知らなかったよ……トシ』
今度は感心している。
「……ねえリーチ……乗るって言っても、三角になってるから、角が当たって痛くない?」
トシがそう言うとリーチは爆笑した。
「何だよ……何が可笑しいんだよ……」
『だからさあ……痛めつけて楽しむんだろう……いやあ……トシも大人になったな……』
感慨深げにリーチは言った。
「……痛めつけてって……恭眞は僕にそんなことしたいの?」
『俺がしるかよ。だけどこれ、幾浦が買ったんだろう?だったらこっそり組み立ててお前に使おうと思ってたって事だ。それとも、お前じゃない相手と異常なセックスを隠れてしているのかもしれないぞ……』
嘘……
そうなの?
トシは真っ青になった。
「……ぼ……僕……乗るよっ!」
『はあ?お前、何言ってるんだよ。こんなの乗ったらおけつが血まみれになるぞ。止めろよ。この身体は俺のもんでもあるんだからな。ようするにこういうのはこっそり捨ててしまったらいいんだ。幾浦も大きな声で木馬だなんて言えないはずだから、知らない顔をしてゴミ箱に入れろよ。しっかし……やっぱり幾浦ってむっつりだよな……。俺でもこんな趣味無いぞ。人はやっぱり見かけに寄らないな』
トシはこんな大きなものをゴミ箱になど捨てられるわけがないと思ったが、あえて言わなかった。
「違うよ……きょ……恭眞はそう言うつもり無いんだって……」
必死にトシは根拠もないことを言った。
『木馬がここにあるてことは疑いようのない事実だろ。認めろって』
「違うっ……。そんなのほっといてよ。リーチはこれの組み立て方を教えてくれたら良いんだから……」
トシがそう言うと、リーチはまた無言になった。
「だから……ちゃんと組み立てたいんだ……」
『……お前って……変なところに健気だよな……』
嘘だろうという声だ。
「別に……健気じゃないけど……ほんとは……僕一人で作って恭眞に見せたかったんだ。でもこういうの不得意だから……上手く出来なくて……。だからリーチを起こしたんだよ。良いから教えてよ」
半泣き状態でトシは言った。
『駄目とは言わないけど……お前って……すげえ奴だな……』
何がすごいのか分からないが、褒めていると言うより、どう聞いても先程からリーチの口調は馬鹿にしていた。
「いいからっ!教えて!」
『まあ……人様のセックスプレイに俺が口出しする事じゃないしさ……。図面を見せろよ』
トシは言われたとおりに図面を見せた。
『……しっかし……トシってほんと不器用だよなあ……。こんなの普通に組み立てても簡単にできるぞ』
ブチブチ良いながらもリーチは手際よく、木馬の作り方をトシに指示し、それからすぐにトシは自分の手で三角木馬を組み立てることが出来た。
『……マジ、これでやるつもりか?』
リーチはやはり気に入らないようであった。
「そうだよ……ほっといて。ありがとう教えてくれて……。でもこれ、僕一人で作ったことにしておいてよ」
『……いいけどさ……あんま過激なプレイすんなよ……。流血沙汰は嫌だぞ』
最後にそう言ってリーチはスリープした。
「……リーチが言ったこと……本当かなあ……」
トシからみると、この木馬はどう見ても飾りにしか見えないのだ。だが飾りにしては大きすぎ、しかも顔だけリアルな馬だった。
これ……
乗って楽しむって……
理解できないけど……
やらなきゃ駄目なんだよね。
恭眞は僕にして欲しいからこっそり買ったんだよ。
だから今朝も僕に組み立てちゃ駄目だって言ったんだ……。
では幾浦がこっそり組み立てようとしていたのだろうか?
大人の玩具を?
……
良いけど別に……
恭眞がそうしたいなら……
これに乗ったらマグロから脱出できそうだし……
目の前に出来上がった木馬は完璧な状態で立っている。だがやはり尖った背中は見ていると痛そうな気分にトシはなった。
恭眞が帰って来たら聞いてみようと思ったトシは、先程中断した掃除の続きに専念することにした。
夕方、意外に早く幾浦は帰ってきた。
「お帰り恭眞……」
夕食の準備中に幾浦は帰ってきた。機嫌がやや戻ってきたアルがようやくトシと共に幾浦を玄関で迎えた。
「アル……ようやく機嫌が治ってくれたんだな……」
幾浦は嬉しそうにそう言ってアルの頭を撫でたが、アルはじろ~っと睨むだけで、完全に許している気配ではなかった。そんなアルに苦笑している幾浦にトシは言った。
「恭眞。荷物が届いたから僕、一人で組み立てたよ」
得意げにそう言うと幾浦は驚いた顔を向けた。
「え、トシに出来たのか?」
幾浦もトシが不器用なことを良く知っていたのだ。
「……僕だってやろうと思えば出来るんだよ……」
小さな声でトシは言った。実際、リーチに手伝って貰ったようなものだが、それは話さなかった。
「そうか……嬉しいな……早速見に行くか……」
幾浦は本当に嬉しそうな顔でそう言った。
あ、喜んでる……
「書斎にちゃんと置いてあるから……僕、料理の続きをしてくるよ」
幾浦が喜んでいることにトシはとても満足できたのだ。
「ああ……じゃあちょっと見てくる……」
スリッパを履いた幾浦は書斎に向かって歩き出した。それを見送りトシはアルとキッチンに戻ると料理の続きをすることにした。
が……
「うわああああっ……」
?
「今の恭眞だよね?」
脇に座っているアルにそうトシが言うと、アルはコクコクと頭を上下させた。暫くすると幾浦がキッチンに走り込んできた。
「とっ……トシっ……トシーーっ!」
珍しく幾浦が慌てていた。
「どうしたの?」
「あっ……あっ……あれは何だ?」
幾浦は冷や汗まで額に滲ませていた。
「あれはって……恭眞が頼んだんでしょ。僕、一生懸命作ったんだから……」
ニッコリ笑うトシに対し、幾浦は青い顔になった。
「わ……私は本棚を頼んだんだぞ。あれ……あれは……」
「え、三角木馬だろう?」
何を慌てているのかトシにはいまいち分からない。
「そっ……そ……そうだ……あれは……もも……木馬だ。いや……そう言う事じゃなくて、あれは間違いだろう。受取証を見せてくれ」
トシはポケットにつっこんでいた受領書を幾浦に渡した。それを眺めて幾浦は言った。
「あれは……もう一階上の人の荷物だ……」
額を拭いながら幾浦は言った。
「じゃあ……連絡してあげたら?完成してるし、喜ぶよきっと」
「……そ……それは……」
何故か幾浦はまだ落ち着かない。
「僕が組み立てたって言ってくれていいから。どうせ組み立てるもんだろ?」
幾浦の挙動不審な姿に訝しげな目をトシは向けた。
「トシ……」
涙目で幾浦が言う。
「……何、慌ててるんだよ。あれは大人の玩具だろ。あれに乗って楽しい人もいるんだから、別にいいじゃないか……」
トシはリーチの受け売りをそのまま口に出して言った。だがそれを聞いた幾浦は、口を開けたまま茫然としていた。そんな幾浦にトシは更に言った。
「もう……上の人困ってるだろうから、僕が連絡するよ。マンションの連絡簿を見せて」
「いやっ……いい。私がするから……お前は……料理……!そうだ料理を作らないといけないだろう。私がする……」
あわあわとそう言い、幾浦はキッチンから出ていった。
「……?」
お玉を持ったままトシは奇妙な幾浦の行動が理解できずにいた。
「ねえアル……」
ク~ン
「僕一人でちゃんと出来たよね?」
クウン……
トシは自分を納得させるようにそう呟いた。
―完―
なんだこりゃ……って始まりの記念です。ああもう……トシは事の重大さをちっともわかっていませんね。木馬の使い方を聞いていたわりには、それで幾浦が喜ぶならいいと、真面目に考えているところがなんともいえないかも……あわわ……可哀想な幾浦……慌てたでしょうね……いきなり三角木馬なんて……あははははは。てなわけで第1夜が始まりました。あと6日間おつき合いの程を宜しくお願いしますね! |