50万ヒット記念企画 テーマ「一人でできるもん」 第8夜
戸浪&祐馬
■ 一人でするしかないもん―後編―
純粋に、何処まで入るのだろう……と、いう疑問を持っていたからだ。
「……いやその……上って言われても……あの……」
気持ちと言葉はもちろん違う。
今はうずうずとしたものが身体の奥を這っているのだ。
「戸浪ちゃん……俺……も……こんな、なってるし……」
グイグイと腰を押しつけてくるのは良いのだが、戸浪の双丘の割れ目に祐馬のモノがピッタリと張り付き、その場で上下に動かされるとたまらない気分になる。
「そ、そんなところで、う……動かさないでくれ……」
逃げようとするのを祐馬に腰元を掴まれ、また座らされた。今度は動いていたモノの後ろだ。
戸浪の視線はもちろん下に向かい、両足の間から盛り上がっている布を確認した。
……
これがまた……
入るのか……
何度自分の中に入れても、その度に後で後悔するほど感じるのだ。
思わず自然に喉が鳴り、戸浪は自分も期待しているのを知った。
「……戸浪ちゃん……脱いで……」
言われるままに、戸浪は自分のパジャマを脱ぎ、ズボンも脱ぐ。するとまた気恥ずかしくなった。
「……祐馬……」
「ねえ……俺の見て……。毛布ずらせて見てよ……」
恐る恐る戸浪は祐馬の腹の下くらいから掛かっている毛布をずらした。すると今まで毛布の下で勃ちあがっていたものが外に飛び出してきた。
……ごく……
すごい……
何時凝視しても祐馬のはすごいと思うぞ……
なんて考えていると、ベッドの端にいつの間にか座り込んでいたユウマがそのモノに飛びついた。
「うわっ!」
「ぎゃーーーっ!」
「こらっ……ユウマっ!これは駄目だっ!」
噛みついたユウマを戸浪は慌てて、だが出来るだけそっと引き離した。無理矢理引っ張って流血沙汰にはなりたくなかったのだ。
「……こいつ……俺の……絶対食い物だとおもってる……」
涙目で祐馬は自分のモノを両手で押さえて言った。
「……お前が……ソーセージとか、ハムとかユウマに食べさせるから、勘違いするんだっ!」
何か違うような気もしたが、とりあえず戸浪はそう言った。
「……だってあいつの機嫌を取るには、ソーセージかハムが一番いいんだもんなあ……」
背を少し丸めて、祐馬はフーフーと自分のモノに息を吹きかけていた。余程痛かったのだろう。
「……血……出てないか?」
ユウマを抱きながらそう言うと祐馬は笑った。
「なんか変な会話だよな~あははははは」
笑ってる場合かっ!
ムカムカしていると、腕に抱き上げているユウマが手を伸ばして、まだ先程噛みついたモノに爪を立てようとしているのが戸浪の視線に入った。
猫じゃらしじゃ無いんだが……
溜息をつき、戸浪はユウマを抱き上げたまま、ベッドから降り、ユウマを寝室の外に出すと、扉をピッタリと閉めた。
「あ、戸浪ちゃんも、やる気満々だ!!」
……
なんてムードが無いんだろうか……
はあと溜息をついて戸浪は脱力しそうになった。
「……んなあ……早く~」
なんだかやる気がそがれた……
っていうより……
祐馬は風邪だろう……!
「お前は……さっきまで熱を出して唸っていた男が一体どうなってるんだっ!」
だが戸浪は今、下着だけになって怒っていた。その姿はハッキリ言って情けない。それでも戸浪はベッドに上り、祐馬の横になっている側に近づいた。
「んも~怒らないでくれよ~」
だが、祐馬は嬉しそうだ。
「……お前は……大体……」
また色々言いそうになった戸浪は、口を閉じるとそのまま祐馬の胸板に身体を擦り寄せた。
もう言い争いはしたくなかったのだ。
「……戸浪ちゃんってほんと……今日はすっげえ可愛いよな……」
言いながら祐馬の手は戸浪の背を這い、こちらの下着を掴み、ずらせていく。それに逆らうことなく戸浪は目を閉じていた。
祐馬の胸板から伝わる体温は、やはりいつもより高い。それでも戸浪は久しぶりのことに身体が同じくらい熱く疼くのを感じていた。
まあ……
土日はゆっくり出来るし……
一回くらいやっても……
なあんて戸浪自身も思っているのだから、祐馬だけを責めることは出来ない。
「あっ……」
背に廻されていた手が、いきなり窄んでいる部分に触れ、戸浪は声を上げた。
「……戸浪ちゃん……四つん這いになってよ……俺の押しつぶされて辛いって……」
苦笑しながら祐馬がそう言った。
確かに祐馬のモノは戸浪の腰の辺りで押しつぶされていた。
戸浪は四つん這いになり、祐馬を真っ正面に見つめたまま、その身体をまたぐ形を取った。すると祐馬のしなやかなモノがまた先程と同じように勃ちあがり、ビクビクと小刻みに震えていた。
「祐馬……」
「ここも……触って良い?」
親指と人差し指で祐馬によって摘まれた胸元の突起は、指で弄ばれて硬くなるのが戸浪にも分かった。
赤くなるほど指先で揉まれ、戸浪はギュッと手に力を入れてその刺激に耐えた。
「……いい眺め……すげ……」
何度となく胸元から刺激を感じ、戸浪は肘を曲げ、前屈みで祐馬の胸元に頬を擦りつけた。
「あ……あ……祐馬……」
「戸浪ちゃん……好きだよ……」
胸元から離れた手は戸浪の頬を包み、そのまま祐馬の口元に引き寄せられた。形の良い戸浪の唇は祐馬の唇と合わされ、誘われるように舌を絡め合う。
久しぶりの快感に戸浪の身体は悦び、普段よりも刺激に対して敏感になっていた。
「……ん……う……ん……」
クチュクチュと口を鳴らせ、舌を何度も絡め合っては吸い付いた。身体はどんどん体温を上げ、多分、今の祐馬よりも熱い身体を持っているのではないかと戸浪が思うほどであった。
「……ん……」
口元を離し、祐馬は戸浪の頬から手を離すと、後ろに突き出されている腰元を撫で、前に半勃ちしているものを片手で握りしめてきた。
すると先端から電気が走ったような快感を戸浪は身体で感じた。
ああ……
もっと力を入れてくれ……
心ではあっさりと要望を言えるのだが、戸浪は口に出して言うことを苦手にしていた。もっと素直にどうしたらなれるのだろうかと何時だって考えている。なのに上手く言葉にならない。
そんな戸浪のことを分かってくれると嬉しいのだが、祐馬は鈍感だった。もちろん何時も祐馬は戸浪のことを見てくれている。愛してくれている。それは分かるのだが、いかんせん、ムードと押しが足らない。
多分、お互いがとても不器用なのだろう。
だが祐馬がいつも戸浪だけを見てくれているのは知っていた。
その視線に恥ずかしく思いながらも、戸浪は幸福を感じることが出来たのだ。
このうちにいるととても穏やかな気分に浸れるのだ。その所為かあまり人が多い遊び場には出ない。
淡々と時間が流れる中で漂うのが好きなのだ。
そんな戸浪はよく人からクールだと言われるのだが実際何も考えていない場合がほとんどった。
祐馬はそんな戸浪を知っていて合わせてくれている訳ではなく、祐馬にも元々性格的に戸浪と同じ所があるのだろう。だから一緒にぼんやりとしているのだ。
それはリビングであったり、公園であったり色々だが、自然な二人でいられることを戸浪は幸せに思っていた。
相手に対し、無理をしなくて良い。
自分を取り繕うこともしなくて良いのだ。
何時も祐馬には自然体でいられることを戸浪は感謝していた。
「……っあ……」
ギュッといきなり握り込まれ、戸浪は声を上げた。
「ね……何考えてたの?」
言いながら祐馬は手を動かし、戸浪のモノを煽っている。何度も手を上下されると身体がガクガクと小刻みに震えた。その振動に、突き上げている双丘も揺れ、何やら誘っているような仕草に自分でも思えたのだが、戸浪は身体の自然な動きを止めることが出来なかった。
「あ……ゆ……うま……っ……」
シーツを握りしめた手はかなりの力で布を引き寄せくしゃくしゃにしている。
「ね……俺のこと……考えてる?」
「……ああ……いつも……」
喘ぎながらもようやく言葉を紡いだが、その口をまた塞がれ、今度は激しく口内をかき混ぜられた。
「……う……う……っ……」
同時に前も擦られ、後ろも弄られた戸浪は、快感で涙がポロポロとこぼれ落ちた。久しぶりの快感は刺激が強すぎたのだ。
「駄目っ……だ……あ……っ……」
顎が上がり、戸浪は自ら口元を離すと、祐馬は前を掴んでいた手を離し戸浪の背に廻してきた。次に、上半身を引き寄せて首元に舌を這わせてくる。
だがもう片方の手は相変わらず戸浪の身体の奥を探るように後腔に突き入れられては擦られた。
「……っ……も……あっ……そこ……駄目だっ……あ……」
身体が跳ねそうになるたびに、祐馬の腕がそれを押さえつけ、動きが取れない。それでも高く持ち上がっている己の腰だけが刺激に酔っぱらったように揺れていた。
「戸浪ちゃん……好きだよ……」
耳朶を甘噛みしていた口元を外しその場所で祐馬は囁いた。すると息が吹きかかり、ゾクゾクとした気分に戸浪は陥った。
「……あ……わ……私も……好き……だ……あっ……あっ……」
ネットリとした舌が這い、首筋から溶けていきそうな気分に戸浪はなった。身体が熱く息も荒い。涙だけがひたすら頬を伝った。
「ゆ……ま……あ……も……」
後ろから突き入れられている指先は、既に本数が増やされている。だがやはり指では届かないところがあるのだ。
「……乗って……」
囁くようにそう言い、祐馬は背に廻していた腕を解いた。もちろんそれは、そのまま腰を下ろして欲しいということなのだろう。
「……ゆ……ま……」
自分から腰を落とすことに躊躇しながら、戸浪は涙目で祐馬を眺めた。すると熱っぽい祐馬の瞳に期待が込められているのが見て取れた。
「……ん~恥ずかしいんだ……」
言いながら祐馬は上半身を起こし、こちらの腰を掴んできた。
「……祐馬……」
身体の奥が疼いて、我慢が出来ないにも関わらず、自分からすることに腰が引けるのだ。すると祐馬は戸浪の太股を数度撫で上げ、自分の上に座らせるように力を入れてきた。
「力を抜いてよ……」
祐馬に引き寄せられた戸浪は内心は汗をだらだら流しながらも、促されるようにゆるゆると腰を落とした。
……
こ……
恐いな……
いや……
恥ずかしいんだ……
ひたすら顔を赤くさせ、既に祐馬の方を見ることもできず、戸浪は目をギュッと閉じたまま、そろそろ当たるであろうものを想像して心臓をバクバクさせた。
……っ……
「あ……」
当たった……
思わず目が開いたと思った瞬間、いきなり祐馬の手に力が込められ、一気に腰が下りた。すると硬いゴムのような弾力性のあるものが、内側を擦りながら奥に入った。
「あーーーーっ……」
驚いた戸浪は腰を上げようとしたが、祐馬の手の力が緩まなかったために、膝を折り曲げた状態で、上半身を起こしている祐馬の身体にしがみついた。
「……す……すごい締め付け……な、もちょっと緩めてよ……」
そんなこと……
そんなこと言われても……
考えられないほど奥まで入り込んでいる祐馬のモノが、中でビクビクと痙攣しているのが分かる。いや、自分の内部が痙攣しているのをそう錯覚しているのかもしれない。
いずれにしても痙攣する振動が身体の奥から伝わり、それが快感となって戸浪に伝わっているのだけは確かだった。
「……あ……ゆ……祐馬……」
呼吸を整えた戸浪は、相変わらず祐馬にしがみついたまま離れられなかった。なにより祐馬の手がいつの間にか背に廻っておりそこで手が組まれているために動きが取れないでいた。
「……戸浪ちゃんの中ってすっげ……気持ちイイ……」
息を吐き、祐馬は戸浪の肩に顎を乗せてそう言った。
「……祐馬……離して……くれ……っ……あっ……」
更に腰を引き寄せられた戸浪は更に奥まで入った祐馬のモノを感じ、声を上げた。
「……動ける?」
何となく嬉しそうな声で祐馬はそう言ったが、戸浪が自ら動けるわけがない。
「……ぬ……抜いてくれ……だ……駄目だあ……っ……」
掠れた声で戸浪が言うと、膝を折り曲げた状態で足をベッドに置いていたが、片足ずつ祐馬が引っ張り、最後には体育座りのような格好にさせられた。だがその座り方は、今までなんとか膝で腰を少し浮かせていた状態が出来なくなった。
その所為で現在しっかりと祐馬のモノは戸浪の身体に突き刺さっている。
「あっ……や……よせ……嫌だっ……祐馬……っ……」
本気で嫌なわけなど無いはずが、口からは思いとは別の言葉しか出ない。実際は感じすぎている自分が恐かったのだ。
「……感じてるのにやなの?」
小さな笑いを浮かべて祐馬はそう言い、腰を突き上げてきた。すると、祐馬のモノは更に奥まで侵入し、普段は絶対に触れることが出来ない所を擦り上げ、ぞっとするような快感が背を這いまわった。
「よせっ……や……あっ……ひっ……うご……っ……動くなっ……ああっ……」
身体が突き上げられる事に振動し、あちこちを這い回る快感に頭が麻痺しそうになった。何処まで入るのか分からない祐馬のモノは、突き上げるたびに奥へ奥へと入り込んでくるような気がして仕方ないのだ。
ここまではいると……
やばいような気が……
心の中でそう思うのだが、休み無く突き上げられる運動に、戸浪はただ嬌声を上げ、涙を落とすことしかできなかった。
「……戸浪ちゃん……すごい……戸浪ちゃんの中……俺のに絡みついてくる……っ……」
祐馬の方はそう言って感嘆の声を上げ、戸浪の身体を離そうとはしなかった。
「よせ……っ……あ……っ……ゆ……ま……っ」
激しく揺さぶられながら戸浪は掠れた声で祐馬に言うのだが、全く耳に入っていないようであった。
「どうして……ね……戸浪ちゃんも感じてるだろ?」
薄く汗を額に滲ませ、祐馬は笑った。だがこちらは笑う余裕など無い。ひたすら与えられる快感を身体で受け止めるだけで精一杯なのだ。
「……言ってよ……イイって……」
祐馬はそう言って、戸浪の背から回した指先を、今捻り込んでいる場所に無理矢理突き入れてきた。
「ひっ……そ……そんな所に……っ……あーーーっ……」
「ここ……イイ?」
指先が側面を何度も擦り、戸浪は詰まった感触の上、奥と入り口付近を散々擦り上げられて喘ぐ声も掠れだした。
「……あっ……ああっ……なっ……や……あっ……よせっ……」
既に閉じることが出来ない口元からようやくそう言ったが、祐馬は指を抜くことも、己の雄の動きを止めることもしなかった。
「……ね……だから……イイ?」
耳元で祐馬は囁き、戸浪の答えを待っている。そんな祐馬に戸浪は声ではなくガクガクと頭を振って答えた。するとその動きに涙が落ちた。
「……もっと動いて良い?」
こ……
この上まだどう動くんだ?
驚きに目が見開き、戸浪は祐馬を見つめ、そして頷いた。
朝、目が覚めると、予想されたように身体が動かなかった。
どうして……
こう、一度やり始めると私達は歯止めが利かないんだ……
一度開けた目を閉じ、ぐったりとベットに身体を伸ばしたまま戸浪は脱力した。
昨晩、一度だけと約束したにも関わらず、結局三度やった。祐馬にしても風邪を引いた身体でよくそんな気になれたと不思議に思うほどだ。
全く……
まあでも……
本人が良いって言ったんだから……
身体は怠いが幸せは幸せだ。
だが突然うなり声が聞こえた戸浪は再び目を開け、祐馬の様子を窺った。
……
「祐馬っ!」
ガバッと身体を起こし、いきなり腰元から走った痛みに戸浪は、またベッドに突っ伏しそうになったが、なんとか堪えると、うなり声の張本人である祐馬に近寄った。
すると祐馬は唸っているだけではなく、真っ青だった。
「おい……大丈夫か?」
額に手をやり、当てると酷く熱いのが戸浪にも分かった。
「……う~ん……う……う……頭痛い……喉痛い……死ぬ……」
死ぬって……
お前……
す……すごい熱だっ!
風邪がぶり返したんだ……
だから……
だから一回だけと言ったんだっ!
しかしつき合った戸浪に祐馬を責められるわけなどなかった。
「服を着ろ……病院に連れて行ってやるから……」
時計を見ながら現在十時なのを確認し、午前中の診察に間に合うだろうと思った戸浪はそう言った。
「……あ……も……俺……ここで死ぬんだ……」
だから……
何度もするからだーーー!!
「死ぬわけないだろうっ!風邪がぶり返しただけだっ!」
怒鳴りながらも戸浪は祐馬に無理矢理服を着せると、自分も服を着替えて祐馬を病院に連れて行くことにした。
玄関まで来たところで、車のキーを忘れていたことに気が付いた戸浪は、祐馬をそこに座らせ、リビングに走り込んだ。
に~
?
に~に~
「ユウマ?」
か細い声で鳴くユウマに驚いた戸浪がユウマを呼ぶと、ソファーの下からよろよろと出てきた。
そのユウマは鼻水を垂らしていた。
……
お前……
お前もか!?
くしゅっ!くしゅっ!
何度もくしゃみをしながらユウマは鼻水を飛ばして、潤んだ目をこちらに向けた。
「まさか……ジステンバーかなにかか?」
ユウマを抱き上げ、額を撫でるとかなり熱をもっていた。だが伝染病の予防注射はきちんとしているのだ。
だから風邪しかないだろう。
祐馬のが……
うつったのか?
人間の風邪がうつるのか?
に~
不安げに鳴いたユウマを抱き、玄関に向かうと、今度は人間の祐馬の方が床に倒れている。
……
私にどうしろというんだっ!
「おいっ……立てっ!自力で立てっ!ユウマも風邪だっ!人間は死にはしないが、動物のことは私も分からないから、先に動物病院に行くぞっ!その後人間の病院に行くから……ほら……っ!祐馬っ頼むから立ってくれっ!」
片手にユウマを抱いている戸浪は、もう片方の手で祐馬の腕を掴んで引っ張った。すると祐馬はゆるゆると身体を起こして言った。
「……馬鹿は風邪引かないって言うけど……」
そこまで言った祐馬に戸浪は拳を飛ばした。
「ちが……違うよ……う……俺……俺が言いたかったのは……今年の風邪は馬鹿ばっかり引くって言いたかったんだよ……酷い戸浪ちゃん……昨日はあんなに優しかったのに……」
祐馬はまた床に寝転がってしまった。
「……す……すまんっ!そ、そういうつもりじゃ……。ほら……立てっ!」
もう一度腕を掴んで引っ張ると祐馬は床に身体を伸ばしたまま言った。
「戸浪ちゃん……俺……マジ苦しいよ……」
次ぎに腕に抱いているユウマが鳴いた。
「に~……」
一人と一匹の面倒を一人で見る羽目に陥った戸浪は、いつの間にか自分の身体の怠さのことなど忘れていた。
―完―
あ~あ~、ダブルユウマ風邪?? なんてお笑いなんだ……どうもシリアスになりきれないカップルだということで……うはははは。まあでも戸浪、久しぶりにエッチができてほっとしているから少しくらい我が儘言ってもきっと聞いてくれるだろうと思うんだけど……。 |