Angel Sugar

「監禁愛2」 第4章

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 その週、リーチは妙に元気であった。銀行強盗を捕まえ、殺人犯を捕まえ、こそ泥も捕まえた。とにかく仕事上はトシが気味悪がるほど快調であった。
『リーチ……少し頑張りすぎだよ……』
 庁内で昼食を摂っているリーチにトシは言った。
『俺はいつも通りだ。そうそう、先週の埋め合わせをしなきゃな。幾浦怒ってるだろ?俺、どうせ予定無いし、今日のプライベート譲ってやるよ』
『いいよ……リーチの好きなことに使ってよ。そうだ、篠原さんと飲みに行ったら?』
『ほら、一度ひどく飲み歩いたとき、警察手帳落としただろ、あれで懲りてるんだ』
 リーチは昔、名執のことで飲み歩いた時期があり、その時警察手帳を落として減棒になった事があった。それ以来外ではあまり飲まなくなったのである。
『じゃ、今日は譲って貰える?』
『残りの四日全部やってもいいよ』
『それは、辞退するよ……』
『せっかく俺が良いって言ってるのに……ま、見たい映画でも見ようかな』
『うん。そうして』
 そこに張り込みから解放された篠原がやって来た。
「隠岐、聞いたか?ちまたで出たってよ、ファンタジーがさ」
「ファンタジー?」
『リーチ、この間会議で言ってたセックスドラッグの事だよ』
 そう言えばそう言うことを会議で言っていたことをリーチは思いだした。
「あっ、記憶が無くなる妙な薬のことですか?」
「そうそう、さっきマル暴の高橋が言ってたよ。原宿でガキがそれに溺れてとんでも無い醜態を晒していたのを保護したってな」
 はははっと笑いながら篠原が言った。
「早いですね、ついこの間でしょう。入ってきたのは……」
「ああ、気持ち良くなる薬と言われてアジア系の人間から買ったそうだ」
「子供が飲んでも仕方ないでしょうに……」
 大人が飲んでも困るなと、リーチは思いながらそう言った。
「訳が分かっていない状況で飲むもんだから、誰彼構わず欲情して廻ったみたいだぞ」
「うわ、最悪ですね……」
 リーチはその光景を想像していった。
「それで保護された子供はどうなったんですか?」
「一回くらいの服用じゃ習慣性は身に付かないそうだから落ち着くまで牢屋にぶち込んだそうだよ」
 篠原はそう言った。
「それで済んで良かったんですよ……」
「今度、大々的に摘発するみたいだぜ……麻薬局の方も持って入国した日本人を絞り込んできてるみたいだし……。でもさ、麻薬みたいに幻覚症状が出て人を傷つけられちゃこっちも困るけど、欲情して廻るくらいなら可愛いもんだ」
「篠原さん……余程試してみたいようですね……」
 リーチは呆れて言った。篠原の場合、冗談で済まないことをリーチは知っていた。
「分かる?」
 そう言った顔は嬉しそうだった。
「癖になって、丸一日拘束されて苦しむのは嫌でしょう?」
 全くと思いながらリーチは言った。
「一回くらい彼女に使っても分からないって」
「それで、やった記憶も無くて何が楽しいんですか……」
「だから……俺はのまないの!」
「勘弁して下さいよ……」
 うんざりとリーチは言った。
「習慣性がどうのこうのと言ってるけど、初期は多量の水分摂取で治るんだろ?そんな薬に警官が必死にならなくてもな……」
「最低……篠原さんに対する見方……変わりそうですよ……」
 ジロッと睨んでリーチは言った。
「冗談だよ……冗談……隠岐って真面目にとるんだから……」
 篠原はそう言っているが何処まで冗談なのかリーチには分からなかった。
「そうそう、科警研はもう手に入れてるそうだ……ピンクの綺麗な錠剤だってよ」
「もし、篠原さんがマジで使ったら、私は上司に報告しますからね」
「うわっ、そんな事する訳無いだろう!」
 両手を左右に振って篠原は言った。
「じゃ、私は他の件で聞き込みがありますので行きますが、くれぐれも馬鹿なことはしないようにして下さいよ。篠原さん、私の勘が鋭いのはご存じですよね。使ったら気付きますよ私……」
 篠原をもう一度ジロリと睨み、リーチは食器を片付けた。
「使わないって言ってるじゃないか……もう~」
 そんな篠原を後目にリーチはさっさと食堂を後にした。
『篠原さんってときどき怖いこと考える人だよね……』
『根は悪い奴じゃないんだけどな……』
 リーチはそう言うと聞き込みに出かけた。
 仕事をしている時だけが気が紛れるからであった。
 本当はプライベートの時間は必要なかった。出来ることなら何も考えずにスリープを決め込みたかった。
 辛いのである。
 今までプライベートの時は名執のマンションに入り浸っていたのでそれが出来なくなった今、リーチは時間を持て余していたのである。
 映画を見ようが盛り場をぶらつこうが頭に浮かぶのは名執の事だけであった。
 自分の何が悪かったのだろう……俺は優しくしてやらなかったのだろうか……?
 気が付くとリーチはそんなことばかり考えてしまうのであった。
 そうしてふと我に返ると名執のマンションの前に立っていることもあった。
 地上から明かりのつく名執の部屋を見つめては、身が捩れるような嫉妬が身体を支配した。それでも名執にはもう会ってはいけないことをリーチは分かっていた。
 想いは会えない分だけ心に静かに積もる。いつかその重圧に耐え切れなくなるのではないかと不安になる。
 相手はどんな男だろう……
 俺より何がその男を選んだ理由なのだろう……
 聞いて分かれても良かったんだな……
 聞いてもどうしようも無いことが分かっていながら、リーチはそのことを後悔していた。
 自分にだけ囁いたのと同じように愛していると言うのだろうか……
 自分にだけ見せた名執の肌をその男にも見せるのだろうか……
 嫉妬がどろどろと身体から流れ出す。それを止めることはリーチにな出来なかった。
 それでも愛してるんだ……ユキ……
 時間がたてば忘れることが出来るのだろうか……
 それとも想い続けていれば、また帰って来てくれるのだろうか……
 俺の腕の中に……
 そう考えてリーチは頭を振った。
 俺は……馬鹿だっ……!
 堂々巡りのリーチの想いはいつも答えが出ずに宙を舞う。
 俺じゃ駄目だったから仕方ない……
 それでもどんなに否定しても、真実を曲げることは出来なかった。
 俺はユキを……愛しいる



 名執には時間の感覚が無くなっていた。
 時折、ふっと理性が戻って恐怖で心が砕けそうになる。
 それでも薬に慣らされた身体は自分の思い通りにはならなかった。
 病院にはいもしない親戚が亡くなったと言って数日の休暇を申請したのは、遙か記憶の彼方に薄ぼんやりと残っているが、それがいつだったかを思い出せなかった。
 リーチ……
 この状況から救い出して欲しかった。
 名執はやや戻った理性を振り絞って、震える自分の手を伸ばし、ベットの床に転がっていた携帯を取るとリーチに電話をかけた。
「隠岐です」
 懐かしい声が名執の耳に届いた。
「リーチ……お願い……会いに来て……お願い……」
 祈るような気持ちで名執はそれだけを何とか言った。
 しかし、携帯に口に出たのはトシだった。
「雪久さん。もう止めてください。雪久さんは選んだんでしょう?リーチじゃない他の誰かを……。リーチ苦しんでる。僕が見てられない位辛そうにしてる。期待を持たせてどうしたいんですか?僕、この間雪久さんの家に行きました。雪久さんがリーチに会いたいって言うから……。行ってリーチを起こせば良いと思って行ったんです。でも雪久さんは新しい恋人と仲良くしているところを見てしまった。雪久さんが天秤にかけるような人じゃ無いの分かってるけど……。こんなことするの信じられない……。誰を好きになっても僕にはそれを止める事出来ない。リーチじゃ無い人を選ぶ事を責めることも出来ない。でも終わったのに……リーチとは終わったのにどうしてこんな事をするんですか!いくらなんでも酷すぎます!」
 トシの最後の言葉は名執の心を心を抉った。
「ご……ごめん……なさい……」
 涙が頬を流れ落ちてゆく。
「トシさん……許して……」
 名執は自分がこんな電話をする資格などもう無かったことを思い知った。
「もう……二度と……しません……」
 いつの間にか切れた携帯からは無機質な発信音を名執の耳に響かせていた。そのツーっという音を聞きながら名執は泣いた。
 許して……リーチ……
 こんな血も身体も汚れた私には何かを望むことなどもう出来ないのに……
 ごめんなさい……
 みんな汚れてしまったけれど、貴方を思う気持ちだけは……
 その綺麗な気持ちだけは貴方の所に飛んで行けたら良いのに……
 もう……その方法すら私には分からない……
 名執は絶望に身を沈めながら深い混沌とした意識の狭間に漂い出した。



「名執か?」
「うん……」
 トシは幾浦の車に乗ってドライブの最中であった。
「会いたいって……」
 考え込みながらトシは言った。
「それで……?」
『リーチウェイクして……』
『んー……どうしたんだよ』
 リーチはトシの呼びかけに目覚めた。
「今ね、雪久さんから会いたいって電話あったんだ……」
『えっ?』
 と、リーチ。
「トシ!」
 と、幾浦。
「リーチがどうするか決めて。僕は断ったけど……これはリーチの問題だから……リーチが決めて」
「おい、トシ……」
「以前、僕が恭眞に婚約者が出来たと勘違いしてやっぱり諦めようとしたよね。その時、最後にもう一度恭眞に会いたいって言った時、譲ってくれた……それも何も聞かずに……止めることもしなかった……だから今度は……リーチ、リーチの好きに……思うように行動して……」
『トシ……』
「決めて!」
 暫く考え込んでリーチは言った。
『俺は……ユキに会いたい……いいか?』
「うん。リーチが後悔しないなら……」
『しない』
 幾浦は話が付いたことを知り、車を名執のマンションに向けるとスピードを上げて走らせた。
「済まない……幾浦……」
 交代したリーチが幾浦に言った。
「借りは作りたくないからな……」
 それだけ言うと幾浦は意味あり気にふっと笑った。
「何が可笑しいんだよ……」
「名執のことになると、お前が妙にしおらしくて可愛らしいと思ってな……」
 そう言って今度は声を立てて笑い出した。
「うるせーよ」
 車は夜の闇を切り、それほど時間もかからず名執のマンションに着いた。
「修羅場にはなるなよ……」
 幾浦には珍しく心配そうにリーチに言った。
「お前は一言、多いんだよ!」
 そう言って車から降りたリーチは急ぎ足で走って行こうとしたが、急に立ち止まり幾浦の方は見ずに言った。
「ありがとう……送ってくれて……」
 そうして再度リーチは走り出した。
 後悔はしない……
 ずっと会いたかった。
 そのはやる心を抑えながら名執の家の玄関前に立った。
 返しそびれていた鍵を取り出し、扉を開けようとしたが鍵はかかっていなかった。そのことに気が付いたリーチは以前名執が他の男とベットで絡み合っているのを見たのもこんな状況であった事を思い出し一瞬躊躇ったが意を決して中へと入った。
 名執の部屋は何処も暗く電気は点けられていなかった。リーチはスイッチを押し、明かりを点けながら部屋を確認して廻った。
 何処にも名執が見当たらないので最後まで行くことが出来なかった寝室にリーチは向かった。
「ユキ……?」
 広い寝室に置かれたベットの上に毛布を被った名執がいた。
 眠っているのだろうか、と思ったリーチはそっとその側に寄り、その姿に呆然とした。
「おい……どうしたんだよ?ユキ……」
 その身体は痩せ、顔色はまるで死人のようであった。
「ユキ!」
 リーチは何かとんでもないことに名執の身が置かれていることに気が付いた。
「ユキ!おい、しっかりしろ!」
 抱え上げる肩も痩せて骨張っている。
「何が……一体……何がお前にあったんだ!」
 混乱しながらもリーチは名執の名を呼び続けた。その呼びかけに気が付いたのか、名執はうっすら目を開け小さな声で言った。
 薬が欲しいと……。
「な、何だって?お前……まさか麻薬でもやったのか?」
「ちが……う……」
「じゃ、一体……!」
 抱え起こした名執のパジャマの前がはだけ、そこから覗く赤く筋になった沢山の傷がリーチの目に止まった。
「何だよ……これ……なんだんだっ!」
 リーチは大声でそう叫んで問いかけるが、その視線は虚ろであった。
「薬……ちょうだい……お願い……何でもするから……」
 名執はそう言って力の無い腕を必死にリーチに廻す。
「この……馬鹿!」
 そんな姿にリーチは思わず手を振り上げたが、それを見た名執が酷く脅え出した。
「殴らないで……お願い……抵抗しないから……何でもしていいから……だから殴らないで……」
 自分の腕で頭を庇い、何度も何度も名執は必死に訴えた。
「ユキ……」
 脅え、震える身体をリーチは力一杯抱きしめた。その身体が一回り痩せていることに気付く。
「ユキ、怒らないから教えてくれ……何の薬が欲しいんだ?」
 リーチは努めて優しく聞いた。
「ファン……タ……ジー」
 名執は掠れる声でそう言った。
「なん……だって……!」
 リーチは名執の口からその名前が出るとは思わなかった。
「どうしてお前が知ってるんだ!ユキ!答えろ!」
 激しく肩を揺さぶるが名執の意識はここには無かった。
「お願い……何でもするから……何でも言うことを聞くから……お願い……欲しいの……それが欲しい……」
 何を聞いても同じ事しか繰り返さない名執の姿に、暫く呆然となったリーチであったが、何とかしなければならないと言う気持ちがまず先に立った。
「助けてやるからな。大丈夫。あれは一日頑張れば多分身体から抜ける。良いな、助けてやるからいい子にしてるんだ」
 リーチはそう言って名執を宥めた。
「どの位飲んだ?覚えてるか?」
「の……飲んで……無いから……分から……ない……」
 潤んだ目で名執はそう答えた。
「飲んで無いって……それって……じゃ……まさか……!」
 身体に直接使われたって事か!
 リーチはその事を知り、頭の心がぶれたような感覚に見舞われた。
 誰が……まさか……あの男か!
 そこで初めてリーチは自分が酷い誤解をしていたことに気が付いた。
 では、俺が二人でベットで絡まるのを見たあれも薬の所為だったと言うのか!
 身体を傷つけ、薬を使って我がものにする。恋人がそんなことをする訳がない。はなっから名執の身体が目的だったのだ。
 今この名執の姿を見ればそれが歴然であった。
 ようやく真実を知ったリーチは怒りで身体が震えた。それは身を焦がすほどの怒りだった。そんなリーチを知る事も出来ない名執は何度も薬を求めた。
「ユキ……助けてやる……俺が必ず元に戻してみせる」
 リーチは一旦寝室を出ると名執を縛る紐を持ってきた。その紐で名執の腕や両足を縛った。そんな行動をしているリーチに名執は不思議そうな目を向けた。自分が何をされているのかも分かっていないのだろう。
「後は水分と、部屋を暖めて汗をかかせばいいんだったな」
 リーチは一生懸命記憶をたどり、この薬の習慣性を無くす方法を思い出した。
 暖房を強にして部屋を暖め、嫌がる名執の口に何度も水を注ぎ込む。
「いや……!水……なんか……要らない!」
 そう言って水を吐き出すが、リーチはその度に水を飲ませた。
 本来ならば暴れることも出来ないくらい体力が無いのに、必死で自分を拘束している紐を解こうとする名執の姿がリーチには余りにも痛々しく哀れに見えた。それでも止めるつもりはなかった。
 そうして暫くすると少しづつ汗が名執の身体から滲み出しては来たが、本当にこれで良いのかリーチにも分からなかった。病院に行くのが一番良いのだが、この姿を見た人間がどんな想像を巡らせるかを考えると連れていくことなど出来そうになかった。
 何より名執が正気に戻った時、どれほど傷つくかを考えるとそれが出来なかった。
 自分が何とかしてやらなければならない……そうリーチは覚悟を決め、名執が泣きなががら薬を求めようと、どんなにリーチを誘ってもそれに応じる事はしなかった。
 ただ機械的に何度も水を名執の喉に押し込み、飲ませ、暴れようとする身体を抱きしめ、何度も宥めるように声をかけた。
 名執は何処にそんな力が残っているのかと思わせる程何時間も暴れ続け、時に意識を失いながら、それでも薬を求る。
「馬鹿野郎!死にたいのか!薬を使い続けると死んじゃうんだぞ!自分の身体を見て見ろよ!痩せてガリガリじゃないか!」
 リーチはその言葉の意味を名執が理解できないことは知っていたが、何度もそう言えば分かるのではないかと思いながら言い聞かせる様に言った。
 すると名執が意識を混濁させたままリーチを呼び始めた。
「助けて……リーチ……助けて……」
 ポロポロと涙を落としながら名執は掠れた声で言った。
「ユキ……」
「違うの……恋人なんかじゃない……のに……どうして……信じてくれないの……」
「ユキ……」
 俺がいないときもこんな風に助けを求めていたのだろうか……
 それなのに俺は勝手に誤解してお前をこんな姿にしてしまったのか……
「いや……もう……いやぁ……!」
「ユキ……ユキ……ごめん……ごめんよ……」
「リーチ……リーチ……助けて……!」
 汗をびっしょりと流しながら名執は見えない相手に向かって訴えていた。
「私を……殺して……!も……こんなの……いやぁ……!」
「ユキ……ダメだ、出来ないよ……そんなこと言うな……言わないでくれ……!」
 長い時間だった。
 苦しむ名執は一向に落ち着きを見せず、翌日の昼迄それは続いた。リーチは永遠に続くかと思われるその苦しみを、自分が肩代わり出来ない事を何度も詫びた。
 ベットのシーツは名執の流す汗でびしょびしょになっていたが、それを替えてあげる余裕はリーチには無かった。
 暑い部屋がまるで常夏の島にいるような錯覚を起こす。そんな中でリーチは自らも汗を流し、ヒーターの熱で自分も溶けるのでは思われた。
 そうしてやっと名執が落ち着いたのは夕方であった。
 名執の息が小さな吐息を立てて眠るのを見届けたリーチは怠い身体を引きずってベットのシーツを新しいものと替え、名執のパジャマを着替えさせた。
 思わず息が止まるかと思われる程の傷を名執はその身体に描き、リーチはそれを見てギリギリと歯ぎしりをしながら名執を柔らかいパジャマに着替えさせた。
 そっとベットに横たえる身体は軽かった。
「ユキ……」
 まだ汗で濡れている額と髪をタオルで拭ってやると名執は無意識に笑みをこぼした。
「よく頑張ったな……」
 ようやくホッと安堵し、ベットに眠る名執をおいてリーチは寝室を出た。
 お粥でもスープでも何でもいい。とにかく何か食べさせなければ駄目だとリーチは考えキッチンに向かった。
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