Angel Sugar

10万ヒット記念企画 テーマ「H」 第6夜

昨夜タイトル翌夜

恭夜&ジャック

 幾浦恭夜「H」について考える。  ジャックが来てからと言うもの……  俺は日々憔悴していく……  逆にあいつと言えば……  益々パワフルになっていく……  なんでだ?  目の下にクマを作り、どんよりした顔で朝食のフランスパンを囓っているとジャックが微笑みを浮かべて言った。 「お前は死体かっ。朝っぱらから血色の悪い顔をしてなんだ。まだ血が足りないのか?だったらホウレンソウを食うんだな」  一人満たされた男が、そこにいる。  ジャックのお肌はつやつや、まるでゆで卵を剥いたようにぷりぷりしている。その上。肩より長い金髪は朝日に輝いて眩しい光をこちらに投げかけ、薄水色の瞳はにこやかにこちらを見る。そのどれもが恭夜には不気味で仕方がない。  お前……  毎晩、散々人を弄んでその疲れは何処にあるんだ?  俺の精気を吸い取ってるんじゃねえだろうな……  バリッとパンをもう一口囓り、上目遣いでジャックを伺う。 「なんだね、その不満げな目は……毎晩あれ程満足させてあげている私に対して、よくもそんな目を向けられるものだな」  今度は腹を立てている。  はあ……  睡眠が欲しい……  目が腐るほど寝たいんだよ……  一晩で良いからさあ……  でないと俺……マジしんじまうよ…… 「俺……もう限界だって……」  囓っていたパンを皿に置いて恭夜は言った。 「何が限界だ?もう腹が一杯なら食うな」  話し通じねえし……  まあ……  あっさり通じる方が奇跡なんだけどなあ…… 「俺はっ!お前に要求するぞっ!休みをくれっ!身体の休みだああっ!」  ガタッと立ち上がって恭夜はそう叫んだ。もう本当に限界だったのだ。毎晩毎晩このジャックは自分が満足するまで恭夜を抱き続けるのだから、その絶倫ぶりにつき合わされる恭夜は堪ったものではなかった。こいつ人間じゃないと何度恭夜は思ったことだろう。  まあジャックは人間離れはしているのだが、一応分類は人間だ。ただ人間の癖に体力に底が無い。何処かにモーターでも付いてるのではないかと恭夜は本当に思う程だ。  散々俺とエッチしても、絶対一時間で充電完了なんだよな…… 「休みっ!休みだっ!俺はもうたまらねえんだっ!」  と更に言うと、ジャックは満面の笑みで言った。 「朝らから一発やりたいのかね?私は良いぞ」  ってお前やっぱり人間じゃないって…… 「違うっ!俺はっ!疲れてるんだっ!眠いんだっ!身体も怠いっ!お前に散々身体を弄ばれて睡眠不足なんだっ!だから俺は休みが欲しいって言ってるんだっ!」  ぜえぜえと一気にまくし立てるように言って恭夜は余計に疲れて椅子に腰を下ろした。 「……全く……完全週休二日制の公務員が何を我が儘を言っているんだ」  仕事じゃねええええっ! 「あのなあっ!俺は仕事の話しをしてんじゃねえっ!お前との夜の話しを言ってるんだ」  通じないっ!  誰かこいつをなんとかしてくれっ! 「そういえば……昨晩も燃えたねキョウ……」  嬉しそうだ。  ああ……誰か……  俺を助けてくれ…… 「……もういい……もーーーーーっっいいいっ!あんたが聞いてくれないのなら俺は実力行使だっ!」  と叫ぶとジャックの薄水色の瞳がすうっと細くなった。こういう時のジャックは恐い。 「怒鳴るな。全く、少し甘やかすとすぐこれだ。私はキョウが可愛いから多少の我が儘は聞いてきたが、そんな風に逆らうのなら私にも考えがあるぞ」  腕組みをし、じっとこちらを見つめるジャックはかなりの迫力があった。 「何が甘やかすだっ!そんなこと一度だってさせてくれたこと無いだろっ!嘘付くな!」  と恭夜が言ったが、ジャックはもう何も言わなかった。ただじっとこちらを見、目が合うと口元だけがニヤリと歪んだ。  ぐはーーーこええええっ!  あれは色々企んでる顔だっ!  こうなりゃ逃げるしかないっ! 「……と言うわけで……俺、仕事行くから……」  鞄をバッと掴んで恭夜はもうジャックの方を見ずに脱兎の如くマンションを後にした。  その日は穏やかな日だった。  普段は出勤すると、朝昼夕方と一日に三度はジャックが顔見せに来るのだ。本日はそれが無かった。  もしかして……  少しは俺の気持ち分かってくれたとか? 「はあ……」  ジャックの事は好きだ。それは恭夜も否定しない。助けて貰ったとき本当に嬉しかった。色々辛い目に合ったが、ジャックがいてくれたから今自分がこうやって生きているのだとも思う。  だがあの夜のお勤めは、しないとは言わないが、回数を本当に減らして欲しいのだ。どうもジャック、自分を何でも基準にする所為か自分が出来るのだから人もそうなのだと思い込んでいる節があった。  この地球上に住む人間を全部ジャック基準に合わせてるんだからな……  お前に合わせられる奴なんかいねえって……  ジャックは本当に自分の為に地球が回っていると信じているのだ。全ての物事は自分の思い通りになると信じている。  というか、それが当然だと思ってるのだから始末に負えない。  ああでも……  今日はホテル取ったし……  ゆっくり眠れるぞ……  数日ホテル通いをし、体力を回復してからうちに帰れば良いのだ。別にずっとなんて恭夜も考えてはいない。ただ本当に睡眠が欲しくて堪らなかったのだ。  あと数分で帰られる……  緊急の仕事がないかぎり俺は幸せな一晩が過ごせるんだ…… 「幾浦君、悪いがこれを警視庁の鑑識に至急持っていってくれないか。急ぎらしい。ああそのまま直帰してくれていいから……」 「分かりました」  係長にそう言われ、恭夜は書類を受け取ると心の中でラッキーと思った。席に戻ると速攻、直帰できるよう鞄を持ち、自部署を出る。足は何故か軽やかだ。  そうして一階まで降りてくると、本日一日会うことの無かったジャックがエレベーターホールに立っていた。こちらが一番端のエレベーターを使った所為で、対極にいるジャックと恭夜はかなり距離が離れていた。  見てるだけなら格好良いんだけどな……  そんな風に思いながらジャックの方を見た、向こうはやはりこちらには気が付いていないようで、一緒にいる同僚となにやら話しをしている。  日本に不似合いな男だよ……  ジャックは背がすらりと高く、肩より長い日の光のような金髪はそれでなくても目立つ。その容貌はまるで貴族さながらだ。更に上から下まで、サラリーマンがおいそれと手出しできないようなものを着こなし、身につけている。  あんたには俺って絶対似合わない……  何時だって恭夜はそう思うのだ。あんな男がどうして自分に構うのか未だに謎だ。  だがジャックからすると、そう思う恭夜の方が変だと思うのだから、自分の不安な気持ちなど話すことは出来ない。  いいけどね……  そんときはそんときだし……  自分で考えた事でチクリと胸元に痛みが走りながら恭夜は溜息を付いた。  それよかさっさと上にあがりゃいいのに……  何であそこ突っ立ったまま話してるんだよ……どっか他に行って話せよ……  エレベーターホールの端に隠れるようにして、こちらがどうしても通らなければならない通路上にいるジャックとその同僚を眺めた。  すると女性の黄色い声が響き渡った。 「ジャック先生~ここの所ですけど……」 「講義のここが分からないんですけど……」  なあんていきなりジャックは数名の女性職員に囲まれて、ジャックの方はそれににこやかにそれに対応していた。  ……  なんだか複雑だなあ……  チラチラ向こうを伺いながらそんなことを恭夜は考えていた。すると一人の女性職員が言った言葉に驚いた。 「先生って講義でもおっしゃってましたけど、本当に男の人とつき合ってるんですか?」  うわあああそんなの講義の中に混ぜるなあああーー!  恭夜はその場で転びそうになるほど驚いた。  あいつ……講義で何を教えてるんだ?   恭夜がドキドキしながら更に向こうの様子を伺っていると、いきなりジャックはこちらを向いていった。 「ああそうだ、あそこで恥ずかしがって隠れているのが私の恋人だ」  はうわーーバレバレ!  女性職員が一斉にこちらを見たので、恭夜は柱の陰に思い切り身体を隠し、縮こまった。 「え~誰もいませんけど……」  ああ見えなかったんだ……  良かった…… 「いいんだよ、彼は恥ずかしがり屋さんだから、直ぐ隠れたがるんだ。奥ゆかしいそういう彼が可愛い」  ってあんた、誰にのろけてるんだ? 「……でも、男の人とつき合うのって……ねえ?」  一人の女性職員が仲間同士でそんなことを言った。が、その台詞でジャックの口調はいきなり冷たいものとなった。 「だからなんだね?私の仕事に何か不都合でもあるのかい?私が男とつき合って、君たちにどういう迷惑がかかるんだ。言葉に出来ないのなら文章に書いて提出して貰っても構わないが?後ほど添削してかえしてやろう」  ってなんじゃそりゃ~  縮こまりながらも恭夜はそのジャックの言葉にハラハラした。 「え……それは……」 「自分から振って置いて、そうやって次に答えられない事を、口に出すなと私は講義でも教えている筈だが?自分が討論出来ない話題を出すその愚かな行為は今後やめてもらおう。ああ、私の恋人を馬鹿にするような事もね。気に入らないのなら講義に出て貰わなくても結構。差別心を持っているような人間が、様々な人間相手に交渉するというネゴシェイターの技を学べるとは思わないのでね。私もそんなものにならない唐変木相手に講義をするほど暇じゃない」  ジャックのその言葉に持っていた書類をそこら中にばらまいてしまいそうになるほど恭夜は驚いた。 「……済みません……」  謝ってるし……  そりゃまあ……  あの奇麗な顔で凄まれたら、謝るしかないよな……  ていうか……あいつには口で喧嘩をふっかけたって勝てるわけ無いんだって……  それであいつは食ってるんだからさ……  どうにもならないような立て籠もりの犯人から人質を解放させ、武力放棄だってさせるあのジャックと、その辺の一般人が口で対抗したところで勝てるわけなど無いのだ。 「分かって貰えたらいいんだよ。済まないね。恋人のことを馬鹿にされると私だって人の子だから腹も立つんだ。恋人を守ってやるのは彼氏のつとめだろう?」  満面の笑みでそうジャックが言った。その笑顔に懐柔されない女性はいないだろう。 「格好いい先生~」 「今度恋人紹介してください~」  キャーキャーとまた騒ぎ出す女性職員の声に恭夜は益々そこから動けなくなった。  ああもう……  同じビルで働くなんて嫌だ……  ガックリ肩を落としていると、いきなりジャックから声を掛けられた。 「さっきから何をかくれんぼしている」 「あっ……」  驚いて顔を上げると長身のジャックの身体が屈むように、座り込んだ恭夜を覗き込んでいた。 「あっ……てなんだ?人を化け物みたいに……」  苦笑しながらジャックは言った。 「……あんた……いや、良いけど……」  色々先程の事を言いたいのだが、その元気が無かった。 「もう帰るのか?」  こちらの鞄を見てそう言った。 「ああ、これ鑑識に届けたら直帰するんだ……」  ジャックの視線を避けるようにして恭夜は立ち上がった。 「キョウ……私はまだこれから仕事があるから遅くなるが、ちゃんとおうちで待っているんだよ」  何となく意味ありげにそうジャックは言った。 「え、あ。うん。……急ぐから……」  恭夜はそう言い、速攻科警研を後にした。  警視庁の鑑識に書類を届け、恭夜はこっそりと頼んだホテルに本日は帰ってきた。夕食の弁当と下着は適当にコンビニで買い、シャツは千金で買った。スーツの方は科警研に出た時点で白衣を着るから同じスーツでもそれほど目立たないはずだった。  俺の幸せがようやくやってきた~  ベットに手足を伸ばして恭夜はホッと一息を付いた。シーツが頬に心地良い。本日はもうぐっすり朝まで眠れるのだと思うと恭夜は嬉しくて仕方ないのだ。  もうこのまま寝てしまいそうだ……と思いながら既にうとうとし出した目を擦り、バスルームに向かった。 「ああもう……幸せだ……」  湯船に浸かりながら恭夜は本当にそう思った。  久しぶりの一人を満喫しながら恭夜は風呂から上がり、身体を拭くと備え付けの浴衣を羽織った。  ビールも買ったし~  テレビでも見ながら夕食の弁当食べて~  そのまま寝ちゃえ!  もう満面の笑みでバスルームから出てくると、いきなり羽交い締めされた。 「ぎゃーーーっ!」 「キョウ~こんな所で何をやってるんだい?」  ジャックだった。 「何でお前ここにいるんだよっ!!いや、それより何で分かった?違うっ!どうやって入ったんだ?俺鍵閉めて置いたはずなのに……」   身体をばたつかせながら恭夜が言うと、ジャックはあっさりと言った。 「キョウが何処にいるか私が分からないと思っているのかい?全く……。直ぐにここにいるのを突き止めて、次はボーイを言いくるめてここを開けさせた」 「口の上手いあんたが、ボーイに鍵を開けさせるのは分かるけど……。何であんた俺の居場所が直ぐ分かるわけ?」  恭夜は自分の身体に発信器が埋められているなど知らされていないのだ。だから何処にいても追いかけてくるジャックが不思議で仕方なかった。 「世界を股に掛けてかくれんぼをしたとしても、キョウを探すことなど私には目を瞑っていても出来る。それが愛というものだろう……」  そうなのか?  愛があったら犬みたいに鼻が利くのか?  違うぞ……  それとこれとは違うっ! 「俺はっ……うーーっ!」  いきなりきつく口元を吸われ、恭夜は目眩がしそうになった。何度ジャックにキスをされても慣れなどしない。毎度頭の芯まで痺れてしまいそうなキスをジャックはしてくる。  差し込まれた舌は、力強くこちらの舌と口内を貪る。その強烈なキスに恭夜は降参するように膝を床に落とし、べったりと座り込んだ。 「……あっ……はっ……あ……も……」 「ハニー……君はどうして私を試すようなことばかりするんだい?それほど私が信じられないのか?」  言ってジャックはこちらの頬をサラリと撫でた。  違うって……  俺は寝たいんだ。  もう眠いんだ!  身体が怠いんだっ!  なんでこいつ分かってくれないんだよっ! 「俺は……ただ……寝たくて……も……身体が……」  目の端から涙が滲んだ。本当に恭夜は眠たくて仕方ないのだ。身体を一日で良いから休ませたい。ただそれだけだった。 「ああ……キョウ私が悪かった……」  ギュウッと抱きしめられて、恭夜はホッとした。分かってくれたのだ。 「そんなに回数が足りなかったなんて……あれじゃあ足りなかったんだね……だから不満に思っていたんだ……」  って……  寝たい=セックスじゃねえっ!  寝たい=睡眠だっ!  勝手に変換するなああっ!  と、言いたいのだが思い切り抱きしめられジャックの胸板に押しつけられた口は言葉が発せられなかった。 「ちょ……俺っ……」  グイッとジャックの身体を突き放そうとし両手を突っぱねたのだが、右手首にいきなり手錠が掛けられた。 「何っ……」  あれよと言う間にベットに倒され、肩に羽織っただけの浴衣など簡単に剥かれた。 「ジャック……ちょっと……俺っ……」  と、抗議しようとすると、右手首にはまった手錠のもう片方のワッカを掴まれ、そちらは右足首にはめられた。 「あんた……こんな趣味あるのか?」  背筋をぞーっとさせながら恭夜は恐る恐る言った。 「処女縛りっていうんだよキョウ……。それなら嫌でも足が開く」  ……って……  だから?  なに? 「君がそれほどセックスをしたいのなら、吐くほどさせてやろうと思ってね。そうやって手首足首を繋いでおけば、私が開かせなくても、正常位でも騎乗位でも、バックでも横からでもどっからでも入れられるだろう?ああ私は本当に良い恋人だ……」  にこやかな笑みを浮かべてジャックは言った。  どっからでもって……  おいまて……  今まで以上にやるとかいう?  死ぬ……  俺は……  マジで死ぬぞ…… 「うわあああっ……嫌だっ!」 「嬉しいんだね……。私も嬉しいよ……そんなに求めてくれていたなんて……」 「……これじゃあ強姦だっ!」 「違うね、優しく締め上げるんだ……」  そう言ってジャックは口元に笑みを浮かべた。だがそれはぞっとするほど残酷な笑みに見えた。 「あ、あのさ……」 「キョウは抱き合ってるときだけ素直になるんだよ。知ってたかい?」  そんな風に言われキョウは顔が真っ赤になった。そうなのか?自分はそんな人間なのだろうか? 「ち、ちがっ……ん……う」  侵入してきたジャックの舌は拒むキョウの舌を今までになく優しく愛撫した。行動と扱いがこれほど違うと恭夜自身、とまどいが隠せない。手荒に扱われたのなら踏ん張れるのだろうが、ジャックの手の動きや舌の動きはとても優しく心地良いのだ。いつだってこちらをまず愉しませてから自分も愉しむジャックのやり方に、恭夜は押しやろうとする手が震え最後には降参せざる終えなくなるのだ。 「キョウ……」  囁きながらちゅくっと胸の突起を口に含まれて恭夜は身体を反らせた。抵抗しようにも手首の自由が利かない。逆に手を振り上げると右足が上がってまるで誘っているような体勢になるのだ。  うう……  最悪……  ぎりっと力の入った部分だけが虚しく擦れて手首に痛みを走らせた。だが、ジャックの愛撫は恭夜の身体のつぼを心得ている。その敏感な部分を丁寧に愛撫されると痛みも感じなくなる。 「愛してるよ…キョウ……」  ジャックはややは身体を起こし、そう言った。手錠に繋いで愛してるってなんだよ~等とは恐ろしくて恭夜は言えなかった。 「……やめろ……」  だが一応、恭夜はそう言った。 「これからだ……」  ジャックは言って耳朶を軽く噛んだ。 「あッ……止めてくれって……」 「キョウが満足するだけイかせてあげるよ……」  首筋を愛撫し、少しずつジャックの身体が自分の下半身に下がっていく。その所為で既に慣らされている身体は快感に小刻みに震える。 「あっ……はあっ……いや……だ……」  根元近くまでジャックの口に含まれた自分のモノは、舌で執拗に嬲られどんどん追いつめられていく。苦痛が快感になり、目が涙でにじみ目の焦点がぶれる。  あ~駄目だ……  気持ち良い……  俺って……  無茶苦茶快感に弱くない? 「あっ……や……ジャック……」  息が荒く吐き出されて気が狂いそうになったが、ジャックは一向に恭夜を楽にさせてはくれなかった。 「こんな所に隠れようとした罰だよ……」  口元を離してジャックはそう言った。 「俺……ただ……」  眠たかったんだーーー!  とも言えない。  下手にこういうときに逆らうと何をされるか分からないのだ。 「ただ?」  くすっと笑うジャックの声が聞こえた。  悪魔ーーー! 「うう……イかせて……お願いします。俺……も……駄目……」  降参だった。  所詮逆らえないことを骨の髄までジャックによって叩き込まれている。 「素直じゃないから……キョウは……そこが可愛いんだが……」  こんな時であるのに、そう言ってうっすらと笑うジャックは、はっきり言って格好良かった。 「ジャック……」  懇願の目を向けるとようやくジャックは「分かっているよ……」と言い、再度口に含んで何度も強く口内のモノを擦り上げた。 「あっ……あ……い……イイ……」  襲ってくる快感は毎日のことであるのに一向に慣れてくれない。それより、どんどん自分が快感にどん欲になっているのが分かる。 「うっ……あっ……」  ようやく解放され、一気に身体の力が抜けた。だが折れ曲がった右足が何だか情けない。 「……ジャック……これ外してくれよ……」 「駄目だ」  うう……  俺が悪かった~  悪かったから~  もう泣きそうな恭夜だった。いや既に泣かされていた。 「……ひっ……あ……。や……や……」  指がぬるっと恭夜の中に侵入し、次に迎えるものの為に指はその場所を内側から押し広げるように動かされた。何度も抉られじわじわと内側が広がるのが恭夜にも分かった。 「あっ……あ……や……」  何度も弄られ、もう身体はガクガクだった。こうなるともう指では我慢できない。 「キョウ……入れるよ?」  耳元でそう囁かれ、恭夜は何度も頷いた。  もう……  こうなると……  ほんと俺……駄目……  そんな半分夢心地で居るとジャックは、右手首をシーツに押しつけ、更に足を振り上げさせると自分のモノを恭夜の中に沈めた。その甘い痺れは背骨を伝って恭夜の頭の奥をかき混ぜた。 「……あっーーーっ……あっ…ジャッ……ク……」  ジャックが腰を動かすと恭夜はもう口を閉じていることすら出来なくなった。身体中が痺れて言うことを聞かないのだ。身体に蓄積される快感と下半身に重くのし掛かっているうずきはもう恭夜の理性などことごとく粉砕する。 「あっ……ああっ……はっ……はっ……も……や……」  ギリギリと締まる手首は痛い筈なのに、それすら快感に恭夜は感じていた。毎度散々貫かれている筈なのに、抱き合う事に新鮮な快感をいつも恭夜は感じるのだ。  俺……  こうやって抱かれるの嫌いじゃない……  回数だ……っ!  俺が言いたいのは回数なんだっ!  お前の絶倫に無理矢理つき合わせないでくれよっ!  なんて思いながらも最後までいつもつき合わされる恭夜だった。    結局その日の晩も散々イかされ、恭夜は三途の川を見たような気がした。  幾浦恭夜「H」について考える。  普通って何回だ?誰か教えてくれ……と。

―完―
昨夜タイトル翌夜

ああもう、なにやってるんだ記念に……という感じです。はは。ジャックがこれだけ恭夜に執着&絶倫なのには理由が……ふふ。本編の続きをお待ちください。でもまあ……恭夜が流されてるんだからもうどうしようもないですよね。しかし……ジャックと口で張り合える男を見てみたい。いないでしょうけど……(笑)あ、なおこちらからは7夜が画像のため、メニューからしか7夜は行けません。7夜を見たい方は戻ってくださいね。いえ、画像の好き嫌いがあるためです。 ※画像は下ろしました。

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