Angel Sugar

「監禁愛4」 第11章

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 ケインは自分の仕事を終えると、レオナードの自室にそっと忍び込んだ、レオナードはここ暫く姿を見せなかったからだ。グランマイヤーの方も心配しているようだが、連絡は無かった。
 部屋は綺麗に整頓されており、別に荒れた風もなかったが、生活感は感じられなかった。しかし、机の上に盗聴器の受信機らしきものを見つけ、ケインはぞっとした。
「雪久の事はこいつの仕業だったわけだ……」
 受信機はいくつかのボタンがあり、ケインは手前のボタンを押してみた。すると、グランマイヤーの声が聞こえてきた。その事に関してはケインは不思議に思わなかった。レオナードが仮眠を取るとき、いつもこのスイッチを押して眠っていたのだろう。何か突然のことに対応する為なのだ。レオナードは異常なほど主人に忠実である。その事から考えると当然といえば当然であった。
 ケインがスイッチを消そうとすると、聞き慣れた声が同時に聞こえた。
「隠岐さん?隠岐さんがグランマイヤーさんの病室にいるのか?」
 ケインは消そうとする手をとめ、暫く二人の会話に聞き入った。

「君は一体誰なんだ?」
 グランマイヤーは突然やって来た男にそう言った。
「貴方のお陰で大変な目に合った者ですよ」
 リーチはそう言って、利一モードの笑みを浮かべた。
「どう言うことか分からないが……」
 困惑したようなグランマイヤーの表情は当然と言えば当然だろう。
「分からないで済めば私のような刑事は必要ないんですが……」
 笑みを見せてはいたが、リーチの瞳は笑ってはいなかった。
「レオナード……さん。でしたか……貴方の側にいつもいる方は……」
 部屋を見渡しながらリーチはグランマイヤーの側に近づいた。老人は両腕に沢山の針が刺され、天井からぶら下がる点滴が数個見受けられた。ベットの周りにはリーチが理解できない機械類が沢山置かれている。それらが規則的な音をたてていた。
 なんだ……
 もう明日にでも死にそうな奴だな……
 リーチはふとそんなことを考えた。
「そうだが……。どうしてレオナードのことを知っているのだ?」
 死にそうな割には、はっきりと話すグランマイヤーにリーチは満足した。これで意志の疎通が出来ない相手であったら本気で切れていたはずだったからだ。
 やはり文句は言いたいだけ言っておきたかった。
「ここのところ姿を見せずに心配されていたのでは無いですか?」
 意味ありげにリーチが言うと、グランマイヤーはただでさえ悪い顔色を、更に真っ青な顔へと変えた。
「まさか……お前が……レオナードを……」
 グランマイヤーはベットからこちらを見上げてそう言った。
「酷い目に合わされましたのでね……」
「殺した……のか?」
 驚きの表情でグランマイヤーはリーチから視線を逸らさない。その濁った瞳を見返しながらリーチは小さく溜息をついた。
「止めて下さい。刑事の私が殺人を犯すわけなど無いでしょう……」
 実際は殺してやりたいほどむかついてはいたが、殺したところで何かが終わるわけではない。そう思ったリーチは衝動を抑えたのだ。
 そんな自分をリーチは俺って偉いなあ……等と思っていたのだからどうしようもない。
「では、何処に……」
「そんな話は後で構わないでしょう……」
 リーチは部屋の壁にもたれた。
「貴方は一代で財産を築いた。少し調べさせて貰いました。それだけの富と権力を得るには並大抵では無理です。貴方自身も酷いこともしてきたのでしょう。部下を使い、敵は葬る……。汚い手も使った。……そうですよね」
 淡々とリーチは言ったが、グランマイヤーの態度は変わらなかった。
「わしの事などお前には関係ないではないか」
「関係ないと本当に思っているのでしたら……」
「無いと言ったらどうなんだ」
「ふざけるなっ!」
 壁にリーチは思い切り拳を当て、怒鳴った。
「あんたは馬鹿じゃない。自分の言動が周りにどんな影響を及ぼすのか充分、理解しているはずだ。そのあんたが、一人の医者を引き留めたいと思った。部下にその事を話す。あんたは無理なことは言えん……と、話しながら、物わかりの良いじじいを演じていたかもしれない。でもな、あんたは知っている。そう言えば、誰かが自分の代わりにすべてお膳立てしてくれることをさ。分かっていて焚き付けたのはてめーだろうがっ!」
 リーチの瞳はじっとグランマイヤーの瞳を射抜いていた。
「お前は……誰にものを言っているのか分かっているのか?」
 グランマイヤーが言うとリーチは高笑いをした。
「はははははっ!ただの死にかけの爺じゃないか。それ以外何でもねーよ。死が怖くて怯えている哀れな爺だ。さっさと死んでいたらこんな事にならなかったんだろうな。全く……。散々生きてきて、てめえの足元で踏みつぶしてきた奴らがお迎えに来てるんだろう。付いていけば良いんだよ……何をしがみついてるんだか……」
「貴様……ただのちんぴらじゃないな……」
 そう言ったグランマイヤーは更にリーチの瞳を見つめてくる。それはその奥にある何かを見定めようとしている様であった。
「刑事だって言ってるだろ」
 つまらなそうにリーチは言った。
「お前の目は……わしに恐怖心を覚えさせる……修羅場を経験している目だ……」
 やや視線を逸らせグランマイヤーは小さく咳払いをした。
「ま、確かに、あんたのお陰で、経験させて貰ったよ……」
 やれやれとリーチは組んでいた足を組み替えた。
「……」
「なぁ……俺はあんたみたいな奴を知ってるよ……。だから分かる。あんたに自覚が無かったことも分かってる……。言葉でいくらお前の所為だって言っても理解できないんだ。だからいいさ、ただ、あんたの部下が、俺の職場の人間に怪我をさせているんだ。慰謝料を払ってやってくれよ」
 リーチがそう言うとグランマイヤーが低く笑った。
「やはりそこに来るか……金目当てか?」
 その言い方がリーチのかんに障った。
「うるせえ!じゃな、聞くが、お前は怪我を負った人間に何をしてやれるんだ?済まなかったと手をついて謝ってくれるのか?やれるならそうしてくれ。ああ、それでいいさ。やれるのか?あんたにそれが……できねーだろうがっ!じゃ、あんたができることは金しかねーだろう?そうやって今まで済ましてきたんだろう?今更何を被害者ぶってるんだよ。俺が欲しがってるんじゃねーよ。俺の分はいらない。だがな、巻き込まれた人間はまだひよっこだったんだ。ここらと違って銃に撃たれるって事はまずないんだよ。それが心の準備のないままに撃たれた。それが日常生活にどれだけ支障を来すことになるか分かってるのか?意味もなくっていうのが一番不安なんだよ、何か理由が欲しい。その理由を作ってくれといってるんだっ!」
 リーチは怒りをぶちまけたように怒鳴りつけた。その姿は普通の人には耐えられないほどのオーラを身体から発していた。
 どうしようもなくリーチは怒っていたのだ。この老人が計画したわけではないのだが、結果的に一番の原因だからだ。自分の負った怪我などどうでも良い。だがそれに巻き込まれた人達と、一番大切な人をあそこまで追い込んだ原因になったと考えると本当に殺してやりたいくらい腹を立てているのだ。それを思いとどまったのは名執が生きていたからだ。もし死んでいたらこの哀れな老人とレオナードを海の底に沈めていたに違いない。
「……」
「なぁ……」
 先ほどまでの剣幕を納めたリーチが口調を変えて言った。
「ここしばらく……誰に側にいて欲しいと思った?」
「何を……言い出すんだ……」
 冷や汗を額に浮かばせたグランマイヤーが声を震わせた。
「いつも側にいて気がつかなかったんだろ……。な、誰に側にいて欲しいと思ったんだよ……」
「……」
「先生のことなんか……考えもしなかったでしょう?」
 ようやく利一の顔に戻し、リーチは笑みを浮かべた。
「お前が何を企んでいるのかは知らんが……」
「企んでなんかいませんよ。人間って言うのはいなくなって気がつくんですよ。本当に大切なものがなにか……」
「レオナードを……まさか……」
 慌てたような口調でグランマイヤーは動かない体を動かそうとした。
「だから……殺してはいませんよ……放って置いても勝手に帰ってくるでしょう」
「……ほんとうか?もしあの男を殺したら……貴様を……」
 そこまで言い、グランマイヤーは咳き込んだ。
「貴方がどうやって気に入らない人間を葬ってきたか知りませんけど、私にそんなことはできませんよ。ただの刑事ですから……」
 笑みを見せてリーチはグランマイヤーに言った。
「レオナード……」
 グランマイヤーは溜息のようにそう囁いた。

 名執はようやく廊下まで出ることが出来た。だが身体を起こせないのだ。既に消灯時間になっているため、廊下も小さな非常灯がつけられているだけで薄暗い。看護婦の巡回はこのフロアには無いため、誰も歩いてはいなかった。
 リーチ……
 壁に身体を寄せ手を伸ばす。そうしてなんとか手すりを掴むと、名執は身体を起こそうとした。だが身体のあちこちから力が抜けだしたように上手く立ち上がれない。
「……く……」
 どうしてもリーチの側に行きたかったのだ。多分すぐに帰ってくるのだろうが、不安で一杯になっている心はそれを認めなかった。
 また……
 嘘かもしれない……
 私を置いて帰ったのかも……
 少しだけ希望を持たせて……
 私を一人にするかもしれない……
 そんなの嫌……
 絶対……嫌……
 あの人の所に行かないと……
 私……
「……うう……っ……」
 グイッと腕に力を込め、名執はようやく立ち上がることが出来た。だが貧血に似た立ちくらみが襲い、ふらふらと身体をゆらめかせた。
「……ああ……」
 しっかり手すりを掴み、身体を壁に押しつけ名執はぐるぐる回る視界から目を閉じた。酷く気分が悪く吐き気もする。それでも名執は前に進むことを選んだ。
 ケインなら……
 何か知っているかも……
 名執は自分の部屋から三つ隣の部屋に向かうことにした。そこはケインの自室だったのだ。もしかするとリーチはそこにいるかもしれないと思った。
 ようやく目眩が収まり、名執は身体を引きずりながら手すりに捕まりケインの自室に向かって歩き出した。
 自分の身体でないような重さを感じながら名執は額に汗を滲ませじりじりと前に進んだ。
 はあ……
 はあ……
 情けないほど自分は体力を失っている。たった少し歩くだけであるのに息が既に上がり、喉が痛い。その上、頭がぐらぐらと揺れるのだ。視界の景色もグニャグニャとしている。
「……リーチ……何処……」
 もう一人にはなりたくなかった。どうしても今はリーチの側に寄り添っていたい。名執は今そのことだけしか考えられなかった。
「……あっ……」
 震える手が滑り、また名執は床に転がった。冷たい床に身体を伸ばし、名執は息を整えた。もう少しなのだ。今まで辛いことは沢山あった。だが乗り越えてきたのだ。今の状態はそれらに比べると、苦しいわけでも辛いわけでもない。
 ただ身体の自由が少しだけ利かないだけだった。
 こんなの辛くない……
 ちっとも……
 何度も息を吸ったり吐いたリを繰り返し、名執はまた身体を起こした。そうして今度は這いながらケインの部屋の扉までやって来た。
 こんな姿は見られたくない……
 きちんとたたないと……
 名執はまた手を伸ばし、扉のノブを掴むと必死になって立ち上がった。
 はあ……
 空気が足りない……
 ゼエゼエと喉から息を吐き出し、名執はようやく声を出した。
「……ケイン……雪久です……あの……いらっしゃいますか……?」
 だが中から返事はなかった。
 もう寝てしまったのだろうか?
 いや……ケインは遅くまで起きているはず……
「ケイン……いらっしゃらないのですか?」
 もう一度名執は問いかけたが、やはり返答は無かった。名執はそこでノブを廻したが、鍵がかかっていた。
 最初から……
 鍵がかかっているか確かめたら良かった……
 誰もいないとはいえ、声をかけていた自分がなんだか可笑しく感じたが、ケインは何処に行ったのだろうかという疑問がおこってきた。
 今、オペをしている筈はない。だったら何処に?
 名執はそこで途方に暮れてしまった。リーチが今何処にいるのかも分からない。聞こうとしたケインも自室にいない。こうなると何処を探せばいいのか分からないのだ。
 どうしよう……
 うっすらと涙を瞳に浮かべ名執は益々不安に駆られた。
 リーチに会いたいだけなのに……
 リーチの側にいたいだけなのに……
 そのどちらも今は叶えられそうにない。
 あと……
 後は何処?
 名執はずるずると床に座り込み、扉に背をもたれさせながら考えた。リーチが行きそうな所を必死に考えた。
 帰るとは考えられなかった。まず飛行機はこんな時間に飛んでいないからだ。それでは何処に行ったのだろうかと必死に考えた。
 まさか……
 レイの部屋?
 いきなり心臓が捕まれたような痛みを感じ、名執は今、自分の思ったことを一度は否定した。だが他に考えられない。
 リーチが言ったことが嘘だったら……
 違う……
 最初の話が本当のことで、私に言ったことが嘘だったら……
 今レイの部屋にいるの?
 それで……
 二人で……
 ……っ!
 考えたくはないのだが、リーチが消えた事実をどう納得して良いのか名執には分からないのだ。ならば、今考えた理由の方が納得できると思った。
 そうなの……
 リーチ……
 そうなんですか?
 またみんなで私を騙したのですか?
 もう自殺させないように……
 もう死にたいと思わせないように……
 とりあえず元気になるまで芝居をしたのですか?
 瞳から涙を落とし、名執は暫くそこで泣いていた。静まり返った周囲には誰も名執を慰めてくれる人などいなかった。ただひんやりした床の冷たさだけが身体に伝わってくる。
 側にいて下さい……
 堪らないんです……
 一人が恐いんです……
 もう……
 貴方を失ったなんて考えたくない……
 レイ……
 レイの部屋にいるの?
 もしレイの部屋に行って二人の仲むつまじい姿を見てしまったら……そう考えると吐き気がするほど嫌なのだ。
 どうしよう……
 そんなことを考えながら名執はふと床に写る自分の姿が目に入った。つるつるに磨かれた床の表面はぼんやりながらも自分の顔を映しだしていた。
 ……なに……
 これが私……
 そこに映ったのはひどく痩せこけ、醜くなってしまった人間の顔だった。
 ……っ……
 嘘……
 こんなにひどい顔になってるなんて……
 床に映った自分の顔から目を逸らせ、名執は両手で自分の身体を覆うと扉にへばりついたまま小刻みに身体を震わせた。
 私……
 こんな私をリーチが愛してくれるわけなど無い……
 するめだと言ったリーチの言葉が、先程床に映った中にあったのだ。廻した手もすっかり痩せてしまった身体を認識している。
 ひどい顔……
 ひどい身体……
 その上……
 嫉妬している醜い心……
 すべて嘘なのだろう。リーチが言ってくれたことも、こんな哀れな姿を見たからなのだ。同情したのだろうか?可哀想だと思ったのだろうか?死ぬことに失敗した名執に見せたささやかな優しさだったに違いない。
 あの人は優しい人だから……
 名執は本心からそう思った。リーチは優しい人間だった。多少性格のきつい部分を持ち合わせているとはいえ、人に対する優しさはとても深い。それを名執は良く知っていた。
 私にもその優しさを与えてくれたのだろう……
 もう好きでも何でもないのに……
 でも……
 そんな優しさなんかいらなかった……
 私が欲しかったのはそんなものじゃなかった……
 ただ……
 側にいて欲しかっただけ……
 またこぼれ落ちる涙が名執の頬を伝い、膝に落ちていく。
 リーチ……
 今はきっとレイの元にいるのだろう。そんなところに顔を出すなどとても出来なかった。文句を言うのも筋違いなのだ。
 探しても無駄なんだ……
 名執はようやく答えが出た。もう駄目なのだと。
 私は……
 どうしたらいいのだろう……
 重い体をまた起こし、名執は手すりに再度捕まった。もう行く当てなど何処にもなかった。部屋に帰る気もない。レイの所にも恐ろしくて行く気になれない。
 死ぬことにも失敗した……
 そして残ったのは醜い顔と身体になった自分だけだった。
 何処に行こう……
 何処に行ったら良いんだろう……
 当たりを見回しても見慣れた冷たい廊下が果てもなく続いていくのだけが見える。
 ここに閉じこめられたまま私は永遠に出して貰えないのだろうか……
 来なかったら良かった……
 少しだけ行ってみたいと思ったが、心の何処かでリーチに引き留めて貰いたいとも思っていた。そうやって狡くも何かを確認しようとした自分が一番馬鹿だったのだ。
 ここから出たい……
 すべての原因がこの建物の中にあるのだ。それが名執には耐えられなかった。この場所が何もかも壊してしまった。リーチとの絆も、名執の姿すら変えてしまったのだ。
 それが悲しく、そして辛い。
 ここから出よう……
 その先どうして良いのかなど全く考えられないのだが、名執は一分一秒たりともここにはいたくなかったのだ。
 ようやく決心した名執はまたゆるゆると歩き出した。
「先生……」
 いきなり声をかけられ、名執は顔だけを後ろに向けた。すると、見るからに痩せたレオナードがそこに立っていた。
「……あ……」
 レオナードの衣服は何故かよれよれで、足元も頼りない。だが眼光だけは鋭くこちらを見つめている。
 そういえば……
 ケインが言っていた……
 
レオナードさんが、プロフェッサーに隠岐さんの電話を繋がないように話したそうだ。もしかしたら、あの人がすべての元凶じゃないのか?

 それが本当だとすれば、今目の前にいるレオナードが危険であるのではないかと名執は思い、身体を竦ませた。
「先生……」
 もう一度そう言い、レオナードは名執に近づいてきた。そんなレオナードから名執は距離を取ろうとしたが、明らかに逃げようとしていることに気が付いたレオナードが今度は駆け寄ってきた。
 リーチ……っ……
 リーチっ……!
 ガッとレオナードに掴まれ、名執は体勢を崩すと両膝を付いた。身体が本当に言うことを効かないのだ。
「どうして逃げるんですか?」
 レオナードは名執の肩を掴んだまま離さずそう言った。
「離して……離して下さい……」
 恐い……
 リーチ……
 助けて……
「先生は……こんな所にいらっしゃるべき方じゃないでしょう……患者を放って何をしてるんですか?いや……貴方は医者じゃない……。色恋に狂ったただの馬鹿な人間だ……。医者は患者のことだけを考えていればいいものを……。先生がいるからご主人様も奇妙な考えに取り憑かれてしまったんだ……。先生が一番邪魔だったことを私はようやく気が付きましたよ……」
 淡々とレオナードはそう言い、名執を掴んだまま引きずった。その口元には笑みが浮かんでいた。
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