Angel Sugar

「真実の向こう側」 第17章

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「馬鹿だなあ……僕は……」
 ぼんやりと冬夜は何処を見るわけでもなくひとりごちた。
 どう冬夜が言い訳をしようと、青柳の気持ちは収まらないのだろう。冬夜も最初の頃のように身体だけだという関係を受け入れていたなら耐えられたのかもしれない。いやそれを望んでいたのだからいまさら綺麗事を言うつもりはなかった。
 だが冬夜は事実を知った。
 青柳がどうしてこのうちに居座り、冬夜を抱くのか。そして冬夜をどうしたいのかを。
 だから逆に辛くなったのだ。
 そう……
 冬夜は青柳に惹かれている。
 何も知らなかった頃、うちに灯りが点っている事に胸をときめかせ、一緒に食べようと持って帰ってくれた寿司も嬉しかった。そんな些細な優しさが冬夜をどうにもならない状態にまで追い込みつつあった。
 何も知らずに身体だけの関係を続けることは出来ただろう。
 もしかすると冬夜は既に泥沼に足をつっこんでいる可能性だってある。否定しても、否定しても惹かれてしまう強烈な個性に虜にされることなど、冬夜は最初出会ったときから無意識に気が付いていたのかもしれない。
 誰かの温もりが欲しかった。
 そんな心の隙間を突かれた冬夜には理由を考える余裕も無かったのだろう。
 時折見せる優しさを、また感じることが出来るのではないかと、何処かで期待していたのかもしれない。
 だがそれは幻想だったのだ。
 薬を使われて無理矢理犯すやり方は強姦でしかない。最初の強姦は冬夜自身も半分合意していが部分があったが昨日は違う。あんなやり方で抱かれるのはごめんだ。まだ殺された方がましだと思ったほどだった。
 薬でトリップした冬夜を犯そうとする男の何処に、人間らしく扱ってやろうという気持ちがある?そんなもの何処にも無い。最初から冬夜は青柳の欲求不満の対象であり、憎んできた相手だった。
「……考えたら分かるだろう……」
 そろそろ目が覚めても良いはずだ。
 青柳を傷つけ、その代償として冬夜は会社を辞める。これで支払いは済むはずだ。たった一言の代償には充分だろう。反省している。冬夜の一言がどれだけ重いものだったかも分かった。だからこそ、冬夜は自分の人生をかけるつもりであった仕事を青柳に差し出すのだ。
 これで充分だろう?
 充分だよ……
 それでも切ってくれないのならこちらから切れば良い。マンションを引っ越し、ここから逃げるのだ。以前から移ってこないかという誘いをくれている普通の会社もある。ならばこの場所にしがみついている理由など無い。
 そこまで考えて冬夜は少し気持ちが落ち着いた。だが、頭痛は収まらない。身体のあちこちが痛み、歩くのが本当に辛い。
 まだ辞めたわけではないのだ。きちんと引継が終わって初めて辞められる。例え辞めると決めた仕事であろうといい加減なことだけはしたくなかった。
 冬夜は僅かに残った責任感を奮い起こして気力を必死にかき集めた。今日この日を休むと青柳に屈したような気がしたから。
 青柳の思うとおりにキャスターを辞める。
 だからといって人間性まで放棄はしない。

 そうして冬夜は局へと時間通りに出勤したが、自分の席について暫くするとその無謀さを思い知った。頭が酷く痛み、身体の動きも鈍い。激しい立ちくらみを起こして、とうとう、冬夜は自分の机に突っ伏したまま気を失った。



 身体を揺すられ意識が戻ると、真っ先に海堂が心配そうに覗き込んでいた。
「浅木くん。大丈夫か?」
「ああ……っ……?」
 身体を起こそうとしたが力が入らず、冬夜は仕方なしに諦めた。見回すとどうも長椅子に横たえられているようだ。しかも毛布が身体に掛けられている。
 僕は……どうしたんだろう?
 ぼんやり考えている間も身体の関節がシクシク痛む。頭痛も最高潮だった。もしかしてこれは風邪なのだろうかと冬夜が考えていると海堂が言った。
「浅木くんさ。熱を測ったら三十九度もあったらしいぞ。俺からプロデューサーに話しておくから今日は帰れ……」
 口調は優しいが、瞳は真剣だ。
「でも……仕事に穴を空けられません……」
 冬夜はもう一度身体を起こそうとしたが、今度は海堂に止められた。
「言っただろう?熱が酷いってな。サブはなんとかするから今日は帰れ」
 当然のように言う海堂だが、冬夜はとても帰る気になれない。
「でも……」
「こういうときは甘えろ。いいな?番組作りはチームワークだ。誰かが欠けたのなら誰かが補う。そういうものだろう?」
 気持ちは立ち上がって元気な姿を演じようとするのだが、身体が付いていかない。これではとても無理だろう。
「……済みません……」
 冬夜は目を伏せてそう言った。この状態では確かに迷惑を掛けてしまうことになりそうだからだ。
 だが……
「……熱を測ったって」
 まさか胸元をはだけて測ったのだろうか?
 誰が測ってくれた?
 まさか……海堂さん?
 それを考え冬夜は青くなった。青柳に散々付けられた愛撫の痕を見られたかもしれないのだ。
「おう。俺が測ってやった。耳で熱を測るタイプの体温計だ。最近は便利になったもんだなあ。耳にちょこっと当てただけですぐに分かるんだぞ」
 机に放置されていた体温計を取ると海堂は嬉しそうに冬夜に振って見せた。そのとたん、張りつめた気が急にゆるんだように身体から力が抜けていく。
「……あ……そうなんですか……」
 辞めると冬夜が決めたにも関わらず、ここまできて世間体を考えていることが不思議だ。
「外にタクシーを呼んだ。……それで今起こしたんだが……。そこまで歩けるか?」
「……なんとか……」
 今日は甘えさせて貰おうと冬夜は思った。本当にこの体調では下手をすると全国放送中に倒れるかもしれない。それはいくらなんでも恐ろしいことだった。
「鈴木っ!良いところにいた……ちょっとこっちに来い!」
 鈴木くん?
 目線だけで確認すると、入り口の所でポスターのようなものを抱えた鈴木が扉を開けてアナウンスルームに入ってきた所だった。
「なんですか?」
「悪い。ちょっと浅木くんを局の玄関まで連れて行ってやってくれないか?」
 海堂が言うと鈴木はチラリと視線をこちらに寄越してきたが、その瞳には何の感慨も見られない。
「え、一人で行けますから……」
 鈴木とは二人きりになりたくなかった。
「……駄目だ。鈴木~どうなんだ?手、空いてないのか?」
 何も知らない海堂は鈴木に断れないような口調で言った。
「良いですよ。任せてください~」
 鈴木はいつも通りおどけた様子で冬夜が横になっている長椅子の所にやってくると、手に抱えていたポスターを、体温計の置かれている所に並べると、こちらを向く。不思議なことに鈴木はどこから見ても心配そうな表情をしていた。
「じゃあ、俺は別番だから、後頼むぞ。で、浅木くんは心配するんじゃないぞ。こっちは、なんとかするから」
 立ち上がって海堂はそういうと、その場から立ち去った。その後ろ姿を暫く見つめ、視界から消えると、冬夜はようやく鈴木の方を向いた。
「……鈴木くん……。用事があるなら行ってくれていいから……。一人で帰られるよ……」
 無理矢理身体を起こし、冬夜は浅く息を吐いた。だが頭の芯がふらふらとしているのが分かる。これは最悪の状態だ。
「送りますから……」
 ぽつりとそう言い、鈴木は冬夜の背中を支えた。
「悪いな……」
 本当は鈴木に送ってもらうことは避けたかったのだが、自分の体調のあまりの悪さに仕方無しに冬夜は助けを借りることにした。例え鈴木が冬夜に対して色々思うところがあったとしても、彼も大人なのだから局内で、しかも沢山人が居る場所で不適当な話題を出すことはないだろう。
 なにより今まで一緒に仕事をしてきた仲間だ。いくら青柳のことが互いの間にあったとしても、築いてきた仲間としての関係は簡単に壊れることなどない。
 冬夜はそう思いたかった。
 廊下を鈴木に身体を任せながら冬夜は歩き、エレベーターに乗る。そのエレベーターには誰も乗っておらず、まずいことに二人きりの空間になった。
「浅木さん……青柳くんとはまだ?」
 余計なことを聞かないでくれ……
 本当はそう言いたかったが冬夜は気分が悪すぎて声を出す元気も無かった。
「……」
「……もちろん、僕は……色々浅木さんに言いましたけど……。反省してるんです」
 しおらしげに鈴木は言った。だがその言葉も冬夜には右から左で良く理解できていない。
「……そう……」
 ようやく冬夜が言えたのは、そんな突き放したような言葉だった。
「済みません……」
 鈴木は本気で謝っているのが分かる。それに対する良い言葉が思い浮かばないだけだ。
「気にしなくて良いから……」
 冬夜は社交辞令のようにそう言った。
 エレベーターが一階に着くとホールを歩く。局の表にタクシーが止まっているのがエントランスをぬけた硝子扉の向こうに見えた。
「……送っていきましょうか?」
 仕事があるはずの鈴木も、冬夜と同じように社交辞令を言ったのだろう。もちろん冬夜はありがたく断る。
「大丈夫だよ……一人で帰られるから……。ありがとう……」
 鈴木は、微妙な笑顔で冬夜を支える手を離した。
 タクシーに身体を押し込んだ冬夜はシートに身体をもたれさせ、ようやく息を付くことが出来た。

 うちに帰り着くと、冬夜はすぐさまベットに倒れ込んだ。全身の力がそこで尽きてしまったようだ。服を脱ぐことすらできず、その上冬夜は何も考えられない。
 今はただ毛布に潜り込み、丸くなっていたかった。それでも暫くするとスーツくらいは脱がなければと思いたち、冬夜はベッドに横になったままぐずぐずと服を着替え、脱いだ衣服をハンガーに掛ける力もなく、そのまま眠りについた。
 暫くうつらうつらとしていると、訪問者を告げるベルが鳴る。その音に冬夜は顔をあげた。
 まさか……
 青柳くん?
「お~い……いるんだろう?局で聞いて……あ、空いてる……。うわっ!物騒だな……」
 隆史が一人で騒いでいるのが玄関の方から聞こえたが冬夜はやはり身体を動かせることが出来ない。隆史なら良いか……と思っていると、寝室に隆史が入ってきた。
「冬夜。玄関は閉めておけよ……全く……まあ締め出し食らうよりよかったけどさ。局からの帰りに中隅さんに聞いてさ。心配になって来たわけ。大丈夫か?」
 ベッドから動けない冬夜を覗き込むように隆史は聞いてきた。
「……あ……うん」
 絞り出すように声を出す。だがこの一言すら冬夜には辛い。
「えっと……薬とか何処にあるんだ?」
 寝室になどクスリはないのに、隆史は言ってキョロキョロと視線を彷徨わせた。
「キッチンの引き出し……」
 熱でぼんやりした頭で冬夜は小さな声で言った。益々酷くなる頭痛が、自分の声にも反応して頭の芯が揺らされ、痛む。
「分かった。適当に探すよ……」
 笑いながら隆史は寝室を出ていった。その間に冬夜はパジャマになんとか着替えると、また枕に突っ伏して身体を沈ませる。いつもは気持ちよく横になれるベッドであるのに今日は何故かここで眠りたくなかった。それでも現実に、ここしか休む場所が無いのだから仕方がない。
 今晩……
 青柳くんは戻ってくるのだろうか?
 目を閉じて冬夜は溜息をつく。
 頭が痛くて沢山の重要なことであるのに、まともに思考が働かない。さっさと鍵を変えてしまえば良かったのだと、冬夜はようやく思いついたのだが、今からでは遅い。
 風邪なのか疲労なのか冬夜にも分からないが、確かに身体はガタガタだ。今、横になっていることすら辛くて仕方がない。
 向こうの番組が冬夜の出ているニュースの後番だから隆史と鉢合わせする前に帰って貰うと良いんだと冬夜は考えた。
 二人を会わせない方が良い。何故か冬夜はそう思う。
 ただ、一度か二度かは冬夜も知らないのだが、どうも二人は話をしたことがあるような様子だ。何故か隆史はその話を自分からはしない。冬夜が一度聞いたことはあったが、話を蒸し返すことがなかったため、今まで冬夜は問いかけることをしなかったのだ。
 だが以前、聞いたときの印象では、隆史は話したくないと思っているのが冬夜には分かる。だから聞かない方がいいのかもしれない。
 ただ気になっていた。
 隆史が言ってくれたら……
 聞きやすいんだけど……
 でも喧嘩したかもしれないし……
 青柳はあの性格だから、彼の、隆史は良い奴だ……と言う台詞を丸々信用などできない。隆史と青柳とは鉢合わせしないように冬夜自身が気を配らないと……と、ぼんやりする頭のなかで考えていた。
「頭冷やすのも持ってきたよ……冷凍庫をひっくり返したらでてきたけど……もう少し食い物買って入れておけよ……」
 呆れたように隆史は言って、氷枕を冬夜の頭の下に敷いてくれた。すると冷たい感触が熱のある頭に気持ちよく感じらた。そして同時に持ってきた水の入ったペットボトルと、薬を脇机に置く。
「で、薬。あったけど……お前これ、いつのだよ……薬の使用期限なんかあるのかどうか知らないけど、まあ……大丈夫なんだろう」
 オレンジ色のカプセルに入った風邪薬を隆史から二つ手渡され、冬夜は賞味期限など全く気に掛けずに口に入れて、ペットボトルの水で胃に流し込んだ。
「用事……あったら帰って良いから……」
 冬夜が言うと隆史は顔を左右に振った。
「駄目駄目……。夕飯はお粥でも作ってやるよ。まあ俺、明日の仕事まで何もないし」
 隆史の休みは冬夜と同じだ。そうであるから今日は冬夜のために自分の仕事を誰かに代わって貰ったのだろう。だから明日出勤になっている。
「隆史……ごめん……」
 冬夜は胸が一杯になった。
 酷く感傷的になっている自分がいる。問題は沢山あるのだが、それを誰にも話せない辛さに冬夜の心は音を上げているのだ。だからこそ、冬夜の性癖を知り、それでも友人でいてくれる隆史が今側にいてくれることで、気弱になっているのかもしれない。
「泣くなよ~。なんだかまた悩んでるみたいだよな……。冬夜が落ち着いたら聞いてやるよ。とにかく今はゆっくり寝たほうがいいよ。起きる頃にはちゃんと夕飯用意してやるから……。ま……俺の腕前はいまいちだから、お粥食って腹壊しても俺のせいじゃないからな……」
 何時も通りの笑顔で隆史は言う。
「うん……ありがとう隆史……」
 冬夜が言うと隆史は毛布の隙間を整えて、窓のカーテンを引く。最後に寝室の電気を消した。薄暗くなった中、冷たい氷枕に頬をピッタリくっつけ冬夜は目を閉じる。
 寒気と震えは相変わらず身体を小刻みに振動させていたが、張りつめていた気持が隆史が側にいてくれることで緩み、安堵することが出来た。
「お休み……苦しかったら呼べよ」
 隆史は言うとそっと扉を閉めて出ていった。その音を遠くに聞きながら冬夜はやってきた睡魔に身を任せることにした。

 次ぎに目を覚ませたのは遠くで押し殺したような声を冬夜が聞いたからだ。
 フッと開いた目は薄暗い中、声の主を捜したが、どうも廊下の方からなので冬夜には誰が話しているのかすぐには分からなかった。
 ああ……
 そうだ僕は……
 隆史に連れて帰って貰ったんだ。
 何時かな……
 チラリと室内時計を見ると既に八時を回っていた。随分と寝ていたのだ。
 寝返りを打ち、ここまで帰ってきた経緯を冬夜はぼんやりと思い出していると、汗をかいた身体にパジャマがへばりついて気持ちが悪いことを感触として受け取った。
 着替えよう……
 きっと隆史が誰かと電話してるんだ……
 ゆるゆると起き出し、冬夜は新しいパジャマを取り出して着替えた。気怠い身体はまだ本調子ではないが、今朝倒れたときより随分ましになっている。
 喉も乾いていたためにペットボトルに入っていた残りの水を飲み干し、もう一度身体をベッドに沈めた。
 遠く聞こえる隆史の声はなにやら切羽詰まったような口調だ。
 隆史……
 隆史にもなにかあるのか?
 僕がいまこんな状態だから話せないとか?
 何時も冬夜は何かあると隆史に相談をしてきた。大抵が恋愛の相談だったが、隆史の方も冬夜に自分の相談事を持ちかけてきてくれていたのだ。
「いいかげんにしろよ!」
 急にトーンが高くなった隆史の声は怒っていた。一体誰と話せばあんな風に声高に隆史が怒るのだろうか。
 冬夜は一度は伸ばした身体を、もう一度起こすとそろそろとベッドから下りた。だが声は一度大きくなっただけでまた何を話しているか分からない小声になっている。
 隆史……
 誰と話してるんだ?
 寝室の扉をそっと開けると、隆史は携帯を持って話をしていた。しかもその携帯は冬夜のものだった。
 じゃあ……
 僕にかかってきた電話か?
 誰だ?
 まさか青柳くん?
「……俺ができることなら何でもするから……それは許してやってくれよ……」
 隆史がそう言ってチラリと冬夜のいる寝室の方を向く。覗いていた冬夜の視線が合うのは当然の成り行きだった。
「……あ……じゃあ伝えておくよ……」
 冬夜に気が付いた隆史は慌てて携帯を切った。
「誰からだった?」
 何も聞いていない振りをしながら冬夜は聞いた。
「あいつからだよ……青柳。今晩帰られないからってご丁寧に電話してきた」
「……そう……」
 では先程から隆史は青柳と冬夜自身のことを話題にしていたのだろう。それで隆史はどうして冬夜がこんなに情けない姿を晒しているのか、それが誰の所為なのか青柳と会話をしたことで分かったのだ。だからあんな風に怒鳴っていたのかもしれない。
 もしかすると最初から誰の責任か分かっていたとも考えられる。
 本当に隆史は良い奴だった。
「気分はどう?」
 何事もなかったように隆史は言って笑う。
 僕は友達に恵まれた……
 本当にそう思う……
「うん。汗も出たし……随分楽になったよ……ほんとごめんな……」
 そういうと隆史は自分の手を冬夜の額にのせて熱を測った。
「う~ん……まだ熱あるよ。寝てろよ。お粥温めて持っていってやるから……」
 冬夜は暫くは隆史の優しさに甘えることにし、寝室に戻るとベッドに上った。
 隆史の友情は何時も暖かい。
 ゲイである冬夜を差別せずにつき合ってくれる隆史は、本当に大切な友人だ。その隆史にまた迷惑をかけているのが心苦しい。
 だが青柳のことに巻き込むのはあまりにも申し訳ないと冬夜は思った。それに青柳がストレートである隆史にまで何かしでかしそうで恐い。
 隆史に被害が及んだら……

 まさか……ああいうノーマルとやるのもたのしいかもなあ……
 
 脳裏に青柳の言葉がよぎった。
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