「真実の向こう側」 第18章
それこそ僕は隆史まで失ってしまう……
大切な友人。
しかもたった一人の理解者だ。その隆史を失うことは耐えられない。
「あんまり美味しくないかもしれないなあ……」
言いながら隆史はお盆にお粥を入れた皿を置いて寝室に入ってきた。
「迷惑かけて本当にごめん……」
今の冬夜にはそんな言葉しか出ない。
「やだなあ改まるなよ……」
そう言って隆史は冬夜の膝の上にお盆を乗せた。
「本当にそう思ってるんだ……」
白い湯気は辺りを漂い空気にとけ込んでいく。それらに身体を包まれているような優しさを冬夜は感じた。
「冬夜さあ、そんな事よりしっかり食えよ。まだ熱っぽい顔してるから……。でも明日から休みだし、冬夜も暫くゆっくり出来るだろう?うろうろするなよ。だってさ、どっかで倒れたら余計人に迷惑かけることになる」
「そうだな……」
お粥をスプーンですくい取りながら一口ずつ冬夜は食べた。意外なことに食欲はあったので、一皿はすぐに食べ終わる。それを満足そうに隆史は見ていた。
「お代わりする?」
「しっかり食べないと体力が戻らないから、もう少し食べるよ」
思い出せる限りでは、ここ暫くほとんど食物を口にしていない。お腹も空くはずだ。そうしてまた皿にお粥を入れて冬夜に差し出しながら隆史は言った。
「冬夜が嫌だと思うけど……聞いて良いか?」
「え……いいけど……なんだよ」
お粥を掬っていたスプーンを置き、冬夜はベッドに腰を掛けている隆史の方を見た。その表情は気のせいかやや強ばっている。
「青柳くんに何か言われた?」
「……いや……そういうのは良いんだ……」
やはり何か言われたのだ。
冬夜は背筋にぞくりとしたものが走るのを感じた。
「青柳くんが言っていたよ……君に説教されたって」
ごく普通の会話を続けることに努めた。深刻に問いつめるたとしても隆史は話してくれないだろうから。
「説教?はあ?……まあいいけどな……」
違うのか。
では隆史が言ったのではなく、青柳から何かを言われたのだろう。
だからこんな反応を隆史はするのだと冬夜は理解した。
「まあ……俺が心配なのは冬夜だよ。どうなんだよ……あの年下君が好きなんだろう?」
いきなりの言葉に冬夜は返答する言葉を見つけられなかった。
「え……いや……」
「……冬夜ってわかりやすいからなあ……」
気味が悪い……
どうして青柳とのことを反対していた隆史がこんな事を言い出すのか。
「そ……そうかな……」
冬夜は強ばりながらも作り笑いを浮かべる。だが本当は、冷や汗が出そうなほど混乱していた。
「あ、そういや青柳との話で冬夜のことも話したよ。そうそう、浅木さんは誰かとつき合ってるんでしょうかね?って聞かれたんだけど、冬夜と青柳が一緒に暮らしているのを知っている俺からすると意味不明だったな。どうなってるんだ?」
「な、何だって?」
隆史の問いかけが理解できずに冬夜は聞き返すように言った。
「だからさあ、冬夜はどうなんだ?」
じっとこちらを見つめる隆史は真剣だ。
「そんなことをあいつは聞いてきたのか?」
「まあね。もし青柳が冬夜のことを好きなんだとしたら、当然の質問かもな。だって俺は冬夜の親友だし……」
「……なに……言ってるんだよ……」
どうなってるんだ?
どうして隆史が青柳くんのことに寛大なんだ?
もしかして……
手なずけられたとか?
いや……
そんな……
だって隆史はストレートだ。
ああいうノーマルとやるのもたのしいかもなあ……
また冬夜の脳裏にその言葉がよぎる。
「隆史……どうして突然そんなことを言うんだよ……僕と青柳くんのことは反対していたじゃないか……」
何かあった?
弱みでも握られている?
そうなのか?
それとも……
冬夜の知らないところで青柳に何か脅されていたのだろうか?
もしかするとずっと冬夜自身に隆史が相談したがっていた事はこのことなのか?
「そうだよ……反対だった。だってあの問題児だぞ。冬夜みたいな真面目な男にあうとは思わなかった。でも……それでも冬夜はあの男と一緒に暮らしてる。嫌いな男と一緒に暮らせないよな?……言いたくないけど……セックスだって出来るわけないんだ。冬夜
が本当に嫌いな人間と寝たりしないことをよく知ってる」
冬夜が不審に思っている間も、隆史はいつも通り、理解者である立場で発言している。
……
分からない……
何かあってこんな事を言ってるんだろうか?
それとも本当に冬夜のことを考えて隆史は話してくれているのか?
「……僕と青柳くんはそんなんじゃないよ……」
そう……
過去の冬夜の言動が引き金になって青柳は冬夜を恨んでいる。
青柳はこの機会をずっと待っていたのだ。
ようやくそれらを果たせた今、青柳は楽しんでいる。
だから薬を使うことにも躊躇しなかった。そういう男なのだ。
青柳のことを優しいところも持ち合わせている男だと思った冬夜が馬鹿だった。身体だけと割り切ることが出来ない性格なのに、大人ぶった冬夜が……
馬鹿だった。
家族を亡くしてから世間にもまれて大人になった青柳と、ゲイとはいえ普通の家庭に育ち、ごく普通に大人になった冬夜が青柳に勝ることなど、どうしてできる。
青柳と冬夜は背負っているものが違うのだ。それを冬夜は自分が年上だということだけで優位に立っていると思いこんでいた。
それがそもそもの間違いなのだろう。
「冬夜……」
困ったような表情で隆史はこちらを覗き込む。
「僕はそんなおきれいな人間じゃない。青柳くんと寝たのは自分の欲求を満足させるためだったんだ。それ以上も以下も無いよ。最低なのは僕だ」
そう、そこから僕たちは始まった。
「自分を誤魔化すなって……」
いつもならここまで来ると引いていたはずの隆史であるのに、今日は違う。そんないつもと違う隆史に疑惑を持つのは当然の成り行きだろう。
隆史……
何を言われたんだ?
やっぱり
何か弱みを握られているのか?
あいつ……
隆史まで手を出したんだろうか?
どうしたらいい……
僕は……
「ごめん……」
もうこの言葉しか冬夜には無かった。
「どうして謝るんだよ……」
驚いた表情で隆史は言った。
「……僕が悪いんだ……」
きっと青柳は隆史にも何か行動を起こしたのだろう。
弱みを握って脅しているのか、それとも冬夜に対してしたように、手を出したのかはわからないが、何かあったから隆史は冬夜の言葉に食い下がる。
「何が?」
「……え、あ。いや……いいんだ」
必死に自分を押さえて冬夜は言った。
「冬夜なんか変だよ……」
変なのは隆史の方だ。だが冬夜にそれこそもうなにも言えない。確かに問いただしたいとは思っても隆史の様子からそれが無理らしいことが分かるから。
「いや、別に何でも無いよ……。隆史……今度彼が色々言ってきても無視して良いから……。あと、僕のことも言わなくて良い」
冬夜は俯いたまま、途中で手つかずになった粥を眺めていた。
「別に色々話した訳じゃ……」
「僕の事だ。僕のいないところで自分の噂をされたくないだけだっ!」
意外に口調きつく冬夜は怒鳴った。
「……分かった。ごめん。冬夜……」
シュンと肩を落とした隆史に冬夜は我に返る。これほど心配してくれている隆史に冬夜は何を言ってしまったのか。
「済まない……違うんだ……僕はただ……」
青柳は何をするか分からない男だ。いや、もうしたのかもしれない。何より隆史の態度から何かあったのではないかと推測され、それを確認するのが冬夜は怖かった。
「俺が悪かったんだ。人様の事情に口を挟まれるのって嫌だよな。ごめんな……冬夜」
隆史の方も冬夜から目線を外し、申し訳なさそうに言う。その小さな声に冬夜は責められているような気持ちになった。。
「……」
違う……
違うんだ……
僕が……悪いんだ……
涙が出そうな状態を必死に堪えて冬夜は踏ん張った。
「おいしいよ……隆史……僕は君に本当に感謝してる……」
必死に作った冬夜の笑顔は、多分、今にも泣き出しそうだったに違いない。対して隆史は、ただ複雑な笑みを浮かべただけだった。
「そうだ……前に言ってたよな……」
機械的に粥を口に運ぶ冬夜に隆史は独り言のように言う。
「……なに?」
「いたずらメールってまだ来るのか?」
隆史の逸らされていた瞳はまたこちらを見つめていた。
「……来てたかな……時々来るみたいだけど最近は毎日は来ないよ……」
多分、そうだったはず。
色々なことに振り回されて、いたずらメールのことをすっかり忘れていたのだ。
「……そう。良かったな……」
何故隆史が、今そのことを言い出したのか冬夜には想像も付かなかった。
ようやく食べ終わった冬夜は薬を飲んでもう一度布団に潜った。隆史は冬夜が食べ終わる間に風呂に入り、店屋物を取って食べていた。それが終わると今度は心配だと言って寝室の床にどこからか探してきた布団を引っ張ってくると、そこに隆史は横になった。
その間、いくら冬夜が帰っても良いと言っても首を縦に振らない。よほど具合が悪そうに見えるのだろうか。
それとも……
「夜中冬夜が酷い熱を出したら誰が面倒見るんだよ……」
薄闇の中で隆史が言う。確かにそれも一理ある。
「でも明日……隆史さあ、同じ服で局に行くのか?やばくないか~」
くすくす笑いながら冬夜が言うと、隆史がいつも通りの笑い声を上げた。そこにはいつも通りの二人がいる。友達同士の会話。遠い昔、合宿先で二人枕を並べた暗闇の中、こそこそといつまでも終わることのない話をしていたときに似ている。
「きゃ~冬夜に襲われる~」
「何を言ってるんだよ……そんな気になるわけ無いだろう……」
笑いすぎて目に涙を浮かべながら冬夜は返す。暫くそうやって二人でふざけていると、隆史がふと思い出したように言った。
「なあ……以前言ったこと覚えてるか?」
「なんだったかな……色々隆史とは話をしてるからどのことを言ってるか僕には分からないよ……」
天井を眺めながら冬夜が言うと、隣から小さな息を吐く音が聞こえた。
隆史のため息だろうか?
「友情と恋愛を天秤に掛けることがあったとして、その時、恋愛を取っても俺は良いと思う。そう言ったよな……?」
確かにそんなことを言っていた。だが、何故今なのだ?
「……どうしたんだよ急に……」
「……それだけ言っておきたかったんだ……」
茶化す声ではない。ただ淡々と隆史は話す。
「変だよ……」
「そうかなあ……」
「隆史がそんな恋愛をしてるのか?」
まさか……
それは隆史自身のことを言ってるのか?
そうなのか?
「俺が?まさか……。でももし俺が恋愛でそんな立場になったら、俺は迷わず友情を選ぶよ……変な言い方だけどさ……」
真摯な声は隆史が嘘を付いていないことを現しているのだろう。
「……僕には恋愛をとれっていうくせに、隆史は友情を取るなんて変だぞ」
矛盾をとりあえず冬夜は指摘した。
「……あれ、そうだよなあ……」
言って隆史は笑う。ただ、既に電灯の落とされた寝室は、隆史が本当に笑っているのかどうかを分からなくしていた。
「僕も……友情を取るよ……隆史はかけがえのない友達なんだ……本当だよ」
冬夜は心の底からそう言った。
「ありがとう……嬉しいよ……いやマジで……」
照れくさそうな声はいつもの隆史だ。
「なんか今日は変な話ばっかりしてるよな……僕たち……」
「いやあ~冬夜が俺に告白する~」
またふざけた口調にもどった隆史。
「今度はなんだよ。ちゃかすなって。……ったくもう……寝ようよ」
このまま話し続けていると何かとてつもない話題か、告白が出てきそうな気がした冬夜は、ここで話を終わらせたかった。
「……そうだなあ……俺も眠くなってきた……」
「お休み……隆史」
暫く互いに沈黙しているとまた隆史が言う。もしかすると最終的には何かを告白したいが為に隆史はやってきたのだろうか。
「……なあ」
「……まだ何かあるのかい?」
隆史はまだ躊躇っているのか?
「サイレンの音が聞こえないか?」
そう言って隆史は布団からはい出したのか、布ずれの音が聞こえた。
「そういえば……また放火かな……ほら、連続放火事件でもちきりだろう?この間雨が降ったときに実は特集を組むはずだったんだけどね……土砂騒ぎで流れたんだ」
冬夜も身体を起こし、すでに窓を覆っているカーテンの方を見た。だが真っ暗な様子は火事の気配を感じさせなかった。
ただ、周囲に響くサイレンの音が冬夜の不安を掻き立てていた。
翌朝目が覚めると熱はやや下がっていた。だけど頭の芯は相変わらずの疼きを訴え、体調は万全とは言い難かった。冬夜は起きあがることなく目だけを開けて隆史が寝ているはずの隣を窺うと、すぴすぴと気持ちよさそうに眠っていた。
時間はまだ早い。
習慣なのか大抵休みの日でも一度は起床時間に冬夜は起きる。そして休みなのを思い出して寝直す。ただ、今日は一日大人しくしておいた方が良いだろう。そうすれば月曜には元気に局に行けるはずだから。
しかし明日動けそうなら冬夜は自分が休みであるにもかかわらず、一度、局に顔を出すつもりだった。ビデオを取ることも忘れた為、昨日のニュースを確認する方法がないからだ。だから局に行って自分の番組だけはチェックしておきたかった。
でも今日は無理だな……
あれ……
僕は何を考えてるんだろう……
辞めるって決めたのにさ……
自分の考えていることに笑いすら漏れそうになったのを冬夜は口元を引き締めて止めた。
笑い事じゃないんだよな……
じくじくする頭痛は、相変わらず断続的に冬夜を襲っている。吐き気は収まったが、それほど体調がいいわけでもない。
薄暗い中、また目を閉じて冬夜は身体をベッドに沈めた。
暫くすると隆史があわせたのか、目覚ましの音が響く。それを止めるように隆史の手は目を閉じたまま伸ばされ、音の主を探すように動かされた。
もっと右だよ……
そうそう……
と、思っているとようやく隆史は目覚ましを探し当て、けたたましくなっていた呼び出し音を止めた。
「う~ん……」
もぞもぞと毛布の中で身体を動かせて隆史は目をぼんやりと開ける。するとベッドの上から覗き込んでいる冬夜の視線と目があった。
「おはよ」
「……俺の寝顔はかわゆいか?」
隆史は足先を左右に振っているのが想像できるような動きを毛布の下でしていた。
「ばーか……違うよ。隆史の手がいつ目覚ましを探し当てるかなあって見てたんだ」
「うわ……悪趣味……」
「ていうか……ぼーっとしてただけなんだけどな……」
隆史の方を向くために、斜めにしていた身体を戻すと、冬夜は仰向けのまま薄暗がりの天井を眺めた。
なんだか知らないけど……
眠くなってきた……
ぼんやりとしている冬夜の額に、身体を起こした隆史が手を乗せてきた。
「ん~……まだ熱あるなあ……。朝にあるって事は夕方から上がるんだよ……」
「もう大丈夫だよ。今日一日寝てたら治ると思う。だから、隆史は仕事に行って自分のことしてくれたらいいから……」
「悪いんだけど……俺、今晩も明日も来られないんだよ……両親と会うことになってて……ほんと悪いんだけど……」
両手を合わせて隆史は言う。
「充分して貰ったよ……。へえ、ご両親が来るんだ……そんな日に悪いことしたな……」
冬夜の状態を見て、昨日は話せなかったのだろう。どこまでも隆史は良い奴だ。
「あ、いや……。気にするなよ。じゃなくて、今日両親と夕食を一緒にとって、狭いうちに泊めなきゃならないんだ……。明日はディズニーランドだと。勘弁してほしいよ……」
はぁと小さく隆史はため息をついていた。
「いいじゃないか……親孝行だって……」
「全く……小言言いに来るだけなんだけどな……困るよ……」
苦笑しながら隆史は自分が使った布団を畳む。放って置いてくれてもいいのだが、それは言わずにおいた。
「随分楽だから本当に気にしないでくれよ……今日は一日大人しく寝てるし……月曜には元気な姿見せられると思うよ」
この調子なら大丈夫だろう。
なにより、辞表を出して引継を終えれば後はいくらでも自由な時間ができるのだから。
「そうだ、朝ご飯食べられるか?」
見下ろしながら隆史は聞いてきた。ギリギリまで面倒を見てくれるつもりのようだ。
「う~ん……あんまり空いてないな……」
そう言って冬夜は笑った。
「昨日のお粥はもう無いし……。だけどなんでもいいから腹に入れて薬を飲む方がいいな。薬はちゃんと飲まないとぶり返すからなあ……ちょっとまってろよ。見繕ってくるから……」
「いや……本当に……今朝はいいよ……。あ、良かったら戸棚にお湯を入れるだけで出きるスープがあるからそれを作って貰えると嬉しい……。本当に今は起きたてであんまり食欲ないんだ。今は眠い……」
苦笑しながら言うと隆史は頷き、キッチンに向かった。だがすぐに帰ってくる。もちろん手にはコーヒーカップを持っていた。
「ほんと、スープだけで良いのか?」
差し出されたコーヒーカップを覗くと卵スープが湯気を立てている。それを冬夜は隆史から受け取り、膝の上に置いた。
「ああ……うん。マジで眠いんだ……。これ飲んだら寝直すよ」
黄色い卵の帯がふわふわとカップの表面に漂い、かすかにスープの香りがした。
「……眠いのはいいことだからなあ……うん。じゃあ薬はこれな」
言って隆史は風邪薬もご丁寧に手渡してきた。
「僕に構ってくれるのはありがたいけど、隆史もそろそろ準備しないと……」
「ああっと、俺も局の食堂に行く準備しないと……」
時計を見た隆史は慌てて昨晩枕元に畳んでおいた、シャツを身体に引っかけ、器用にズボンもはいている。
「隆史は朝食をどうするんだ?」
「俺の働き先を何だと思ってるんだよ~。こっそり味見してそれを朝食にするよ」
ははと笑った隆史は、既に準備万端と寝室の扉に手をかける。
「……気をつけて……本当にありがとう」
「俺の時は冬夜に頼むな~」
隆史は肩越しにそう声を上げると、扉を開けて出ていった。
もちろんだよ隆史……
そんな風に思いながら時間をかけてスープを飲み干したあと冬夜は空になったカップを床に置き、玄関の鍵を閉めるために立ち上がった。今度はすんなりと床に足をつけることが出来る。随分と身体の調子が戻ってきているのだろう。
それにしても青柳くん……
昨晩は何処に行ってたんだろう……
時々夜出かけているのは彼の言う性欲を処理できる相手を見つけてホテルでも行ってるのだ。だから冬夜が気にすることはない。
もう良いけど……さ
やはり帰ってくるのだろうか?
ここに……
青柳のことを考えて冬夜は溜息をついた。