020501

ああ、雨で良かったわ。
手紙、やっと書けそう。

ごめんなさいね。あなたは間違ってないわ。分かってるの。
ただ…、ときどき辛くなるわ。たぶん彼女もそうだった。
青空に、追いつめられてしまったの。

薄暗い部屋が好き。でも本当は甘えてるだけね。

きっとあなたも、ひとりのときはそうでしょう?
私はもう大丈夫よ。
空も、すこし明るくなったみたい。


 

020502

ツバメの尻尾はなぜ二股なの?

ヒトがふだん何故歩けるのだろう?と考えないように、
鳥も何故飛べるのだろう?とは考えないだろう。
では、ヒトが何故鳥は飛べるのか?と考えるように、
鳥が何故ヤツらは飛べないのか?と考えるだろうか。
…あんまり考えてばっかりいたら、
頭ばかり重くなって飛べなくなっちゃうかな。


 

020505

ぼくらは出会ってゆく
ぼくらは笑いあってゆく
ぼくらは歩いてゆく
ぼくらは消えてゆく
光の中で




 

020506

畦で草を燃す匂い、煙草の匂いにそっくり。
でも煙草よりいい匂い。いっしょに吸い込む若草の湿り。

田圃に水が満ちる。蛙が慌てて飛び込む。子供がいつまでも手を振ってる。
もう明日にでも蝉が鳴き始めそう。
昂揚感と、もうほんのちょっと寂しい感じ。


 

020507

デジタル式体重計ってやつは…
静止してるつもりなのに、チカチカとなかなか数値が定まらない。
息を止めてみたり、力を抜いてみたり、目を逸らしてみたり。

だいたい、体重なんて
だいたい、でいいんだ。
だいたい、そのへん。

しかし、どうしてカレーの日は食べ過ぎちゃうんだろ…


 

020508

君は自分で言うほどあんまり楽しそうじゃないね。
いや、楽しくなきゃ
ダメってことじゃないよ。
でも、今よりほんのちょっと素直になるだけで、
自分のことがもっと好きになれると思うんだけどな。

結局のところ考え方は2つで、
すべてが物質に見えるか、
すべてが幻想に見えるか。


 

020509

宅地裏の崖上に戦没者墓地があること、
バス停沿いの細い水路が実は田んぼだったこと、
もうその辺に蚊が飛んでること、
左右の耳の高さがちがう
こと、

本日の発見。


 

020510

君のなかに海があったんだ
抽象や暗喩ではないよ。
本当に見えたんだ。
光が弾けてた。

もうレトリックはいらない。
君もすでに気付いてる。


 

020511

次会えるのはいつだろう?
坂道の途中、
紅い裂口。

想いは想い、言葉じゃない。
わかってくれるひとよりも、
わかろうとしてくれるひと


 

020512

あそび【遊び】(1)あそぶこと。(2)ばくちや酒色に興じること。(3)仕事がなくて暇でいること。(4)純粋に楽しみだけのために行うこと。(5)機械の結合部などに設けた余裕。「ハンドルの―」(6)《古》狩りや詩歌管弦を楽しむこと。(7)《古》「遊び女(め)」の略

うがつ【穿つ】(1)穴をあける。「点滴石を―」(2)かくれた真相に触れる。「―・った見解をもつ」(3)着る。はく。


 

020513

なんでこっちを歩いてくるの、わざわざ。もう、早く行って、行って。
カラスばっかりやかましいナァ…。夕暮れっぽくなっちゃうじゃない。
え?なに?飛行機!?もっと上飛べよ! …関係ないのか?
今度はトンボ?肩にとまっててもいいけど、じっとしててね。
よーし、いいぞ…。この調子この調子…

ピン、ポン、パン、ポーンッ
「 ミナサマ、タダイマ4時デゴザイマス!」
いらんのよ!山ん中で放送なんて!!


 

020514

言葉では癒えない。
孤独は消せない。


それでも、美しい言葉が必要。
すべては瞬く間の出来事。


 

020515

大きな買物、駐車場までひと汗、料金はチャラ。
新製品の缶コーヒー、キンキンの冷。
螺旋。外は雨。本降り、銀鼠の水彩。
AMラジオ、ニュースのあと幕内後半戦。
筺の中、ひとり。信号待ち。
至福。


 

020516

すこしずつ遅れてる。


でもぼくには速く見えるな。

わたしにとっては大差ないよ。


 

020517

烏は徐に両翼を広げる。
力むでもなく、構えるでもなく、
まるで捨てられたビニール袋のように、
迎えた風にそのまま身体を浮かせ、
微かな音も立てず、まっすぐ前を睨み、
ゆっくりと高度を上げながら進んだ。


 

020518

終わったことはわかってた。
すぐに忘れられてしまうのが辛かった。
余韻も残さず消えてしまうなんて、
まるで記憶がすべて否定されたようで。

いまはもう夢の欠片。
眠い。太陽がないと体内時計が狂う。


 

020519

破断したペダルをベトナム製の新品と交換。ネジの溝にグリスを流し込むと弛みやすいのではないか?半信半疑ながら、やってみるとその方が奥までしっかりはまる。古いペダルも俄に捨てがたい。たくさんの擦り傷。重い鉄製の踏み台に誇らしげな「MADE IN JAPAN」の刻印。哀感がよぎる。

砥の粉を水で溶き、しばらく置いたあと刷毛でよく練り混ぜる。粥状になったところで木目に沿って丁寧に塗り、半乾きまで寝かせてから布で強く摺り込む。要領を得ず厚く塗りすぎ、余分な塗膜を拭き取るのに肩が凝った。こすり終えると今度はすっかり元の木地が現れてしまい、徒労に終わったかとうなだれたが、1時間もして水分が蒸発すると板の表面が真っ白に変わっていた。安堵。こんな技を人間はいつ会得したのだろう?早めに道具を洗って、掃除機をかける。


 

020520

一日のはじまりを見た。
眩暈がするような朝陽。
アスファルトをこする、
タイヤの音さえも綺麗。
思い出の余韻も溶けて、
真っ白が満ちてゆく。


 

020521

ぼくが得たのは乗り越える術だったのか?
それとも回避する術だったのか?





 

020522

植木鉢の下にムカデの母子…
その太さ、鋭さ、黒さ、つや、
思わず見入ってしまった。
何故かナメクジも寄り添っている。

父は何処へ?


 

020523

ひさしぶり、って笑顔だったけど
そのあと聞いたこと前と同じだ。
ぼくも初めて聞くような顔して応えた。
関心薄いのはお互いさまかな。

傷つけたくない、
傷つきたくない、
同じこと。


 

020524

無心

それが極意。


闘志さえ表情から消える。


 

020525

不安の種がこぼれ落ちた
ぼくは水をやらない。
ぼくは水をやらないよ。

許容量を超えて咽が涸れた。
いくら言っても足りない。
いくら言っても足りないよ。


 

020526

ぼくも物質。
きみも物質。
みんな物質。

哀しいことではないよ。


 

020527

まだまだ知らない道、
躊躇なく吸い込まれる。
草いきれ、蛇の気配、蛙の合唱、
行き止まり、遠回りもいい。

思わぬところにつながった。


 

020528

歴史という垢がこびりついた商店路地。
どの店先もくぐもった溜息に埋没している。
空き地の多い場末へ抜け、ようやく気が付いた。
街にも風が通らなければダメなんだ。

不安は
感染る。
愛は写るか?


 

020529

何の幼虫だろう?
背中に2列に並んだ天蓋のような突起。頭の側から10個は青、残りの12個は赤。
さらに両側面にも1列ずつ22個の赤突起があり
、そこから茶色の長い毛が盛んに生えている。
血管が脈打つような蠕動運動を繰り返して、鉄の支柱をぐんぐん登っていった。
親指くらいの太さで、12、3センチくらい。顔は黄色くて、仮面ライダーみたいな…

もう日が暮れてる。考え事してる暇がなかった。


 

020530

ぬるすぎたんだ…
気づかなかった。


黒を重ねれば黒くなるわけじゃない。
抜いて、潰さないで、できるだけ硬く。

深夜便があっというまに過ぎる。
もう今晩につながってる。


 

020531

右へフラリ、左へフラリ、
早く行こうぜ、滑り込もうぜ、
右へヌルリ、左へズルリ、
指示器はなしさ、お構いなしさ、




 

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