020901

ひらり、ひらひら、
白いお尻の残像、

ほのお、ぼやぼや、
黒い空に消える煙、

男なんて一滴の酒。


 

020902

1リットルの汗が出て、
1リットルの水を飲んだ。

太陽に
焼き殺される
こともある。


 

020903

スコップを持つ腕が黒光りしてる。
遠くからでもしたたる汗が見える。
空を睨みゆっくりと胸を上下する。
無言のまま又同じ動作を繰り返す。
僕はさっきから太陽を待っている。


 

020904

フィルムの向こうには深い闇があった。
奥行きのない座席で、何度も足を組み替えた。

外へ出ると、アスファルトからの熱で肺がむせる。
変わり映えのない日常なんて、案外錯覚ではないか?
今日も太陽は容赦ない。


 

020905

何と書くべきか決めかねる。
そこに残されるものではなく、
何が残されなかったのか。
その俗物を執念と読んで妬むか、
凌駕する美学を貫けるか。


 

020906

息をひそめています
息をひそめています

希望、確信
確信、希望

見つめること
もっと見つめること


 

020907

瀕死でも心にホッと咲かせたら
それがプロっちゅう門戸厄神
お馬鹿に帳尻合わせで躍起
なんも意味無いぜって落ち込む
殻カラ抜けてジャスト雨上がり
小さなしあわせ捨て台詞なし


 

020908

羅城門の南、川下の向こう。
そこに跡形が残っているとして、
見えないものが見えるとして、
土地が無垢でなければ人もまた
跡白波に漂う孤独を耐え難き哉。


 

020909

姿勢は前傾
ちょっと斜滑降
膝を柔らかくして
目を逸らさない

登るときは考えなくていいの。


 

020910

…ここで谷底に堕ちて足を骨折したら?
護岸壁をよじ登るにはただでさえ道具が要る。
幸い水は少しある。でも食糧はない。
人家も遠い。窪地だから声も届かない。
崖上に車は通る。しかし高速道路。
最大の恐怖は虫だ!
動けないことが悟られると、どんな小さな奴も容赦ない。
さっきから山鳩にじっと見られている。


 

020911

忘れてゆくこと、どうか許して。
記録は残酷ね。
残されなかったものに対して。
見たくないわけじゃないの。
見させられたくないだけ。


 

020912

決めかねるので保留してたら
こんもり溜まって下から腐った
鐘が鳴るので去就決めたら
やっぱり黙ってゲンヂツ喰らった
声涸れ頭錆びるとも
飛び込め一寸先の闇


 

020913

忘れるなこのドルルン
ポンコツが煙をあげる
針が激しく振れまくる
サラバ動かない世界
全部棄てれば光になる


 

020914

長い夢を見ました。
温かい緑の海を泳いで逃げる。
そこでは私は王様でしたが、
幸せにはなれませんでした。
気がつくと真っ黒な眼鏡をかけている。
ごめんなさい。言えば楽になるの?
微かに感じた音と光は朝でした。


 

020915

そこにあるものがある。感情を取り巻くのは意味ではなく解釈。

頭では分かっても、誤解を恐れる気持ちは消し去れない。
誤解という解釈に掻き乱され、果ては自己の解釈こそが誤解ではないかと錯乱する。
これは批評なのか。それともただの追憶か。
狂ってもいい。疑うよりいい。


 

020916

笑ってほしい

いい子にはなれないけど

白くなれ

まっ白になれ


 

020917

一瞬神経に触れるのを感じて
思考が結論を出す前に動いた
場合の結果と認識との距離感

殺されたばかりの少女の
平然と遊ぶ生前の映像と
動かない現在との距離感


 

020918

ゾウのように眠い…

あれ、ゾウって眠いのかしら?
偏見だね、悪かった。

ゾウに会ったことある?


 

020919

ヘルメットをつけたまま仰向けに寝転ぶ男。
太肉小背、淡青のシャツに灰紺のズボン、黒い革靴、
膝を折り曲げ、両手を出っ張った腹の上に載せている。
何かうめいているように見える。僅かに頭だけ動かしたその視線の先、
路肩に停まった白地のバンと、後輪に絡みついて引きずられたらしい原付バイク…
白シャツの若い男が、頭を掻きながら緩慢な動きで運転席のドアを開く。

時速60km、およそ0.6秒間の映像。


 

020920

人の笑顔が怖いと思った頃がありました。
あの人がぼくに向けてくれる微笑みの、
その半分ほども自分は笑ってない。
それを見抜かれるのが怖かった。
久しぶりに人に会うと思い出します。


 

020921

カーテンを替えてみたらどうかしら。
きっと貴方、
思いつかないでしょう?

色を聴いたり
音を感じたり
温もりに触れたり


 

020922

ア、ア、ア、
アメンボアカイノアイウエオ、
アメンボアカイノアイウエオ、
ホッタイモイヂルナ、
ホッタイモイヂルナ、ナ、ナ、


 

020923

沼底を見つめて
手を休めないで
大丈夫、
深く潜るほど浮力がつく

まだまだ深い


 

020924

17:30に晩飯を食べ、軽く汗をかく程度に身体を動かし、微かな空腹を感じつつ1:30床につく。
7:30起床。6時間だと睡眠は2周期。3周期目はろくな夢を見ないので、起きたほうがいい。
そこから頭が醒めてくるまでの時間がすこし短縮された気がする。それでも40分はかかる。
昼の食欲も変わってくる。食後にひどい眠気に襲われることもない。目の疲れも幾分ましだ。

そもそもニンゲンは生活リズムが狂いやすい。高性能すぎるのか?


 

020925

釣りに似てるのかな?

持っていくんじゃなくて、

もらってくるものなんだ。


 

020926

池端の鷺、どうだ気づかないだろう、
ってな顔して目と目があったまま。

雨粒を、拾い集めてハラこする。
想いは南洋、老雷魚。
さて今日は何曜ですか?


 

020927

おと聞こえてきます呼び覚ます
かたぶつ女の大仏コント
もつれる糸もつれたまま
とまった時間今朝も青空
また旅せずに待ってる
よあけに背筋凝ってる


 

020928

今日は降らなかったな
昨日は晴れだったかな
微熱のときは客観視できない
身体が訴えてるんだからね
声が聴きたくなったな
人知れず素直なのよ


 

020929

いいか、まずエンジンがなきゃ話にならねぇ。
だがオイルも不可欠だ。

オイルは必ず交換しなきゃならねぇ。
ここか肝心だぞ。いいか、
ツルッツルで、粘りのある、よく滑るやつだ。


 

020930

最初バス停には、女性が一人待っていた。ぼくはベンチに腰掛けた。
そのうち一人、二人と待客が増えてくる。他の誰もベンチには座らない。
濡れた路面に、さっき出てきた太陽が反射する。急に蒸してきた。
やがて向こう角にバスが現れる。立ち上がった矢先、その脇を…
最初からいた女性はゆっくり、しかし確実な歩調で追い抜いていった。
あとから来た他の客は、ドアの横で黙ったままぼくが乗り込むのを待っている。
みんな俯き加減だ。一言も発しないし、目も合わさない。


 

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