020701

過ぎたことは忘れましょうよ
今日また新しい色の紫陽花を見たわ。
不思議ね、場所によってもちがうのね。
どんな色にも染まれるのかしら。
わたしもまた咲くわ。
フフ、雨って好きよ。


 

020702

「すいませんが、真弓、白庭というのはどのあたりですか?」
「えっと、この地図の北大和というところがいまいるところで、向こう隣が真弓です。白庭はこの道をずっと西へ、富雄川を越えた先になりますね」

「ははぁ、なるほど。今の説明は非常に良く分かりましたよ!…とすると我々は今とんでもないところへ来てしまっているのですね。ところで、現在地はどこですか?」
「…」


 

020703

「ねぇ、やっぱり見晴らしのいい場所がいいよね。小さいお庭があって、ちょっとしたテラスなんかもあって、夏はそこであの山の方を見ながら食事とか…」
「今は何もないから見晴らしいいけど、このあたりぜんぶ家が建ったら景色変わるよ」
「夢がないなぁ。想像するだけなんだから、楽しいことだけ考えてもいいでしょ」
「だいたい人が減ってるっていうのに、どうしてこう相変わらず宅地開発が盛んなんだろ?ラジオか何かで聞いたんだけど、墓地って最初に区画を売ってしまうとそれ以降まったく利益が得られないから、業者は次々と山を伐ってゆく悪循環に陥るんだって。それで山の方には墓地ばかりどんどん増えて…」


 

020704

そうめんとネギと生姜、ありがとうございます。

気がつけば扇風機の風、ありがとうございます。

カラッと乾いたシャツ、ありがとうございます。


 

020705

予報では曇りだった。
早暁の空がひときわ澄んでいる。
電柱のてっぺんに孤高のカラス。
朝に背を向け、うつろいゆく
巨大な雲の色彩に何思う。
陽の温みを待たず飛び立つ。


 

020706

拾い集めた木ぎれは全部、やさしい置き火になった。
広げた新聞紙に寝そべり、投げ出した足の先を他人事のように眺める。
すこし風がおさまった。見上げれば無数の星。
宇宙が揺れているのか?いや、雲が走っているのか。
昔はみなこんな空の下を旅したのか…。

いまここにある現実が、非日常に思える現実の虚構性。


 

020707

雲を見たければ北へ行け。
水辺を走りたければ南へ。
身体に染みついた傾斜感覚って、
性格に影響するんじゃないかな?
右利き:左利きくらいの割合で。


 

020708

いつも途中でわからなくなるよ。
一生懸命なことに一生懸命みたいで。
それでも思い出はいつもキラキラだから、
きっと限界までまだまだなんだよ。
動いているのは景色の方さ。


 

020709

考えないで、ただみつめて。

頭の中を空白にできないから、
気になってる歌詞を口ずさんでみる。
いつも同じところで続きが思い出せないんだけど…
フ〜ニャラフニャフニャ〜


 

020710

左眼が曇って滲むのは、
光の粒を見つめすぎたせいかしら。
消耗するほど長い夢を見るのは、
恋のように大脳が止まらないせいね。

リモコンもくたびれたみたい。
気になってしまうのは届かないせい?


 

020711

野性望遠視力
台風一過真空
優柔臆病摩擦
非修飾冷静観
表面張力
的朝


 

020712

耳鳴に雷鳴
体内を血が巡る音
そろそろ考えるのも止めないと
まだ通過点でしょう
公傷は認められません


 

020713

窓の外でバシバシと音がする。
カーテンのすきまから覗くと、
鳥が昆虫を丸呑みするところだった。
あんなデカいのがゴロンと入ってんのか。
そんな食欲…、そんな食欲、
鳥にも胃潰瘍ってあるんですか?


 

020714

神話中毒ってアメリカだけの専売特許じゃないんだろうな。
若さは立ちすくまない。そう気づいたときはもう遅いとしても、
やがて克服してゆくことで究極の力を得る…

でもいつもすぐ、反対の声が聞こえるんだ。
そんなのは関係ないよって。夜の方から。


 

020715

あの人にはニヤリがない
ニヤリの下には根がある。
どんな表情より露呈する。
自分でも気づかない自分。
しまった、テレビの中か。


 

020716

国境の島へ行かねばなるまい。
最果てのその向こうを見ねばなるまい。
終わりがあるとするのなら、
この目で確かめねばなるまい。
上から眺めるだけでは決して分かるまい。


 

020717

ペダルをもうひと漕ぎ、
まだ世界が止まって見える。
とりあえずあの坂まで、
肩の力を抜いて踏み降ろす。
上りと下りを繰り返す、
新しい景色に出会えるように。


 

020718

くそぅ、あとすこしで雨雲を追い越せたんだけどなぁ。
よりによってサバンナみたいなところだよ。
間の悪さが重なってる。あーあ、中までずぶぬれ。
こんなときでも、なんかいいこと思いつくかな?
ふーん…
このカッコ、車の中からどう見えるんだろ?


 

020719

そうだ。確かに何も言えなくなる。
これ以上騒音に加担したくなければ。

で、肝心なのはここからだ。
黙ることが目的ではないのだから。
もう一度更地を見つめ直さなければならない。
何度でも、目を凝らして。


 

020722

「ほらナ、もうアタマ喰われた。めんたまァ好物やからナ。あすこにいおるよ。ピンピンて手で引っ張りおるからナ。引いたらすぐギュッと上げたるんやけど、うまいことエサだけやられるナ。ゴミが掛かってたりナ。針に掛かっても、釣り上げた後でも、石に吸い付きよったらもう動かんナ。すごい力よ。そらもう、糸が切れんから身体に巻いて引くのナ。手が切れて血が出るよ。…くぅそ、あすこにいおるのは分かっとるのにナ。朝いきなり2本釣れたけどナ。それからずっとだめ。今日は朝銀行寄っとって、来たのは遅かったけどナ」


 

020723

ファインダーを折りたたむときの、軽いバネの感触。
貴方の手を握ったときの、細くなめらかな指の感触。
真上から射す白い太陽の、肌を焼き殺してゆく感触。

記憶を形づくるものと、
四角い枠の中にゆらめく自己の表象。


 

020724

クーラーは必要だけど、どうしても馴染めない。
いっぺん全部止めてみたらどうだ?ニッポン国中。

そのてん扇風機はちょうどいい。健気にクルクル。
休みなく、回回回回回回回回…


 

020725

駅前にある噴水の脇に、平城京を復元した鳥瞰図がある。昔は気にも留めなかった。
いつ来ても評判だった夫婦饅頭の店が荒れ果てていて驚いたが、近くに移転してまだ健在のようだ。
でも4畳半くらいしかなかったレコード屋はどうしても見つからない。このコンビニのあたりだったはず…
路地で迷ってぐるぐると歩き回っているうちに、当初の目的を忘れかけていた。そうだ、サルは?

母が昼に同じ店で、20年振りに蚊帳布巾を買っていたと聞いてまたびっくり。


 

020726

そうか、流れが緩やかになると土砂が堆積しやすくなるわけだ。
一方で限られた出口には相当な圧力が集中する。
流れが急な箇所は、土砂の浸食も加速して渓谷を造る…
あぁ、もうすこしで生成の秘密が見えそうなんだけどな。

‘時間’を見つめることは可能か?


 

020727

追憶に引き寄せられ
賑わいの中にあって
すこし遠い風景のような
時が経ったせいか
独りでいるせいか
まだ帰るには早い


 

020728

「飽和する映像や喧騒に窒息しそうで、自分の思考まで所詮コピー・ペーストだとの疑念が晴れず、いっそ自我を丸めて捨て去り、知識を持たない眼を取り戻せはしないかと、白昼夢に憑かれひたすら歩いている。どこまで行っても何も無いということはなく、地面の感触だけはいつも虚無から一番遠いところにある気がする。そういうときがある。」



 

020729

人がいっぱい。たぶん身体に何か作用するんだろうな。
口先はウラハラに丁寧な言葉を喋り出すの。
小さくなってしまったみたい。
でも新しいだけのものはすぐ消えてゆくわ。
とてもあたりまえなものが最後に残るの。
心配しないで。それを見失わないで。


 

020730

猟と漁、リョウが先で漢字が後か?
なんだろう…、すごいな。陶酔は人間だけの特製?
山間バイパス、トロピカーナで快走パルパティーン!
…何言ってんの?
未完の大器で散らかさないで。


 

020731

そういえば、動物もためらう仕草を見せるよね?
鼻先で食べ物をクンクンして二の足を踏んだり…
あのとき、彼らは何を考えてるんだろ?
どれくらい先のことまで予測するんだろ?
でもきっと動物の中で一番、
瞬間を生きるのが苦手なのがニンゲンなんだろうな。


 

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